『あいまいな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今にも溢れ出しそうな重い曇天の下
足取りは反比例して軽快であった。
初夏の暑い日差しもなく
足を重くする湿気も少ない
少しばかり頭は重く感じるが
それでも、明度の下がった公園内は
散歩をするだけでも少し新鮮だった。
たまに顔面へ追突してくる蚊柱には
思わずと少し眉を顰めたが
これも自然の一部と思えば
自身の心を諌めるのも容易い。
いつもより落ち着いた色合いの新緑に
人通りの少なさと荒れ気味の風も
私の様な偏屈者には心地好かった。
鼻先にポトンと小さな感触に
もうしばらく堪能したかったと
無念を残した雨の日となった。
ー あいまいな空 ー
朝。
起きた時、カーテンがあっても分かるほどの陽が射し込んでいた。
多分…寝坊したんだと思う。
「………」
どうせ焦っても仕方ないので、カーテンを開けて、外を見てみた。
でも、違った。
何が違ったか。
愚問である。
決して、晴れているわけではなかった。
陽が、射していなかった。
そういえば、昨日の夜は雨が降っていたっけ。
それに、今日の予報も雨だったはず…
どうして今、自分は陽が射し込んでいると勘違いしたんだろう。
…~♪
と、スマホの呼出音が鳴る。
「…はい?」
「あ、おはよーっ!んね、今日おやすみな感じ?もしかして寝坊!?安心しな!今すぐ準備してこれば、まだ間に合うよー!」
一方的に話されて、プツッと電話は切れた。
ん。また陽が出てきたかも。
今日は、あいまいな空模様をしているのかもしれない。
「えっ、傘忘れたんだ。めずらしいな。」
自分はけっこう真面目だしどちらかというと人に頼られるタイプの人間だ。忘れ物は基本的にすることはない。
つまりなにが言いたいかって、朝は雨は降っていないけれど1日中どんよりとした天気で放課後もしかしたら雨が降り始めるかもしれない今日みたいな日に、折りたたみ傘を持ってこないなんて普段の自分では考えられないっていうこと。
「一緒に帰らないか?」
もしかしたらって思ってた言葉が彼から聞けて心が踊りだしそうなくらい舞い上がる、それを表に出さないよう返事をしてひとつの傘に普段より近い距離のまま帰り道を歩く。
家では置き去りにされた折りたたみ傘が玄関で私を待っている。
【あいまいな空】
「今日の東京都心のお天気は変わりやすいでしょう」
テレビの中のキャスターは、淡々とそう告げた。トーストを齧りながら、ふと窓の外に目をやる。今は雨は上がっているみたいだった。ただ、重い灰色だけが、窓枠を覆い尽くしていた。
ここで別れ話をした朝も、こんな景色が見えていた。なんでそんな話になったのか、よく覚えてはいない、というか、よくわからなかった。ただ、私が優しすぎるから、いい人だから、ごめん、ただ、絶縁はしたくない、とあなたは言った。
「中途半端でごめん」
優しいあなたのことだから、どこまでが本当か、嘘かもいまだにわからない。ただ、優しいことだけは、本当だと信じている。別れたくない、と言ったら、そっか。とあなたは返してくれた。あなたはどこまでも優しかった。ただ、その曖昧さが、あの日の一度きりの別れたいと言う言葉が、私の心をぐらつかせている。
もうやめよう。そう打って、送った。あなたのあいまいは私には毒だ。折り畳み傘をカバンに入れて外に出ると、微かに青空がのぞいていた。あの窓枠からしか空を見ていなかったのだと、ふと気付かされる。
優しくてあいまいなあなたへ。私はあなたを通さなくても、世界を見られるようになってみせるよ。
関係なんて全くないとか考えてなくて。
彼と私は仲良いと私だけが思ってて。
私は好きって彼に伝えること
そんなのできるはずないのに、強がりさん、
そんな彼にもう熱が下がって今の彼氏がいて私に沢山愛くれて幸せな日常。
そんな彼と彼氏は仲良くてその間に入れる隙間なんて全くなくて私だけが置き去りな現状。
姉と彼 彼氏も仲良くて私はその間にも入れない。
時々1人な瞬間がある。
そんなことを言えない日々が続く。
今はあいまいな空。
明日はついに運動会当日!
