海の名無し

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いつも通りの朝。
気持ち程度に食卓に並ぶ小さなサンドウィッチを口に咥え、家を出ようとする。
その時、つけっぱなしのテレビからニュースが聞こえてくる。
『ーー巨大隕石により、明日で地球が滅亡することが判明しました。』
「は?」
食べていたサンドウィッチが床に落ちる。
…今日はエイプリルフールではないはずだ。
その時、扉の外から声が聞こえた。
「おーい!学校遅れるぞ〜!」
友達の声だった。
「あ、あぁ。今行く」
混乱しながらも落としてしまったサンドウィッチを皿の上に置き、冷蔵庫に入れた。
「なー昨日さ、あいつ彼女できたって言ってたろ?でも、彼女が蛙化起こして彼女から別れたんだってよ!」
「あ、へぇそう」
ニュースのことが頭から離れなかった。
「お前、今日上の空すぎんだろ。」
「うん…ごめん」
「…もしかして今日のニュースのことか?」
ちょうど考えていたことを当てられて図星だとびっくりした。
「なんで分かったんだよ」
「そりゃあ俺も地球滅亡だなんて言われたら覚えるだろ。てか1週間前くらいから報道してたぜ?」
まぁ、地球滅亡だなんてネタがあるなら1週間前…いや、1ヶ月前から報道するのもありえる。
「お前、怖いのかよ」
「…別に。」
心にもないことを言った。
本当はとても怖くて…寂しい。
明日からもう学校に行けなくなるとか。
美味しいご飯も食べられなくなったりするし。
くだらない会話でお前と笑えることもなくなる。
「あっそ」
ぐるぐると脳裏で回る考えが感情を揺さぶろうとしている。
「お前に会えなくなるのは、嫌だな」
口から零れ出た本音。
俺自身、びっくりした。
特別な関係な訳でもないただの男友達なのに。
「俺も嫌に決まってんだろ」
そいつはカラリと笑って俺の前を歩き出した。
「ほら、早く行こうぜ。マジで遅刻するぞ?」
「んじゃぁ…行くか!」
急に元気になった俺を見てあいつは「競争でもするか?」と挑発的に笑った。
「その話、ノッた!」
「おっしゃ!」
勢いよく走り出した俺達はまるでない明日に駆け出しているようだった。
きっと明日も、こんな毎日があればいいと願って。

お題:きっと明日も

10/1/2023, 5:04:47 AM