『さよならを言う前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
さよならを言う前に
僕、そろそろイかなきゃ
「何処にイくの?また会えるの?」
……
「?ねえ、きこえてるの?返事してよ。
ていうか何処から喋ってるの、姿を見せてよ。」
……
「ふざけているなら大概にして。」
……
「無視しないで、置いていかないで、私をひとりにしないで……ただいまって、また、笑顔で……」
……
「さよなら」もまだなのに
まあいいや、私もすぐに
○✕市○○区の病院で交通事故で入院していた男女二名が
昨夜死亡が確認されました。
僕がまたねと言い続ければ僕は傷つかなくて済むよね。
さよならを言う前に
「この世界へさよならを言う前に、辞世の句でも読めると思った?
残念、大間違いだよ。走馬灯を見る隙すらあげない」
右足。
「最期を悟った後に時間をもらえるなんて考え自体贅沢だなぁ。自分がいつ死ぬかなんてわからないし、突然終わることの方が圧倒的に多いでしょ、ぼくらみたいなのの場合」
左足。
「そんなに遺したいことがあるんなら、遺書でも書いておかなくちゃ。…何度も書くのは面倒だけどねえ」
右手。
「終わりが見えて、始めて浮かぶ言葉があったとしても。誰にも何も伝えられない。それが後悔ってやつだよ。
それが嫌なら毎回覚悟を決めておかないと」
左手。
「だから、さよならを言う前に、こんな風にダラダラ話したり、いろんなものをもらってゆるされるのは、いつだって勝者だけなの」
少年はニコリと笑って、
「ほらね、さよなら」
心臓を奪った。
「あああああああ私のピカチュウううううう!!!!でも椋さまの勝ち誇った顔かわいいいいい」
「ふふん、ぼくのカービィに敵うものはないってことだねっ!次勝てば、ぼくのお願い聞いてもらうからぁ…ぼくのケーキが待ってる!」
「この、キャラランダム&正座&コントローラー握っちゃいけない&サイレント縛りがなければ…椋さまにあんなお洋服やこんな衣装を着てもらえるのに…っ!」
「だってつぐみちゃんが縛りプレイでもしないと相手にならないでしょ?初心者のぼくが」
「あの、正座で足しんでるからちょっと休憩を…」
「はーい最後のラウンドいきまぁす!」
「ドSの椋さまもいいな…新しい扉開きそう…」
「わーつぐみきもちわるいー。…こんな感じぃ?」
「ヴッ心臓奪われた」
暫定勝者の椋は、無視して容赦なくAボタンを押した。
【さよならを言う前に】
『さよならを言う前に』
母の葬儀のとき
最後に父が棺にそっと触れた
それがたまらなかったと
焼き場で従兄弟が涙をためて教えてくれた
十年以上経った今でもわたしの中に残っている
父はもう
母が亡くなったことも
憶えていないけれど
さよならを言う前に
別れを切り出すのに、仕方ないなんてことはなくて、九割九分九厘がエゴにワガママに自分勝手。
そこに相手の都合なんて一切斟酌されてはいない。
のくせに「フる側も辛いんだよ」なんて、うるせぇ!
じゃあフラレた側はどうなると思ってんだよ。
究極の自己都合を押し付ける側が開き直るならまだしも逆に自分が辛いアピールしてんじゃねぇよ。
まぁそんな自分のこと第一だからフるなんてことが出来るんだろうけどな。好きにはなれないわ。
【さよならを言う前に】
「ねぇ、私たち、もう終わりにしましょ」
薄暗いバーの片隅で、タイトなワンピースに身を包んだ女がつぶやいた。長い睫毛を物憂げに伏せて。
持ち上げたカクテルグラスを小さく揺らし、真っ赤な唇をつける。
「どうしてだい、ハニー。ぼくたち、うまくやれてたじゃないか」
傍らに座っていた男が、大げさなジェスチャーで首を振る。
いかにも伊達男です、なんならイタリア男の血が混ざってます、と言わんばかりの色気たっぷりの顔立ちと、芝居がかった仕草。こんな人、漫画か洋画の中でしか見たことないよ。もしかして、そのオシャレスーツもイタリア仕立て?
