『それでいい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
同窓会の知らせを前に、燈里《あかり》は悩んでいた。
「まだ悩んでるのか」
「冬玄《かずとら》」
コーヒーを置きながら、冬玄は燈里の頭を撫でる。ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜられ、燈里は慌てて冬玄の手を掴んで止めた。
「たまには楽しむのも大事だ。それとも前に何かあったのか?」
「そういう訳じゃないけど……」
乱れた髪を直しながら、燈里は言葉を濁す。眉を寄せ何かを考えているその様は、同窓会への参加を悩んでいるだけではないように思えた。
「燈里」
名を呼ぶと燈里は冬玄を見つめ、うぅ、と小さく声を漏らす。自分でも何を迷っているのか分かってはいないのだろう。その表情は普段と異なり、どこか頼りない。
暫く何も言わずに燈里は冬玄を見つめていたが、小さく息を吐くとカップに手を伸ばす。何度か息を吹きかけ、香りと味を堪能するように目を細めてコーヒーを飲み、もう一度悩みを吐き出すように息を吐いた。
「同窓会に行きたくない訳じゃないの。ただ……何ていうか……自分でもよく分からないんだけどね。こう、胸がざわざわするというか……」
かたん、とカップを置き、燈里は自身の胸に手を当てる。とくとくと刻まれる鼓動は普段と変わらないように感じた。
しかし何かが違う。参加しようと考えるだけで、途端に言いようのない不安が込み上げ落ち着かなくさせる。それは同窓会自体に関してというよりも、それに参加する同級生に関してのことのように思えた。
「前回はこんなことなかったのに……でも、今回は参加しない方がいいのかな」
「それでいいと思うよ」
不意に燈里の後ろから伸ばされた手が、スマホを取り上げる。突然のことに反応できないでいる燈里の前で欠席の項目にチェックを入れて送信し、楓《かえで》は困ったように肩を竦めた。
「楓?」
「その勘は大事にした方がいい。今回だけになるかは分からないけど、何か嫌な感じが伝わってくるよ」
「どういう意味だ?」
冬玄の問いかけに、楓は眉を顰め首を振る。答えの代わりにスマホを操作し、ある画面を提示した。
「これって……参加者名簿?」
首を傾げる燈里とは対照的に、冬玄の表情は次第に険しさを増していく。その視線は、ある一つの名前に注がれていた。
――繩手式貴《なわてしき》
前回の同窓会にも参加した男性だった。
燈里には見えていないのだろうが、冬玄には彼の名から黒い靄が滲んでいるのが見えている。どろりとした昏い感情が文字を通して燈里を絡め取ろうとしているように感じられて、冬玄は顔を顰め舌打ちした。
「冬玄?」
「こいつは、一体どんな奴なんだ」
指差された名前に視線を向け、燈里は困惑したように眉を寄せる。学生時代を思い出すように宙を見つめ、迷うように口を開いた。
「静かな人、かな?よく覚えてないけれど、誰かと集まって話したりするよりも、一人で本を読んでいることが多かった気がする」
「ほとんど燈里の記憶には残ってないよ。ただ、ここまで記憶に残らないのは、認識を歪める何かが作用している感じも受けるね」
そう言って楓は画面を消し、燈里にスマホを返す。その表情には僅かな安堵が見えるものの、警戒が解かれる様子はない。
「まるで辺り障りのない印象以外を隠しているようだ。こちらに対して悪意があるわけではないのだけれど、その分異様さが浮きだって気持ちが悪い」
燈里の内に在る妖の楓は、彼女の記憶を共有している。燈里が見たものをそのままの視線で見ることができる彼女だからこそ、その不自然さに楽観視ができないのだろう。
「繩手くんは何をしようとしているの?それとも繩手くんに何かがあるの?」
二人の様子に燈里はただ困惑する。しかし今までの経験から彼自身、あるいは彼に関わる何かが不安を掻き立てていることは理解できた。
燈里の疑問に、冬玄は画面の落ちたスマホを一瞥する。ほんの僅か逡巡し、燈里の目を見つめた。
「何をしようとしているかは分からない。だがそいつには何かが憑いている」
「憑き物筋ってこと?」
「おそらくな。そしてその憑き物も宿主も、燈里に接触しようとしているようだ」
何故、そこまで分かるのか。言葉にこそ出さなかったが燈里の不安げな表情を見て、冬玄は苦笑する。
「名前を見たからな」
その者を現世に留める楔であり、在り方を示す言霊だ。人ならざるモノにとって、名を見ることはその者自身を見ることと言っても過言ではない。
特に冬玄は代々彼女の家で祀られていた守り神だ。名を見れば、本人に接触せずともある程度の情報は読み取れる。
