『あなたがいたから』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたがいるから、俺は頑張れる。
この幸せをずっと守りたい。
明日はあなたの誕生日。
一番あなたが喜んでくれるものは何だろう。
悩んだ挙げ句、友人に相談することにする。
あいつなら、俺の彼女のことも知っている。
友人の家を訪ね、すべてが覆る音を聞く。
そこに、あなたがいたから。
今や世界中で知られることとなったips細胞
Dr.山中はその発見によりノーベル賞を受け、その細胞の恩恵は難病で苦しむ多くの人々を救い続けている
そのDr.山中のインタビューを見たことがある
その中で印象的だったのは、彼が相棒と敬愛するモルモットの事を語ったシーンだった
「999回の失敗を繰り返して、1000回目にようやく成功するのが研究の実態
それでも、成功するのは運が良いこと
その毎回の実験に欠かせないのはモルモットの存在
彼らの献身が無ければ僕らの研究は成り立たない
だから、僕は彼らを丁寧に弔うし、常に感謝を忘れない為にこうして僕のデスクにはモルモットのぬいぐるみを飾っていますよ」
と、そんな偉大な発見をした方からはかけ離れたイメージの、柔らかな人懐こい笑顔で語られた
幾度と繰り返された失敗の度に
「君たちがいてくれるから、頑張れるんだよ」
と、彼が手を合わせる姿を想像してこちらも目頭が熱くなった
世の中の、今や当たり前になっている進化の陰には、こうした何かの為に犠牲になり続けた存在があることを我々は忘れてはいけない
『あなたがいたから』
【あなたがいたから】
(もうすぐ始まる……)
手に汗がにじんでくる。心臓がバクバク言い出す。
ここは学校の体育館の、ステージの袖。もうすぐ、私達が立ち上げた演劇部の、初回公演が始まる。文化祭の1ステージで、観客もさっき袖から覗いた限りでは多くないけれど、でも。
「緊張、してる?」
隣で、舞台衣装に身を包んだ相方が、こっちに囁いてきた。頷くと、
「大丈夫だって。ちゃんと稽古してきたんだし、ちゃんと出来る出来る」
笑顔を向けてきた。それでも私の顔が緊張してたのか、
「おまじない」
私の汗ばんだ手をそっと包んで、
「俺の虜にしてやんよ!的な気分でいってこい」
「何それ」
つい、小さく笑ってしまう。
(あ)
緊張が、和らぐ。姿勢を正して、
「ありがと」
小さい声で礼を言った。
幕が開く合図のブザーが鳴り響く。
(いてくれて、よかった)
さあ、開幕だ。
「あなたが居たから」
挫けそうな時も
苛立って暴言を吐いたときも
自暴自棄になった時も
絶望して泣いていた時も
あなたが居たから
まだ生きたいと思えたのよ
何を悩んでいるの。
悩むより行動したほうが楽でしょう?
そんな言葉を思い出して、俺は新たな人生をスタートさせようと決断した。
早朝5時の始発電車に乗り込む。
何度かの乗り換えの後、10時くらいに君の前に立つ。
梅雨時期の息苦しさがある空気だ。
「あれ、ハラダじゃん、どうしたの?」
あなたは俺の姿に気付いた。
上京した先輩、スーツ姿で会社の受付嬢をしている、優しくて美人な俺の先輩。
「来年、俺、学校卒業するから、結婚してください!」
間髪入れずに頭を下げる
「結婚の予約! 離れたくない!」
「え、仕事中にそれ言われてもなんだけど」
俺は頭を下げたままなので、あなたの表情はわからないが、声色だけは呆れたものだった。
しばらくの沈黙の後、下げた頭をあなたはポンポンと撫でる。
「悩んでたから行動してくれたのかな? 分かったよ」
それから俺の人生は、彩りのあるものとなったのは、言うまでもない。
あなたがいたから、今の幸せな俺があるのだ。
雨が上がった空気は、汚れがなく綺麗だった。
【あなたがいたから】
@ma_su0v0
子供が嫌いだった私。
うるさい、汚い、わがまま。
そんな私が子供を授かった。
育てていけるのか不安しかなかった、
寝れない日々に慣れない育児。
虐待のニュースをみては明日は我が身と思うくらいに
思い通りにいかない毎日。
この子がいなければもっと自分の時間も心の余裕もあっただろうと涙する日も沢山あった。
それでもこの子が私の子供として生まれてきてくれたからには幸せにしたいって気持ちが勝った。
親は偉大だって教えてくれた私の子供。
自分の知っていた世界が人生がガラッと変わった。
今では子供が大好きになった。
あなたがいてくれたおかげでお母さんになれました。
ありがとう。
あなたがいたから わたしがいるよ そしてみんなもここにいる
「あなたがいたから」
あなたがいたから好きになれた。
あなたがいたから強くなれた。
あなたがいたからここまで来れた。
あなたは僕の支えです。
あなたにとって僕は支えになれていますか?