六人がけのカウンターと二つのテーブル席しかない狭いバーは、ほどほどに席が埋まっている。私が座っているカウンター席から椅子をひとつ空けた向こう側。トンデモ美男美女のカップルが、意味ありげな雰囲気で肩を並べてるもんだから、ついつい聞き耳立てちゃってたのよね。っていうか、ちらちら横目で盗み見ちゃってたのよね。
だから私は気づいている。女性はさっき、XYZというカクテルを頼んでいた。「これで終わり」という意味のカクテルだ。つまり、彼女は本気だ。本気で別れるつもりだ。
ロマンスグレーをオールバックになでつけた初老のバーテンダーは、美男美女の別れ話にも素知らぬ顔でシェイカーを振っている。やっぱり、バーテンダーはこうでなくっちゃ。っていうか、こんなにばっちりキマったいぶし銀のバーテンダーが洋画じゃなくて日本に存在してていいんですか? いいんですね、ありがとうございます。思わず内心で拝んじゃうよね。
このバーに来たのは今日が初めてだけど、いぶし銀バーテンダー、というかマスターを見た瞬間に、大当たりだな、ってピンときた。いま飲んでいるマルガリータも、びっくりするぐらいおいしい。見た目も腕も一流なんて、これもう奇跡のマリアージュでしょ。
バー巡りは私のちょっとした趣味で、営業の仕事がうまくいった日はご褒美代わりにバーに寄ることにしている。それも、大通り沿いのにぎやかなバーじゃなくて、路地裏の奥まったところの階段下にあるような、隠れ家みたいな静かなバーを探すのが好き。常連だけで固まってて居心地が悪いことも多いけど、たまにこういう当たりのバーを引けるから、面白くてやめられないんだよね。
それにしたって、ここまで“仕上がった”バーはそうそうない。小市民の私にはもったいないぐらい。そのうえ、片隅に美男美女のカップルがいるときたもんだ。もしかして私、映画の世界に迷い込んじゃった?
「お客様、ギムレットでございます」
マスターが伊達男の前にカクテルグラスを差し出した。伊達男は大げさに肩をすくめる。
「勘弁してくれよマスター、ギムレットには早すぎるだろう」
「いいえ、『長いお別れ』ですから」
「マスター、あんたまさか――」
伊達男が顔色を変えて立ち上がる。
解説しよう! 「ギムレットには早すぎる」というのは、海外のハードボイルド小説に出てくる有名なセリフ。別れたい美女の意図を汲んでマスターが勝手に出してきたギムレットに、伊達男が気取ったセリフを返し、さらにマスターが小説のタイトルを返した、というわけ。
え、待って、なんでこんなお芝居みたいなキザなやりとりしてるの? しかも伊達男、めっちゃマスターを睨みつけてるんですけど。なにこの一触即発の雰囲気。さっきのセリフの応酬でなにがあったの?
「ごめんなさいね、このお店、私の縄張りなの」
美女も立ちあがる。その手が滑るようにワンピースの裾を撫でたと思ったら、ちらりと見えた太いガーターベルト。そして、拳銃。
……え、拳銃?
「あなたが私の組織の情報を狙っているスパイだってことは、もうバレてるの」
うおー! 美女が太もものホルスターから引き抜いたのはワルサーPPKだ! 雰囲気ぴったり!
あ、ワルサーPPKというのは小型の自動拳銃ね。『007』でジェームズ・ボンドが使ってたやつ。スパイ映画好きだからつい詳しくなっちゃって……って解説してる場合じゃない! なにこの状況! これからなにが始まるの!? ここ日本なんですけど!?
ああ、こんなときにマルガリータ頼んじゃった私のバカ! 流れ弾に当たって亡くなった恋人の名前が由来のカクテルじゃん! 死亡フラグじゃん! まだ恋人もできたことないのに!
硬直している私の目の前で、美女がワルサーPPKを伊達男のこめかみに当てる。伊達男は両手を挙げた。
「ああハニー、銃じゃ誤解は解けないよ。ぼくたちの心を溶かすには熱い夜が必要だ、そうだろう?」
「茶番はもうおしまいよ。今のあなたは凄腕のスパイ〈毒蛇〉じゃなくて、ただの道化師だわ」
そのとき、バーにいた客がいっせいに立ち上がった。もちろん、私以外。
しかも、全員の手に拳銃。銃口はすべて伊達男に向けられている。えっ、マジでなんの集まり? まさかマフィアの抗争じゃないでしょうね?
「なるほど、ここにいるのは全員君の仲間か。ぼくのためにこんなに人を集めて歓迎会を開いてくれるなんて、〈毒蛇〉冥利につきるね」
あー違う違う! 私、一般人! 通りすがりのただの客! 小心者の小市民! 巻き込まないでお願いだから!