「何かが憑いているのは感じられるが、それ以上は分からない。ただ燈里を求めているのは確かだ。今後別の形で接触を図ってくるだろうな」
同窓会に参加しないことで直接の接触は断たれたものの、燈里に向けられた感情が消えるわけではない。楓もそれを察して顔を顰め、冬玄に目配せをしてから部屋を出ていく。
「楓?」
「暫くは睦月《むつき》の側にいることにするよ。大丈夫だとは思うけれど、念のためにね」
振り返らずに答える楓の背を見ながら、燈里は表情を曇らせる。年明けに縁あって燈里の家に住むようになった睦月は、先日恐ろしいことに巻き込まれたばかりだった。
不安げに右手の薬指に嵌るリングに触れる燈里の肩を、冬玄はそっと引き寄せる。落ち着かせるようにその華奢な背を撫でながら、大丈夫だと囁いた。
「俺がいる。燈里が望むのならば、あのちびだって守ってやるから、心配するな」
「うん……ありがとう、冬玄」
「いつも通りでいろ。そのままでいられるために、俺も楓も燈里の側にいるんだ」
ふわり、と燈里は微笑んだ。甘えるように冬玄に擦り寄りながら、静かに目を閉じる。
大丈夫だと自身に言い聞かせ、胸の奥で燻る黒い何かから目を逸らした。
しかしその懸念は後日届いた一通の連絡で、一気に形を持ち出した。
差出人は燈里の友人。
繩手が燈里に連絡を取りたいとのこと。
そして続く文面には、同窓会で繩手が接触した女性たちは、皆それぞれ小さいながらも事故で怪我をしたらしいことが書かれていた。
自身も階段から落ち、捻挫をした。見知らぬ女性に押されたことは間違いないはずが誰もその女性を見ておらず、一人で落ちたのだと言っている。他に怪我をした子も同じような女性を見た。焦り、恐怖しているのが伝わってくるような、内容だった。
その最後には、こう書かれている。
――燈里、繩手くんに会う時には気を付けて。絶対に一人で会おうとしないでね。
20260404 『それでいい』
いつも「それでいい」という言葉とともに育ったのだろうなという人に会ったことがある。
その人に対して質問症の私は思った、
この人は自分を信じてるのだろうか
この人は周りを信じてるのだろうか
この人は幸福にこの世を生き抜いてるのだろうか
私は仮説を立てる。
この人は、自分が生きたい人生での姿を何でもいいと思ってるのではないか?
この人は。周りが生きてきた人生の旅路は生きているうちに学んでいくものでは特にないのではないか?
「それでいい」は私だったら何かをするたびに言ってほしい言葉ではなく、努力をしたあとに言ってほしいと思った。
これを本人に言うことは結局はないだろうが。
『それでいい。』書き途中。
犯罪行為の描写があります、ご注意を。
クラスで孤立していた男の子––––くん。
家庭環境が悪くて幼いながら手を汚していた子。
綺麗な容姿をしていたが無口で無愛想で
話しかけたって表情の一つも変えないものだったから
彼が教室で1人、窓の風景を眺めているのに気を留めるのは誰1人として居なかった。
彼と出会った日のことは…
というか彼との日々は余り記憶に残っていない。
––––––––––––––––––蝉が鳴いた。
始めて会話したのは下校中だっただろうか。
私とは反対の家の方向であろう––––くんが
黒い服を着て、同じぐらいの歳の少年を連れて道端にしゃがみこんでいた。
彼は私に気付かなかった、
私は何も思うことはなく彼をじっと見つめていた。
彼の視線を追うと目の前は歩きスマホをしているお兄さん。
知り合いなのかな、なんて思っていたら束の間、
いつの間にか––––くんたちは歩いているお兄さんに
並び、––––くんがお兄さんの尻ポケットへと手を。
そこには日光が反射し黒光りした革財布。いかにもな見た目で中身はずっしり重そうな財布。
私は走った。
ランドセルを投げ捨て、運動不足で慣れない感覚に張りそうになる足を、ただ、ひたすらに回して。
…駄目だ
彼の
指が
財布に
「––––くん!!!!!!」
ぴしゃり
空気が震えた。
はたり、とこちらを不可解そうに見やるお兄さん。
後ろを向いたお兄さんから素早く手を引っ込めて
目を開いて汗を滲ませて私を見つめる–––––くん。
静まった空間にお兄さんと共犯の少年は居らず
その場には大きく目を見開いたままの少年と
手首を掴み喉をつっかえてる私の2人ぼっちだった。
どくどくと鼓動が耳の後ろで鳴っている。
全身が熱くて、寒くて、上手く呼吸が出来ない。必死で走ったせいで足は今にも張り裂けそうだった。
何を言おう、どうしよう、捕まえたは良いものの
この後どうすれば良いなんてわからないに決まっている。警察?電話?学校?まず事情を聞くべき?