『あなたがいたから』
人生どん底の時があった。
会社の解散により
突然の失業に見舞われ
その直後に受けた国家試験は
不合格に終わった。
1年かけて準備してきたんだ。
それでも
『あなたがいたから』
もう1年
頑張ることができた。
いつもと変わらず
接してくれるあなたが
いたから•••
翌年,
試験合格を果たし
再就職もできた。
そして
あなたにプロポーズした。
『僕と結婚して下さい!』
『はい、わかりました。』
即答だった。
業務連絡じゃないんだけど••••。
いつもと変わらず
あなたは佇んでいた。
そういうあなたが
今でも大好きなんだ。
お題『あなたがいたから』
俺の主である第三王子がこのたび即位することになった。戴冠式で国民たちが浮き立ち、お祝いムードの中、俺は周囲から目を離すことはなかった。
いつ命を狙われてもおかしくない。第一王子は、幼い頃病で亡くなり、第二王子は護衛のすきを狙った凄腕の弓使いに毒矢でやられた。
だから油断できないのだ。
城内の一室に戻り、俺達護衛は退場しようとする。が、俺だけ王に呼び止められた。
俺はひざまずき、頭を垂れた。王の靴が見える。普通王は大したことがない用で自ら歩み寄ったりしない。だが、王は俺の頰に手をそえると
「顔をあげろよ。ここには俺とお前の二人しかいない」
と、くだけた口調で言った。「おもてをあげよ」ではなく――俺は言われるがままに顔を上げる。前に「そんなもったいなきお言葉」と言ったら、目の前の王からお叱りが飛んできたことがあった。また、ついでに二人だけの時は敬語も禁止されている。幼い頃の王が王宮から抜け出して市井に遊びに来た頃に会った時からの友人だからだ。
平民の出であるはずの俺が護衛隊長にされてるのも、目の前のこいつのはからいだ。
「先代の王のように馬車の中にいればよかったんだ。それなのにお前と来たら、馬に乗ってパレード……まったく、護衛のこっちの身にもなって欲しい」
「いいだろ、べつに」
王は俺の前であぐらをかいた。
「そもそも顔がわかった方が国民も身近に思ってくれんだろ」
「こっちは、より神経をすり減らさないといけなくなったんだが」
「おかげで飛んできた矢がお前の剣に跳ね返された。それはもう見事だったぜ?」
「見事、じゃないだろう! まったく……」
自分の主だが、自らの立場を鼻にかけることを嫌うざっくばらんとした人柄だ。
「でも、お前がいてくれたおかげだ。俺は死なずに済んだ。ありがとな、タイチョーさん」
王は、端正な顔に血筋を裏切る粗野な笑みを浮かべて俺の肩をたたいた。
「わかった。だが、今まで以上に無茶するなよ」
「へーい」
この高すぎる身分を逆の意味でわきまえないこの無駄に美形な男に俺はため息をついた。
曇天の朝は、目覚めが鈍い。
何となく頭が重いし、体もだるい。
私の場合、天気の影響というよりも持病の影響の方が大きいのだろうけれど。
おはよう・・・ん?・・あれ?
