『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
桜の並木の中で君は言った
『本当は世界って小さいの、いつでも会えるの。』
私は聞いた
「空にいても?死んじゃっても?」
『そうだよ、誰でも皆いつでも会えるの、だから
悲しまないでいいんだよ。』
君の声を忘れる前に、
桜の並木が枯れてしまう前に、
この場所に会いに行こう。
スマートフォンの灯りは蛍のように
雑踏へ散らばっていく
魂に色があるならあんな感じ
口ずさむ 日暮れはいつも痛い
分かち合えないから独り善がり
分かち合うから迷う
見慣れた窓枠 夜空 がらんどう
肉薄した言葉もニュースになれば
初めましての初々しさが棘みたい
付け足して 差し引いて
出来上がったはずの孤独に驚く
この場所で
数える覚悟も無いまま魂を見送った
部屋に吹き込む風が
何かを捲りあげ 止んだ
この場所で
顕になった人型の白線
一切合切後はもう 目蓋次第
「付き合って下さい」
高校1年もやがて終わろうとしているこの季節、街のランドマークで1つ上の先輩から告白された。春に一目惚れし、ずっと機会を伺っていたそうだ。
でも全然話した事もないならお断りした。
翌年も、また翌年も言われた。年に一度だけの告白。好きなら好きでもっと短いスパンで言って欲しかったが、話す機会があっても告白はない。
大学に進学しても相変わらず年に一度だけ。ここまでくると相手にも関心をもつのでお付き合いをした。大学2年の冬だった。
それからも年に一度、必ず愛の言葉を私に言う。
社会人になってもずっと恋人同士だった。すっかり情が移り、離れがたくなった。25歳の冬。すっかり寂れてしまった街のランドマークに行こうと言われた。
ランドマークには何にもないけど、大きな赤い橋が掛かっていて、秋には紅葉が映える美しい場所だ。待ち合わせにもぴったりの落ち着いた場所。2人で寒空を歩いていると、ピタと彼が歩みを止めた。
「覚えてる?10年前にここで俺が告白してフラれたの」
「覚えてる。全然知らない人だったから断ったのよね」
「…俺は10年間ずっと君だけが好きなんだ。今も変わらない」
「うん」
「これから先も君だけを愛するよ。君とずっと一緒にいたい。毎年冬にここに来たい」
「うん」
「結婚しよう」
「うん…っ」
「この場所で」
この場所で
私が中学生の頃、普通級と支援学級の環境が
嫌で不登校になった。
高校生では理由はなく中学校に行ったが、
過呼吸になってしまい、その場から逃げてしまう。
最近なぜか、行かないといけないと思うようになる。
当時の先生がいるかどうかは分からないけど、
中学校に行ってみようかな…。
2019.11.25.
病に倒れた貴方は私を待っていました。
貴方を失う事は哀しみと同等すると思っていた。
一生懸命に呼吸をする貴方とハグをした。
キスをした。
行為を繰り返す度貴方を失う事の恐怖に涙流した。
然し、時は私の思いなんぞ知らん振りで
貴方を死へと進ませた。
貴方は私の帰りを待って、顔を合わせて、
私が貴方の頬を包んだと同時に
さよならと言うように逝ってしまった。
哀しみに暮れた、はずだった。
でも、けれど、私は、貴方の体温が無くなる瞬間、貴方の瞳孔が開いていく数秒、硬くなる数分その時まで貴方に触れていた。
あぁ。ごめんなさい。
死する貴方が美しすぎて
死したからこそ出来る力で抱き締めた。
未だ尚
死後貴方を抱き締めた感覚を思い出してしまいます。
今も。貴方を埋めたこの場所で。
--《この場所で》
『この場所で』
職場と自宅を行き来するだけの毎日。
この場所で、スマホを通して、わたしは世界を見る。
小さな世界。碧い世界。拙い世界。迷いの世界。
輝く世界。静寂な世界。文字の世界。
いつもの、この場所で。
このアプリで、わたしの知らない世界を見る。
この場所で
またいつか このメンバーで、
この場所でまた会いましょう!
『この場所で』
この場所で
生きる
覚悟を
桜咲く
花の時期に
持とう
寒くも暑くもない、普通じゃないこの場所で、私は今日も迷子。
ここにいて、何をするか。
休憩?
何がしたいんだろう?
