シラヒ

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君にさよならを言う前に私がすべきこと。


「いきなり呼び出してなんだよ」
相変わらず微妙にダサすぎる服、人を舐め腐った態度。
「ま、どうせあれだろ?『まだ私のことが好ーー

右ストレート。

拳が綺麗に決まると、人はあんなに吹っ飛ぶものなのか。
私はにっこり笑って「浮気したくせに頭が高い」と吐き捨てた。


「電話も出ないくせに勝手に押しかけてくるなんて、ほんとに気遣いができないのねアンタは」
ドアを開ける瞬間は若々しいマダムの笑顔だったのに、私だと分かるとこの表情。
「いい歳した大人なんだからもういい加減ーー

ラリアット(威力4分の1バージョン)。

床に倒れる老人ぐらいではもう痛まないぐらい、心は傷つけられたんだよ。
私はにっこり笑って「反抗期遅くなってごめん」と吐き捨てた。


最後にやってきたのは君の元。
ベッドに横たわる君を見て、私は溜息を吐いた。
「君の望みはなんでも叶えると言ったけど、後で大変な思いをするのは私じゃない」
「でも引き受けてくれたじゃないか」
君はにっこり笑ってこう言った。
「冥土の土産はこれぐらいインパクトがなくっちゃね」

「ありがとう」
「さよなら」
私もにっこり笑ってこう言った。

8/20/2023, 2:18:42 PM