彼の顔を見つめたまま額を流れる汗は止まる事を知らない。気付かずどんどん彼の手首を強く掴んでいた。
あぁ、そういえば随分と落ち着いていたな。
数秒目を見開いて固まった彼だったが
少し経つと座った目をしていた。
当時の私には不思議で不気味でしかなかったが
あれはきっと捕まる覚悟をしていたんだろう。
全てを諦めた死んだ目をしていた。
–––––––––––––––––––赤い木の葉が落ちた。
「–––––くん」
あぁ、なんて馬鹿なことをしてしまったのだろう。
馬鹿だ馬鹿だとは思ってはいたが
『––––––、ちゃん』
……まぁ、もう今更か。
連絡先を交換した。
–––––––––––––––––––枯葉が朽ちた。
「––––という訳で、最近学校での無くし物が
多発している。心当たりのある者は–––」
無くし物?
……あぁ、アイツか。
–––––くんと一緒に手を汚してた共犯な癖に
私にバレたとき一目散に逃げ出した卑怯者。
そういえば頑なに––––くんは
そのアイツの名前を教えてくれない。
ただ、ずっと「気に食わない」とだけ。
「売る?」って––––くんに目配せした。
彼は何も言わなかった。
–––––––––––––––––––雪が硬くなった。
「良かったの?売らなくて。」
私は1人でに言葉を続けてた。
「あーでも繋がっちゃうもんね、あいつ売ったら。
じゃあ言っちゃ駄目か。」
彼は何も答えない。
それから、そ、れから、は、なんて言ったっけ。
「大丈夫、言わないからね。」「––––くん。」「いつか私たちもバレちゃうのかな。」「少年院、だっけ?バレたら連れてかれちゃうんだって。」「何してるの?」「––––くん!!!!!!」「髪触るの好きだね。」「教室で話しかけちゃ駄目?」「頭いいよね、凄い。」「またやってきたの?なるべくやらないでって言ったじゃん」「他に友達つくろうよ、私だけなんて寂しいでしょ?」「––––くん!」「それ、どうやって隠すの?」「聞いて!あのね、これ秘密だよ?」「轢かれちゃうかと思った、気をつけてよ…!」「またね、絶対だよ!」「死にたいの?」「––––くん。」「ううん、大丈夫。」「何でも言ってね、何とかする」「––––くん!」「滑舌悪…。」「私、だって頑張ってるのに何でそんなこと言うの?」「それあげる!私はもうそれ使わないし!」「––––くん…」「嘘ついたの?ねぇ。」「戻ってきてね、絶対だよ、約束。」「––––くん。」「–––––くん!」「–––––くん!」「–––––くん…?」「–––––くん。」「–––––くん!」「–––––くん。」「–––––くん?」「–––––くん…。」「–––––くん!」「–––––くん!!!」「–––––くん?」「–––––くん…。」「–––––くん…?」「–––––くん!」「–––––くん。」「–––––くん。」「–––––くん…!」「–––––くん?」「–––––くん…。」「–––––くん。」「–––––くん⁈」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––くん」「–––––く
『頼りにしてる。』
一瞬歓喜に包まれた。嬉しくて嬉しくて堪らなくて飛び跳ねてしまいそうなぐらい。でもそれも一瞬で彼の罪と過去を思うと罪悪感に苛まれた。不安で不安で堪らなくていっそ海の底に沈んでしまいたいぐらい。
–––––––––––––––––––5時のチャイムが鳴った。
