『ずっと隣で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
例えるなら、浮雲。
掴み所のなさはまるで野良猫のようで、こちらが手を伸ばすとスルリとすり抜けていく。
それなのに、一度信用した相手にはとことん甘いし、逆も然り。
誰よりも一生懸命で。でも、人間らしい落差を持っていて。
そんなところにみんなが魅了されるんだろうなって、思ったんだ。
……だから、”ずっと隣で”アンタを見守らせてくれよ?
それだけで、十分に幸せなんだから。
ずっと隣で
ずっと隣で見てきた
かけがえのない
大切な子
今日私の隣から
旅立とうとしています
今、隣で微笑む彼が
貴方のずっと隣りにいるでしょう
ちょっと淋しいけれど
凄く嬉しくて幸せです
幸せになってください
結婚おめでとう
ずっと隣で
大好きな君をずっと隣で見つめていてもいい?
その笑顔があれば僕は生きていけるよ。
これから一緒に永遠に…僕と生きていこう?
「僕と結婚してくれますか?」
「…もちろん、喜んで。」
潤んだ瞳で笑った君、その笑顔だけで僕は生きていける。
「これで、いいの?」
「うん!」
仏壇の前に座っている、母親の美月と彼女の娘の明星(あかり)。仏壇に写真を置いた母親の問いに、明星は笑顔で大きく頷いた。
写真に写っているのは、仲良く寄り添い合っている明星本人と白い大型犬。ただ……。死んだのは、白い大型犬のほうである。
前の飼い主が、犬アレルギーの女を嫁に貰う。家では飼えなくなり、共通の知人を介して美月にその話が届いた。まだ明星が生まれる前で、明星が生まれたときは犬にも特上の肉が振る舞われた。
両親は前の飼い主が付けた名前で呼んでいたが、いつ頃からか明星が『ユキ』と呼んでいた。
明星は、何を刷るにもユキと一緒であった。オヤツの半分こ。絵本を読んで聞かせたり、ユキの背中を枕にウトウトしたり。
別れは、突然にやってきた。散歩の途中……。二匹の野良犬から明星を護るため、懸命に闘ったのである。
野良犬は撃退したが……。噛まれたところが悪かったのか、白い身体を鮮血に染め、ユキは崩れ落ちるようにアスファルトに倒れた。
傷口を舐めようというのか……。懸命に、頭を動かずユキ。しかし……。四肢は動かず、舌は届かない。
ユキを中心に拡がる血の海と、その脇で座り込んで泣きじゃくるだけの明星。誰かが知らせたのか、美月が駆け付けてきた。
掛かり付けの獣医に運び込んだが、傷を診ただけで獣医師は首を横に振った。もう、助からない。そう言われた。
両親は、安楽死を申し出た。当然に、明星は反対する。
「イヤだぁ! ユキを、殺さないでぇ!」
そんな娘に、美月は言い聞かせるように話す。
「明星。ユキは、今、凄く苦しんでいるのよ。痛くて、明星の呼び掛けに返事も出来ないの。明星は、そんなユキを、ずっと見ていたいの?」
躊躇いなのか……。少し間があったが、明星は首を横に振った。
「ユキを、苦しみから助けてあげましょ」
無言で、コクッと頷いた明星。しかし……。獣医師が生理用食塩水を用意すると、泣きながら外へとび出していった。
ユキが楽になり、美月が呼びにいくと、明星は泣き止んでいたが、目は涙で真っ赤になっていた。
獣医師が懇意にしているペット葬儀の業者で、ユキを火葬して貰った。
いつも一緒に居られるように、ユキの写真を仏壇に飾るのだが。明星は、自分とのツーショットの写真を選んだ。
「この写真でいいの?」
美月の問いに、明星は笑顔で返す。
「これなら、いつも隣に居るから。ユキも、寂しくないもん」
ずっと隣で
ずっと隣で寝てる人
僕の奥さん
昔は可愛い寝顔だっけど
今は牛が寝てるみたい
ずっと隣りにいると替わるよね
2010年3月13日
ぼくは、お人形さんなんだって。ぼくの体には糸が繋がっててね、ずっとずぅっと、お母さんのそばにいるんだって。あとね、お母さんはね、いつも
「あなたまで置いていかないで、ずっと隣にいて」
って、ぼくに毎日毎日言うの。でもね、ぼくは友達と遊びたいの、お散歩に行きたいの、ゲームを友達とたくさんしたいんだぁ。でもぼくの体には糸が繋がってて動けない。だから僕、思ったんだ。
「お母さんが動かなきゃいいんだ!」
今度は、お母さんの番だよ。たっくさんの糸をぼくに繋げた分、ぼくもお母さんに糸を何重にも何重にも巻き付けたの。そしたらね、お母さん動かなくなった!
