『すれ違い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
相棒のバイクと共に、無事街に着いた。
思った以上にまだ簡素なものしか置いてない。
ここから「これから」を創り出していくのだろう。
周りにいる自分と同じような人たちに挨拶をして、
自分の滞在する拠点を設定していく。
「ねぇ、聞いた?あの国、まだ続けていくみたいだよ」
「マジ?あんなボロボロになってるのに、よくやるね」
「俺は今の街を創ってる“あの人達”に救われたんだ、もうあの国には望みがない」
「残念だよな。昔はよく祭りをたくさんやってたのに、あのバカみたいなイベントがなくなっちまって寂しいよ」
「今ではあそこにはトップと大臣しかいないからな…未練はあったけど、仕方ない…」
「私だって、あの国が大好きだった…ただ、着いていく元気がなくなっちゃったから…」
街へ来て、色んな人から話を聞いた。
懐かしいと思う事、寂しいと思う気持ちが頭と心をない混ぜる。
ようやく慣れた煙草は、少し心を安らかにしてくれた。
「……楽しかったなぁ…頭空っぽにして、苦しくなるくらいに笑ってたのが嘘みたいだ」
なんて、老けたような台詞を独りごちた。
たった少しのすれ違いだったはずだ。
でも、致命的なズレだった。煙が顔のまわりにまとわりつく。
「………やっぱ煙たいなぁ…コレ、吸い終わったら…禁煙しよ」
煙のせいで視界が霞む。青空の下、ぽたりとTシャツにシミが出来た。
あんたのせい?
私のせい?
まあそんなことは
どうでもいい
とにかく何でもかんでも
綺麗な言葉で
片付けるのは
しっくりこないから
私たちはただ
すれ違って
気持ちが冷めて
お互いが必要なくなって
終わったってだけ
自分の体を強く握るとき。腕を叩くとき、両手を組み締めるとき。感じる痛みなんてひどく些細だ。爪を立てても傷にはならない。脳が制限するらしいとは聞いたけど、それにしたって力の込め方を誤ることはない。
なのに、自分以外の生き物に触れるとき、すべてを忘れたように撫で触る癖がある。
「その触り方は気に食わない」
恋人はそれがお気に召さないらしい。
「ああ……うん、ごめん」
「謝らなくていい。習得してくれ」
恋人が、じりっと距離を詰めてくる。ソファの肘置きに背がついて、思わずついた左手は掬うように奪われた。重心が崩れて覚束なくなる体幹は、原因たる恋人が手を回して支える。攫われた手にあてがわられたのは相手の胸の中心で、離れようとしても強く押し付けられていた。
「いや、おい、待って」
「どうして」
「……どうして、って、そんな」
「理由を教えてくれ」
辞さない意思の宿った瞳だった。こうと決めたら譲らないのはお互い様だ。でも、もう抗う気はなかった。自分の方が特異な意見なのだろうと感じていたから。
視線を交わしていられなくなって、右に、左に、下に、流れる。「待てるよ」と恋人の支える腕も徐々に降りていき、すっかり背がソファに着地した。そして、それでもしっかり左手が繋がっていた。
「ただ……恐ろしいんだ」
「何が?」
「……わからない」
本当に知らない。考えたこともないことを追い詰められたまま探り始めた。
「……誰でもそう。人間じゃなくても恐ろしい。加減がわからない。多分」
口で思いつくままに投げながら、告解のように視線を上げた。
己の手が逃げ惑った皺を作っているのに気にしていない。恋人の表情はただ一つ、ただ、物事の解明に尽力している様だった。もしくは、自らの欲求を突き通すために立証する顔。それに惚れていたことまで思い出して、溶けたような息を吐いてしまう。
「壊しそうで?」
「……多分」
「推測ばかりだな」
「今初めて考えたから」
