あじさい』の作文集

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あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/14/2024, 6:15:16 AM

雨の日は憂鬱だけれど、道に咲いている紫陽花は輝いて見えて、心がぱっと華やかになる気がする。
今まで、周りの環境を気にして歩いたことは無かったけれど、心に余裕を持って、周りを見渡しながら歩くと小さな発見がいくつもあるのだなと最近気づいた。そして、ちいさな幸せがいっぱい集まって心も満たされていく感じが心地よい。

6/14/2024, 5:58:06 AM

雨の匂いが 地面からする
彩度を空から吸い取って
色を放つやあじさいの群れ
____________

 何も思い付かなかった代わりに紫陽花豆知識は増えた笑
 紫陽花は中国語の漢字からなのは知ってたけど紫陽花自体はガクアジサイが日本原産で西洋で品種改良されたのが逆輸入されたのは知らなかった。日本語のあじさいの語源は集まる藍からなんだとか。
 ガクアジサイ、ヤマアジサイは盛夏まで咲くから浴衣に紫陽花柄があるし、戦前は着物で季節先取りしましょうなんて圧もあんまりなかったとか。
 土壌のpHで色が変わるのは知ってるけど土壌のアルミニウムが溶けるか否かだからなんだとか。
 紫陽花の葉に毒があることは知ってたけど、その毒成分は青酸だのアルカイドだの言われてて未だに不明、かつ場所も葉に限らず不明なのも知らなかった。
 紫陽花にまつわるおまじないの風習が各地にあることも知らなかった。紫陽花守りだの、紫陽花縁起だの。言われれば半紙に包まれぶら下げられた紫陽花見たことがあるようなないような。子沢山で働き者の蜂の巣を玄関に吊るすと縁起がいいという風習が先にあって、蜂の巣に似てる紫陽花に変わったんだそうな。
 通常挿木で増やすという紫陽花の種も風にのる小ささで興味深かったな。ツツジとかもそうだけど、意外と種を知らない園芸種って多い。
 コロナ禍で手水舎に紫陽花を浮かべることで始まった花手水は、本来、草花の露で身を清めるという別の言葉だったとかも知らなかった。
___________

紫陽花浮かべた花手水
私の心も変わるかと
水底に沈む一円玉

6/14/2024, 5:57:06 AM

じめじめした空気に
ぽっと打ち咲く
ちいさな花火

      「紫陽花」

6/14/2024, 5:46:28 AM

学校が終わり帰っている途中
誰かが家であじさいを育てているのを見た
今日はいつもとは別の道で
帰っている
いつもとは見慣れない道だ
だから自分はあじさいを育てている人を
初めて見た
家の庭にはたくさんのあじさいが咲いている

