『さよならを言う前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君にさよならを言う前に私がすべきこと。
「いきなり呼び出してなんだよ」
相変わらず微妙にダサすぎる服、人を舐め腐った態度。
「ま、どうせあれだろ?『まだ私のことが好ーー
右ストレート。
拳が綺麗に決まると、人はあんなに吹っ飛ぶものなのか。
私はにっこり笑って「浮気したくせに頭が高い」と吐き捨てた。
「電話も出ないくせに勝手に押しかけてくるなんて、ほんとに気遣いができないのねアンタは」
ドアを開ける瞬間は若々しいマダムの笑顔だったのに、私だと分かるとこの表情。
「いい歳した大人なんだからもういい加減ーー
ラリアット(威力4分の1バージョン)。
床に倒れる老人ぐらいではもう痛まないぐらい、心は傷つけられたんだよ。
私はにっこり笑って「反抗期遅くなってごめん」と吐き捨てた。
最後にやってきたのは君の元。
ベッドに横たわる君を見て、私は溜息を吐いた。
「君の望みはなんでも叶えると言ったけど、後で大変な思いをするのは私じゃない」
「でも引き受けてくれたじゃないか」
君はにっこり笑ってこう言った。
「冥土の土産はこれぐらいインパクトがなくっちゃね」
「ありがとう」
「さよなら」
私もにっこり笑ってこう言った。
さよならを言う前に
一目惚れだったんだ――
あなたに出会う前は、ありふれた日常だった。
つまらない、そう、つまらなかった。何をしてもつまらない。
世界がモノクロに見えた。
あなたに出会ってからは、急に輝き出した。
外の世界に憧れを抱くようになり、心が躍る。
だけど、あなたと私には違いがあった。
あなたには、どこまでも遠くへ行ける足がある。私にはそれがない。
私にあるのは、泳ぐためのヒレだけ。遠くにはいけない。
あなたに近づきたかった、だから、海の魔法使いに泣いて縋った。
海の魔法使いは、笑顔で承諾してくれた。――その願いを叶えてあげよう。
そして、私の願いは叶った。足を手にいれた、どこまでも行ける足を。
立つのが難しいし、何より痛かった。でも、辛くても平気だった、あなたを思えば。
やっと、歩けるようになったと思うと、あなたを見つけた。
嬉しかったが、それも束の間だった。隣に可愛いらしい子がいた。
二人とも幸せそうな雰囲気。笑い合っている、それを見ると胸が痛い。
とてもじゃない、二人の間に、世界に入ることはできない。
ぐちゃぐちゃな感情を抱いたまま、冷たくて暗い海を見つめる。
砂浜に座り、ただ一人、孤独な私。
すると、海から海の魔法使いが現れた。
「あーぁ、せっかく人魚から人間になれたのに、気の毒だねぇ」
そのまま陸に上がると人魚から人間の姿に変わる海の魔法使い。
そして、私の隣に腰を下ろした。
「どう、足は?痛いっしょ?」
ニヤニヤと笑っているのを見て、私は睨む。
「怖い怖い、睨むなよー」
「あなたは痛くないの?」
「痛くないねぇー、魔法使いだからー」
べーっと舌を出す相手に対して、腹が立つ。
意地悪な魔法使いだ。噂で聞いていたが、意地悪だし、腹が立つ。
「私も痛くないのが良かった‼︎」
「残念ながら、お前は足が欲しいしか言っていないから」
人を馬鹿にしたように笑う。
「ちゃーんと願いを言わないとー、ってか、足生やしてやったんだから、感謝しろよなー」
「足生やしてくれて、ありがとう。でも、もういいかな」
ふと思い出してしまった、さっきの光景を。仲良く歩く二人を。
胸が苦しいし、涙が出てきた。
「別にあの人間に話しかけられたりしたわけじゃないんだろ?ただ、遠くから見ていただけだろ?」
「そうだけど……せっかく足を手に入れたのに……」
「だーかーらー、足を生やす前に何度も確認したろ?本当にいいのかーって、願い叶えるのは一度だけだぞーって」
ガシガシと髪の毛を掻く海の魔法使い。
めんどくさいというオーラが出ているのを感じる。
私は深くため息をついた。――もう海には戻れない。
「……なんでもするから、私を人魚に戻して欲しい」
その言葉を聞いた途端、海の魔法使いはニヤリと笑った。
「何でもするって本当か?」
「うん、何でもする、だから、海に戻りたい。人間の世界に憧れを持ったのが間違いだった」
海の魔法使いは、ゆっくり立ち上がると波打つ海へ向かう。
そして、海の中へ入るとこっちに手を差し伸ばす。
「何でもするなら話は別だ。人魚に戻してやるよ、お嬢さん」
また足に痛みが走る。激痛だ。それを耐えながら、一歩、また一歩と海へと向かう。
海の魔法使いに手を伸ばす。
「これからお前に自由はないからな、さよならを――」
「その前に、ありがとうだけ言っておく。ありがとう、私の願いを聞いてくれて、優しい優しい海の魔法使いさん」