起き上がり寝室を出る。
私より先に起きているはずの彼の返事がなく、不思議に思ってあちこち見回す。
どこにも彼の姿はない。
代わりに、置き手紙を見つけた。
"おはよう。
突然なんだが、大至急取りかかるようにという案件が回ってきた。
いつ終わるのかはわからないが、今日は帰れないと思う。遅くても明後日には帰る。
オレが帰るまで、いつも以上に体調に気をつけて過ごしてること。
いってきます。"
どうやら私が寝ているのを起こさないように、気をつかって手紙を残してくれたみたいだ。
スマホを取り出し、彼に置き手紙を読んだことと、私のことは心配せずに行ってくるように、メッセージを送った。
そして、起きる前に送られてきていた新着のメッセージの存在に気づいた。
青々と茂る草木の香りが風にのって流れてくる。その香りの中を進んでいくと、ほのかに甘い香りが混ざるようになってくる。
曇りの空の下でも、生き生きとしている草木が植えられている広い庭園の中を進んでいく。
庭園の中にはすでに多くの人が、各々の作業をしている。
その作業をしている人達の中から、メッセージの送り主の姿を見つけて声をかけた。
おぉ、おはようさん!来てくれたんだな。助かるよ。
友人のマツが、作業の手を止めて私の元へやってきた。泥で汚れた手をはらい、道具箱の中から必要な道具を選び出し、私に差し出す。
こういう植物の世話や、軽い物作りは得意だろ?できる範囲で構わない。祭りに間に合わせるために、頼むよ。
了解。それで、まずは何をしたらいい?
と、私は差し出された道具を受け取る。マツは少し離れた柵で囲まれた場所を指さした。
あそこは、飲食用・・まぁ、主にハーブティー用の作物を育てている場所なんだ。今日の分の収穫がまだ終わってないらしいから、まずはそれを手伝ってきてほしい。
それが終わったら、おれらがやってる剪定と支柱や添え木の補強、誘引を手伝ってくれ。
わかった。じゃあまずは収穫に行ってくるね。と、私は示された場所へ向かった。
通称、花祭りと呼ばれている祭りが、
近々行われる。
元は日頃からお世話になっている相手などに花を贈って感謝を伝える風習から生まれた、小さな地元の祭りだったらしい。
今でもその花で感謝を伝えるという風習はある。しかし、今ではそれに加えてフラワーアレンジメントの競技や、花を使ったハンドメイドのアクセサリーや日用雑貨の販売、それらの手作り体験会までもが行われるようになった。
また、花を使った芸術品の展示や、食べられる花やハーブを使ったスイーツや食べ物の販売もある。もちろん、個人で花を調達して祭りに参加する人達もいるのだが、祭りを主催している地域もいくつかの催しものを出すらしい。
ここはその地域が管轄している
庭園兼、花農園。
今ここでは、その花祭りのための花々の管理と収穫、加工などの作業が行われていた。
マツは長年この時期になると、主に花を管理する作業を請け負っている。
しかしマツ曰く、近頃の花祭りの準備には昔よりもいろんな花や、その花を加工したものが必要でとても忙しくなったとのこと。
そこそこ有名で大きな祭りで、地域外からも祭りに訪れる人は多い。そのため、この時期この場所は作業に追われている。
今回、その作業を手伝ってほしいと、マツに頼まれたのだ。
ハーブの畑に行くと、すでに何人かの人が作業していた。私もその中に混ざり、作業を行う。
私はこの作業は初めてではない。
だから、教えてもらわなくてもすぐにできるのだが、すぐ隣で、どれが収穫すべきものなのかわからずに迷っている人がいた。
あのー、どの葉を摘めばいいのかわかります?私、今日初めて来て・・わからなくて。
あぁ、初めてならわからないですよね。
私もそうでした。こっちが未熟で、こっちが成熟している葉です。根本の色が、成熟すると濃くなるんです。この色はまだ未熟な色なんですよ。見本にこれを持って、見比べながら収穫するといいですよ。
ありがとうございます。わかりやすくて、助かります!
