灰燼

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雨が降ったと思ったら雪が降る。雪が降ったと思ったら暑いぐらいの太陽の光が降り注ぐ。

急変しやすく、落ち着きのない曖昧な空模様はこの国では常識の一つだった。だからいつもの服装や持ち物にかなりの気を使う必要がある。そんなめんどくさい国でもう20年生きてきた。十分だろう。空を見上げると太陽が輝いている。今のうちだ。どうせなら晴れているときがいい。

一歩踏み出す。
「?…は、」

はらはらと降り掛かってくる雪。何度目だ?この前は雨だった。今日みたいに一歩踏み出した瞬間、見計らったかのようなタイミングで邪魔をする。

脱力したように後ろに下がる。まるで自分を生かそうとするようなあいまいな空を恨めしげに見上げた。

6/15/2024, 5:11:39 AM