カウンターで縮こまっている私の存在にやっと気づいたのか、美女は気まずそうにこちらをちらりと見て――無視された。
「長いお別れの前に、言いたいことがあるなら聞いてあげるわ」
「このぼくに、命ごいなんて無粋な真似をさせる気かい? 最後に君の唇が欲しいと言ったら?」
「毒蛇に噛ませる唇はないわね。さっさとボスの居場所を吐きなさいってことよ」
しゅるり、と音をたてて男のネクタイをほどく美女。
な、なんか見ちゃいけないシーンが始まってるんですけど!
と、マスターが滑るように私の前にやってきて、耳元で囁いた。……あっ、声もいい……。
「お客様、ここで見たことは他言無用に願います」
「も、もちろんです! 誰にも言いません! 言っても信じてもらえないだろうし!」
「賢明なかたで安心いたしました」
マスターがにっこり微笑んだ。ありがとうございます、その老獪な笑顔を口止め料として、心の額縁に入れて永遠に飾っておきます! ごちそうさまです!
私は足の震えを抑え、鞄をつかんで立ち上がった。
「そ、それじゃ、私はこれで、さよな――」
おっと、その前に。
「あの、お会計お願いします」
こんなときでも、踏み倒しはできない小市民なのでした。
烏龍茶ってさ、コーヒーに似てるよね。
色とか、味わいとか。
ああ、ごめんごめん。
特に深い意味はないんだ。
ただ、この暗い色を見るとね、過去を思い出すんだ。
覚えてる?
君と出会って一ヶ月もしないうちに、とある町に寄っただろ。
俺たちは今のように服も食べ物も自由に買えなかったからさ、腹の虫を黙らせる手立てもなかった頃だ。
店の誰にも手を付けていない料理や美味しそうな肉さかなを堪えて、裏通りに捨ててあるゴミ箱を漁って、それで飢えをしのいでた。
こんなふうな泥水だったか、その頃飲んでいた水は。
……たしかに誇張だね。ごめんごめん。
でも、それが、いつからだろうね。
泥水から真水となり、ツララを砕いたかのような冷たさから常温になり、そして、カップに淹れられた温かなスープになり。
それでも、他の人の平均よりも下の生活水準だったから、まだまだ贅沢はできなかった。
コーヒー専門店というのも、嗜好品というのも納得の高さで、一杯800円のコーヒーだなんて、バカげてる!
一滴残らず飲み干した麦茶のペットボトルを、思いっきり握りつぶして、遠くにポイ捨てしようとしていた時だ。
麦茶もコーヒーも、水であってもひと口飲める量は変わらないよ。今まで通り一歩ずつ行こう。
そういうことを言われたもんで、今日があるというものだ。
一攫千金という夢は、地球が爆ぜるくらいに無理難題だったけれど、それは一人で立ち向かったらの話だ。
あの時も、今も、二人でいる。
この街の夜はまだまだ続くだろう。
君の人生ももう少し続く。
俺は、どうだろう。数年、いや数ヶ月か。
それでも、ひと口の量は変わらないでいる。
……(盃同士が、かち合う音)。
サヨナラを言う前に、もう一杯。
「似たお題は、5月23日の『また明日』、それから5月19日の『突然の別れ』が該当するのかな」
前者は去年、「昨日へのさよなら、明日との出会い」
ってお題だったけど、後者は何書いたっけな。
某所在住物書きは遠い遠い過去作を辿り、スワイプに疲れてため息を吐いた。
「過去作辿るの本当にダルいから、個人サイトに一括でまとめてやろうかと思った矢先に『8月下旬で森頁サ終します!』。もう来週のハナシだろ」
まとめ作っても、そのまとめのプラットフォームがサ終しちまったら、もう元も子も、ねぇ。
物書きは再度ため息を吐き、ぽつり。
「さよならを言われる前に、個人サイトの方、バックアップ保存しねぇとな……」
結局保管にはオフラインが最適なのかもしれない。
――――――
さよならを言う前に「帰りの会」、
さよならを言う前に「貴方をフる理由の陳述」、
さよならを言う前に「必要な物は何でしょう」。
個人的には、想像力と構成力と執筆力が加齢でサヨナラを言う前に、その手のスキルのバックアップとか新規摂取とかがガチで欲しい物書きです。
苦しまぎれに、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。深めの森の中に不思議な不思議な稲荷神社がありまして、敷地内の一軒家には、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が家族で仲良く暮らしております。
そこに住まう末っ子の子狐が現在絶賛爆食中。
雪国出身で近所に住まう参拝客さんが、実家から田舎クォンティティーで届いた甘い甘いトウモロコシを、いっぱいおすそ分けしてくれたのです。
「おいしい、おいしい!」
むしゃむしゃむしゃ、むしゃむしゃむしゃ!