2023年3月14日
久しぶに日記を読み返した。自分がやったことなのにゾッとする。子供って残酷だな。でも、間違ってなんかない。
なあ、母さん。
僕は、お前の操り人形なんかじゃない。
#ずっと隣で
ずっと隣で
私の隣にはずっと家族がいた。
家族は離れない。
その安心感。
ありがたい。
あなたの隣にずっといられたら、どんなによかっただろうか。ティーカップを置いて、書類を睨み付ける。蝋燭の火がゆらゆらと揺れた。
まあ、それももう難しい話だ。戦争が終わった後、まだやることがあると軍に戻ってしまったあなた。ずっと前は家族だった。いや、今もか。少し前は同僚だった。いつ死ぬかわからない戦場で、肩を並べて外を駆けずり回っていた。
そこそこの地位があるこの家のことなんて気にせず、おとうさんに見送られるままに行きたい場所に向かった。わたしたちはそこが戦場だっただけ。何もおかしいことなんてなかった。それでも、命懸けなことには変わりない。今冷静になってみるとあまりにも考えなしで笑っちゃう。まあ養子のわたしたちには世継ぎのことなんて関係ないのかもしれないけどね。それでも、育ててくれた恩があるからさ。少しは親孝行したいなって思ったんだ。
おとうさんはもういないけど、この家を守ることに決めた。少しずつ、腐った貴族社会を変えていけるように頑張るよ。今度会うときは社交場かもしれないね。お兄ちゃん。
ふとストロベリーピンクの髪が視界に入る。うざったくなって、そばにあった紐で括った。紅茶はとっくに冷めていて、ただ冷ややかにこちらを見ているみたいだった。蝋燭を消して立ち上がる。猫背になっていたようで、姿勢を正して肩を回した。身体中が軋んで痛かった。いつものように床に着く。
もう変えられないと分かっていても、それでもたまに夢に見るのだ。
ずっと隣にいられたら。
温かくて
柔らかな
小さな手
離さずに
ずっと
ずっと
君の隣で
守るから
ずっと隣で
ずっと隣で存在していることが、本当に幸せだったんだ
幸せに気づくのは、失ってからだった。
私も、周りも、SNSも闇に包まれた
ずっと隣で
朝、ずっと隣で歩いた道。
大好きなキャラクターの話をうんざりしながら
聞き流したり、歩くが遅いと怒りながら急かすこともない。
雨の日なんか靴も服もビショビショで
水溜まりに飛び込む姿に呆れることもない。
イライラすること減ってよかったじゃん。って
自分に言い聞かせても、涙が止まらない。
めんどくさい日常がもう二度とこないと思うと
堪らなく寂しくて苦しい。
ずっと隣で笑って居てほしい。
テレビから流れてきた流行りの映画のCMが流れヒロインに向け今人気の若手アイドルがそう囁いていた。ぼんやりと画面を見ながら考える。いつか自分にもそんな風に思える相手が出来るのだろうか?テーブルに置いたアイスティーのグラスが汗をかいている。腕時計を確認すれば幼馴染の幸太郎との約束の時間が迫っていた。もう出なくては。
-なんてことのない夏休みの宿題を一緒にという約束。
まだそんなに日は強くない。麦わら帽子を被り着慣れたワンピースに楽なサンダル。幸太郎との約束ならば気取る必要もない。手提げに入れた課題と筆記用具と財布とスマホ。それだけを持ち近くの図書館に向けて歩く。しばらく歩いていれば聞き慣れた声が近づいてくる。待ち合わせをした意味なかったな。などと考えていればすぐ隣に。
「よー。一緒にいこうぜ?持つか?」
「いいよ。そんなに重くないし。」
「えーいいって。こういう時はじゃあお願い。って言っとけよ?その方が可愛いだろ?」
「…あんたに可愛いって思われても私は嬉しくないけど?」
どこか間伸びした低めの声が心地よい。他のクラスメイトとはこんな雑な会話をしないのに、こいつとだけは何故か自然と居られる。
「…あっ」
「え?」
曲がり角、会話に夢中だったために一瞬気づくのが遅れた。目の前にトラックがあった。ダメだ!と目を瞑った瞬間後ろにぐっと引かれる。
「おー、あぶねー!!お前ちゃんと前みろよ?」
あれ?こいつこんな大きかったっけ?…力も強く…え?
