『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〈この場所で〉
朝早く母が作ってくれた弁当を自室の勉強机で食べた。
積み上げた日記帳を開く。
「2月11日
悲しき哉。自己の精神力が弱いことに気づいた。
集中力がありません。まるでドラッグでもしているようだ。
死を望むことはもう今後一切止めよう。どうせ死ねやしないのだ。死にたくても死にたくても、淡々と時が過ぎるだけ。もう受け入れよう。こんなにも苦しい世界で、私は、大嫌いな自分と共に歩み続けるのだ。人に期待されなくなって、私はとても寂しい。人に能力の低下を暗に意味されて――もちろんあの方がそんな心算で言ったのではないことくらい解っているが――とても苦しかった。
大丈夫。大丈夫だから。このまま生きていても、きっと大丈夫。好きなものが、心惹かれるものが、あるでしょう。それが無くても、それを失くしてしまっても、大丈夫。弱くたって、醜くたって、嫌われたって、大丈夫、心配ない。私だけは、私自身だけは、ずっと私の傍にいるから。大丈夫だよ。
私は、本当の意味で私を理解出来ていなくても、私の傍にいる。私が、私を支える。それなら、最強だよね。大丈夫、私がついている。ずっと、ずっと……。」
ここは、心地いい空間だ。
隣に大切な人がいる。
一緒に笑ってくれる。寄り添ってくれる。
この場所は、暖かくて大切な場所だ。
いつでも手が届くと思っていた。
いつからか、「この場所」は「あの場所」に
なっていた。
あの場所は、もう遠くにいった場所。
手を伸ばしても、もう届かない場所。
どんな思い出があったのかさえ、はっきりと
思い出せない。
あの場所で、ずっと一緒に過ごしていける
んだと思っていた。
「この場所で」
これと言って戻りたい場所とか思い出の場所とか懐かしい場所って思いつかんのだけど
いつも意識しちゃう
奇跡が起きて今この瞬間今この場所ですれ違っちゃったりしないかなあ見かけたりしないかなあって考えちゃいます
絶対いるわけないのに探しちゃったり
どんだけ会いたいんだ
会いたいなあ
会いに行けない距離じゃないけど誘うに誘えずそんな妄想膨らまして家路を急ぎます
この場所で
まったく私はダメダメだ。
夫がすごいからたもっている。
夫がいないとだめなのにね。
ごめんね。
だから今改めて誓わせてね。
愛してるよ、夫よ
夫
まったく、わかった。愛してる
死んだ桜の花弁は揺蕩う。地へ堕ちる事を拒むかのように。向けられなくなった注意をもう一度引こうとするかのように。
#1 この場所で 2023/02/11
この場所に訪れるのは、あと数回
この場所で学ぶことはもう無い
3年間、在籍していたけど
その約半分しかここには来ていない
オンライン授業になった当時は
早く起きなくていい
寝っ転がりながら授業を受けてもバレない
お菓子を食べながら授業を受けられる
良いこと尽くしだと喜んだけど
この場所を近々去る今は
もう少し長くここにいても良かったなと思わないことも無い
当たり前の日常は当たり前じゃない
日常は日常でなくなる
“今”が去ってまた新しい“今”が来る
後悔しないように生きていきたい
この場所で
この場所にずっとはいれない。
育った場所は好きだけど。
そこだけでとどまってたら、新しい場所を知らないまま。
知らないまま、人生終わるのはいやだ。
いろんな土地に住みたい。
好きなことを仕事にして、楽しく過ごせる場所を
みつけることが今の目標だ。
待ちたい 待っていたい
置いてきたことに後悔したから
ごめんね と一言言って、君の機嫌をとって
さりげなく、手を繋いで隣を歩いていきたい
何百、何千とシミュレーションしてここで待つよ
愛した君に今もなお
「愛してる」
と伝えるために
一緒に来れないとわかっていても辛かった
だから、のんびり君を待つ
#この場所で
『この場所で』
最初で最後の約束をしよう
君と出逢ったこの場所で
傍にいれたらそれでよかった
ずっと一緒にいたかった
叶わないから背中を押した
私を見捨ててほしかった
優しいあなたは悲しむでしょう
だから一つのプレゼント
最初で最後の約束をしよう
すぐに忘れてくれていい
それでもいつか私のことを
思い出してくれるなら
いつか笑ってまた会いましょう
虹のふもとのこの場所で
この場所で
僕はこの場所でずっと待ってる
君が遠くへ行ってしまっても
君は出来ればここへは来ない方がいい
ここよりもずっと遠くへ行けばいい
でも、前へ進む足が動かなくなって
明日を迎えるのが怖くなったら
後ろを振り向いて
この場所に戻ってきてもいい
僕は君が来るのを待ってなんかいない
君の背中をずっとみていたい
けど、君が坂道で転んで
その先の下りが見えなくなったら
暖かいお布団と、温かいご飯と、熱いお風呂を