「そうか」
ぐっと身を乗り出して、恋人の顔を包んでみる。左手に残った感触を鏡写しのように両手に再現して、でも、胸元より繊細なパーツだから、気持ち優しく。
「これは弱い?」
「とても」
出会った頃より老いた頬を軽く押しつぶす。
「これでも?」
「……ハァ」
ため息つかれても情けなく思わなくって、自分が求めたのはコレだったのかと腑に落ちた。腹に溜まった暖かさが、望んだ言葉を贈られるのだと期待に沸く。
「楽園はシルクの海だと言う」
「……うん?」
「けれどここは地上で、ここにいるのは人間で、幸いなことに、お互い魂に近い交流を許している」
語るには邪魔な両手は下げられたが、自ら腕を首に回した。それを満足そうに薄く微笑まれたら、急所を抱え込むことの恐れが消える。
「そして大人だ。断る文句だって山ほど知っているし、嫌なことはそう言う」
リビングの照明に姿が完全に重なる。髪の輪郭が光る。どれだけ神々しくても人間だから触れられる。じわりじわりと足元から体が重なり、やがて腹と腹が触れた。
「その状況で、触れられることを許していて、あなたの判断を信じている。だから何も迷わなくて良いよ」
もう一度背中がソファに触れたとき、満足そうな顔が互いの瞳に映っていたに違いなかった。
伏せ切った体をいつもより強く抱きしめてみる。耳と耳を擦り合わせてざあざあと血の巡りを聞き合った。重みを愛と決めつけることはできないけれど、今預けられた体を失くしたくなかった。
左手を奪われたとき鼓動がひどく速かったことを思い出す。何かが恋人を不安にさせて、それを自分が見逃したなら、きっとすれ違いの果てに感触すら思い出せなくなる日が来る。だから今日が幸運だったって、何度も胸に刻まなきゃいけない。
追い詰められたのはお互い様だった。
すれ違い。
大好きな人との
すれ違い。
本当に
辛かった。
気持ちの
すれ違い。
私が勘違い
しただけ。
気付いたら、私たち
すれ違いばっかだったわね。
喧嘩してばっかりで。
私たち、お互いに正しいと思っているものだからね。
黙りこくるあなたと、
しゃべり続ける減らず口の私。
ちょっとぐらい、何か言ってよ。
私のこと愛してるだとか。
俗な言葉でもいいから。
あぁ、もう。
嫌になるわ。
勝手に、死なないでよ。
あなたの言葉が足りないの。
置いてかないで。
ねぇ。先にいっちゃうぐらいなら私も一緒に、
いきたかったわ。
何かあったなら相談して欲しかったな。
辛かったのに、力になれなかった。
こんな事実だけが私に残って。
いつも、いつも。
私になんにも言わないで、
先をいくんだから。
しょうがない人だ。
私はその後を着いてくことしか出来ない。
きっとあなたは着いてったら怒っちゃうかな。
でも置いていったのが悪いんだからね。
来世も愛してるよ。
おやすみ。
なんて言って、意識を手放した。
部屋に死体が2つ。
突然、
仲良しだと思っていた子から
思わぬ、心ないメールが。
私なら、こんな言葉の選び方はしない。
縁を結び直したい気持ちと悲しい違和感の間で、
ぎこちなさが拭えなくて。
何もなかったように、忘れたように、
関わる事もできる。だって、大人だし。
でも、しない事にした。
きっとあの時、私と彼女はすれ違ったんだと
そう思ったら、腑に落ちたから。
学生時代の話になる。
通信のスイッチをオンにして画面を閉じた3DSを持ち歩いていた。それにより遊ぶ事ができる【すれ違い広場】と言う機能が俺は好きだった。その影響だろうか?自分に似せたMiiを拘り抜いて作ったのは、今となっては懐かしい思い出である
誰かとすれ違う度、3DSのランプが黄緑色に光る。それを見る度に俺はドキドキした
(新しい人とすれ違えたかな?)
