『きっと明日も』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【きっと明日も】
「―――めっちゃ笑ってるけどどうした?」
「いやこいつ、いっつも笑ってるよ」
そう?さすがにいつもではないでしょ笑
「いやいつも笑ってるよ――――」
毎日が楽しいから自然と笑える。
"そういう奴"だから楽しそう。
そう思われるように、そう思うように、
毎日を楽しく飾ってきた。
面白く、楽しく、おかしく、自分らしく。
楽しそうな所をみて、楽しそうな顔を見て
私も楽しくて、嬉しくて笑う。
苦しいこともあるけど、それも楽しく飾って
笑えるように。
どんなに飾っても笑えない時があるかもしれない。
真剣な時、哀しい時、寂しい時、
笑えないくらい苦しい時。
そんな時は笑わずにその時に集中すればいい。
でも無理に笑いたいなら笑えばいい。
でもそんな時は笑えない。
だからその時に集中して、終わったら笑えばいい。
『 』
でもさ、そんなこと出来たら今でも笑ってるよね
集中できる時なんてないし笑えない時なんてないから
きっと明日も苦しい、終わりなんてない。
でも笑うんだ
苦しくても、飾れば毎日楽しいから。
――――――――――飾って笑って、苦しくて。
"ガボッゴポッ''
毎日溺れているようで
息が苦しい
休みになると死んでしまったように眠る
寝ても
寝ても
眠気に襲われる
眠くない日
はきっとまだ先の話
息が透る日
【きっと明日も】
✂ーーーーーーー⚠ーーーーーー✂
嫌いな人の夢を見た
dmで怒られて
私は''関わるのやめよ''
と告げた。心臓は飛び跳ね苦しかった。
ここは現実だ、そう思ったのに
光が差し空間が明るくなった。
「現実だったら...」
夕暮れ。
お疲れ様でしたー!!と、大声が学校のグラウンドに響く。
ぞろぞろと校舎へ戻ろうとする部員たち。
それに逆らうかのように、俺は自分のグローブをもう一度はめ直す。
「あれ、戻らんの?」
声の方を向くと、同じ野球部の親友が声をかけてきていた。
『おう。大会も近いし。もうちょっとやっていくわ。』
「おぉ、さすが。エース様は違うねぇ。」
エースだなんて、とんでもない。
周りより少し野球の才能があっただけでそこまで他の部員たちと変わらない。でも、そうやって思ってくれることは正直悪い気はしなかった。
だから、それに見合うように周りよりも努力するのだ。
「まぁでも、顧問も言ってたけど体調管理しっかりな?居残り練習が原因で大会出られませんでしたってなったら、本末転倒だろ。」
『あぁ、わかってるよ。』
じゃあな。と肩に手をポンと叩いて、親友は校舎へ戻って行った。
『よっしゃ。やるか。』
気合を入れ、グローブにボールを投げ当てながら練習位置へと移動した。
ガシャンッ
フェンスに的をつけ、そこに目掛けてボールを投げる。
真ん中寄りに当たればいい方だが、今日はうまく当たらない。
『くっそ。調子悪いかなぁ。』
投げる方の手のひらとにらめっこしていると、横の方からカシャ……と音がした。
誰かがフェンスに体重をかけるか、掴んでる音。
目線だけそちらに向けると、人影が見える。
黒髪でボブカットの大人しめの女生徒がいた。
やはり、今日も来ていたか。
ここ数日、居残り練習していると視線を感じる。部活がある日はほぼ毎日。
いつも彼女がこっそり見学をしているのだ。
最初は野球部に興味があるのかと見ていたが、どうやら違うらしい。
普段の部活中には彼女の姿は見かけない。
俺が自主練をしている時にだけ、現れるのだ。
自意識過剰かもしれないが、俺目当てで見学に来ているようだった。
今までは特に気にせずスルーしていたが、そう気づいてしまうと少し緊張というか、気になってきてしまう。
首だけ女生徒の方を向いてみた。
すると気づかれたと思ったのか、明らかに動揺した様子でガシャガシャとフェンスの音を立てながら、わたわたしている。
こっそり見ようとしていただろうから、慌てたのだろう。
そんな姿が愛らしく思えた。
そう、正直彼女に会うために練習しているのもあったのだ。
少しピリッと、しかしどこか温かい時間が流れた。
声をかけようと息を吸ったその時、
「おーい!!まだ練習しとんのか!!」
顧問の先生が声をかけて走ってきた。
女生徒はビクッと驚いて走り去ってしまった。
ガックリしながらも、やってきた顧問の方に顔を向ける。
『うっす。でももう片付けます。』
「あんまり無理すんなよ」
それだけ言うと校舎に戻っていった。
振り返ると、もうそこには女生徒の姿もなかった。
どうやら帰ってしまったみたいだ。