用意しておくから
早く、戻ってきなさい
この場所で朝まで電話したのも
随分前になった。“好き”と言わなければ
泣かなくて済んだのかな
雪が本格的に降る2月。私は学校の屋上にいた。
冬の学校はとても寒く--それは暖房施設が整っていないからではなく、こんな真冬にトイレに入ってる最中に水を頭からかけられたからでもある。
もう死んでやりたい。
雪が静かに待っていた。ほろりほろりと地面に向かって降りていく。
私も一緒に……と、屋上の手すりに手をかけ、足もかけようとした時だった。
「ワタナベさん何してるの!?」
後ろから、最近私を気にかけてくれる、ユウカちゃんが叫んだ。
足は地面に戻す。手は手すりを掴んだまま。やけに手すりが冷たく感じた。
「あの……落ちようかなっ、て」
正直に答えると、ユウカちゃんは走ってきた。そして、辺りに渇いた音が響く。
「……い、たい……」
ぶたれた、ユウカちゃんに。
あぁ、そうか、ユウカちゃんも結局、そっち側の人間……
「そんなことしたら、僕はどうなるの!?」
「え?」
ユウカちゃんはぼろぼろと泣いていた。
「ワタナベさんは、僕の初めての……!」
ユウカちゃんは最後まで言いきれず、その場に座り込んでわんわん泣き始める。
「えっと……ユウカ、ちゃん……?」
「僕、ぼ、くは、ワタナベさんのっことが、好きなんだ」
雪が降っているのに薄日がさしていた。
えぐえぐとユウカちゃんは泣いているが、聞き間違えじゃなければ……
「でも、私たち、女の子同士だよ?」
「だから、だめ……? だから、今までっ隠して、て……」
私はしゃがみこんで、泣きじゃくった彼女を抱きしめた。濡れた制服に濡れた頬があたる。
学校なんて嫌いだ、いじめられるから。
でも、この場所で、新しい物語が始まった瞬間。
「ありがとう。私もユウカちゃん、好き」
【この場所で】
※【Kiss】の続き(時系列的には過去話)
この場所で立ち止まってもいい
この場所じゃなきゃいけないなんてない
この場所でも出来ることがある
この場所だからこそ出来る事もある
この場所から離れても
この場所から逃げ出しても
この場所に踏みとどまっても
自分で悩んで
自分で決める
自分で選択することに意味がある
それが例え間違っていても
選んで決めて進んだからこそ見えた景色で
それはあなたの生きてきた道の1ページ
今日は必ず過去になる
幸せを決めるのは人ではなくて自分だから
せめて自分だけは自分に優しく労わって慰めて励まして
明日この場所からどうするか
それはあなただけのもの
『この場所で息をする』
私の心が疼く時 言葉はなぜか降り積もる 積雪を掻き分けて適切な何かを探す 再びあなたに逢えたなら
私は何を伝えよう 言葉はナイフ刺し違う事が怖くって 散弾銃のように喚き散らしてしまうのだ そんな時にも月はきれいで 夜はこの星がつぶらなことを教えてくれる だからその場所からそっと離れてこの場所で息をしよう 深く深くできるだけ裸になるように
場所。それぞれに色んな思いがあり、もう一度行きたい場所、もう二度と行きたくない場所。行ってみたい場所などがある。ですが自分がお話するのは、「居場所」についてです。
みなさんには自分の居場所はちゃんとありますか?
居心地の良い場所。落ち着く・安らぐ。
私にはそんな居場所はありません。10年以上前に親父が他界し、実家は取り壊しました。私の生まれ育った居場所は無くなりました。
付き合っていた彼女とは何回か引っ越し後、マイホームを購入しました。ですが、自分の家なのに帰りたいって気持ちがありませんでした。家ではバイキン扱いをされ、家に居たくない。帰りたくない気持ちが強かった。
だから私は家を出ました。自分のちゃんと居たい居場所を求めるために。
職場も同じです。
コロナの影響で以前務めてたセンターは閉鎖。
別の拠点に異動となりました。新天地では早く業務になれ、みんなに名前を覚えてもらおうと必死に取り組みました。1人1人と会話し、コミュニケーションを取る。そうやってみんな名前を覚えてくれ、異動前のセンターみたいに凄く居心地が良かった。
でもそう長くは続きませんでした。今現在、今の職場が凄く窮屈に感じる。
でも私は諦めません。昔、先輩に言われました。
「自分の居場所は自分で作る」
自分の居場所の家庭は作れませんでしたが、自分の居場所のある職場。これは諦めずに探します。
だってほしいですから。居心地の良い居場所を・・・
この場所でいつか合格発表したいもんだよ
#この場所で
この場所でまた貴女と会えたらどれだけ幸せだろう。貴方はもうこの場所に来ない。それくらいのことは分かっている。それでもまた貴女に会いたいんだ。だから何日でも何年でも待ち続ける貴女がこの場所にまた来たときに久しぶりと言えるように。
この場所で____
「くさーい」
「え?」