あぁ、いつの間にかこんな時間。
私はもう少女とは言えない歳になっていた。
『ねぇ、あきくん。』
『それで良いんだよね。』
白昼夢でも見て居たのだろうか。
…いや、夢だったらどれ程良かったか。
「それでいいよ」
なんて適当に相槌打つから腹が立ってその指差した指をつかんで引き寄せた。
「それでいいじゃなくて、それが!いいね!!」
突然のおれのキレた様子にちょっと呆気に取られた様子の彼はふっと軽く笑って。
「ごめんごめん。それがいいよ、それでお願い」
おれの頭を撫でた。
「ワカレバヨロシイ!」
それだけで機嫌が治ってしまう自分もなかなか適当な性格をしている。
ことばの選び方って大事だ。
ほんの些細なことでもちゃんと向き合っていきたい。
いつだってきみと心地よい関係で居たいのだ。
(それでいい)
それでいい
二人の間を冷たい風が通り抜けた。
君は僕を見て涙を流していた。
僕は君を泣き止ませる方法を知らなかった。
もしも、僕が魔法を使えたなら、君が二度と悲しまない魔法をかけるはずさ。
君は僕と会えなくていい。
きっとまた悲しくなってしまうから。
君の涙はもう見たくはない。
僕に背中を向けて駅へ歩き出してくれればいい。
僕が死ぬまで独りで悲しくても大丈夫だから心配しないで。
僕は次に君を見かけたときに君が笑っていればそれでいい。
ごはんを食べなくても
お風呂に入らなくても
睡眠を取らなくても
部屋にこもりっぱなしでも
人間をやめたような生活をしていても
それでいい
心さえ無事ならば
4/4『それでいい』
『それでいい』
朝は眠い
今じゃない
上手くいかない
エモくない
オレがやるの
勘弁してよ
キツイじゃん
苦しいって
けっこう今も
こんなに困難
叫びたくなる
沈んでばかり
スランプ続いて
精一杯よ……でもね
それでいい
『それでいい』
あなたはそれでいい。
物語を久しぶりに書きました!
私は今日、お花見をした。
友達と私をふくめて3人。
とっても楽しかった。
ひとりの女の子は私の親友だ。
その女の子は、とても優しくて私の太陽!!
いつもお手本にしたい…。
でも今日の物語はお花見のことじゃない。
彼のこと。
私は、お花見の帰りに彼にあった。
正確に言うと、彼氏だ。
最近あまり遊べていない。デートにも誘われなくなった。
私は、春休みにたくさん勉強しているのだと思っていた。
でも違った。
彼が言った。
『俺、お前と別れる。』
いきなりのことで戸惑った私は、少し間を開けてから言った。
「どうして?今まで仲良くしてたし、一緒にいると楽しいって、言ってくれたじゃない!!どうして急に別れるとか言うの?なにかあった?」
私は彼の頬を叩いた。
『イッテ…なにかあったのはお前じゃないのか?』
「どういうこと?」
『だってお前、最近態度が変わってきてる。ラインだって…前のお前じゃないみたいだ。だから、そんなお前は好きじゃない。』
「そんなのおかしいよ!だって、私はなにも変わってない!!ねぇ、具体的にどこが変わったのか言ってよ!!!!」
私は持っていたバッグで彼を殴った。
『イッ…。そこだよ。そういうとこが変わったんだよ。…前は暴力なんて振らなかったのに…。呆れたよ。』
彼は行ってしまった。
私は膝から崩れ落ちた。
「なんで?どうしてなの?…ひどいよ。…でも私は絶対に諦めない!!」
『それでいいんだ。これで、俺は解放される。』
彼は、涙をこぼして喜んだ…。
でも私はいつまでもあなたと一緒にいるよ?