少し残念なような、とはいえ話しかけたとしても何を話したらいいかとなるので、逆に良かったかもしれない。
グローブを外し、片付けの準備をする。
明日も部活はある、俺はまた居残り練習をしよう。
そしたら。
きっと明日も彼女に会えるだろう。
#きっと明日も
気がつけば暗い森の中にいた
静粛ばかりが騒がしい、無音が鳴く宵の森。
『此処は一体…』
そんな中で目を覚ました男は、目の前の光景に戸惑いながらも立ち上がる。
彼は服についた土や枯れ葉をパッパッと両手で払い落とすとぐるりと周りを見回す。
…周りには誰も居ない。あるのは闇に染まった紅い木の葉と果てしなく続く闇だけだ。
彼は一呼吸置くと大きく息を吸い、大声を上げる
『誰かいるかー!!!!』
誰かいるかー!!誰か…るかー 誰か…
彼の声は木々の間をすり抜け、闇へ木霊する。
勿論、返事などは帰って来ない。
彼は己しかいないという孤独感、そしてどうすれば良いのだろうという焦りに刈られ、もう一度声を上げようと大きく息を吸い込む、そして声を上げようとした瞬間。
チリン ドン シャン…チリン ドン シャン…
小さくも、何処からか鳴る祭囃子の音が耳に入りバッと周りを見回す。
(…とうとう幻聴が聞こえる位に頭がイカれちまったのか…?)
そう思いながら彼は聞こえてくる祭囃子の音を頼りに、果てしなく続く周りの闇を凝視する。すると木々の隙間からかなり遠くだが明るく照らされている場所があることに気付く。
彼はおそらく明るいであろう所を見つけるとホッと胸を撫で下ろすと同時に全身の力が抜けていくのを感じた。
(良かった、彼処に明かりがある。明かりがあるって事は人が居る証拠だろう。とにかくこんな暗い森の中から出たい。それに此処が何処なのか現在地も把握しなけりゃあな。)
そう思いながら彼は小さく照らされている場所へと足を勧めた。
ザッ…ザッ…と自身が踏んでいる枯れ葉と土の音を聞きながらどんどん足を勧めていくと同時に目的の場所は明るさを強めていく。
彼処から見た場所はもう目前だ。
彼は好奇心と緊張感を胸に抱き、徐々に強まる明かりに目を細めながら足を進めた。
…森を抜けた。少しの間は目が明かるさに慣れなくて開ける事が出来なかったがそれも徐々に慣れ、いざ目を開けて前を見てみると異様な光景が彼の目に飛び込んできた。
其れはまさに百鬼夜行であった。
宙を舞う無数の灯籠達。
何処からか聞こえる琴の音、太鼓の音、笛の音。
そして楽しそうに笑いながら右へ左へ流れる魑魅魍魎達。
ふわりふわり宙を踊る灯籠の下で歩いている妖怪達は、皆誰一人として悲しそうな顔をしている者はいなかった。皆笑顔で他の妖怪達と口々に話を交わせながら、足を運んでいた。
彼が目の前の現実離れした光景を目の当たりにして呆気にとられていた其の時、不意に横から誰かに声を掛けられた。彼は声を掛けられた方向へ顔を向けると、其処には狐の尻尾と耳を生やし黄色い目と白い髪を持ち紅い着物を着た男性が立っていた。狐の尻尾と耳を持った男は口を開く。
『汝、吾等が見えゆるか』
驚きで言葉も出ない。静かに頷く。
『汝、人間か』
また静かに頷く。狐の尻尾と耳を持った男はゆっくりと頷きながら口を開く。
『そうか、そうか。今宵は吾等妖達の祭りだ。
今宵ばかしは人間も吾等妖達も関係無く、皆で楽しもうではまいか。我等と共に一夜限りの泡沫に酔おう、さ、共に。』
狐の尻尾と耳を持った男は混乱する彼の腕を問答無用でがしりと掴むと、右へ左へ流れる魑魅魍魎達の中へ引っ張っていく。
彼はえ…チョッ?!!と声を上げながらも男に引っ張られながら共に魑魅魍魎達の中へ入っていったのだった。
誘いに身を任せる。
何処からか鳴る琴の音、笛の音、太鼓の音。
彼は狐の男と周りの妖達と共に笑顔で、楽しく、調子を合わせながら踊る、踊る、踊る。
踏み込んでしまったのか、其れ共いざなわれたのか、其れはもう最早どうでも良い事だった。
どうせもう戻ること出来ないのなら、このまま化かされてしまえば良い。
人も、人ならざる者も、この明るく昏い陽気に酔いながら己が飽くまで舞い踊ろうではないか。
醒めぬ夜が明けるまで。
そうして彼は妖達の祭りに溶けていったのだった
…ピピヒッピピピッ ピピピッピピピッ
アラームの音で目が覚める。
カーテンの隙間からは太陽の光が漏れ出ている。
『…嗚呼、もう朝か』
朝は嫌だなぁ、まだまだあの祭りに酔い知れていたかったのに。
片方の手で枕を整え、もう片方の手で毛布を引っ張る。
きっとまた見れる次の宵の夢までもう一眠り。
【きっと明日訪れる妖の祭りまで】
【きっと明日も】
幸せな家庭。優しい両親。美味しい料理。
楽しい生活。面白い友達。〇〇〇い先生。(ピー音)
