Ray.O@創作

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【あなたがいたから】

もともとひとりが好きだった。

あなたは束縛もしなかったし、話も聞いてくれたし、なによりそばにいて心地いい存在だった。ただ、それでも、次第に窮屈に感じてきてしまった。飽きたわけではない。嫌いにもなっていない。

ごめん、と謝ったら、あなたは、わかった、と告げた。それがかれこれ2ヶ月前のことだ。

ふとした瞬間に、あなたならこう言うだろうな、こんな顔するだろうな、なんて考えがどんどん膨らんでいく。

なんで手を離したんだろう。全部自分のせいなのに、胸がやけに痛い。あなたのことを考えていると、夜はどんどん更けていく。

深夜3時に目が覚めて、水を飲もうと起き上がった。廊下をふらふらと歩いて、コップに水を入れる。手に飛んだしぶきを見て、無性に泣きたくなった。

もう、ひとりが怖い。あなたのせいで、ひとりでいることが恐ろしくなってしまった。同時に、あなた以外の誰かに隣に居てもらうことも、考えられなくなってしまった。自分勝手だ。エゴだ。本当に自分でも自分が嫌いになる。

過去の恋とは美化されるものらしい。人間の思考特性ゆえだとわかっていても、それでも、多分、俺はもう二度と誰かを愛せない。

あなたがいたから。

6/21/2024, 12:07:14 AM