綺麗だな、

自分は紫や水色のあじさいを見ながら
小さく呟いた
それと同時に
たまにはこの道で帰ろ、
そう心の中で思ったのだ


お題_あじさい

6/14/2024, 5:45:21 AM

しとしと降る雨とじっとりした湿気にうんざりしながら夕刻で混みあうバスから降りる。

 通勤用とはいえ、気に入って買ったばかりのバッグが濡れないように胸元の方へと抱え込んで家路を急いだ。

「ただいま〜」

 ガラガラと古い玄関口の引き戸を開けて家に入る。

 ガラス戸をしっかり閉めた縁側を歩いていると、薄闇の中で真っ白な毛玉がうずくまっていたので声をかける。

「フォンちゃん、ただいま」

 フォンちゃんは、今年六歳になるペルシャ猫だ。

 どういう経緯かは知らないが、縁があってブリーダーさんから譲られてやって来た。

 フォン、と名付けたのは母だ。

 柔らかな長毛の見た目と穏やかで落ち着いた気質もあいまって、まさに上品という言葉が似合う『猫の王様』とも呼ばれる猫種だから、というのが命名の理由だそうだ。


 ……ペルシャ猫はイギリス出身らしいし、原種はアフガニスタンらしいけど……。


 そんなことを思い出していたせいか。

 フォンちゃんは名前を呼ばれても振り向きもせず、パタンパタンとモコモコの長い尻尾を床に叩きつけるように左右に振った。

「どしたの? ご機嫌斜め?」

 雨だからかなー? 湿気鬱陶しいよねーと話しかけながら傍らに座ってみたが、やっぱり振り向いてくれない。

「あら、おかえり」

 奥の部屋から母が出てきた。

「ねえ、フォンちゃん機嫌悪いんだけど」
「あぁ——シャンプーしたからね」

 母が苦笑する。

「昼間ね、フォンちゃんずっとお庭を見ていたのよ」

 母が指差す先は、ガラス戸の向こうの、小さな庭先。

 青いあじさいが綺麗に咲いている。

「雨音を聞きながらあじさいを見ているなんて優雅で風流ねと思って、少しだけれど戸を開けてあげたの」

「へぇ?」

「そしたら——急に外に飛び出して、あじさいの葉を叩いてね。びっくしりちゃったわ。
 フォンちゃんは、葉っぱにいたカタツムリを見ていたのね。もう、ガッカリ」

 お嬢様お姫様でも狩猟本能はあるのねぇ、あんなに早く動けるなんて知らなかったわと母は嘆く。

「そうだったんだ。フォンちゃん、凄いねー!」

 感嘆してそっと頬を撫でると、フォンちゃんはやっとこちらを見て、『当然でしょ』という表情をして見せた。

「凄いことないわよ。捕まえそこねてコケて、あんよも尻尾も体にまで泥つけちゃって。
 洗うしか、ないじゃない。そしたらもう怒っちゃって、これよ」

「そっかそっか。大変だったね、フォンちゃん」
「大変だったのはお母さんよ!」
「そうだね、お疲れさま」

 笑って、フォンちゃんを撫でながら労う。


 ——外は雨。

 雫に打たれても鮮やかで爽やかな風情のあじさいに、不機嫌な洋猫と母。

 何だか妙な和洋折衷さに可笑しみを感じて、鬱屈さはいつの間に消えていた。

6/14/2024, 5:38:57 AM

あじさい

徒歩通勤の途中、いろんな住宅の前を通るが、
各所の庭から、あじさいが挨拶をしてくれる。
おはようございます。
こんにちわ。
こんばんわ。
ほっとする瞬間である。
色とりどりの花が、優しく微笑みかけてくる。
そう考える自分は、この季節も好きになる。
夏が近づくが、もうしばらく微笑んでいてください。

6/14/2024, 5:31:58 AM

「あじさい」2024.06.14

通勤・退勤中に通るとある住宅街。
ほとんどの家々に紫陽花が咲いており、毎朝早い出勤に憂鬱だった私のちょっとした癒しになっていました。
最近まで白い紫陽花ばかりでしたが、昨日から色がほのかにつき始め、紫色やピンク色の紫陽花が見られるようになりました。
住宅街が少し鮮やかに見えてきたと同時に、前までほとんど咲いていた白色の紫陽花が無くなりつつあると思うと寂しくなってしまいました。
それに、紫陽花の色が少しつき始めて白色の花びらがまばらにある状態も綺麗だと思い、全部が全部同じ紫陽花になってしまうのも少し惜しいと感じてしまったのです。
色んな色の紫陽花ももちろん綺麗です。
ですが、毎朝同じ繰り返しで何か変化を求めていた私にとっては、白い紫陽花が色づき始めたことでも嬉しい変化だったので、もう無くなってしまうと思うと少し寂しくなったんだと思います。

もうしばらくすれば、今思っているこの気持ちも考える暇が無くなり、どう思っていたのかすら忘れてしまうと思ったので、また読み返せるように書き残すことにしました。

6/14/2024, 5:26:49 AM

そこだけ、真っ青なアジサイだった。

広々とした庭園の中、他の場所は紫がかっていたり、空色やピンクに白なのに。

そこだけ、目が覚めるような青。

あまり人の手も入っていないようで、木質化した太い茎が人の背丈程にまで伸びていた。

黒みがかった緑色の大きな葉、子供の頭程にまで育った花房。

曇天の下、真っ青な花房が湿気を含んだ微かな風にユラリと揺らめいて。

肥料の臭いだろうか、ツンと鼻を刺すような独特の刺激臭がした。

テーマ「あじさい」

6/14/2024, 5:17:25 AM

暑い。
兎にも角にも暑い。
まだ、6月なのに夏ですか?
それか、なにかの罰ゲームですか?