それなのに、空模様はあいまいで、天気予報も雨になったり曇りになったり。
「せっかく練習したのに、延期になるなんて嫌だ!」
と、クラスの全員が口を揃えて言っていた。
みんなの心模様も曖昧みたい。
「みんなでてるてる坊主を作りましょう!」
という、担任の藤崎先生の提案で、帰りの会にみんなで作ったてるてる坊主。
ニコニコしてたり、白目をむいていたり、変顔をしていたり個性いっぱい。
下校時間になっても空模様は変わらず曖昧だったけれど、てるてる坊主を作っている間に、みんなの心模様は晴れになってたね。
「明日、きっと晴れますように」
お題『あいまいな空』
あいまいな空
竜胆色の雲
橙色の大空
あいまいなこの色をなんと例えよう。
あいまいな空の如くあいまい色かな。
あいまいな名前だな。
『あいまいな空』
見上げた空に意味はあるのか?
足取りは心の様子
・・・
ふと見上げた空に意味を見いだす
自分を確かめるために
空色を記憶とリンクするために
そこには、あいまいな空が
広がるばかり・・・
今日は晴れ!でも天気予報は、にわか雨が降るなんて言ってた。
#33 あいまいな空
あいまいな空
まだ夕方なのか、はたまたもう夜なのか。イカスミに侵食されていくオレンジジュースみたいだ。ふと、窓枠から眺めた空の色に、そんな感想を抱いた。
スマホのロック画面に目を落とす。返事はまだ来ていない。
顔も声も性別も知らない、愛しい貴方だって、この空を見ているのだろう。
今は見ていなくても、この空を見て思い耽る日がきっとあったのだろう。
なんの根拠すらなくたって、貴方と同じ空を見ていると思い込むだけで、心が愛で充たされるんだ。
四角い箱を胸に当てて、空を見上げる。タダの箱じゃない。貴方と会話出来る、唯一の命綱。
そして、祈った。貴方が幸せであるように。上手くやれているように。私のことを好きでいてくれるように。この愛が、届きますように。
気が付けば、空は深藍一色に染められていた。
装飾のように散りばめられた山盛りの愛と、丸い満月だけを残して。
貴方のための、愛舞な空。
初めて地球にやってきた者ですが
スマート・フォンという機械を探しに。
人間に、イヤホンというリードをつけて
一時も目を離させまいと画面に惹きつける
もしかしてこれは……スマート・フォンではなくブレイン・ウォッシング……
今日の空は曖昧だ。
曇りにしては明るいし、晴れにしては暗い。
太陽が覗いたり、隠れたり、
僕はこの天気を何て言うのか分からない。
君は言った。
これが女の愛よ。
今日の空は一段と好きだ。
なんとも言えない濁ったような霞んだ色。
何かをはっきりとしている感じよりも
あいまいとした空間が好きなだけなのかもしれない。
あいまいな空(君が結んだ絆)
雨、降らないといいな………。
二階の自室で窓辺に体を寄りかからせて、曇の濃い空を見上げる。
早朝、いつも家の前の道を走る彼。
部活による体力作りの一環なのだろう、登校前のジョギングを毎日欠かさず行っていた。
もちろん天気の悪い日は来ない。
―――最初は何の偶然だったか、走っている最中に目が合った。
自分を見上げたその眼差しにドキドキしたが、彼はそのまま走り去る。
まあそうよね、とその時は取り合わなかったが、それ以降なぜか毎日目が合うようになった。
いつも彼が私の家の二階を見上げる。
………初めは同情しているのかと思った。
国指定の難病にかかり学校に行けなくなった自分を哀れんでいるのかと。
彼は部活の大会で何度も賞を取る花形エースで、校内でも人気が高い。
―――その彼に哀れまれていると思うと、どうにも自分がいたたまれなくなった。
ある日、いつものようにこちらを見上げた彼とまた目が合い、―――微笑まれた。
え、と思わず声が出た。
思い違い? 見間違い?
いや幻? それとも夢?