花の香りを嗅ぎながら収穫するのは、とても気持ちがいい。曇りの空は、晴れている時より作業がしやすい。
曇りの空の気だるさは残っているものの、マツのおかげで、いい気晴らしのきっかけをもらえた。
収穫を終え、剪定作業を手伝う。
庭園としても解放しているこの場所の花々は、摘み取りもするが、その後も生き生きと咲き続けられるようにしっかりと管理が必要だ。
支え続けられるよう大きな支柱を持ち上げて、押さえる。
その支柱と別の支柱を、マツが麻紐で縛りつけて、大きな花の木を支える。
いやぁ、助かるよ。これをやるのはなかなか大変なんだ。お前さんがいてくれて助かった。
庭園と花農園に隣接する建物の中では、子供達が、造花を作っていた。
地域の子供達の作品として展示するためでもあり、祭りの会場の飾りつけとしても使われるものだ。
また、本来は生花を贈る風習だが、自分だけの特別な花を作って遠方の人へ贈ったりするためのものでもある。
外の作業で少し疲れた私は、飾りつけのための造花作りをしていた。すると、一人の小学生の男の子がうまく作れずに、さじを投げかけていたのが目についた。
一緒に作ろうか?と、声をかけると男の子は頷いてくれた。
何色の花がいい?
––––黒がいい!カッコいいもん!
そうだね。君だけのカッコいい花がきっとできるよ。じゃあ、どんな葉っぱがいいかな?
––––うんとね、おっきな赤い葉っぱ!
おぉ、確かに強そうでカッコいい花だね。
じゃあ、どれくらいの大きさの花かな?
–––ボクの手よりおっきいのがいい!
そんな会話をしながら作ることしばらく。
黒の花びらに赤い葉の、ひまわりのような花が出来上がった。
その独特の花は、他の子供達の目を惹きつけて、男の子はちょっとだけ上機嫌になった。
各々の子供達の独特な花を見ながら、微笑ましく見ていると、マツが休憩のついでに様子を見に来た。
あの独特のひまわりを作った男の子と少し話をしていた。
少しして、その男の子が私にピンクのコスモスのような造花を手渡してくれた。
はい!一緒に作ってくれてありがとう!ボクもピンクのお花をあげるよ!
思わぬプレゼントに驚きながらも、嬉しかった。ありがとうと受け取った。
しかし男の子の "ボクもピンクのお花をあげる" という言葉に違和感を覚えた。
ピンクの花を、この男の子以外からもらった覚えはないのに、どうして?
男の子にそのことを聞きたかったが、すぐに走り去ってしまった。
よう、おつかれさん。今日はお前さんがいてくれたおかげでいろいろ助かったと、みんな言ってたぞ。あの坊主も、カッコいい花が作れたと、ずいぶん喜んでたな。
マツが私に緑茶を手渡してくれた。
それを飲みながら他愛もない話をしていると、マツは思い出したように聞いてきた。
そういや、アイツはどうしてる?
アイツとは、彼のこと。
急な用件ができて、今朝私が起きる前に出かけたみたい。なんか二、三日帰れないかもしれないらしいよ。
と答えると、マツは納得したように
な〜るほどな。それで、その首の後ろのマークがあるわけか。きっと、その離れている間の置き土産だな。
えっ?マーク?なんのこと?
首の後ろに何かあるの?
