黒山 治郎

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今にも溢れ出しそうな重い曇天の下
足取りは反比例して軽快であった。

初夏の暑い日差しもなく
足を重くする湿気も少ない
少しばかり頭は重く感じるが
それでも、明度の下がった公園内は
散歩をするだけでも少し新鮮だった。

たまに顔面へ追突してくる蚊柱には
思わずと少し眉を顰めたが
これも自然の一部と思えば
自身の心を諌めるのも容易い。

いつもより落ち着いた色合いの新緑に
人通りの少なさと荒れ気味の風も
私の様な偏屈者には心地好かった。

鼻先にポトンと小さな感触に
もうしばらく堪能したかったと
無念を残した雨の日となった。

      ー あいまいな空 ー  

6/15/2024, 7:02:14 AM