びっくりするぐらい拍子抜けした声が出た。その言葉は、私の左隣から聞こえた。まさみだ。
「きもーいww」
続けて言ったのは右隣にいる親友だった。次はしっかり聞き取ることができた。
「ちょと、!聞こえるわ!笑」
と笑いながらなんとか声を出す。
「くさいくさいくさいwww」
そう、二人が早口で笑いながら、通り過ぎた先生の後ろ姿をチラチラ見て話す。その間に挟まれた私は驚きでどうすればいいかわからず「あんたら、強すぎるわw」と誤魔化した。これは、絶対に聞こえている。なんなら、わざわざ目の前に来てから言っていた。
二人はとても似ている。おそらくこのクラスで二人が一番強くて陽キャだ。なぜそんな二人に私が囲まれているのかは謎だが。
通りすがりに悪口を言う。
普通ならこんなの普通なのだろうか。
人前で悪口を言う。
それがおかしいと思う私はおかしいのだろうか。
テーマ:この場所で #91
「またこの場所で会おうね」
「うん…。約束だから!」
まいちゃんは可愛くて、同じ女の子の私でも勝てない。そんなまいちゃんは優しくてみんなからも好かれている。私もそんなまいちゃんが大好きだった。
ちっちゃい頃から隣りに住んでいたまいちゃんとは、いわゆる幼馴染だった。私はまいちゃんみたいに優しい子と仲良くいられることが嬉しかった。
そんなまいちゃんが引っ越したのは幼稚園を卒園するときだった。母曰く、暇さえあればまいちゃんの所へ遊びに行くような子だったらしい。
そんなまいちゃんと離れる時、私はわんわん泣いていたらしい。まぁ、幼稚園生だったら分からなくもないが…。
「そういえば…まいちゃん、帰ってきたってね」
「え…? そうなの?」
私は母の言葉に素早く反応した。まいちゃんとは文通をしている。姿は覚えていないが、まいちゃんと手紙でやり取りしているときは楽しくてたまらない。
手紙を通してする会話はできたとしても、もしまいちゃんと会ったとして話せるだろうか…。話すとしても、何を話せばいいのだろう…。
「あれ? 言っていなかったっけ? 今日来るって言っていたけど…」
「え!? 今日!??」
私は声が裏返る。なにそれ! 私なんにも準備していないよ? 出かけることになったらどうしよう…。あぁ、心の準備も……なんて考えていると
ーーピーンポーン
インターフォンがなる。まさか……。
そのまさかだった。
母が
「あら、まいちゃん」
そう言って玄関の方へ行く。わ、どうしよう…。私なんにもして無い…。
「え? 舞桜(まお)? いるわよ? 舞桜〜?」
玄関の方から、私の名前を呼ぶ母の声が聞こえる。
あぁ…まだ心の準備が。
私はリビングでソワソワしているとドアが開く。私は咄嗟に背を向ける。
「も〜。舞桜? 呼んでいるでしょう? まいちゃんが会いたがっているわよ」
「まぁまぁ…」
そう言って聞こえてきたのはなんだか低い声だった。
「舞桜ちゃん?」
後ろから呼ばれる。なんだろう。私が想像しているよりずっと低い声…。
私は振り向いた。そこには背がスラッとした細身の綺麗な美男子が立っていた。え…、誰?
そう思って呆然としていると
「あぁ…舞桜ちゃん。変わってない!! 会いたかった!!」
気がつくとその人に抱きしめられていた。
「は…」
私は固まってしまった。
なに、なに、なに? 何が起こっているの? え、誰?
私は頭が混乱していた。母がフフフと笑う。
「大きくなったわね、まいちゃん」
「舞桜ちゃんのお母さん。その呼び方、すごく懐かしいですね。そう言えば舞桜ちゃんも、文通で僕のことそう呼ぶよね」
「え…? まい、ちゃん?」
「え…? そうだけど…?」
私は眼の前にある美形の顔を見つめる。
これは、一体どういうコト…?
「もしかして…舞桜。まいちゃんって女の子だと思っていた?」
「え? 違うの…?」
「僕、男だけど…?」
それは見ればわかる。何? この人、天然なの?
じゃなくて。まいちゃん=男の人?
「あぁ、そっか。僕ちっちゃい頃、両親に女の子みたいな格好させられていたから…」
「あぁ、そうね! それが原因かも」
まいちゃん? と母は打ち解けているがなんだろう。この不思議な空気感。何も不思議じゃないの? 私が変なだけ?
「あれ? 舞桜ちゃーん?」
「え? 本当にまいちゃん?」
「うん」
「私の幼馴染の」
「うん」
「文通やっている?」
「うん」
「女の子の?」
「ううん?」
え…?
「あ、証拠。別れるときに公園の桜の下で言った言葉言おうか?」
そう言えば、そうだ。私とまいちゃん別れるときに…。
「『またこの場所で会おうね』」
「……!」
私は頭の中でそのセリフが過去のまいちゃんのセリフに重なる。そして気がつく。この人は本当にまいちゃんなんだって。
この場所で
生きている
違う所に居たことも
あるけれど
戻ってきたのは
やはりここが
落ち着く場所だから
どこにいても
ここが帰る場所