けれど現実は、よくすれ違うMiiばかり。そんな中でも新しいMiiとすれ違う事が出来た瞬間は嬉しかった
俺は中学・高校と、どちらも電車通学だったから多くの人とすれ違う機会があった。学校へのゲーム機の持ち込みは当然ながら禁止されていた。
校則違反とされる持ち込み物のチェックも抜き打ちで行われたりしていた
けれど、何としてでも3DSを持ち込みたかった俺は、自分のお小遣いで3DSが入るサイズの弁当箱を1つ買い、3DSを弁当箱の中に入れて学校に持ち込んでいた。また、弁当箱の中から3DSがぶつかる音がしない様、弁当箱の中心の3DSの四隅にはスポンジを詰めて偽装した。それが母にバレた時は「何しに学校に行ってるの?」と、呆れた顔で言われたのを覚えてる。それに対して俺は大きな舌打ちをした(母さん。あの時はごめんなさい)
ちなみに持ち込み物チェックだが、朝練による空腹から休み時間に早弁をする生徒もいた為、弁当箱が2個有っても疑われる事は一度も無かった。無論「弁当箱を開けろ」なんて言われる事も無くやり過ごせた
そんな3DSだが勿論ゲームも出来る。ちなみに俺が好きだったのはポケモンだった。3値(種族値・個体値・努力値)と性格補正を知った事で、ポケモンの奥深さにのめり込んで、俺が提案した同じ方法でゲーム機を持ち込んでいた仲間と対戦や交換に明け暮れた
やがて時が経ち、その3DSは今、レコチョクでダウンロードした音楽を聴くだけの機械になっている。サービスが終了し、今はもう新しい曲をダウンロードする事が出来ない為、少し残念に感じる時もある。ただ、気分転換に今でも使ったりする
そんな3DSもバッテリーが寿命なのか、最大まで充電しても直ぐに充電が無くなってしまう。
すれ違い 作:笛闘紳士(てきとうしんし)
すれ違い
考えの合わないあの人
昔からいつも、ぶつかり合う
いいときも知っているから
なかなか嫌いにはなり切れない
好きでいたかったなあって
何度も何度も諦め切れず
話しかけては失望する
すれ違い続けていくうちに
やがて心は離れていく
変わってくれることを期待したり
変えてみせると努力したけど
いつも振り出し、同じところ
大好きで、いたかったなあ
わかり合って、みたかった
推し活。
それこそが私の生きがいであり、
存在価値なのです。
私は2次元にしか推しを作りません。
スマホでもなんでも
オリジナルグッズが作りやすいからです。
推しは多ければ多いほど
私を満たして幸せにしてくれると思ってます。
推しカラーは常に身につけるし、
推しが嫌いなものは私も嫌いです。
私の中心は推しなんです。
推しのために毎日生きているのです。
こんな私の考え方は
家族に否定されていると思っていました。
お金使いが荒く心配していてくれた両親。
好きなことにお金を使うなと言われたと思った私。
私の勝手な解釈で
すれ違いを起こしてしまったんです。
その事を知ったのは
両親が亡くなった数日後でした。
家が遠くて
お葬式に出られなくてごめんなさい。
車運転出来ないし、
電車も無くて、
徒歩で行こうとも考えたのですが、
姉に止められてしまいました。
涙が溢れました。
自分の推し活のせいで、
両親を何度も傷つけてしまったと思いました。
初めてこの泣いているところを
部屋に飾ってる推しに見られたくないと、
同じ空間に居たくないと思いました。
一度全てのグッズを押し入れに入れて
戸を閉めた時、
本当に私は何にも大切に出来ないんだと
また涙が溢れました。
この涙を拭ってくれるのは
もう姉しかいません。
立ち直るまで多くの時間がかかりました。
夜になると
夢の中で両親が私の喉を潰しに来ます。
怖くて怖くて
毎晩姉に泣きつきました。
そんな時姉が読み聞かせてくれた漫画。
その一言目に私は惹かれました。
なので姉はその一言を
いつも最後に言ってくれます。
"Good Midnight!"
と。
魔法のような言葉です。
この言葉を聞くと
両親が微笑みながら
話しかけてくれる夢をみれるのです。
私は当分推し活ができないでしょう。
推しは悪くないのですが
今はお金すら見たくありませんね。
なので姉が頼りなのです。
姉が居なくなったら
私…私……。
頭がおかしくなっちゃいそうです。
すれ違い
何時からだろうね…
あんなに、一緒に過ごす事が、当たり前の事だったのに…
気が付くと、お互いに、何となく、距離を置くようになっていた…特別、喧嘩した訳でも、別に好きな相手が見つかった訳でも無いのに…同じテレビを見ているのに、一緒にいる感覚も無くて、ただ、同じ空間にいるだけ…
本当は、もっと近くで、もっと抱き合っていたい…この、気持の距離を、早く無くしたい…
すれ違い
よくあることよね、思い違いで。
考えすぎで、気をつかいすぎて、すれ違ってはじめて自分との価値観の違いを感じたり。
あの時、手をつかみとっていたら、とか。
後悔はしたって時はもどらないからもう考えるのはよそう。
「すれ違い」