ったく、太陽さんよ。そんなにジリジリ、ギラギラ照らさなくていいから、ちょっとは雲に隠れたりしてくれないかな。

私は右手を軽く目の前にかざして空を見上げた。


再び歩き出そうとしたところ、左手に自分の体温と違う何かを感じた。
「よお」
聞き覚えのある声がした方に目を向けて、すぐに手を振り払った。
「変質者みたいな行動は控えましょう」
だれが変質者だと言いつつ、また手を重ねてくる。
「あじさいみたいな人に騙される私じゃないわよ」
「それ前も言ってたな、意味わからんけど」
私はわからなくてもいいわと言いつつ、手をふりほどいた。

あじさい、別名で七変化、花言葉は移り気。
見つけた女でコロコロ変わる、取っ替え引っ替え男に転がされるのはまっぴらよ。

お題『あじさい』

6/14/2024, 5:17:18 AM

あじさい

空港の近くにある日本庭園で
ちょうど今の時期、花まつりが開催されてて
100種類1万本の紫陽花が咲いてるんだって!
六月いっぱいまでだから、
それまでには行こうと思ってる!

にしても凄い種類と量だよね...
きっと圧巻されるんだろうな〜
いったい何色あるのでしょうか!!
数えてみるね!

ところで、さっきの何色あるのでしょうか!は
何色(なんしょく)
色の数っていう意味として使ったんだけど、
何色(なにいろ)
色の種類っていう意味もあるよね
どっちも同じ漢字だから単語だけ見ると
全く見分けがつかない👀!

前後の文も含めてやっと分かるって感じだよね〜
いったい何色があるのでしょうか!!
だと色の種類(なにいろ)のことを
言っているように見える...
"が"がついてるか否かで意味がこんなに変わるんだね

文字じゃなくて声に出して伝えると
なんしょくか、なにいろか一発で分かるね
なんで文字にしても簡単に区別できるように
漢字変えようとしなかったんだろー?
タイムスリップしなきゃわかんないね!

てことでタイムスリップして確かめたいんだけど、
やり方わかんないや

6/14/2024, 4:51:24 AM

あじさい

どれもこれもあじさい、という場所がある。丘珠空港の近くだ。青・空色・薄紫・薄紅・紅色・赤紫・白・薄黄・緑色……すべてあじさいの色だ。花のありようも色もそれぞれだが、近づいて見てみると確かにどれもあじさいの仲間だとわかる。なんだか、人間の姿にも通じるものを感じる。

さて、昔に母の植えたあじさいは、基本的に青色で咲く。それが昨年は唐突に濃い赤紫で咲いた。…父がその辺りに何か埋めたのだろうか? 確か、昔父の飼っていた犬が死んだときに父はあじさいの近くに亡きがらを埋めた。深く掘って埋めたが、翌年あじさいは薄赤く咲いた。何故か得体の知れないキノコも生えたが……などと思っていたら、少し離れた場所に咲いたあじさいも同様の赤紫だった。誰かが何か埋めたのではなくて、多分、冬の雪のせいだ。

あじさいの色が環境の化学状態に左右されるのはよく知られているところだが、ここ数年の雪は、「しょっぱい」雪だった。また、旭岳の稜線から家の玄関のタタキまで、冬を越える度に黒くなる。タールだ。大陸から飛んで拡がる化学物質も多岐にわたる。あじさいの生きている地面だって当然、その影響を受ける。

あじさいの色変わりは静かだけど、とても重要な事実を知らせているようだ。

6/14/2024, 4:50:19 AM

あじさい_____



あじさいが土の成分で色を変えるように、

私もあなたの気分で色を変える。

あなたに心地よいと思ってもらいたくて、頑張ってたんだ。

気づいてるかは分からないけど。



< my >

6/14/2024, 4:42:21 AM

“紫陽花は土に含まれる成分で色が変わるんだって”


