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 あなたの隣にずっといられたら、どんなによかっただろうか。ティーカップを置いて、書類を睨み付ける。蝋燭の火がゆらゆらと揺れた。

 まあ、それももう難しい話だ。戦争が終わった後、まだやることがあると軍に戻ってしまったあなた。ずっと前は家族だった。いや、今もか。少し前は同僚だった。いつ死ぬかわからない戦場で、肩を並べて外を駆けずり回っていた。

 そこそこの地位があるこの家のことなんて気にせず、おとうさんに見送られるままに行きたい場所に向かった。わたしたちはそこが戦場だっただけ。何もおかしいことなんてなかった。それでも、命懸けなことには変わりない。今冷静になってみるとあまりにも考えなしで笑っちゃう。まあ養子のわたしたちには世継ぎのことなんて関係ないのかもしれないけどね。それでも、育ててくれた恩があるからさ。少しは親孝行したいなって思ったんだ。

 おとうさんはもういないけど、この家を守ることに決めた。少しずつ、腐った貴族社会を変えていけるように頑張るよ。今度会うときは社交場かもしれないね。お兄ちゃん。

 ふとストロベリーピンクの髪が視界に入る。うざったくなって、そばにあった紐で括った。紅茶はとっくに冷めていて、ただ冷ややかにこちらを見ているみたいだった。蝋燭を消して立ち上がる。猫背になっていたようで、姿勢を正して肩を回した。身体中が軋んで痛かった。いつものように床に着く。

 もう変えられないと分かっていても、それでもたまに夢に見るのだ。

ずっと隣にいられたら。

3/13/2023, 1:04:03 PM