「嘘…。え、そんな…」
「あ?お、おい?どっか痛かったか?」
「これかぁ…。幸太郎だったの……」
つい残念な声が漏れる。…どうか吊橋効果であってほしいけれど、未だ捕まれたその手に高鳴る鼓動が鳴り止まない。…夏休みはまだ始まったばかりなのに。
ずっと隣で、一緒に生きていきたいなぁ。
あなたがそこにいるって、
なんて幸せなことなんだろう。
だって、あなたがいれば、それだけで毎日が楽しい。
そばにいれば、触れることができて。
擦り寄せた頬の柔らかい感触。
抱き締めた身体の質量。
あなたはここに居るんだと実感できる、幸せな感覚。
その姿を見ているだけでも、
愛おしさで心が柔らかくなるのに。
別々のことをしていても、時折感じる視線。
あなたが身だしなみを整えている音。
語りかけてくる、優しい声。
それに加えて、あなたが同じ家で
ともに生活をしている気配が、
至るところに散らばっていて。
…ああ、なんて幸せなんだろうな。
私の心は、間違えようもなくそう感じている。
これから先、ずっと隣で。
それが叶うだなんて。
夢の中よりも夢らしくて。
にわかには信じがたくて、
長く過ごさないうちにこの時間が壊れてしまうんじゃないかと、不安だったけれど。
ああ、私たち、家族になってきたんだなぁ。
この家が、今の私が帰ってくる、私の家なんだなぁ。
あれからそんな風に、
この日常を、日常であると感じられるくらい、
生きられている。
あなたと私、ずっと隣で。
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関係ない話になりますが、
母の話を読んでくださっていた方々にご報告です!
本日母の検査があり、結果が出ました。
結論から言うと、大丈夫でした。
母の話では、
癌や白血病のような重大な病気ではなく、
胃の中の一部が白くなっていて、
それは自然となるものだったらしく?
今のまま週3回のビタミンB12の注射を続けていけば良くなる、減っていたヘモグロビンも徐々に回復してきているとの事で、本当に良かったです。
安心しました。
1週間後くらいには退院できるはずなので、
様子を見て、元気そうであればまた帰って、
一緒に桜を観に行けたらと思っています。
韓国語の勉強も再開できそうで、嬉しいです。
一緒になって心配したり、
無事を願ったりしてくださっていた方が
いらっしゃいましたら、
本当にありがとうございました!