意味怖
それでいい
私は、この言葉を聞くと
胸がモヤモヤするのを感じる
本当に納得しているのかと
自分に嘘をついているのでは
と、思ってしまう
物事がうまく行かないときによく聞く言葉
肯定的に使われる言葉でもあるけど、なぜか
私にはネガティブに聞こえてしまう
それでいい
それだけでいい
暖かな春のかぜがわたしの肌を
やさしくなでる
それでいい
私たちの関係は、脆弱なものだっただろう。
私が繋ぎ止めなければ、きっと今にでも、プツンとちぎれてしまう。
彼女にとって私は1番ではない。親友でも、恋人でもない。
私にとって彼女は1番だった。
恋人になりたいなんて望まない。
ただ横にいたかった、友達で良かった。
返信が遅くても、彼女から会話が始まることがなくてもそれで良かった。
ただただ、この平行線の関係が続けばそれでいいんだ。
『それでいい』
それでいい。
それでいい。
普通でいいよ。
無理する必要はない。
身の丈に合った生活をした方がいい。
見栄なんか張ってもしょうがない。
人生良いことも悪いことも色々ある。
生きていればまたチャンスはある。
死んだら終了。
まだ時間はある。
大丈夫!人生なんとかなる!
とにかく、今は休もう。
今日も1日お疲れ様でした。
また明日頑張ろう!
この道はなんだかずっと工事中だ。日が落ちて誰もいない道路の脇に、オレンジのフェンスが並んでいる。両手を繋いだように太いパイプの電飾が続いていた。
「こういうの好きなんだ」
並んで歩きながらあなたが言った。
「ここから始まった光がさ」
フェンスに近づいて端を指差す。
「すごい勢いで向こうに走ってくみたいに見えるでしょ?」
実際は時間差で順に点滅してるだけだ。分かってはいても言われてみれば確かにそう見えた。
「ただ走るために生きてる感じで」
永遠みたいに走って消える光の明滅。
大切なものを壊してやりたかった。
それであなたに近づいたのに。
それは困るなぁとあなたは笑った。
あんたまだ死ぬのいやでしょ?
「生きてくってそんなもんかも。意味なんてないんだよ」
だからしたいようにしていいよと道の真ん中で両手を広げ、あなたは静かに目を閉じた。
『大切なもの』『それでいい』
それでいい
知らなくてはいけないこと。それは、数え切れないほどあって、たぶん一回の人生の中でそれ全てを知ることはできないだろう。
でも、自分にとっての知るべきことを選択し、吸収することはできる。何を選択すべきか、自分を知ろうとすれば、自然に出てくるだろう。
例えば、君の好きな食べ物とか。
そう、それを知りたい。それでいい。
それでいい。
君はいつも、少し偉そうに……
でも、優しくそう言ってくれていたね。
……こんなこと言ってるのバレたら
かるい ぐーぱんくらうかな。
……。
君がそうやって言ってくれてたから、
僕が決断して、悩んだ時は、
それでいいんだ。
って、僕を君になりかわらせて、
言い聞かせてたよ。
そうすると、自信が持てたんだ。
ありがとう。
また、会える季節が来たから、
会えない分の
それでいい。 をまた聞かせて欲しいな。
そうしたら、会えない時もきっと楽しく生きていけるよ。
会えたら、それでいい。
そんな微弱な関係だった。
本当に好きだったけど、
貴方のことを詳しく知らなかった。
いつ会えるかもわからなくて、
突然連絡がきたりしたこともあったね。
泡のように消えてしまったけど
嘘みたいな一時だけ、
記憶を残して会えなくなった。
もどかしい気持ちもあるけど、
貴方にとっても僕との別れで良かった。
『運命を受け入れて』
「頼む…!逃げてくれ…!!」
体が言うことを聞かない。進みたくないのに、一歩、また一歩と近づいていく。後ろでケラケラと笑っている声が本当に耳障りだった。
ついに彼女の元に辿りついてしまった。手が勝手に上がり、彼女の喉元に刃を突きつけてしまう。言葉も封じられたのか、口から出るのは重い息だけだった。
刃を突きつけられて目を見開いていた彼女は、軽く息を吐いて俺の顔を見上げた。彼女の手が俺の頬を撫でる。
「これでいいんだよ、こういう運命だったんだ」
嫌だと言う代わりに首を横に振った。その拍子に目から涙が零れる。そんな俺に彼女はただ微笑むだけだった。