トンカツを作ろうと思っていたらパン粉が無かった
調理中に気付き、慌てて帰宅途中にスーパーに寄っているタイミングの良い夫に「パン粉買ってきて!」とお願いした
無事パン粉を購入した夫は「パン粉どろぼうでも出たか〜?」と冗談めかして笑う
実際はパン粉の在庫が分かりにくい収納が問題なのだが、いい返しが思いつかず「絵本が一冊書けそうなどろぼうやね」と返事をした。その発言はスルーされそのまま会話を楽しんだ
夜寝る前にふと
「今日“パン粉どろぼう”の話してたでしょう。パンどろぼう知ってて言ってたの?」と気になっていた事を聞いてみた
「何それ。知らん」
知らずに言ってたの凄いね
お題:すれ違い
誰しも通る、「すれ違い」というもの。
家族とのすれ違い、他人とのすれ違い、
仕事仲間とのすれ違い。友達とのすれ違い。
それはどれも、色んな場所で経験すること。
ただ人とすれ違う事も、
同じように「すれ違う」と言う。
でも、どうだろう。
他人や、仕事仲間、友達、はたまた家族。
どれが多いか比べると、恐らく1番多いのは家族。
その次に友達、他人、仕事仲間では無いだろうか。
共通するのは考え方での、すれ違いがきっと殆ど。
その度、自分を追い込んだり、周りを恨んだり。
すれ違いが起こる度に、
いつも気疲れするのは自分。
でも、それを乗り越えるか、乗り切らない限り
ずっと同じ苦しみが続く。
家族とすれ違えば、なんで同じ家族なのに
こんなにも考え方が違うのだろうと。
なんで近しい人間程、分かり合えないのだろうと。
他人とすれ違えば、考え方は人それぞれだしと。
すれ違いにも色々ある。
けれど、残るのはいつもモヤモヤした気持ち。
それでも、人は1日1日、
知らない誰かと「すれ違い」ながら過ごしていく。
それを繰り返し続けて、
きっと、今の自分が出来ているのだと思う。
"すれ違い"
今までで何人の人とすれ違ったんだろう。
単純な疑問。
すれ違い
「あのさ、今でも、きっとこれからもRKさんが大好きで大好きで、大好き以外に変わる事なんてないから、、、少しでも、嫌なこと、悲しむこと絶対にしたくない。だから今も自分の中で決めた、RKさんへのルールと、自分が我慢できる自分の気持ちは、間違いじゃない、、、って、そう、ずっと思っている。」
「あのさ、今までも、きっとこれこらも、一緒にいて、ずっとすれ違ってばっかなんだろうね、、、私達、、。
いっつも優しいし、私のことばっかり気にしてくれるし、、あぁ、私のこと大切にしてくれてるなーとか、本当に好きなんだろうなーとか、好きな人の自分への気持ちが伝わってくるのってさ、二人の気持ちとか、二人だけが理解できるような、今まで二人で過ごしてきた時間とか、目に見えない何か、幸せなもので、つながっているような、、、、あぁ!ね、これが幸せか!とかって、一人で思い出し笑いとかして、周りにドン引かれても、全然平気で、のろけれたりして、、。
でもね、うちらは、二人で居る間中ずっと、二人で、すれ違って過ごしてると思うんだ、、。
つきあいだした最初は、お互いに相手を優先して、相手の気持ちばっか
なって、同調して、同じ気持ちで、同じ時空の中ですごしている、二人だけの時間を、どんな手を使っても、壊したくなかったし失いたくなかった。
悲しい事も楽しい事も、二人で落ち込んで二人で笑って、どんなときでも相手の気持ちを考えて、優先して、同調しで、絶対に嫌われないように演じれる自分に、なんの抵抗もなかった。相手に合わせてコロコロ変わる自分の気持ちを、このまま、疑う事なく受け入れさえすれば、これからも二人は、一緒にいれて、二人がこの先、すれ違うことなんて、絶対にないし、、そもそも、全く考えたことすらなかった。
なんでも大事にしすぎて、壊れないように、失わないように、怖がって、二人の大事な大事な、絆みたいな、、なんかすごく大事な、機会?チャンス?みたいなのから離れていってる気がする。ケンカとか、意見の違いとか、自分のプライドとか、自分の、そういうの、好きな人に理解してもらえるように一生懸命になることとか、間違っても、そういう自分をころして、抑えて、他人の気持ちに同調するようなことなんかじゃないと思うんよ、、。
すれ違いってさ、、、
互いが触れ合うほど近くを、それぞれ反対方向に通りすぎること。
時間や位置などがずれて、会えるはずが会えないこと。
議論などで論点が噛み合わないこと。
って意味があってね、どうすれば好きな人どうしが、こんなふうにならないですむか考えてみたらね、すっごい簡単で単純で、当たり前のことで、でもこれってすごく大事なんじゃない、、って、今更ながら再認識したんよ、だから、、
“私はあなたが好き”
だからあなたの気持ちが知りたい。
“私はあなたが好き”
だから私の気持ちをおしえたい。
時には、二人の気持ちが、、、あなたと、私が、例えば好きなものとか違っても それが私の好きな人の気持ちなら、尊重するし、理解できる、、と思う。ってか、そうしたい、、!!