これからもここで書いていけたらと思っているので、
お付き合い頂ける方はよろしくお願いいたします。
(ちなみに今回のお題の文は、
推しのぬいぐるみへの気持ちと
推しそのものへの気持ちと実話が混じっているので、
フィクションとノンフィクションが半々です笑)
(もう、大好きなその対象を推しという単語で表すには、この一言では言い表せぬ気持ちに対して、
その言葉から感じる印象では些か軽過ぎて合わないのでは無いかと、
その人を自分にとって何であると表現すればこの気持ちに相応しく端的に言い表せるのかと、
考えあぐねてしまいつつも
推しと表記しています…\(^o^)/)
死ぬまでずっと隣で一緒に居たいんじゃないの。
死んでも、ずっと隣で一緒に居たいの。
ずっと隣で
自分の
パーソナルスペースに
入っても大丈夫な
人は限られる
だから
隣に居ることが
自然だと思う人に
出会えるのは幸せ
好きな人には、ずっと隣で笑っていてほしい。
子供の頃は、そんな風に思っていた。
自分に自信があったのだろう、
あの頃の自分に、たまに戻りたくなる。
今はもう、そんな事は考えない。
好きな人の幸せのために僕はいらない。
好きな人のために出来る事は離れる事ぐらいだろうから。
『ずっと隣で』
どうしよう
あなたがいないと
だめなことに
今、気づいてる
ずっと隣で
笑ってる人
それが当たり前できたから
そばにいられることが
自然でしあわせで
時間を大切にしたいと思った
『ずっと隣で』
痛みは、既にない。撃たれた場所が、ただぼんやりと熱いだけだ。思考はまとまらなくて、彼女との想い出が浮かんでは消えていった。あともう少しも経たないうちに、僕はただの物言わぬ骸となるだろう。戦場で散々見た、あの無惨な死体たちの一部となるのだ。身を立てるために勇んだ結果、あっさり死ぬ。戦場ではよくあることだ。
自分だけは大丈夫だと、心のどこかで思っていた。そんなことはなかった。人間は意外に頑丈だが、死ぬ時は簡単に死ぬのだ。それを知らなかった、出征前の僕を恨んだ。こうなることを知っていたなら、彼女にあんな言葉はかけなかった。守れるかも分からない約束をするべきではなかったのだ。
彼女は帰らない僕を待ち続けるのだろうか。どうか忘れてほしいと思った。連絡ひとつ寄越さない僕のことなど見限って、彼女を幸せにしてくれる人を見つけてほしい。たったひとつの約束すらも守れない情けない男のことなど、どうかすっぱり切り捨てて。君が幸せでさえいるのなら、僕は何も思い残すことなどないんだ。どうか世界一幸せになって。僕のことなど思い出す暇もないほど幸せに。
独りよがりの自己中な願いは、きっと叶わない。分かっている。彼女は僕の帰りを待つだろう。分かっているんだ。青い時代の若さという根拠のない自信は、愛する人に永遠の呪縛を与えてしまった。今あの時に戻れたら、君をこっぴどく振ってしまおう。最後に見るのが泣き顔でも、その先の人生まで縛るよりはずっと良い。あるいは逃げてしまおうか。君の手を引いて、遥か遠くの国まで。君と二人ならきっと、どこでだって幸せだろう。君の隣にいられる、それだけで良かった。それだけで良かったんだ。
『ずっと隣で』
僕らは2つの道から出会い
やがて、一つの道ヘ行く
はじめの一歩は合わないけれど
いつかは同じ足跡の数
違う目線で歩いていても
いつかは同じ目線で歩いてる
ずっと隣で歩いていても
いつかはきっと歩みが止まる
歩みが止まってもずっと隣で
自室の窓の桟の黴に
隠れるように身を寄せていた、
憐れなほど小さな躯の蜘蛛が、
なんだか許容せなかったので、
流れる手付きで潰して棄てた。
Q.何故逃がそうとしなかったのか、
A.……いやいや外は雨だろう
Q.何故今日を凌ぐ宿ぐらい与えてやれなかったのか、
A.……………|
…なあ蜘蛛よ、いま屑籠から群れで蘇り、
いっそ私を殺してしまったって構わない
憎くもない命を潰すことに
慣れてしまったこの境地を、
"大人になった"というのなら
一人で傘をさせる歳になったというのなら
私はずっと、雨の中でも構わない