何度思い返してみても、浮かぶのは彼の笑み。
とうとうわたしは脳内で願望を叶えるようになってしまったのかと焦ったが、違った。
次の日もまた、彼はわたしに微笑みを向けたのだ。
………これは幻でも夢でもない。
数日わたしはこの笑顔にドギマギして過ごしたが、これでは良くないと思い直し―――勇気を出して、自分も彼に微笑んでみた。
どういう反応が返ってくるかと正直内心ひやひやしたが、彼は驚いたのだろう少しばかり緩く足を止め、
いつもの微笑みと共に片手を上げてくれた
「あ。雨、降ってきちゃった」
元々雨予報だったし、今日はお休みねきっと。
つまらない………、と思い窓を離れようとした時。
!―――
いつもの軽装の彼が帽子を目深に被り、家の前に差し掛かるのを視界の隅に確認した。
二階のわたしの部屋に視線を向け、笑顔で手を上げ、通り過ぎる―――。
「待って!」
―――窓を開け、わたしは初めて彼に声をかけた。
彼は無言で目を見張り、家の前で立ち止まる。
わたしは夢中で階段を駆け下りた。
運動は控えてと医者に止められていたが、そんなことは端から頭になかった。
………息が切れて苦しい。視界が揺れて目が霞む。
けれどそんなことはどうでもいい
―――勢いよく玄関のドアを開けると、その先に彼が濡れたまま佇んでいた。
傘を掴み、重い体を引きずるように彼の前まで歩み寄る。
「あの、」
―――雨が小雨になり、晴れ間から後光が彼に差す。
なんて綺麗。
なんて美しい、ひと。
息を詰めて見惚れていると、彼は濡れた帽子のつばを掴んで脱ぎ去り、彼女との対峙を果たした。
もう窓も壁も、正真正銘遮るものは何もない。
「………やっと、会えた」
間近で初めて見た彼の笑顔に、心が緩やかに満たされていく。
その口調は、どこか遠く懐かしいと感じた。
お互い話したことなど一度もないのに。
―――彼女は傘を広げ、彼の頭上の雨粒を遮る。
ああどうかこの天候のせいで彼が体調を崩したりしませんように。
曖昧だった関係に今、この瞬間終止符が打たれる。
END.
物語「あいまいな空」
私は夕暮れの空が好き。
いつも変わらない空が好き。
何年経っても、夏になれば夏の空が来るのです。
なにか起きた年も、なにもなかった年も、同じ空が来るのです。
そんな無機質な空が、嫌な時もありました。
また嫌いになるかもしれません。
でもまた私は、迷ったら空を見上げるんでしょうね。
雨が降ったと思ったら雪が降る。雪が降ったと思ったら暑いぐらいの太陽の光が降り注ぐ。
急変しやすく、落ち着きのない曖昧な空模様はこの国では常識の一つだった。だからいつもの服装や持ち物にかなりの気を使う必要がある。そんなめんどくさい国でもう20年生きてきた。十分だろう。空を見上げると太陽が輝いている。今のうちだ。どうせなら晴れているときがいい。
一歩踏み出す。
「?…は、」
はらはらと降り掛かってくる雪。何度目だ?この前は雨だった。今日みたいに一歩踏み出した瞬間、見計らったかのようなタイミングで邪魔をする。
脱力したように後ろに下がる。まるで自分を生かそうとするようなあいまいな空を恨めしげに見上げた。
「微熱」
あいまいな空の上、
あいまいな青が広がる。
あいまいな青の上、
あいまいな黒が広がる。
灼熱の赤は遠い。
時折り、
ほのかに感じる肌の微熱。
よかった、まだ温かい。
#あいまいな空
ふと空を見上げた時、晴天でも雲天でもない
曖昧な空が広がっていた。
今日の空は苦手だ。
どうしようもない僕と似ている気がして。
その日は一日布団にいる事に決めて少し寝ようとした。
ピンポーンとチャイムの音が鳴る。
何か用事あったかな……?
目を擦りながらドアを開けると
「おはよ、来ちゃった」
イタズラのような笑顔を浮かべた君がいた。
まるで僕の心を見透かしているみたいに。
やっぱり君には敵わないな、そう思いながら彼女を家に入れた。
『あいまいな空』
あいまいな空。アイツとの距離。同じアカウントフォローしてても、そんなに離れてない場所に住んでても、もう生活の中にはいない。
あいまいな空は記憶に残らない。
意識していないだけなのか。
それとも視界に空が広がっているのに、心はここに在らずで何か物思いに耽っていたのか。