と、首の後ろを触る。しかし、特に何も感じない。
マツは私の首の後ろをスマホで撮影し、その写真を私に見せてきた。
私はその写真を見て、恥ずかしさのあまり首の後ろを手で隠した。
写真を取り消そうとスマホに手を伸ばすも、その行動をわかりきっていたかのように、あっさりとかわされてしまった。
さっきの坊主、お前さんのこれを見てな–––
あの人、ピンクのお花をもらったんだね。誰にもらったのかなぁ?
って聞いてきたんだ。
んで、あの人がいてくれて一番嬉しく思っている人からもらった、特別な花なんだぞ。って、言ってやったんだ。
それで、"ボクもピンクのお花をあげる"って・・もうっ!何でこれがあることをもっと早く教えてくれかったの!?一日中これに気づかないで作業していたなんて・・
恥ずかしさのあまり、顔が熱くなってきた。
マツは面白そうに、かつ微笑ましそうに写真を眺めながら
言ったらお前さんはすぐ隠してしまうだろう。いやぁ、本当にお前さんがいてくれて良かったよ。この写真を眺めてたら、渋い緑茶でも甘〜い紅茶になるな。今日の晩酌はどんな酒でも甘口になりそうだ。
やめてよ!そんな悪趣味なこと!そんなことしなくていいから!さっさと消してよ!
私の抵抗すらも楽しんでいる悪趣味な友人は、しばらくの間本当に写真を消してはくれなかった。
私の首の後ろにあったピンク花。
それは彼からの、
数個のキスマークだった。
一足早い恥ずかしい花祭りの贈り物を含めて、草花の香りに囲まれながら
あなたがいたから–––と
感謝の言葉をたくさんもらえた日だった。
それからしばらくの間、マツから日頃の惚気の証だと、彼もその写真でからかわれて少し恥ずかしい思いをしたらしい。
【あなたがいたから】
もともとひとりが好きだった。
あなたは束縛もしなかったし、話も聞いてくれたし、なによりそばにいて心地いい存在だった。ただ、それでも、次第に窮屈に感じてきてしまった。飽きたわけではない。嫌いにもなっていない。
ごめん、と謝ったら、あなたは、わかった、と告げた。それがかれこれ2ヶ月前のことだ。
ふとした瞬間に、あなたならこう言うだろうな、こんな顔するだろうな、なんて考えがどんどん膨らんでいく。
なんで手を離したんだろう。全部自分のせいなのに、胸がやけに痛い。あなたのことを考えていると、夜はどんどん更けていく。
深夜3時に目が覚めて、水を飲もうと起き上がった。廊下をふらふらと歩いて、コップに水を入れる。手に飛んだしぶきを見て、無性に泣きたくなった。
もう、ひとりが怖い。あなたのせいで、ひとりでいることが恐ろしくなってしまった。同時に、あなた以外の誰かに隣に居てもらうことも、考えられなくなってしまった。自分勝手だ。エゴだ。本当に自分でも自分が嫌いになる。
過去の恋とは美化されるものらしい。人間の思考特性ゆえだとわかっていても、それでも、多分、俺はもう二度と誰かを愛せない。
あなたがいたから。
あなたがいたから…
僕は"あなた"という言葉がどうもしっくりこなくてね
何故かは分からないけど
多分、あなたという言葉は近しい存在だと思えないのかもしれない
だから僕は存在を近しく感じられるように
"君"と言う
どうかな?こっちの方が良いと思わないかい?
