『あいまいな空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
No.29『あいまいな空』
あいまいな空と聞いて梅雨の空を思い浮かべた。
雨が降っている時でもなく、晴れている時でもないそんな空だ。
実は私はそんな空が好きだったりする。
曇っているはずなのに、その間から光が差し込んでくる様子は晴れない空はないのだと錯覚させてくれる。
だから私はあいまいな空が好きだ。
「お兄ちゃんばっかりずるい!」
昔からずっと言ってきた言葉だ。
私には二つ年上の兄がいる。
不出来な兄だ。
私より地頭が良くて、両親の顔色をうかがってばかりの兄が。
おばあちゃんとおじいちゃんに愛されている兄が。
不憫な思いをして来た兄が。
兄は障害児だった。
とは言ってもパット見でわかるものではない。
だからいじめられた。
兄についていた人はいい人もいたし変な人もいた。
障害児に理解があるのか分からない人。
母いわく何度も教室に置き去りにしたりしていたらしい。
喋り方も兄が理解できるか分からない感じだったという。
小学一年生の頃、一度だけあった記憶がある。
何を言っていたかは全く覚えていない。
仕方ないのかもしれない。
ただ、はっきりと苦手だと思った。
今でもたまにそんな喋り方の人を見かける。
子供には聞き取りにくそうな高い声に早口。
何を言っているのか分からないだろうなとは思う。
でも、いい人もいた。
慣れてるんだろうなって感じの人。
優しそうな雰囲気があった。
まぁ、兄が小学校を卒業してからは全く話をしなくなった。
おまけに私が5年生の頃にはいなくなっていた。
兄は中学生に上がってからもっと大変そうだった。
居眠りや暴行の話まで来ていたようだ。
しかし、私は知っている。
今まで一度だって兄から手を出してきたことはないのだ。
私が泣く時も、怪我をする時も原因は私だった。
理解が無い人、立場だけあって分かってない人、知ったかぶり、嘘つき。
こういう人を見る度に心底腹が立つ。
でも多分それは私の身内に障害者がいたからだろう。
障害者の事を学ぶ機会があったからだろう。
兄がいなければ考えることすらしなかったかもしれない。
わからない事だらけで、少し知ってるくらいで鼻にかける嫌なやつになっていたかもしれない。
だから感謝をする。
少しだけ。
兄のせいで嫌なことだってあった。
独りで泣くことだっていっぱいあった。
死にたくなったことだってある。
苦しかった。
悲しかった。
痛かった。
だから何?って話なんだけど。
一つだけ、兄に聞きたかったことがあった。
私はずっと「ずるい」って言う立場だった。
だから、一度でも考えたことはなかった。
言われ続ける立場の事を。
気に病んだのだろうか。
面倒くさかったのだろうか。
同情したのだろうか。
気になって聞いてみた。
返事は「別に」。
何それ?
意味不すぎん?って感じだけどまぁ良い。
今までは「私可哀想」だったけど、これからは「普通だよな」って生きてく。
周りを見るって大事だって再認識した。
そう言えば、空っていつも曖昧そうだけど一番好きなのは夕焼けかな。
好きな色が詰め込まれてる感じ。
ーあいまいな空ー
空は私の味方なのか。
薄暗く曖昧な空は、落ち込んでいる時
励ましてくれていたのだろうか
私が、元気で愉快な気持ちの時、
あの空を見て、励ましてくれていたのかと
考えたことはあるだろうか
そもそも、こんな気持ちの時、空を
じっと見つめたことはあっただろうか。
空が私のことを味方だと思ってくれていても
きっと私は、味方失格だ。
「曖昧な空」
雨のときは1人になりたい、晴れの日は大人数で
遊びたい!とか思ったことある?
⤴私はどっちも思ったことあります。というか、どっ ちも思ったことがあるので書いてます(?)