コンコン子狐、母狐が茹でてくれたゆでもろこしを、両前あんよで器用に掴み怒涛の勢いで牙を突き立て実を剥がして、ハゲもろこしにしていきます。
肉食寄りの雑食性な狐は意外と野菜も大好き。熟したトウモロコシの甘さをよく知っています。
それは稲荷の狐たちにも当てはまり、人間が丁寧に育てた作物、人間が心を込めて捧げた供物を、稲荷の狐はコンコン、よく好むのです。
「ゆでもろこし、甘い、おいしい!」
むしゃむしゃむしゃ、むしゃむしゃむしゃ!
母狐が適切な量の塩と一緒に茹でてくれたトウモロコシを、子狐コンコン、尻尾をバチクソに振り倒し、次々とハゲもろこしにしてゆきました。
今年は去年に似て、高温障害の影響が出ている。
雪国出身の参拝者さん、段ボールに詰めたおすそ分けを持ってきたとき、美女に化けた母狐に言いました。
例年ならばそろそろ1日の寒暖差が開いてきて、日中はそこそこ暑く、夜はしっかり涼しくなる頃。
それが今年は夜も例年より暖かく、トウモロコシが甘さを貯め込むよりグングン大きくなる方に舵を切っちゃうとのこと。
8月最終週から9月初週には、もう少し甘くて美味いトウモロコシをおすそ分けできるかもしれない。
雪国出身の参拝者さん、母狐からお礼の無病息災と運気向上のお札を受け取りながら言いました。
へー、そうなんだ。
コンコン子狐、知ったこっちゃありません。
ゆでもろこしが、美味いのです。
茹でたホクホクの甘味、ちょっといじらしい実の皮、それらに牙を突き立てる前に鼻先で香る微量の塩と凝縮されたトウモロコシ。
美味いのです。 おお、夏の結晶よ、甘き至福よ。
汝、天ぷらや焼き肉のタレ焼きも美味とは事実か。
「ゆでもろこし、最後のひとくちだ」
そんなこんなしているうちに、コンコン子狐はゆでもろこしの、最後の1本をそろそろ食べ終える頃。
幸せな時間はすぐ過ぎます。こと食べ物に至っては、おなかに美味を収めてしまえば終了です。
スーパーむしゃむしゃむしゃタイムはこれで終わり。そろそろ綺麗に食べ尽くされたもろこしと、さよならしなければなりません。
とはいえ参拝者さんが持ってきてくれたトウモロコシ、実はまだまだ十数本残っているのです。
食べても食べても余裕がある。これぞ田舎規模。田舎クォンティティーなのです。
「甘かったなぁ、おいしかったなぁ」
目の前の最後のひとくちに「さよなら」を言う前に、コンコン子狐、念入りに香りを嗅いで、丹念に舌でペロペロして、トウモロコシを堪能します。
「次は、焼きもろこしも食べたいなぁ」
気が済んだら、はい、今度こそさようなら。
稲荷の不思議な子狐は、コンコン5本のゆでもろこしをたった1匹で綺麗に完食。
ポンポンおなかを黄色い幸福で満たしましたとさ。
さよならを言う前に
さよならを言う前に
幸せでした、と伝えた
いつもなら引き止めるあなたが
ただ頷いて
自分も、と言った
本当にさよならなのだとわかった
「おれ、もうすぐ死ぬんだ。」
「え……?」
「余命宣告されたんだよ。1ヶ月。」
「……」
「だから、もうすぐさよならだ。」
突然親友が言った言葉。
信じられなかった。
ずっと一緒だと思ってたのに。
最高の思い出もまだまだなのに、1ヶ月だけって…
さよならを言う前に、君と最高の思い出を作ろう。
君が、生きててよかった、って思えるような。
さよならを言う前に。
今日1日の報告書を提出し、
明日1日の予定を報告して、
今月の売上予定を提出し、
来月の売上予定も提出する。
売上が上がらず、怒られて、
時間を有効に使えていないと怒られて、
残業時間が多いと怒られて、
やっと会社にさよならを言える。
さよならって言うの、簡単じゃないよなー
人生が一冊の本なら、そこにはいくつもの物語が詰まっている。
足跡を辿りながらページをめくっていくと、過去の出来事はさまざまな色で映し出される。
それぞれの章は、喜びや悲しみ、出会いや別れ、成長の瞬間を記録している。
僕はそれらをファイルに丁寧に仕舞い込む。
そして過去の自分に向かってゆっくりとさよならを告げるんだ。
本の中の自分という乗り物は、そんなに多くの荷物を運べないものさ。
次の旅のためのスペースを作っておくのさ。
