『それでいい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「薔薇なんていらないよ、特に貴方からなんて」
僕が愛してやまない彼女は僕のバラを受け取ることを拒んだ。
何ヶ月か前のこと、彼女が一人で本を読んでいるところから出会いは始まったんだ。
その綺麗なまつ毛に、立ち振る舞いに、横顔に、この世のもの全てを見透かしてしまいそうなほど透き通ったあの青い瞳に一目惚れしたんだ。
そこから話しかけていったのが始まり。
正直人間相手に話しかけるだけで緊張したことないのに、今回ばかりは勇気をめいいっぱいだした。
最初の君はあからさまに僕を怪しんだけれど、プレゼントをあげたり、話す回数を増やすごとに君の笑顔も増えていった。
僕はそれが嬉しくてたまらなかった。
君が好きっていってたチューリップの花畑に行った時の笑顔は忘れられない。
最初に会った時の表情より、数百倍も美しくて、綺麗で惚れ直してしまった。
だけれどその後から僕のプレゼントを受け取ってくれなくなった。
でも話は聞いてくれるからきらいになったわけじゃないと思ってた。
両思いだって信じてた。
でも彼女は僕からの「愛」はいらなかったみたい。
信じてきた気持ちはただの自分の思い込みだったってのはだいぶショックだけどね
「そうか、すまない
僕の勘違いだったみたい」
君はなぜだかすごく辛そうな表情をしてその場から去っていった。
君と両思いになって、こんどは家でもプレゼントして一緒に住もうかなんて考えてたけど、早とちりしすぎたね。
君の背をまっすぐ見つめては凍てつくように冷たい涙が頬を伝った。
悲しくないといえば嘘になる。
辛くないといえば嘘になる。
僕と付き合って欲しくないといえば嘘になる。
でもいいよ、いいんだ
僕を選ばずにもっと素敵な人と出会えるならそれでいいんだよ。
僕の幸せは君が笑ってくれることだから、それでいいんだから。
そう自分に言い聞かせ、唖然と立ち尽くした。
嗚呼、冷たい涙が降り注いでくる。
今のままで十分だよっていってさ、抱きしてめよ
そうしたら私、あなたの腕の中で可愛く泣いてみせるからさ
「ねぇ今日何が食べたい?」
「ん?」
「ビーフシチュー?」
「うん、」
「麻婆豆腐?」
「うん、」
「肉じゃが?」
「うん、」
「カレー?」
「それでいい。」
もう何百回も繰り返した会話。
なんでそれが良いって言えないのかな?
最初から今日はカレーが食べたいなって言えないのかな?
宇宙から隕石が落下したら
今日は俺がカレー作るよって言えるのかな?
我が家で1番手の掛かる大きな赤ちゃん。
貴方残して私が先に死んだらどうするのかしら?
そしたらやっと自分で立ち上がれるのかな?
私は準備を始めなければ夫の自立を促すために
私がいなくなった後も生活出来るようにそれが愛ってもんよね。
『それでいい』
それでいい
大人なんだから出来て当たり前
何それ
大人なんだから嫌いな食べ物があるのは恥ずかしい
何それ
大人なんだからしっかりしろ
何それ
私は「大人なんだから」という言葉が嫌いだ。
大人だからって何でもできるわけじゃない
悩みがないわけじゃない
むしろ大人になってからのほうが悩みはある
大人だって嫌いな食べ物はあるし、嫌なものは嫌なのだ。
泣きたい時だってある
悩んで立ち止まる時だってある
でも、それでいい
泣きたい時は思いっきり泣けばいいし、泣いてスッキリして、また頑張ろうと思えたらそれでいい。
「大人なんだから」って決めつけるの辞めようよ。
いつも笑ってるあなたが好きで
誰にでも優しくて
特にあなたのそばにいつもいる
あの子には優しくて
愛おしそうに見つめるその目が
とても綺麗に見えるのです
きっとその目にわたしを
うつすことはまばたきをするより
短いのでしょうね
けれど、それでいい
遠くであなたを見ているだけで
わたしには充分なのです
__それでいい
「それでいい」
一瞬気分が高揚したが、すぐにマイナス側へと下降する。
「ボス、せめてそれ『が』いい、素晴らしいって言ってくれません?」
すると、弱くだが頭をはたかれた。
「ひっど! 暴力反対!」
「お前なぁ、自分の実力見てから意見しろ!」
正論を突きつけるなんてずるい。なぜなら私はチーム唯一の落ちこぼれだから。組むパートナー皆がお手上げポーズを取り、あわよくばクビになりかけたところをボスが救ってくれた。
そう、口答えできる立場ではない。わかっている、わかっているけれど、もう少しモチベをあげてくれてもいいじゃないか!