きっと明日も楽しい毎日が過ごせるのだろう。
幸せな家庭。優しい両親。美味しい料理。
楽しい生活。面白い友達。〇〇〇い先生。(ピー音)
優雅で楽しい日常。 毎日が輝いている。
だったはずなのに......
不幸な家庭。恐い両親。不味い料理。
苦しい生活。虐める友達。ウザイ先生。
地獄で苦しい日常。 毎日がどす黒い。
おかしいよ... 何でこうなったの?
私はどうしてこうも急変したのか調べた。
すると恐ろしいことが判明した。
「お父さん。2年前に交通事故で逮捕されてる...」
うそっ......!じゃあここにいるのは......!
「それだけじゃない。お母さんは刺殺してる!」
どうなってるの......!
「知っては行けないことを知ったようだな。」
嬉しい。
私。開放されたんだ。
天国のお母さんに会える。
良かった。
「えっ
私。地獄行き?」
聞き間違えかと思った。
何も悪いことしてないのに。何で?
「何でですか! 私何も悪いことしてないです!」
すると閻魔っぽい人が苦笑いで言った。
「そう言われても......
君。母親殺してるでしょ」
きっと明日も
約束はしないよ
明日も生きてるか分からないから
「きっと明日も」
大体いつもと同じことの繰り返しで。
ファンタジーのようにある日突然へんてこなことが起きることはなくて。
楽しいことも繰り返し起きるし、悲しいことも繰り返し起きるのだろう。
明日も、明後日も、そしてこれからも、
きっと、ずっといつもの生活を繰り返して行くだけ。
いちど途切れると、もうどうでも良くなってしまう
ここ二、三日、書きたいお題が続いていた
なのに、アプリを開くことすら出来なかった
今日も書けなかった……
きっと明日も開かずに一日が過ぎるのだろう
『きっと明日も』2023,10,01
努力は必ず報われると誰かは言う
けれど私はそんな言葉とは無縁で生きてきた。
人より早く物事を始めたって、人より沢山努力をしたって、それが報われるどころか寧ろ努力すら無かった事になっている気がする。
その度にあれは綺麗事なのだと思ってしまう。
成功している人だけが努力していると言われればそうなのかもしれない。
けれど私だってそっち側の人間になりたくて不器用なりに生きているのだ。
"きっと明日も"、明後日も、下手したら一年後も
そうやって嘆いているだろう
努力は大抵報われないし、大抵裏切る。
でも頑張ったなって思えた時は大体努力していて
そんな自分が見たいから今日も頑張ろうって思う。
不器用でばかまじめな私達に、今日もサチアレ
きっと明日も不幸せ
今日がこんなに不幸なら 明日は倍に不幸なんじゃないかって
考え込む事がある
でもそんなことなくて 何時もとあまり変わらない 日々があるはずだから
きっと明日は幸せ
ある日、君は記憶障害に陥った。
記憶を司る前頭葉に異常が見つかり、以降、君は記憶を翌日まで持ち越すのが難しくなったのだ。
どんなに楽しいことがあっても、悲しいことがあっても。次の日になれば記憶から消えている。
きっと明日も、義親も、友人も、恋人も、今日あった出来事もキレイサッパリ忘れてしまっているだろう。このまま悪化の一途を辿れば、自分が誰なのかですらあやふやになるかもしれない。
だからこそ、ぼくは君にもっとより素敵な日々を提供できたらと思う。
日常に見え隠れする、ほんのささやかな優しいものを。終わってしまうのが悔しくて、どうしようもなく切なくなるものを。
──そんな日々を、君にプレゼントしたい。
ぼくが君を忘れるその日まで。
君にぼくの記憶を移植する、その日まで。
▶きっと明日も #21
きっと明日も
「また明日」
そう言って夕方に手を振った友達とは、もう二度と会えなかった。
そんな明日があるなんて、想像もしてなかったんだ。
あの時何かできたのか、何度考えても答えはなくて、せめてとても大切だったと一言伝えたかった。
――きっと明日も。
そんなの誰にもわからない。今日と同じ明日が来る保証なんてどこにもない。
そのことを思い知った十七の秋。
#43
きっと明日も会えるから
そうやって、伝えなかった思いがいくつあっただろう
明日が揺らいで初めて知った
君との時間が有限であること
もう僕は、間違えない
(きっと明日も)
きっと明日もいい日になるよ。
何てたって君の側には、いつだって私がいるんだもの。
だから、ほら。前を見て。
大丈夫。
ほんのちょっとの失敗くらい、一緒に笑い飛ばしてあげるから。
【きっと明日も】
明日また来るからね、欲しい物持って来るから頑張って
面会の終わりにベッドの上で力なく手を振る患者さん
今日明日って事はないですよね?