一瞬、目を丸くしたが、すぐに表情が戻った。そして、ふっと笑う。
いつも側で見守ってくれていた海の魔法使いを知っていた。陰からずっとだ。
私は海の魔法使いの手を取り、深くて暗い海の底へと沈んでいった――
いつもの帰り道
じゃあ またね
ぼくたちはいつもそう言って
別々の道で家まで歩く
いつまでも変わらなければ
そう願ってしまうのは
ぼくがまだこどもだからかな
いつもの道でいつもの他愛ない会話
くだらないこの時がぼくの宝物
きみは気付いているかな
きっと気付いているよね
きみはぼくよりおとなだから
いつもの道でいつもの他愛ない会話
くだらないこの時が
いつか思い出になることを
でも最後までぼくたちは
じゃあ またね
そう言って別々の道を
歩んでいくんだろう
きみとぼくはいつまでたっても
じゃあ またね
そう言える仲でありたい
じゃあ またね
さよならを言う前に、
貴方に今までの感謝を伝えたいと思います。
私がまだ18歳の頃、
当時大学生だった私は日々の生活費を稼ぐため、とあるチェーンの飲食店でアルバイトをしておりました。
深夜の1時まで営業するその店で私は連日のように閉店まで働き、心も体も疲弊しきったある日曜の閉店5分前に貴方はぞろぞろと十数名の客を連れて現れました。
店内は私と店長の2人きりで、あの時どれだけ大変だったかは貴方もよく理解しているでしょう。
絶望や怒りなど通り越して、涙が溢れてきたことだけは今でも覚えています。
最後に会計をしてくれた時、貴方は「ありがとう」とニッコリと笑っていましたが、私がどんな顔をしていたかは今ではもう覚えておりません。
その日を境に貴方は毎週のように来てくれるようになりました。
毎度、同じ人数を引き連れて。
そんな出会いだった私と貴方が、今では同じ会社で勤める上司と部下の関係になっているだなんて、当時の私は夢にも思っていなかったでしょう。
因縁じみた出会いだったからこそ、別れることに名残惜しさも感じています。
今まで、本当にお世話になりました。
さようなら
さよならを言う前に
別れの時はサヨナラを言う前に
またねと言える関係でありたい
またねと言える健康でありたい
さよならを言う前に
桜の花が咲いて、花びらがヒラヒラ
卒業するけど、LINEもつながってるし
携帯の番号も分かるし、なんなら家も知ってる
寂しくなんかないよね、って思うんだけど
一応、卒業式も終わったし、さよならなのかな
たいして何も変わらないけど、
明日からは当たり前には会えないね
さよならを言う前に、
一緒に担任にさよならを言いに行こうか
私たちのさよならは、そのあとでいいよね
あきかぜ
「さよならを言う前に」
夕陽の当たる
オレンジ色の校門の前で
「別にお前に嫌われたって構わない」
真面目な顔の君もオレンジ色に染まる。
「ただ」
「お前が周りの人から愛されて、
幸せになってくれれば」
「だから…… 」
これが君が僕からはなれた理由。
さよならを言う前に
一生忘れられないような言葉をくれるから
僕は今でもオレンジ色を見るたびに
切なくなってしまう。
「さよならを言う前に」
目を合わせて
心を通わせて
さよならを言う前に
ありがとうと言うだけで
さよならがまたねに変わるよ
いつもありがとう
久しぶりに開催された夏祭りに、浴衣姿で君は来た。遥々遠くからよくやってきたものだ。小さな地元のお祭りだというのに君は子供のようにはしゃいでいる。きっと今住んでるところの祭りのほうが規模がでかいだろうに。
それでも地元の祭りのほうが大事なの!とポカポカ叩いてくる。
小さな神社で行われ、少しの屋台が肩を並べて佇み、たくさんの人が行き来をしている。
焼きそばやたこ焼きなど、あれやこれやと買い揃え食べていく。
祭りの鳳に花火が上がり、君は嬉しそうに飛び跳ねていた。よく見ていたあの頃の花火は、今となってはこんなもんか、と思うようになってしまうほど。
花火がきれいだったねと君は帰りがけに感想を述べている。その後ろ姿が名残惜しくて。
明日には帰ってしまう君に、さよならを言う前に一つだけ伝えたくて。
でも弱虫な僕だから何も言えない。好きの二文字すら言えないのだ。だから。
せめて過ぎ行く君の背中に、つぶやくことしか、できないんだ。
37.『さよならを言う前に』
はじまりはボクから
おわりはキミがいい
てんきあめみたいに
にじがみれるといい
りんごあめみたいに
あまずっぱいといい
ほんとはキミがいい
だれよりキミがいい
さよならはキライだ
だからいわないんだ
またね、きっとだよ
『さよならを言う前に』
さよならを言う前に
会えなくなっちゃったけど。
たまに非表示を解除して、トーク開いて
また非表示を繰り返してしまうのは
あの頃が楽しかったからだ。うん。そう。うん。
何か手紙が届いた
[……?なんだ?]