「でもでも、最初の頃よりかは使えるようになったと思いません? 私、自分でもわかります」
まだボスのサポートが必要なものの、そこそこ難しい案件もこなせるようになってきた。
「アホ、調子に乗るな。俺の教えがいいからに決まってるだろ」
「むー、とことんまでツン対応ですか……まあ、その方が逆に燃えますけども」
なんだかんだ文句を垂れつつ、自分と同じ二十代ながら貫禄十分なボスが恩人なのは変わらない。なんなら尊敬だってしている。
早く一人前になって恩返しするのが、今の目標だ。
「ちゃんと見ててくださいよ! あっという間に優秀になっちゃいますからね」
力こぶを作る仕草とともに宣言してみせる。また調子に乗るな、なんて釘を刺されるかと思ったが、その読みは外れた。
「まあ、あまり焦るな。今のままのペースで、頑張ればいい」
控えめにも、少し悲しげにも見える笑顔を向けて、頭をひと撫でされた。
「ぼ、ボス?」
「よし、休憩終了。仕事一個片付けるぞ」
背中を向けたボスは、もういつもの雰囲気を纏い直していた。
お題:それでいい
勉強が出来ない。
運動が出来ない。
コミュニュケーションが上手くとれない。
わがまま。
短気。
空気が読めない。
たとえそう入れたとしてもそれでいい。
人にはそれぞれ短所があり、
長所も必ずあるんだから。
生きてるだけで充分偉いよ。
お題
それでいい
「それでいい」
身丈に合わない格好しなくても
体を壊すほど自己研磨して追い詰めなくても
無理して笑顔にならなくても
ぼーっとしてていいよ
返事なんてしたいときでいいのよ
愚痴だってこぼそうよ
本音が出てちょっと気まずくなって
苦笑い
それでいいよ
全部好き。
煮えたぎった目が捉えているのは、私ただ一人なのだろう。彼の感情を煮詰め、煮こごらせたのは他でもない自分だ。殺したいほど恨まれているのだろうと言うのに口元が言うことを聞かずにゆるむ。
この安っぽい物語は私の死をもって幕を下ろす。しかし、主人公側のような有終の美は飾れないだろう。私に与えられた役は悪だ。主人公が私を恨みながら生きながらえ、私を断つことでそれまでの苦労が報われるという王道的なシナリオ。勧善懲悪というのは、いつの時代も万人に好まれる娯楽の最たるものだ。
私はそのための舞台装置として生まれたのだから、この結末も致し方ないだろう。
クライマックスに相応しい激闘の末、彼の渾身の一撃が全身を襲う。ああやはり痛いなと顔を顰めるとふと視界に入った哀れみの目。
「ごめん」
そう耳元でつぶやかれた声は何度も私を断つ役目を与えられた主人公で、お互い嫌な役割を与えられてしまったなあと笑って、遠のく意識の中でくちびるを動かしたが、果たして届いただろうか。
今日もまた、どこかでページをめくる音がする。読者が物語を辿るたび、私たちは宿命として出会い別れるのだ。すべては作者と読者のために。
【それでいい】
買おうか悩むってことは
まだ本当に必要ないって事だから
買わなくていいって分かってるのに
つい買っちゃったね。
それでいい。人間だもの。
上手くいかない
それでいい
泣きたい気分だ
それでいい
なんにもやりたくない
それでいい
大丈夫だよ
今日できた私はそれが最大
辛くてどうしようもならないなら
吐き出したらいい
それだって私を守る手段
そして明日を創り出す第一歩
今日の私にありがとう
それがいい
選択を委ねられたらそれでいい、よりそれ が いい。
ちょっとしたことで印象が変わる。
しぶしぶ選んだ反抗期のようにはなりたくないだろう。
お題:それでいい
嫌なことがあって辛い君へ。
何もかも捨てて逃げ出してしまいたい君へ。
苦しくて泣いている君へ。