取り敢えず、勉強? でも何をしたらいいか判らない。
何をしたらいいかわからないまま、今日も生きている。ここから動きたいのかもわからないまま。
私の未来は迷子だ。
失ってから必要だと気づくこと
失ってから必要ないと気づくこと
人はそのときの気持ちに左右される
実に愚かだが、
それがまた美しいと感じる
生きた証だから
だから
きっと
傷も
恐怖も
生きた証だ
とても正常とは思えないほどの
得体の知れない恐怖
誰よりも
誰よりも
努力してきたはずなのに
なぜ報われないのか
なんでも人一倍やればいいわけじゃない
工夫ひとつで変わるはずだ
気持ちの整え方も
人との話し方も
変わろうと決断できれば
変われるはずなのに
どうして、
あいつの、
笑い方も
話し方も
声も
忘れたくも忘れられない
前に進めない
時間が止まったみたいだ
実に愚か
俺はいつまでも変われない
でも、
いつか、
また、
この場所で
お前とふたりで
笑い合えるように
変わりたい
今、この場所でできることがたくさんある。
自分をしっかり見つめ直すこと。
取り戻すこと。
家族を大切にすること。
思いやりをしっかり表現すること。
見返りを求めない、誰かの助けを選ぶこと。
いつか返す。
今、世界で苦しんでいる人や事柄が
たくさんあること。
何が出来るのか、どう動くのか、、
助けて貰ったぶん以上に助けたい。
何が正しいかなんて分からない。
今、自分に勇気無いなって考えてる時間が
1歩進んでるのかもしれない。
今は自分を信じて石の足を前に出している途中。
自分の為、家族のため、未来のため、世界の為。
難しい。
でっかい事言ってしまったけど、
目標としての到達点にしたい。
今しかないから。
「この場所で」
私がどんなことを日々思っているか
確認できた。
意外にもポジティブ思考が多かった。
気づかせてくれてありがとう。
この場所で語りたい物語があるんだ。だからどうか、少し時間をくれないか。
……なに、よくある与太話だよ。君にとっては重要でも何でもない、路傍の石と何ら変わらない話さ。でもね、私にとっては、とてもとても重要な話なんだ。
明日を憂いたことはあるかい? 昨日を嘆いたことは? 今日の実在を疑うことは? ない? それは幸せなことだよ。うん、羨ましい限りだ。
私の昨日はないと言ったら、君は信じるかい。まあ、そうだろうね。うん、私だって当事者じゃなければ、一笑に付すだろうよ。でもね、私の昨日はない。世界の今日のために、跡形も無くなってしまったんだ。
だからなんだって? そりゃそうだ。君には他人事なんだもんな。それでいいのさ。それが、……私のやるべきことだった。
時間をどうもありがとう。話せてよかったよ、明日会うはずだった昨日の君。今日がいい日でありますように。
クラス替えから一年。友達と離れて、担任の先生も変わってしまって、当時、私は孤独だった。今も、一人でいることが多い。ただ、もう孤独ではない。恋をしたのだ。斜め前に座っているあの子に。6組になりたかった私、今では4組しか考えられない。あの子がいる、この4組だから。
・この場所で
これは思い出
あなたと巡り合えた場所
大切な場所
最後に、
後悔したくないから
一瞬だけ、時間をください
君が私にホントの気持ちを伝えてくれたあの場所。
雪が降ってたから、Pコートを羽織って、ホッカイロを貼って、スマホをポケットに入れて。
念入りに家の点検をして、大丈夫だから外に出る
ぴゅうぴゅう北風が吹いていて、少し身を屈ませつつもあの場所に向かう
そこは神社の裏側で、一つベンチがあるだけ。
だけど、そこで見る星空はとても綺麗だった。
私はそこに着いた。スマホをポケットから取り出して、時間を確認する。
9時か。
空はもう暗く、電灯の明かりとか、家の明かり以外の光がなくて、少し怖い
私はここで流星群を見たかったから、裏側に向かうと、先客がいた。
私はサッと体を隠した。顔をひょこっと出してその人を見る。
見覚えのある人だった。
ダウンコートにマフラーという厚着で座っているのは、彼だった。
話しかけに行きたかった。だけど無理だった。
勇気が出なかった。
いつもだったら、出るのだけど。
今日はいつもと違くて、一人で歌を歌っていた。
上手とも、下手とも言えない歌声。だけどその歌声はどこか心地よい。
私は気づいた。
これは、失恋系の曲じゃないか?物悲しい歌詞を君は口ずさんでいる。
ラスサビ前に、流星群が流れ始める。
上を向く。綺麗だ。神秘的な、そんな光景が目に浮かんだと思ったら、
君の歌声が、震えているのが分かった。途中途中、途切れてる歌を聴いて、
私は溢れる感情を抑えられなくなって、君の方に向かって言う。
「君は、その曲の歌詞に泣いてるのか、その歌詞に、自分の体験を照らし合わせて泣いてるのか、
私には到底─」
と言いかけた時だった。君は私の言葉を遮って言う。
「海暗はもう、俺の事嫌い、なんだろ?」
君は、声を震わせながら、途切れさせながら言う
「どうして、そうなるの。」
「だって、だって海暗は、あの時、俺の傍から離れてっただろ、
