相棒のバイクと共に、無事街に着いた。
思った以上にまだ簡素なものしか置いてない。
ここから「これから」を創り出していくのだろう。
周りにいる自分と同じような人たちに挨拶をして、
自分の滞在する拠点を設定していく。
「ねぇ、聞いた?あの国、まだ続けていくみたいだよ」
「マジ?あんなボロボロになってるのに、よくやるね」
「俺は今の街を創ってる“あの人達”に救われたんだ、もうあの国には望みがない」
「残念だよな。昔はよく祭りをたくさんやってたのに、あのバカみたいなイベントがなくなっちまって寂しいよ」
「今ではあそこにはトップと大臣しかいないからな…未練はあったけど、仕方ない…」
「私だって、あの国が大好きだった…ただ、着いていく元気がなくなっちゃったから…」
街へ来て、色んな人から話を聞いた。
懐かしいと思う事、寂しいと思う気持ちが頭と心をない混ぜる。
ようやく慣れた煙草は、少し心を安らかにしてくれた。
「……楽しかったなぁ…頭空っぽにして、苦しくなるくらいに笑ってたのが嘘みたいだ」
なんて、老けたような台詞を独りごちた。
たった少しのすれ違いだったはずだ。
でも、致命的なズレだった。煙が顔のまわりにまとわりつく。
「………やっぱ煙たいなぁ…コレ、吸い終わったら…禁煙しよ」
煙のせいで視界が霞む。青空の下、ぽたりとTシャツにシミが出来た。
10/19/2024, 4:22:09 PM