それでも頑張っている君へ。
逃げてしまった君へ。
自分の選んだ道に後悔しているかもしれない。でも、それがいつか正解になるから。進もうと思わなくていい。立ち止まってもいい。振り返ってもいい。ただ一つ、君自身を諦めないで。
泣きながら頑張る君も、苦しくて逃げてしまった君も、何も間違っていない。それでいい、そのままでいい。ただ君を生きてくれたらそれでいい。
あなたらしさ。
それが見られたらいい。
ただ、それでいい。
愛ではなかった。恋でもなかった。
君がわたしにくれるものは、そうじゃなかった。
それはもっと小さな、白詰草みたいな好意だった。
季節が巡れば消えてしまう、儚く無垢な想いだった。
わたし、今でも君を夢に見る。
でも、それでいい。それで、よかった。
#それでいい
君が僕に興味なくてもそれでもいいから好きでいさせて
君の隣でずっと笑っていたい。
それでいい。それがいい。
オリジナル短編小説(2)
お題「それでいい」
「それでいい」。君は確かにそう言った。
だから僕は、ずっと君のそばにいるんだ。
彼は、「それでいい」が口癖だった。学生時代のグループ活動、運動会の種目決め、生徒会役員選挙…。
社会人になってからも、会議等でいつも言っていた。
正直、彼は適当すぎると思った。でも、僕はそれが彼のいいところだとも思う。実際僕は、彼の「それでいい」という言葉に救われたことがある。
僕は学生の頃、いじめられていた。
蹴る、殴るはもちろん、嫌がらせは日常茶飯事だった。
そんな時、僕は彼に「もう楽になりたい。」と言った。彼は一言、「それでいいんじゃないかな。」と言ったんだ。そして僕は、その数日後いじめられなくなった。
それからの日々は、とても楽しかった。
暴力もなく、嫌がらせもない。毎日彼と平穏に過ごした。
「ありがとう、助けてくれて。」
彼は何も言わなかった。かっこつけのつもりかな。
社会人一年目のある日、彼は警察に捕まった。
一体何をしたのか、ずっとそばにいた僕にも分からなかった。
「君は何をしたの?なんで警察に?」
彼は答えてくれないまま、静かに連行された。
彼は、誘拐の疑いで逮捕されていた。
彼が、人を誘拐したのだという。
そんなはずない。僕がずっとそばにいたんだ。僕はそんなとこ、見てない。ありえない。
このまま黙って彼を連れていかせるわけが無い。
僕は、彼について行くことにした。
数日後、彼の家の庭から、白骨化した僕の遺体が発見された。
…そうだ。僕はあの日、彼に殺されたんだ。
彼に「それでいいんじゃないかな」と言われたあの日、僕は彼の家に招かれた。
「楽になりたいなら、手伝うよ。何をしたらいい?」
…僕は、もう、死にたいよ…。でも、勇気がないんだ。
「…わかった。手伝ってあげる。」
そう言って渡されたのは、目隠しだった。
「それをつけて、ここに立つんだ。」
彼の指示通り目隠しをつけ、指定の場所に誘導された。
しばらく彼は、なにか準備をしているようだった。
その準備が終わったのか、彼は静かに言った。
「3、2、1でいくよ。…3……2……1!」
その瞬間、僕の体は宙に浮かぶような感覚だった。あぁ、風が心地良い…。
緩く結んでいたためか、目隠しが落ちた。
僕は文字通り、『浮いていた』。
彼は、僕の願いを叶えてくれたんだ。
「これは、2人だけの秘密だね。」と、彼は優しい笑顔で言った。
『ありがとう』。その言葉は、伝えられなかった。
彼はあの後、殺人罪として罪を償うことになった。
牢屋の中で、僕は彼と一緒にいることにした。
たとえ彼に認識されなくても、こうなったのは僕のせいだから。
彼は一言、牢屋の中で呟いた。
「これでいい。彼との約束を破ってしまったから。」