正直なんとも言えないです。会わせたい人いますか?
妹に会わせたいんです。明日まで出張で来れなくて。
次の日出勤するとそこのベッドは空だった。
きっと明日もの願いは届かなかった。
最期のお化粧した顔凄い穏やかで綺麗だったよ
同僚のその一言がせめてもの救いだった
ホットケーキにクリームをたっぷりかけた。
その上にカラフルなチョコスプレーをかけると、
息を呑んでいたみんなから、小さな歓声があがった。
薄い布を隔てて、虫の声と夜風が入る。
私達は表情で、めいいっぱい感想を表した。
お腹いっぱいになったら、
外へ出て空を見上げながら歩いた。
星がいくつも流れた。
きっと明日も、楽しくなるんだろう。
パンパンのふくらはぎと靴擦れまでも、
楽しいんだから。
#きっと明日も
きっと明日も…
なんて私が望んではいけない。
そう思い込んでいた時に君と出会った。
私に向けられる笑顔は
真っ直ぐな目をしていて惹き込まれた…
まるで望んでも良いよって言われてるみたいに
笑顔が私を包み込んでいた。
「きっと明日も会えるかな…?」
私は自然と口にしていた。
焦った私は
「あ、いや今のは冗談冗談(汗)」
と誤魔化そうとした瞬間に
ぎゅっ♡
君に強く抱きしめられ…
えっ…♡///
「会える!てか毎日でも会いたいぐらい!」
君が満面の笑みで
私の頭をわしゃわしゃしてきて
「私は犬ぢゃなぁぁいー!」
とツッコミながらも内心ドキドキがヤバくて
心臓が飛び出すかと思った♡///
ん?これは付き合ってる…のかな?
まぁー、いっか(笑)
私も満面の笑みで君を見て
自然と手を繋いで星を眺めてた。
これからだね。
このままじゃいけないんだって、頭の中では分かっている。でも行動に移せなくて、結局今日も変わらずその場凌ぎみたいな生き方をしている。こんなぬるま湯の中にいるような日々を過ごしていて無駄じゃないのか?答えはYESだ。分かっている。それでも僕は動けない。しょせんただの臆病者なのだ。
これでは明日も明後日も、下手したら数十年先も今と変わらずの日々になるんだろうな。
「じゃ、行動にうつせば?」
「無茶言うなよ」
ソファに寝そべりながら彼女が言う。人の家だというのに随分と寛いでいるな。まぁ、今に始まったことじゃないからいいけど。でもそんな簡単に言うなよ。それが出来てりゃこんなにも思い悩んだりしないって。
「だってそれって、理由つけて逃げてるだけでしょユウちゃんは」
のほほんとしながら彼女は口を開く。ただし、言ってることはかなり攻撃的な言葉だけど。知らず知らずのうちに、その真っ当な発言が僕の胸をちくちく刺している。
「いけないと思ってるなら、自分の直感を信じてみたらいいんじゃなくて?」
「そりゃそうだけど」
「けど?」
「僕1人の問題じゃないだろ。社会の中で生きるって、集団行動を重んじないといけないんだ」
決してそんなことはない。まだ学生時分の彼女に向けた言い逃れだ。言い逃れてるという時点で、はなから僕は自信がないのだ。怖気づいている。社会というワードを盾にして現状から目を逸らそうとしている。勿論、その狡さも自覚している。
「でもさぁ、そんなんじゃユウちゃんきっと明日もそんな顔してるよ。それって、つまんなくない?」
「つまんない、とか、そーゆう問題じゃないんだよ」
「じゃあ、どーゆう問題?」
彼女はむくりと体を起こした。正面から見つめられて虚をつかれる。たかが2、3歳年が違うだけでも、彼女のほうがずっと“自分”を持っている。それも充分分かっている。何の行動も起こさないで文句だけ垂らす僕はかなりの小心者だ。やりもしないのに諦めて、悲観するなんておかしい話なんだ。