「さぁ!さぁ!!ひと思いにやってしまいましょう!彼女の悪しき魂を解放してあげるのです!!」
耳障りな声と共に俺の右手も持ち上がる。彼女が受け入れるように目を閉じた。
「…バイバイ」
彼女の体から赤い花弁が散った。
【それでいい】
俺の友達は主体性が無い。
出かけた時の昼食を聞けば、
「なんでもいー。」
学校の科目選択さえ、
「お前と同じとこ行く。」
と、こんな調子である。
彼は全ての選択を俺に任せてくる。
普段は隠しているが、俺は人の選択権を預けられることが好きだ。
自分とは全く別の人生を歩み、全く別の思考を持つ人間の行動を、己の言葉一つで動かせるなんて、愉悦でしかないだろう。
そんな俺と彼は、頗る相性が良かった。
選択が嫌いな彼の選択肢を、選択が好きな俺が乗っ取る。
俺はそれが嬉しいし、彼だってそれが気楽だ。
彼は割となんでも卒なくこなすタイプの人間で、どんな選択をしたって最終的にそこそこの結果を残す。
重すぎない選択の責任が、心地よかった。
そんな彼が、唯一自分で選択したがったことがあった。
高校3年、進路を決める時期。
俺は夢を追って、上京することを決めた。
けれど、主体性の無い彼が東京なんて騒がしい街に出てしまったら、俺以外の指示を聞いて、俺から離れていってしまうのではないか。
要は、お気に入りの玩具を取られるのを恐れる子どもの我儘と同じである。
俺は、彼に県内の大学へ進学することを勧めた。
しかし珍しく彼は渋い顔をして、ぽつりと反対の言葉を零した。
ずっと俺の意見で人生を決めてきた人間の、初めて見る選択の瞬間。
俺は何も言えなくなった。
もう俺がいなくても生きていけるのだと、彼は別に、選択ができないわけではなかったのだと、知ってしまった。
「僕、お前と一緒の夢見たい。……一緒の大学、受験する。」
縫い留められていた口が解けて、恐れて、凍って、固まってしまった心の何かが溶けた気がした。
彼は、俺と一緒にいたくてわざわざ、嫌いなのに選択をしたのだ。
「……ああ。……一緒に、行こうか。」
俺はこの日、記憶にある中で初めて他人の選択を認めた。
テーマ:それでいい
お題「それでいい」
著者 Karen
人にそれでいいと言葉を発される事で、
私自身がどうおもうのか、
一瞬は、
テキトーに返事したイメージが実体験で
多いです。
寧ろ、そのあとには、
実生活で過ごす言葉としては、
無責任に感じてしまう意識が先にブロックしました。
適切に対応の声色で伝える余裕は
なかなか居ない気がします。
人の認識が声の音や、何か不具合に
対応する場合のテンプレートが認識されて
いない場合にも、過剰に怒鳴ってきたりも
する場面も多々見えます。
その作業の動作には、事前の確認などがなく、親のモノマネのような表面上の受け答えでその仕立てが入ってない人は
ほとんどは理解されていないニュアンスを
たくさん見かけます。
ご贔屓であっても、
配慮の前の仕立てがないのは、
完全の風合いを見立てにしか見えない
同年代も見えてきました。
その言葉が通ったことの建前が理解されていないのに表示してくるその答えに
嫌な思いしかないのは
結構すぐの本人の認識不足を今も知らない人も多いです。
私だと、仕立てや、その答え方には
一切効かない言葉だと思えます。
営業の方などの引用も信頼もない
その
「それでいい」は、
職場でよく見かける仕様の無心な意識が今に繋がっている表示になってしまいそうです。
恋愛に変換しても、
「それでいい」という答え方は、
親や信頼する人に対しての考慮を
認可、認識、その過程で間違いない
という事由に
繋がる意識があります。
人に対しての労いに関しても、
関わる人の意識を損なう場合もありますが、
事実として任せるという無鉄砲さで
捕われやすくなった出来事が増えたという
思想が深くありました。
「それでいい」
うん。
それでいい。
それでいいんだよぉ。
わかってるじゃん、ぼくのこと。
ぼくのほしいモノ、ぼくのスキなモノ。
でもさ、ぼくがちょーっとあまいカオ、すれば、みんなすぐにオチちゃうよねえ、まぁ、そのなかでも、コイツがいっちばんチョロいよねえ!
