“紫陽花は土に含まれる成分で色が変わるんだって”
梅雨時期の任務で君がそんな事を言っていた気がする。
憂鬱な雨でもそんな事を忘れさせてくれるような、とても神秘的な空間だったのを今でも覚えている。
任務で服はびしょ濡れ、戦った後の場所は建物が崩れていたり地面に不規則な水溜りが出来ていたり、お世辞にも綺麗な場所では無かったはずなのに崩壊した家の片隅でひっそりと咲いていた紫陽花を見つけ彼女は濡れた髪を気にもせず笑顔で私にそう言った。
「君は私の知らない事を沢山知っているね」
“そうかな?それなら傑は私の知らない事を沢山知っているから2人合わせて丁度良いね”
「ふふ、嬉しい事言ってくれるね」
そんな帰る途中の他愛のない話。
“ね、傑”
そうよく私を呼んでくれる彼女の声がとても懐かしく愛おしい。
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「夏油様ー!紫陽花咲いてますよ!ほら!」
「本当だ」
「紫陽花って同じ場所に咲いていても色が違ったりして綺麗ですよね」
あぁ、それはね
“「紫陽花は土に含まれる成分で色が変わるんだって」”
-あじさい-
6/14/2024, 4:42:21 AM