夢の中で思う。
なんて残酷な夢なのだろうと。
まるで以前からそうだったように、さも当たり前にあの人が隣にいる。
僕と同じ制服を着て。
今日の授業なんだっけ、ああ宿題忘れてた、見せて。
なんて。
なんて、悪夢。
するりと少し大きな、タコや突き指で歪んだ指。
繋がれた手と手。
ありもしない事を望んだってどうしようもないのに。
それを幸福だなんて。
どうかこのまま。
醒めないで。
醒まさないで。
温度も匂いも色もない。
どこかはっきりとしない夢は『あいまいな空』のようで。
ところにより雨なのは僕の心のようだ。
あいまいな空
きらいじゃない こういう毎日も
すきでもない ああいう毎日が
全部自分だけど
バラバラでコナゴナになりそう
溶けてなくなりたくなる
「あいまいな空」
曖昧な空と聞くと、私は夕焼けのことかなと思った。
曖昧って少しマイナスなイメージな言葉だけど、夕焼けがそうだなんて私はちっとも思わない。むしろ夕焼けは鮮やかで素敵。夕焼けが見えると翌日は晴れるとも言うし、つい写真を撮ってしまいたくなるようなエモさがある。
夕焼けって一種のオーロラみたいだと思う。
オーロラみたことないけど笑
ごめんなさい、ごめんなさい。
私は死にたくなかったんです。
学生の頃は、心がとても繊細で、すぐに命を投げ出そうとしていたのです。若い故の、悩みであり、弱さであったんです。
死にたいと、消えたいと願わずにはいられなかったのです。それが一番、そう考えることが一番、楽だったんです。
ただ、今はどうだろう。
心は痛みに慣れてしまい、意地汚くなりました。
これが成長というものなのですか?世界の裏を知っても尚、社会のベクトルとして作動する私は成長したのでしょうか。
したのなら、それは芳しくない成長だと。
私は、死にたくないんです。
心臓が、呼吸が1秒でも長く生きてたいのです。
生き汚いんです。私は汚れているんです。
ただ、私は社会の列から外れて、夢を叶えたいだけなんです。そのために生きているんです。
あなたは、生きたい?何の為に生きる?
些細なことが私たちの生きる原動力になる。
それは、夢?家族?恋愛?何でもいい。
生きる、原動力を。
あいまいな空を
眺めながら
どっちつかずの
私の一日
出かけるの?
干していく?
傘はいる?
あいまいな空の
生活が
しばらく続く
あいまいな空
──…さっきまで暗かったのに、もう水色だ。
──わかるよ、この時間はいつも"あいまい"だよね。
──…そうだね、いつも曖昧だ。
──これからどこに行くんだい?
僕はここに居なきゃいけないけど。
──…どこか遠くへ。君が見えない場所まで。
あいまいな空
眠たくてあくびが出る。
とぼとぼと会社帰りの帰路を歩く。
一人暮らしのぼろアパート階段を上がるたび、ギィギィと鉄の錆びた音が響く。
部屋の扉をあける。玄関に靴を放り投げる。
男一人の部屋はきれいな分けなくて、カップラーメンのごみが散乱している。そろそろ虫が出てくる季節になる。それまでには、片付けなきゃなと思いながら、布団に転がり意識を落とした。深夜3時目を覚ました。ダルいからだを起こしながら、風呂に入る。風呂から出ればお腹の音がなる。冷蔵庫をあけるが、、まぁ何かあるわけもなく。水道水をコップにいれて、腹を膨らます。そんなことやっていたら5時だ、仕事行かなきゃ、仕事、死言なんてな、あはは、無音の部屋をそんなこと思いながら部屋を出て会社に向かう。今日の空はどんより曇っている、傘を持っていくか?しかし、雨降らなければ荷物だな、、多少濡れるくらいならいいかな~。
まっ、こうなるよな、、
どしゃ降り、こりゃ、コンビニで傘買うか?