「にゃあぁーんん」
「はぁー、肉球ぷにぷにー、尊いー。
わかったわかった、もう一本あげるねぇー、
ほら、ちゅーる」
うん。
それでいいにゃ。
終
『それでいい』
彼女に触れるための合図なんて持ち合わせていなかった。
強いてあげるなら、念入りにハンドケアをするくらいか。
彼女が気づいてくれているかはわからずじまいだ。
だから、俺は先にベッドで横たわっていた彼女の背中に額をすり寄せながら、腹部に緩く腕を回す。
「今日、いいですか?」
俺に合わせてベッドを大きくしたとはいえ、彼女の背中に顔をつければ長さが足りなくなった。
彼女の足に自分の足を絡めてぎゅうぎゅうと丸め込む。
「えっ」
戸惑いの声をあがる彼女の肩が、小さく跳ねた。
「ダメですか? それとも気分じゃありませんでしたか?」
「ダメ、というか。だって、昨日も……」
「ええ。でも、昨日は俺の好きに触れてしまいましたから、今日はあなたのリクエストに応えるつもりです」
「なにそれ」
「俺に、どう触れてほしいですか?」
「どうって、別に普通? でいいんじゃない?」
「普通って?」
「や、だから。キスして、慣らして、挿れて…………。だ、出して、寝る……?」
「……」
性行為における行程の話をしているのではない。
彼女の言葉を借りれば、その「慣らし」の部分の具体性を求めていたのだ。
そして、それで言うなれば、俺としては「出す」と「寝る」の間に、「一緒にシャワー」「あわよくばワンモアセックス」を挟みたい。
「それ、結局いつも通りじゃないですか」
「うん。それでいい」
「は?」
間髪入れずに肯定した彼女に、俺は生唾を飲んだ。
あっっっぶな。
問答無用に彼女の小さな口内に舌を捩じ込むところだった。
必死に取り繕った冷静さも、彼女の前ではなんの意味を持たない。
彼女を抱きしめる腕に、つい力が入った。
「意味、わかって言ってます?」
きゅ、と俺の手にそっと彼女は指を乗せて、小さくうなずく。
「わか、ってるよ。さすがに……」
昨夜、熱を高めあったあとだ。
俺の触れ方がしつこいだの、長いだの、ねちっこいだの、余韻もへったくれもなく散々文句をたれたのは彼女である。
そんな俺に対して、彼女は俺に全てを委ねようとしてきたのだ。
既に昂っている熱が渦巻いている状態で、その言葉は誘惑以外のなにものでもない。
「自分で文句言ったクセに」
「だって、急にどうされたいとか言われても、わかんないし……。それに、イヤ、だって思ったことはないもん」
「じゃあ昨日の文句はなんだったんですか」
「だ、だって!」
俺の手の上に乗せていた彼女の指に、力が込められる。
「体力は絶対に私のほうがあるはずなのに、いつも先にへばるのが私なんだもん。おかしいじゃん」
「いくら性能がよかろうと軽自動車と大型車では積めるガソリンの絶対量が違うじゃないですか」
「それって私がチビだってこと!?」
小さくてかわいいのは事実だろう。
どうにもならない身体的なことを気にしてるのもかわいくてたまらない。
「そもそも、あなたが会社から帰宅するときはほぼガス欠状態でぽやんぽやんでノーガードですし。そんな状態で体力の話をしてもナンセンスでしょう。危なっかしくて見てられないからそろそろ本気で電車通勤をやめさせたいくらいですよ」
「……走れってこと?」
彼女はなぜかやぶさかでもない反応を示すが、荷物を持ってジョギング通勤など腰や肩を痛めたらどうするつもりだ。
俺が言いたいのはそういうことではない。
「違います。もう少し金貯めて車買って、専業主夫になった俺が毎日あなたを送迎するんです」
「あきれた。とんでもないこと企ててやがる」
「ふふ。まあ、それはともかく」
彼女の腹部から腕を抜き、体を反転させる。
すかさず俺は彼女の上にまたがり、ベッドシーツの上に細い両腕を縫いつけた。
「えっ!?」
「俺は、あなたにも求めてもらえるように、もう少しがんばらないといけないみたいですね?」
戸惑いに揺れていた瑠璃色の瞳に、熱が孕み始める。
はくはくと空気を食み続ける彼女の薄い桜色の唇に艶が乗り、喉奥から下心が鳴った。
「……今日は、そのつもりでお願いします」
鼻先をすりつけて俺はそう囁いたあと、彼女だっての希望であるキスを重ねた。
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いつもありがとうございます。
急きょ出かけることになり、ここまでです。
相変わらずセリフばかりで読みにくい状態ですみません。
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