「何が足りないの?勇気?自信?決断力?」
「……全部だよ」
「全部かぁ」
彼女が少し笑って仰向く。これじゃ、どっちが歳上なのか分からないな。分かってるさ。今挙げられた3つとも、自分で手に入れなきゃ意味ないんだ。誰かから与えられた勇気や自信を振りかざしても自分のためにはならない。
「自信とか、はい、って言って簡単にあげられないけどさぁ」
おもむろに、彼女は立ち上がると僕の目の前までやって来た。
「“味方”なら、すぐあげられるよ」
はい、と。言いながら自らの右手を僕に向かって差し出す。すぐに言葉が出なかった。
「あたし、社会がどうとか分かんないし集団行動とかイミフだけど。けどユウちゃんが何か動き出そうとするなら全力で応援する。何があってもユウちゃんのサポーターする」
にっこりと、何の混じり気のない笑顔を見せながら彼女が言った。じわじわと、僕の中の奥深くに浸透してゆくのが分かる。そっか、そうだよな。1人じゃないって、こういうことなんだ。あんなに思い悩み悲観していたのが途端にバカらしくなってくる。明日もこんな顔見せたら、やっぱりお前は心配するよな。
「ごめん。……ありがとな」
「明日は笑えそ?」
「ああ」
大丈夫だ。明日は、きっと。それを全身で伝えるために、彼女をぎゅっと抱きしめた。
きっと明日も
変わらない生活
なんだろうな
もしかすると
新しい生活を見つけに行ったりして
いつも通りの朝。
気持ち程度に食卓に並ぶ小さなサンドウィッチを口に咥え、家を出ようとする。
その時、つけっぱなしのテレビからニュースが聞こえてくる。
『ーー巨大隕石により、明日で地球が滅亡することが判明しました。』
「は?」
食べていたサンドウィッチが床に落ちる。
…今日はエイプリルフールではないはずだ。
その時、扉の外から声が聞こえた。
「おーい!学校遅れるぞ〜!」
友達の声だった。
「あ、あぁ。今行く」
混乱しながらも落としてしまったサンドウィッチを皿の上に置き、冷蔵庫に入れた。
「なー昨日さ、あいつ彼女できたって言ってたろ?でも、彼女が蛙化起こして彼女から別れたんだってよ!」
「あ、へぇそう」
ニュースのことが頭から離れなかった。
「お前、今日上の空すぎんだろ。」
「うん…ごめん」
「…もしかして今日のニュースのことか?」
ちょうど考えていたことを当てられて図星だとびっくりした。
「なんで分かったんだよ」
「そりゃあ俺も地球滅亡だなんて言われたら覚えるだろ。てか1週間前くらいから報道してたぜ?」
まぁ、地球滅亡だなんてネタがあるなら1週間前…いや、1ヶ月前から報道するのもありえる。
「お前、怖いのかよ」
「…別に。」
心にもないことを言った。
本当はとても怖くて…寂しい。
明日からもう学校に行けなくなるとか。
美味しいご飯も食べられなくなったりするし。
くだらない会話でお前と笑えることもなくなる。
「あっそ」
ぐるぐると脳裏で回る考えが感情を揺さぶろうとしている。
「お前に会えなくなるのは、嫌だな」
口から零れ出た本音。
俺自身、びっくりした。
特別な関係な訳でもないただの男友達なのに。
「俺も嫌に決まってんだろ」
そいつはカラリと笑って俺の前を歩き出した。
「ほら、早く行こうぜ。マジで遅刻するぞ?」
「んじゃぁ…行くか!」
急に元気になった俺を見てあいつは「競争でもするか?」と挑発的に笑った。
「その話、ノッた!」
「おっしゃ!」
勢いよく走り出した俺達はまるでない明日に駆け出しているようだった。
きっと明日も、こんな毎日があればいいと願って。
お題:きっと明日も