梅雨時期の任務で君がそんな事を言っていた気がする。


憂鬱な雨でもそんな事を忘れさせてくれるような、とても神秘的な空間だったのを今でも覚えている。


任務で服はびしょ濡れ、戦った後の場所は建物が崩れていたり地面に不規則な水溜りが出来ていたり、お世辞にも綺麗な場所では無かったはずなのに崩壊した家の片隅でひっそりと咲いていた紫陽花を見つけ彼女は濡れた髪を気にもせず笑顔で私にそう言った。


「君は私の知らない事を沢山知っているね」


“そうかな?それなら傑は私の知らない事を沢山知っているから2人合わせて丁度良いね”


「ふふ、嬉しい事言ってくれるね」


そんな帰る途中の他愛のない話。


“ね、傑”


そうよく私を呼んでくれる彼女の声がとても懐かしく愛おしい。


________





「夏油様ー!紫陽花咲いてますよ!ほら!」


「本当だ」


「紫陽花って同じ場所に咲いていても色が違ったりして綺麗ですよね」


あぁ、それはね


“「紫陽花は土に含まれる成分で色が変わるんだって」”





-あじさい-

6/14/2024, 4:28:36 AM

《あじさい》

「ねぇ、知ってる? 『あじさい』ってさ、紫色の太陽の花って書いて『紫陽花』なんだよ」
 唐突に漢字の話をしだしたのは、きっと課題という名の手の作業に飽きたからだろう。
 一瞬止めてしまった手を動かし、視線も落としたまま「へぇー」と生返事をする。
「不思議だよね! 六月とかさ、雨が多い時期に咲くお花なのに太陽の漢字が入ってるなんて」
 それに気を悪くすることもなく続けているからして、特に返事を期待していた訳でもなさそうだ。
 昨日にでも、ネットか何かで読んだのか。
「漢字の由来って、あれじゃないの。唐の詩人の何とかって人が書いた詩で、名前はわからない色や香りの描写された花を、日本人が間違えてあじさいって捉えたとか……そんな感じの」
「え、そうなの!? ってなんだー、知ってたのか。しかも私より詳しいじゃんか!」
「前にネットの記事で読んだんだよ、というか詳しくはないだろ」
 明らかに「ずるーい」と言う君の方が狡くないだろうか。君もネット情報だろ。
「ん、あれなんだって。『アジ』は『集まる』の『あつ』から来てて『サイ』は藍色を示す『真藍』を意味してるんだってさ。……読んでもあんまりわかんないね!」
 いや、スマホで調べといてわかんないのかよ。
「……それはもうわかったから、いい加減課題やったらどうなの?」
「えー、だってわかんないんだもん」
「いや他人の答え写してるだけだろ」
「……それはそうなんだけどぉ」
 飽きたのと、そもそもやる気がないのと。
 結局そのまま片付け始める。
「明日出すんでしょ、いいの?」
「よくない! けど、また寝る前にやるよ、うん。最悪明日学校でやればいいんだし」
「間に合うかどうか知らないからね……」
 さあ、ここまで来たら、こちらも気持ちが引っ張られるというもの。
 10分も経たずに机の上は綺麗になった。
「せっかくあじさいの話したんだし、近くの公園に咲いてたから見に行こうよ」
「え! 本当? 咲いてたんだ、知らなかった」
「君の通学路でしょ? マジか」
 特に明確な話題もなしに部屋を出て、靴を履いて外へ出る。
「うーん、段差要らないんだよなぁ、玄関前の」
「君の家だろ、文句言わないの」
「あ、あじさい!」
「……雨降ってないけど、綺麗なもんだね」
「確かに、青空でも綺麗ー!」
「曇りだけどね」
「……そこはさぁ、君の方が綺麗だよ、くらい言ってくれないと。ノリ悪いよ?」
「無理だろ。あー……一応、ごめん?」
 君に言えると思うなよ。本気で。
「酷いなぁ……まぁ、いいんだけどさ」
「あじさいって色んな色あるんだね」
「ね! 紫っぽいのはそうだけど、青とかピンクとかね」
「……君に似合うのは、白のあじさいかな」
「勇気出して言ってくれたね、及第点をやろう」
「はいはい。ありがとうございまーす」
 合格点って何点なんだよ。
 君の前にはどんな色のあじさいも霞んでしまうね、くらい言えばよかったのか。
 土台無理な話を考えながら、並んで歩く。
「ね」
「ん」
「花言葉って知ってる?」
「あじさいの? 知ってるけど、うん」
「そうなんだ、へぇ〜」
 知ってたって別にいいだろ。
「じゃあ、敢えて私に似合うのは白のあじさいだって、言ってくれたんだ?」
「……うっさいな」
「さっき調べた時に読んだんだよね」
 ニヤける君を置いて、走り出す。
「あっこら! 逃げないでよー!」
 無理だって。
 白いあじさいの花言葉は。