君がいたから僕はこうして
存在する価値がある
だから
まだここにいてもいいよね
お題『あなたがいたから』
あなたが板から転げ落ちて私の心も落ち込む。
安アパートの狭いキッチンで私は料理をする。ひとり暮らしだから自分の為だけの食事を。今夜の献立は大好きな野菜スープ。たまたま冷蔵庫に取りやすいところに置いてあった人参から切っていく。
野菜スープが好きな理由は簡単に作れる点と栄養を摂っているというなんとなくの充実感を得られるから。切って煮る。それだけでいいから好きだ。味は別に好きじゃない。
誰かのためじゃない料理って不思議だ。料理っていう人間特有の文化的なことを自分が生きる為だけにする。それって人間なのに生存だけを目的にしている動物みたいでなんだか心がひっかかる。
そんな関係ないことを考えながら切るから人参にも嫌われた。切れ味の悪い包丁から逃げるように人参の欠片がまな板から転げ落ちる。ああ、ごめん。あなたのことに集中すべきだったね。急いで拾い上げてなんとか3秒ルールには間に合った。蛇口を捻って冷水を出す。
もう充分洗えているはずの欠片を手にシンクに響く水音をぼーっと聴いている。この欠片ひとつなくたって何が変わるんだろう。βカロテンが数μg減ったところで今日の私の何が変わるんだろう。それが考えるべきことかを判断できずに感じたことが頭の中でそのまま垂れ流れる。
目標も何も無いから毎日がつまんないのかな。やっぱり仕事か恋人みたいな身を捧げられるものが必要なのかな。会社の同期は昇進したし、地元の同級生は今度子どもが産まれるらしいしそういうのが結局正解なのかな。会社の為、家族の為、誰かの為。人の為………
そうだ。私も人だ。
感情の濁流の中。ふとそう思って蛇口を閉めた。スマホでいつも気にもしなかったスープの美味しい作り方を調べる。
私は私という人間が生きる為の動物になればいい。
他の誰かの為のじゃない料理を肯定することから私の何かが始まる気がしたからそうやって大げさに自分に言い聞かせた。何かが変わって欲しい。見つけたレシピに従って普段とは違うスープを完成させた。
美味しい。口に運んだ一杯目ですぐに気付いた。人参が美味しい。いつもより舌触りがいい。せっかちな私はいつも煮る時間が足りてなかったらしい。もはや味付け以前の問題で自分の間抜けさに思わず笑った。
笑ってしまった。いつもと違うことをするといつもと違ってひとりの食事でも笑えたりするんだ。そう思いながらスープをゆっくり飲み干した。
明日は何を作ろう。私の為に。
社会人1年目
セクハラパワハラモラハラのオンパレード
サビ残当たり前休みの日も呼び出される
そんな会社に就職して
1ヶ月の研修後
翌月には死にたいと思ってた
でも死ぬ前に恋愛を一度経験してみたいなと思った
ずっと女子校で
男性に対して不信感しかなかった
3ヶ月くらい付き合えたら良いかな
そしたら諸々経験するだろう
そんな気持ちでアプリで出会って付き合った人
今ではその人が旦那になった。
『あなたがいたから』私は今生きてる
ありがとう。私はあなたが大好きです。
あ、会社はとっくに転職済みです⭐︎
あなたがいたから
両親がいたから、今の私がある
当たり前か
やはり、私には貢の存在が大きい
感謝感謝の一言に尽きない
私の為に長生きしてね!
自己中のわたしですね~
**あなたがいたから**
静寂の中で、声を探す
夜の闇に、光を求める
迷い子の心に、道を示す
あなたがいたから、私は進む
波間に揺れる舟のように
風に乗せた願いのように
見えない明日を信じて、共に
あなたがいたから、私は強くなる
季節は巡り、時は流れ
変わらぬ愛を、胸に抱いて
笑顔の裏に、涙を隠し
あなたがいたから、私は笑う
遠く離れても、心は一つ
夢の彼方で、また会う日まで
あなたの温もりを、胸に刻み
あなたがいたから、私は生きる
あなたがいたから、私は愛を知る
あなたがいたから、私は私である
永遠に響く、その名を呼び
あなたがいたから、私は歌う
あなたがいたから
うっすらと浮かびあがる
ひらがなを
いくつもの
あなたがいたから
へ
たったひとりの
あなたがいたから
ひとりぽっちの
あなたがいたから
あなたがいたから
あんなに幸せを
感じた
でも
あなたがいなくなってから
生きている
意味が無い……
あなたがいたから、私はいる。辛い時、苦しい時に話を聞いてくれてありがとう。