開いてみたが、
[俺宛の手紙…?]
《𓏸𓏸へ》
{私の事覚えているかな?}
少し前までネッ友だった𓏸𓏸からだった
{なんで手紙送れたかって言うと!}
{𓏸𓏸のリア友と仲良くて 手紙送って貰ったの}
{前急にフレ切ってしまってごめんね}
{これを伝えたかった}
{𓏸𓏸とフレで良かったと思う だけど…ごめん}
{私はフレを作らないって決めたんだ}
{ごめんね これからも楽しんで}
{私のように…後悔しないでね…}
{さよなら}
{の前に! 今まで、ありがとう。}
[………]
確かに俺は𓏸𓏸と仲良くしてた
[こっちのセリフだろ…]
[こちらこそ、今までありがとう…]
その日は、とても綺麗な空だった
これを書いている今があるのは
昨日より少しだけ
生きてみようという気持ちが
戻ってきたから。
ある曲を聴いて
“誰にもさよならを
言う人がいないなら”
“この全世界の人に嫌われたら”
涙が止まらなかった。
その条件は満たしていない。
きっと今死んだら
後悔するし辛くなるだろうと
伝えてくれたんだなと…嬉しかった。
生きてもいいんだよ
そう言っているように聞こえた。
また死にたくなったら
さよならを言う前に
あの曲を聴こう。
私の命を救ってくれた言葉に
ありがとう。
【さよならを言う前に】#22
【さよならを言う前に】
今日は楽しかったね
久しぶりに会う君と笑い合う
イカ焼き 美味かったなぁ。また食べたいな〜。
あ、そういや、さっきすれ違った人な・・・
帰る時間なのに 君とだとつい喋ってしまう
え?帰らなあかん?
そうか、もうこんな時間やもんね。
そうかそうか……うん……。
東京の学校は慣れた?どんな学校なん?
時間がどんどんすぎていく
あ〜!そうか!もう帰らなあかんよね(笑)
ごめんごめん〜。明日の朝 飛行機早いんよね。
わかった、次会えるのは また……
「2年後かな」
・・・一緒に、お土産なにか買っていかへん……?