これからも、良い感じですれ違って、一緒に乗り越えていこうね‼
私はあなたとなら、どんなにすれ違っても、絶対に離れたりしないから、
ね、、大丈夫。」
なりすけ
すれ違い
かけがえのない仲間だった。
だけど、やりたいことはそれぞれ違って。
それぞれ違う方を向いて、走って転んで、すれ違って。
それぞれ別の方向に、確実に進んで行って。
きっともう戻らなくても、進み続けて成功できる。
それでもあの時が、仲間が、懐かしくて大好きで。
我儘なのかもしれないけれど、また一緒に歩みたい。
戻る必要は無い。いつか進んだ先で待ち合わせしよう。
外国の小説で、「賢者の贈り物」というのがあって、わたしはこの物語が好きだ。
妻は旦那のために、綺麗な長い髪を旦那の懐中時計に付けるチェーンに換えて
旦那は妻のために、大切な金の懐中時計を鼈甲の櫛に換える
お互いが相手のことを思ってとった行動で、プレゼントは使ってもらえなくなったけれど
それはそれで、とてもいい思い出になるなぁと思う。
自分のことを優先して、相手が自分の都合のいいように立ち回ってくれるだろう
なんて思って日々を過ごしていたら
この物語とは真逆な結末になって
もしかしたら一生後悔するかもしれない
…賢者でありたいなぁ。
◇すれ違い◇
小説
迅嵐
「はぁ〜〜〜……」
ベットに飛び込むや否や、俺は深いため息をつく。
最近、俺は迅に会えていなかった。
俺が日勤で、迅が夜に暗躍。迅が日勤で、俺は夜に広報活動。片方が起きてる時には片方が寝ている。こういうことが何日も続いた。会えなくなって一週間くらいは、まぁこんなものかと深く考えなかった。しかし既に1ヶ月は経過している。
会いたい。話したい。
些細なすれ違いがここまで精神にくるなんて知らなかった。
寝なければ良いのでは、と一瞬考えもしたが、そうなると次の日がつらい。寝不足で倒れたりなんてしたら仲間にもボーダーにも迷惑がかかる。それは何としても避けたかった。
「…どうすればいいんだ」
メールはしている。ちゃんと返事も返ってくる。でもそれだけでは物足りない。俺はちゃんと会って話がしたかった。
どこで何をしたのか、何を食べたのか、何を見たのか。
迅に笑って聞いて欲しい。小さなことでも話して欲しい。
「俺こんなに欲張りだったんだな…」
段々と瞼が重くなり、身体が動かなくなる。睡魔に抗えるはずもなく、俺は呆気なく意識を手放した。
ふと、目を覚ます。隣で人の気配がした。
「………じん?」
「あれ、起こしちゃった?ごめんごめん」
そこには会いたくて仕方のなかった迅がいた。少し疲れた様子の彼は俺の頭を優しく撫でる。
「…………あいたかった」
俺の頭を撫でる手がぴくりと止まる。俺は再び眠気に襲われ始めていた。
「………ずっと、はなし…たくて、あいたく…て、…」
伝えたいことはいっぱいあるはずなのに、俺の口は素直に動いてくれなかった。
すると、頭に乗っていた温かな手が頬に滑り落ちてくる。
「…おれも、会いたかった」
まどろみに溺れながら、俺は深い眠りにつく。
最後に感じたのは、額へのやわらかな感触だった。
貴女と、貴女の大好きだったあの女性の間には、時折すれ違いがありましたね。それはどちらかが言葉足らずだったり、情報の行き違いなどでしたが、貴女はそのたびに心を痛めたものでした。
今のご伴侶とは、そのようなすれ違いはあまりありませんね。
それは、貴女が昔よりも自然に、ご自分の考えを必要な時に表現できるようになったからでしょう。
貴女はしっかり、成長しています。前に進んでいます。
ですから、「何もしてこなかった」「私の十年は無意味だった」などと、仰らないでください。
すれ違い
心の温度のすれ違いで簡単に関係を断ち切ってしまえる私は馬鹿者なのだろう。