『一途な愛情』

6/14/2024, 4:24:25 AM

最近"紫陽花"という漢字を見かけて

読めなかったから調べてみた

そしたら"あじさい"と出てきて

初めて漢字を知ったから

こんなに綺麗な名前をしてたんだと

少々驚いた

花って大体はひらがなかカタカナで書いてあるから

珍しかったな

あじさいか…

そういえば梅雨に入ってからあじさいを

あまり見てない気がする

というか今年の梅雨は短かったな

まだ6月が終わってないというのに

梅雨が好きな僕にとっては寂しいよ

せめて、紫陽花だけでも見れたらな


お題『あじさい』

6/14/2024, 4:17:49 AM

隅田の花火 
          キミの名前
          雨上がりに
          煌めく純白
          夜空に咲く
          火花は儚く
          キミは揺れ
          雨粒を纏う
          地上に咲く
          花火はまだ
          夢を見てる
          空に咲く夢
          

          『あじさい』

6/14/2024, 4:06:32 AM

あじさいの茎の下には金が埋まっている!

 これは信じていいことなんだよ。何故って、あじさいの花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。あじさいの茎の下には金が埋まっている。これは信じていいことだ。

……いや、ただ口からでまかせを言ってるわけではなくてだね。こればっかりは本当の話なんだ。
君、あじさいの花の色が変わる理由を知っているかい。品種?違うね。色水?それも違う。
正解はね、土壌なんだ。土の中に含まれているアルミニウム。コイツがあじさいの色素と反応してね、あじさいの色を青く変えちまうんだ。不思議な花だろう?言葉にできない美しさだって、科学を用いれば即座に解決可能というわけさ。

……今、君アルミニウムと聞いて何を思い浮かべたね?そうだね一円玉だ!……なに?自分が思い浮かべたのはアルミホイル?そんなの些細な違いだろう。とにかくね、アルミニウムといえば一円玉なんだ。
想像してみるがいい。君、この静々と咲き乱れているあじさいの花の下へ、一つ一つ金が埋まっていると。いそぎんちゃくの食糸のような毛根が小銭を絡めて、その鈍い輝きを吸っているのを。
とかく疑問だったんだ、あのなにもかも彩度の落とされたグレイの梅雨の視界で、何故あじさいだけが鮮やかに光を集めているのか。つまりあれは金の輝きなんだ。

で、どうだい?俺と一緒に青いあじさいを残らず掘り起こして、小金持ちになる気はないかい?


お題「あじさい」

6/14/2024, 3:56:29 AM

あじさい

 ――君の作ってくれる弁当よりも、たぶん、俺のほうが、料理旨いんだ。

 思い出すたび、ああ悔しい。
 あの、弁当屋の交際3ヶ月男が。そいつの、あの一言が。

 だって、料理なんてこれまでそんなにしたことないなかで。こっちだって頑張って毎日作ってきたのに!
 それくらい、「いいな」と思えた相手だ。これくらいで、フってもフラれてもやるもんか。
 