「さよならを言う前に」
#57『さよならを言う前に』
離れても心は繋がってると信じたい
でも目に見えないのは確かだから
どうか熱く抱きしめてほしい
走馬灯なんて見たことないけど
きっとこういうものなのかなと
軽く弾んだ会話から
始まった人付き合いから
振り返るようにして
目頭が熱くなる
喉が張り付いていく
指すら動かせず
頭がから回る
さよならを言う前に
さよならは 別れの言葉じゃなくて
再び逢うまでの遠い約束
さよならの前に、いいたいことがあるんだ。
今まで愛してくれてありがとう。
こんな情けないボクだけど、気にかけてくれたりとかしていつも隣にいてくれたキミに捧ぐ。
もう会えないかもしれないけれど、キミとの思い出は大切に心の中にしまってあるよ。
-さよならを言う前に-
「あの…」
授業も終わったし、帰宅部の私はさっさと帰ってバイトに行くつもりだった。
「少しお話しませんか?」
同じクラスの碧だった。
私に何の用?
「バイトあるから早く帰りたいんだけど」
「じゃ、途中まで一緒に帰りませんか?」
登校の時に時々見かけるから家が近いのかもしれない。
「じゃ、途中まで」
碧とはあまり接点も無く、たまに話すくらいなんだよね。
………
一緒に帰ることになったけど、気まずい空気が漂う。
碧は沈黙したままだ。
「…あの、話って?」
「陽葵は好きな人いる?」
なにを突然言うの?
「いや、そういうことに興味無くてバイトして小遣い稼いでる」
碧の好きな人が実は私のことを好きで、三角関係になってる?
面倒なんだけど、そういう恋愛話は。
「私、陽葵のことが好きなんだ…教室でいつも陽葵のことを見てる」
同性同士の恋愛は否定しないけど、私はそもそも恋愛感情を持てないタイプかもしれない。
………
「私、誰かを好きになれないんだ。だから、ごめん。碧、さ-」
私が話を終える前に世界の輪郭がぼやけ、私の意識も薄れ…
「あの…」
授業も終わったし、帰宅部の私はさっさと帰ってバイトに行くつもりだった。
「少しお話しませんか?」
同じクラスの碧だった。
私はその瞬間、胸の鼓動が速くなり、顔が熱くなるのを感じていた。
あれ?コレって…
どうしたんだ?
「あ、今日バイトあるから帰らないと…」
「じゃ、一緒に途中まで帰ろ」
「…うん」
碧は今日のクラスの出来事とか色々話してくる。
私は返事しつつも、今まで感じたことのない気持ちになっていた。
バイトが終わったら碧の家に行こうかな。
fin
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後から編集したので、当時の言い訳コメント残しておきます。
鋭意制作中です(汗)
まだ、さよならは言いませんよ
さよならを言う前に
はじめまして
や
こんにちは あったっけ
いつの間にか隣にいて
今の今まで一緒にいたから
始まりの言葉なんてなくても
いつの間に始まってて
終わりの言葉なんてなくても
いつの間にか終わってた
さよならを言う前に
さよならを言う前にやることがあるでしょう。
金賞を取りなさい。
見送りなどいらないから。
練習しなさい。
自分の音について考えなさい。
それがコンクールに出るヴァイオリニストの道である。
戦うのなら勝て。
音で圧倒しろ。
私の教え子として結果を残しなさい。
それが演奏家にとって恩返しなんだ。
さよならを言う前に、この状態をどうにかしないとって思っていたけど、そちらがその気ならこちらはもう何にもできない、したくない。
なぜ、あなたはそこまで変わってしまったのか。
それとも私が変わってしまったのか。
あなたは私にひどいことをたくさん言った。
数え切れないほど傷付けられた。
あなたの価値観と私の価値観。
合わない部分がたくさんありすぎて話すことに疲れてしまった。
あなたにどうにか理解してもらおうと、私なりに努力していたけれど
私の人生についてまでどんどん否定が始まった。
『あなたがあの時もっと頑張っていたら』
『周りの人にも嫌われていただろうね』
『そんなに冷たい人間だったとは思わなかった』
あなたの思う理想の人間じゃなくて悪かったね。