それで、そこからもう俺の事嫌いになっちゃったのかなって思って。」
私は声を少し抑えて、言う
「嫌い?私は君に対してそんな感情、持ったこともない。感じたこともない。
なんでかって?君がこの場所で、私に気持ちをぶつけてくれたから。その時からずっと、君のことが好きだ。
だから、次は私の番だ。」
「君を、死ぬまで愛す。ここで誓うよ。君を絶対に幸せにしてやるって。」
君は私がこの事を言い終えた後、抱きついてきた。
「ありがとう。本当に。」
私たちにとってこの場所は、本当に特別なものに、なるだろう。
この場所で私は、君の愛を誓ったんだ。
─この場所で─
今日ここでごはんを食べた。
今日ここでスマホゲームをした。
今日ここでメイクをした。
今日ここで好きなアイドルが出ている音楽番組を見た。
今日ここで髪の毛を乾かした。
今日ここで詩を書いてみた。
明日もここに座るし、明後日もここに座る。
毎日同じ場所。大好き。
この場所で
木漏れ日の落ちる川に足を入れながらはしゃぎまわった小3の夏___
その日は山の上にある神社で夏祭りが行われていて、始まるのは夕方5時からだったのに、楽しみすぎて2時から近くの公園に集まったんだ。
小さな屋根の下に5人で座って、駄菓子を食べながらみんなでゲームをしたり、シール交換をしたり、飛んでいった友達の麦わら帽子と追いかけっこしたり。
あの頃に比べれば、世界は色褪せてきたけれど、記憶のなかの私達はいつまでも変わらぬまま、沢山の色で溢れた世界に目を輝かせている。
だから___
きっといつかまた、この場所で。
毎日思い出すことがある。
__それはあなたがあの思い出の場所で自殺したこと
???「じゃあね…“ホタル”」
「待って…!」
???「もう、遅いよ」
サー
風が強く吹き、あの子が消えていくのが分からない
最後まで何もできないの?
???『ホタルは十分やってくれたよ。何もできないなんて言わないで…』
「だ、れ…」
???『……君と深い関わりがある人だよ』
「深い、関わり…?」
???『うん。まあ、そういうことはおいておこうよ。僕は言いたいことがあるんだ』
「何…」
???『‘十年後また“この場所”で会おう’と、あの子からね』
「あの子…」
???『君の目の前で消えていったあの子からね』
「っ…!?“ヒメノ”…?」
???『あ、あの子そういう名前なの?知らなかった〜』
「自殺したヒメノから…?」
???『そうだよ』
ブーブー…
???『バイブレーション?あ、僕だ』
誰かからの通知?
???『……僕帰るね。また会えたら会おうか。あ、僕のことは言い出し厳禁!ま、記憶消しちゃうけどね〜』
「え…」
???『安心して?あの子の言葉は消さないから』
「そう…」
???『じゃ、ばいばーい』
………
???『僕のこと、思い出してくれたら嬉しいな…』
「…?」
今何か…ボソっと聞こえたような…?
茜色に滲んだ空はゆっくりと夜へと呑み込まれていく。鈍く響きわたる町内放送のメロディー。大きな影を蠢かしながら翔び立つ烏。カーテンの裏に隠れながらぼんやり眺めるのが私は好きだった。眠りにつくまえのホットミルクのような微睡み。緩ませてくれるこの時間が私を現実から遠ざけてくれるのだ。
私はいつからか学校に通うことが出来なくなっていた。イジメに合ったわけではない。けれど酸素のない水槽のような息苦しさに溺れながら、必死に笑って人付き合いをしていく日々は私を体から蝕んでいった。
だんだんと、ご飯を美味しいと感じられなくなった。咀嚼している間、ふらついて宙ぶらりんになったような不快感がふつふつと沸いてくる。
夜に眠れない日が続いた。部屋の角から目が離せないまま明日が来ることを考えないように固く瞼を閉じてやり過ごす。朝に起きれない日もあったし、早く起きると進んでいく時計の針を血の気を引いたように見つめてしまう。そして、玄関の前でしゃがみこむ。
あっという間に不登校へと雪崩込んいた。一歩でも外を出歩くと同級生に会ってしまうだろう。怖くて引き籠もってしまった。お母さんは呆れたような声を上げながら、保健室登校や相談室に登校することを勧めてくれたが、教室でそれを冷ややかに話のネタにして嘲笑っていたのを私は知っていた。鼓膜に張り付く、ねばついた声が私を動けなくさせていく。
機械的な軽い音楽が微かに聞こえる。お風呂の沸いたことを知らせるチャイムだ。ゆっくりと立ち上がるともう一度だけ窓枠へと肩越しに振り返る。
闇は覆い隠すように広がって、人工的な橙色がぽつぽつと浮かび上がる。呼吸をしているような夜景は、人との繋がりを私から絶ってしまったはずなのに、なぜだか恋しいと心がざわつく。
ひとりぼっちになりたかった訳ではなかった。なぜ私はあの場所で息ができなかったのだろう。けれどひとりになりたいとあの瞬間、根付いてしまった。いつか時間が私を変えてくれるのだろうか。あるいは、教室以外のもっと自然でいられる場所を見つけられたなら。呼びつけるお母さんの声に我に返って部屋を出る。焦がれたような夜を千切るように扉を閉めた。
/ この場所で