 そう思いながら、今日もお弁当を作ってきた。
 彼が見えた。 
「あの――」

「悪かった!!」

「……え?」
 なぜか、ピンクと白のあじさいを抱えて、彼は顔を赤くして、謝ってきた。
「その、あの後みんなに叱られた。思い出すと、俺も無神経なこと言った!」
「え、……え?」
 さっと、ピンクと白のあじさいを渡される。 
「あじさいの花言葉。ピンクは元気な女性。白は寛容、だって」

「ん? え?」

「だから、その。君の元気と、俺の、その。寛容?を……えっと……掛け合わせ……?」
 
 仲直りしたい、と。
 つまりは、そういうことらしい。

 なんだか、おかしくなってきた。
「なに、ちょっと馬鹿じゃないの」
「えぇ……?」

 まあ、いいか。
「今度、お料理のやり方、指南してよね」
「え、え、あぁ…………。もちろん! 君ならきっと、旨いのがつくれる! ……と思う」
「ちょっと! もっとはっきり褒めてよ!」

 とりあえず、やってみよう。3ヶ月男との日々は、案外悪くなかったから、これからもきっと、なんとかなる、だろう。




過去のお題「正直」の続きだったりします

6/14/2024, 3:56:22 AM

休日に公園までの散歩をするようになって、花の移ろいに気付くようになった。
心に余裕ができたのか、疲れ果ててまだ30前なのにすでに枯れてきたのか。ま、前者ということにしておく。

今頃はあじさいだ。「紫陽花」と書くんだな。なんかイメージ的にわかる気がする。
でも何だこれ、この一株だけ、他のと違う。緑から白くなんの?形もなんか丸くない。
よし、ググってみるか。
しゃがみ込んでスマホのレンズを花に向けた。

すると何かが俺の背をつついた。
「何だ?」振り向くとガキがいた。
なぜか俺につられて誰もいない後ろを振り向いている。アホだが、おもしろい。
「何か用?」俺が問いかけると、ガキは俺に向き直って言った。

「おじちゃん、カタツムリさんのお写真撮ってるの?」
おじちゃん…それに「お写真」て。
今どきのガキ、もといお子さまはこういう言葉遣いすんのか、ヘー。
「カタツムリじゃねぇよ。つーかカタツムリ?どこ?」見わたしてもいない。
見知らぬお子さまは、「こことね、ここ、ほらここにも。」立て続けに3匹指さした。
「お前、良く見つけられるな。」と俺が言うと、そいつはドヤ顔で小鼻を膨らませた。

ガキの目の高さに広がる世界は俺の見ているものとは違うのだろう。自分が何を視たいのかも。
そいつはカタツムリを1匹、あじさいの葉ごと捕まえると、母親であろう女のところへ走って行った。
「カタツムリのおじちゃんバイバイ。」
おじちゃんでもねぇし、ましてやカタツムリのおじちゃんじゃねぇのよガキんちょ。

「ま、いっか。」
気づけば俺とあじさいにポツリポツリと雨が降り出していた。


お題「あじさい」

6/14/2024, 3:54:24 AM

去年の夏。
紫陽花が綺麗に咲く、とある梅雨の日のお話。

「よし!今日も探検だー!」

その頃の私は、夕食後の散歩にハマっていた。
小さい頃から住んでいる住み慣れた町だったけれど、いざのんびり歩いてみると、新たな発見が多くて楽しかった。

可愛い花が咲いていたり、昔は人が住んでいた家が廃れていたり、犬を散歩するお爺さんとすれ違ったり。

毎回ルートを変えて、どんどん足を伸ばしたりもして、小学生の時の町探検みたいでワクワクする。

当時は紫陽花が綺麗に咲いているからと、色んな家の紫陽花を見て歩いては、写真に収めていた。

「あっ、あそこにも咲いてる!」

紫陽花を辿って、辿って。どんどん辿って行く。

そんな旅の末に出会ったのが、可愛らしい子猫の家族。

「かっ、可愛い!!」

野良なのに人懐っこくて、小さな体でよちよち歩く子猫たちは天使のようで。

それからは散歩のルートが一通りになった。


紫陽花がくれた、夏の小さな思い出。



お題『あじさい』

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