〜終〜
「生きているだけ、それだけでいい」
と、謳いつつも
そうは生きさせてくれない世の中
冷たい、、、。
それでいい
吸い取られそうな寒さに少し身震いをする。窓を開けるとあたり一面、真っ白な世界が広がっていた。少しすると、耳が痛くなるような叫び声がお屋敷中に響き渡った。
僕はまだ温もりのある布団を飛び出て足が痛くなるような冷たい廊下を静かに歩いた。
重い襖の前に座り深く深呼吸してから恐る恐る覗くように襖を開ける。
「ぁなたがあんな残酷な人に…あんな人に騙されるのが悪いのよ!!」
「なっなんだと!!元はといえばお前があんな無能なやつを産んだのが悪いんだろ!!」
「なっなんですって!!!」
あぁまたお嬢様のことか…この親はなんで…いや親とも言えないか…
「旦那様、奥様おはようございます…」
「おっおぉ龍じゃないか!!もう少し寝ていればいいものの…すまんな起こしてしまったか…体調は大丈夫か!?」
旦那様は眉間のシワを緩め僕を見る。奥様もつり上がっている目を細め僕を見た。正直に言うと体中が震え上がるように気持ち悪い、でも…
「いえ、この通り大丈夫でございますので朝食の準備をさせていただきます」
「そうか」
旦那様は素っ気なく返事をし、また奥様と話し始めた…
僕はゆっくり立ち上がり、また一つ深く深呼吸をし、台所に向かった。
廊下を歩いていると、甘くて、優しくて、美味しそうな匂いに包まれた。
「これはもしかして…」
足を速めて台所に入ると、そこには、艶のない長い髪、右頬から首にかけた文字のような傷跡のある一人の女性が白いエプロンをつけて小松菜を切っていた。
「お嬢様すみません、どうして女たちがいないのですか!?」
「あっ龍二さん!すみません私が勝手にさせてもらっているんです…」
お嬢様は、そう言って視線を右上に向けた。
「もうできているんですね…」
お盆には旦那様がお酒と一緒に食べられる枝豆など美味しそうなものばかり置かれていた。
「それじゃあ運びましょうか…」
「…はい」
優しくて暖かい空気が僕らと食事を包み込む、
しかし、その空気は一瞬にして消え去った。
「旦那様、奥様お食事の用意ができました」
「おい、これは誰が作ったんだ?」
「わたくしでございます」
僕は答えた…
「そうか、龍が作ったのか…
そんなわけがあるが!!!!その化け物が作ったんだろ!!!こんな汚いものっ…食えるか!!!」
そう言って旦那様と奥様は踏み潰された小松菜を置いて部屋から出て行った…
「お嬢様すみません…せっかく作っていただいたのに…」
「…いえ大丈夫です大丈夫」
そう言ってお嬢様は床に落ちたきれいな緑色の真ん丸とした枝豆を拾ってこう言った…
「枝豆って花言葉があるんです…確か、必ず訪れる幸運…だったかな…わたしはこの枝豆に思いを込めます…今のままでもいい…それでもいいから…私に…私に…いつか幸せが訪れますように…」
「きっと…きっと大丈夫だと思いますよ!」
「えっ?」
「どっどういうことですか?!」
「その…確信はないんですが…」
…10年後…
「龍二さん!朝ごはん出来ました!」
「おっおお嬢様じゃなくて…美弥さんありがとうございます!」
「うふふ…もう〜」
私は親元を離れ使用人だった龍二さんと2人で夫婦として暮らした…時々私がこんなに幸せでいいのだろうかと呟く時があるのだけれど、その度に龍二さんは…
「何言ってるんですか!これからが幸せじゃないですか!!」と言い返してくれるのでとても安心する…
でも幸せは永遠に続くわけじゃないから…
どうか神様…どうか……どうか…お願いです…この幸せが続きますように…この夢のような幸せが覚めないように…