僕の話に耳を傾けてくれてありがとう
つまらない僕の話に笑ってくれてありがとう
君の笑顔が大好きでした
もう会えないってわかってるけど、さよならを言う前にひとつだけ
僕はまだ、もうしばらく君を好きでいると思うけど、どうか許してください
「さよならを言う前に…君に、言いたいことがあったんだ。」
彼女は屋上のフェンスに背中をつけ、言い続けた。
「僕は君が好きだ。」
靴を脱ぎ、さらに続ける。
「だから、僕は死ぬ。君の前で。」
僕は彼女を止めようとしたが
間に合わなかった。
あの日さよならを言えなかった君に
好きだったよと
この気持ちは誰にも伝えないでおくよ
わたしだけの秘密
そっと胸に秘め君の居ない明日を歩んでいく
きっともう会うことはないでしょう
君とわたしの運命は交差しない
いつか街で見掛けたら
この気持ちを思い出すだろう
元気でね
『さよならを言う前に』
春、貴女に初めてあったその日から、私は貴女が大好きです。
「それで、相談って?」
「えへへー、あのねあのね!さっきB組の加藤くんに告白されたの!!」
「え、、。あ、あー!加藤くんね、なごちゃん好きって言ってたもんね!おめでとー!」
「えっへへーありがとぉ!」
なごちゃんは嬉しそうだった。
連絡が1通来ただけで、私よりも彼を優先するくらいに。
「あ!ちょっと行ってくるねぇぇ!!」
そう叫んで走って行ってしまった。
なごちゃんは私みたいに同性愛者じゃなくて、普通の人だった。
ちゃんと異性を好きになれる人だった。
でも私はどうしてもなごちゃんが好きで、諦められなかった。
もう少ししたら卒業式。
これ以上一緒にいても辛いから、さよならをすることにしてる。
窓から入ってくる風が、やけに冷たく頬を掠めていった。
あっという間に卒業式。
なごちゃんとの関係は変わらない。
なごちゃんと加藤くんも別れていない。
「愛華ちゃん?どーしたの?」
「なごちゃん。ちょっと私の話聞いてくれる?」
「え、?…うん、聴くよ。」
全開にした窓から吹く強い風が
別れの香りと暖かい日向の香りを運んできた。
私はなごちゃんにきちんと向かい合って一息で言った。
「1年の春、初めて逢ったその瞬間から貴女が大好き。同性だけど、私はなごちゃんが大好き。進路は別々だし、こんな私は気持ち悪いと思うかもしれない。だから、さよならをする前にどうしても伝えておきたかったの。」
言いながら、涙が溢れてきた。
「ごめんね、困らせるだけだよね。聴いてくれてありがとう」
なごちゃんは困惑していて、申し訳なくなって教室の前のドアから飛び出した。
「愛華ちゃん!!!!」
突然後ろから聞こえたその声に驚いて立ち止まった
「そのまま、きいて!」
大きく息を吸った音が聞こえた。
「私も、愛華ちゃんのことが大好き!私と愛華ちゃんの好きは違うかもしれないけど、私は愛華ちゃんとさよならなんてしたくないよ!!勿論加藤くんのことは大切だけど、それ以上に私は愛華ちゃんのことが大好きなの!さっきのこと、気持ち悪いなんて思ってないし、嫌いになんてなってない!むしろちゃんと話してくれて嬉しかった!一緒にいるのが愛華ちゃんにとっては苦しいかもしれない。だけど、私は一緒にいたい!!」
そこまで言って息を切らしながら呼吸する音が続いた。
「一緒に、いられない、かな、、?」
悲しそうなその声に振り向きそうになった。
けど、振り向かないで私は返した。
「私は、一緒にいたい…。なごちゃんと、もっとずっと一緒にいたいよ!」
「じゃあ、一緒にいよ?」
思い切って振り向くと、涙で霞んだ自分の瞳のその先に、
春の満開の、桜みたいな可憐さの
夏の懸命な、向日葵みたいな明るさの
秋の隠した、撫子みたいな無邪気さの
冬の静かな、椿みたいな力強さの
笑顔を咲かせた君が立っていた。
何かを得ようとすれば、別の何かを喪う。
それがたとえ、欲しくないものでも。
握りしめた掌の、指の隙間から零れ落ちていってしまう。
そして、それはもう、掌には戻ってこない。
どれだけ大切にしていようと。
どれだけ戻ってきてほしいと願おうと。
もう、かえってこないんだ。
“それ”は、まだ先の事だと思っていた。
否、近い未来に“それ”は起こると薄っすらと感じてはいた。
でも、こんなに何の前触れもなく、ある日突然だなんて信じられなかった。
少しずつ。
そう、少しずつ、死の匂いを漂わせながら穏やかな日々を送っていくものだと。
静かに看取るものだと、そう思い描いていた夢想は儚く散ってしまった。
静寂に包まれた院内を靴を鳴らしながら急ぐ。逃げなどしないのに。
冷たい銀色の扉を開いて、乱れた息のままに薄暗い室内へと入る。
キツい消毒の臭いに混じって、死の臭いがした。
テーマ「さよならを言う前に」
「じゃあね!」
いつもと同じ帰り道、友人と別れ、一人家を目指す。
“さよなら”
突然くるんじゃないかな…。毎日言繰り返すさよなら、またねのどこかにあるんだと思う。
たとえば、繰り返していくうちに忘れていくさみしさでも、いつかいえるようになりたい
“ありがとう、さようなら”
ってね