いや、これで買っていったらビニ傘何本よ、、
あー、明日スーツ乾くかな、、
乾いてくれますように!
あー、最悪か?今日は、車の跳ねた水で全身死んだわ、今日は、なにもかもうまく行かないな。
空を見上げる、目に雨が入って空がぼやける。
はなの奥がツーンとなった。
なんでこんな小もないことで泣いてんだよ、
バカみたいだな
鼻もグスグスしてきた。
雨に濡れて風邪になっただけだから、、
あいまいな空
子供に聞かれることがある。私の子供の頃のこと。学校、楽しかった?と。
答えに、いつも困る。「う~ん、まあね」とあいまいに答える。私の子供時分、学校時代は、あまり良い思い出がない。小中高時代のこと、あまり、思い出して語りたくない。
同年代の人同士の会話は、大体、中学高校時代は、どうだった?部活は?というような話で盛り上がったりするけど、そういう話は避けたくなる。
子供に聞かれても、あいまいにしか答えれないほど嫌だったんだなぁと実感する。
けれども、だいぶ大人になった現在は、とても充実してると思う。
それは、ある時から、ある本に出会って、何でも前向きに考えることが出来るようになり、辛かったことも乗り越えて、周りの人に感謝の気持ちも生まれて、良い方向に導かれたからです。
過去を変えたり、消したりすることは、出来ないので、過去のことを聞かれても、あいまいにしか答えられない。それは、変わらないと思う。でも、私は、現在のことが、気持ち良い快晴のようにはっきり話せるから、良いんだ(^-^)
「あいまいな空」
ねずみ色の湿邪の季節。胡瓜や黒豆がおいしいね。
クール系の入浴剤を入れて、お風呂で気分転換する?
創作「あいまいな空」
A「曇って来たよ。降るかなぁ、雨」
B 「うーん晴れるでしょ」
A「狐の嫁入りが見たーい」
B「それはわかる。でも雨はいやだな」
A「あれっ、なんか降ってきたよ」
B 「ん?あれは……」
A、B「Cさん!?」
C「Aさぁぁぁん、Bさぁぁぁんどいて、どいて!」
空いたスペースにCは無事に着陸する。
C「二人とも、こんにちは!」
B「すごい勢いで降って来てどうしたんだ」
C「あいまいな『文』と見えたので、蔵に入っていた文章を届けようと飛んで来ました!」
Cはまぶしい笑顔で原稿を二人の前に差し出す。
A「あいまいな空、だよ」
Cはしばしぽかんとした顔をして、にこりと笑う。
B「あいまいな『空』だよ」
AとBの顔を見たCは真顔になった。そして一番上の創作の横を見た後どこかへ消える。しばらくすると小括弧に挟まれた一文字を引きずって戻って来て、文章の右下に置いた。
(終)
あいまいな空
たくさんの条件のもと
その雲は我が上空に存在している
一期一会の姿を変えつつ
地上に住む者たちに
あいまいなる空模様を見せてくる
けれど最近は
その雲が雨を連れてくるか来ないのか
アプリでわかっちゃうんだもんね
雨雲レーダーつい見ちゃう
(雷レーダーはもっと好き)
《あいまいな空》
月が姿を消した夜
空と海の境が混じり合う
遥か彼方でくじらは唄う
生まれくる命を祝いで
去りゆく命を慈しむ
高らかに上がるくじらの吐息は
柔らかな潮風に乗り
ゆらり揺蕩う雲となる
雲が手を取り重なりあえば
くじらの吐息が雨となる
生きとし生けるものへ
等しく注ぐその吐息
優しくあれば恵みをもたらし
酷しくあれば命の全てを洗い流す
そして吐息は海へと還る
くじらは唄い続ける
かつては離れた丘たちへ
その魂が安らぎますように
いつか許されますように
『あいまいな空』
俺の気持ちは、空と対比している。
俺が悲しい時は空は晴れ、嬉しい時は雨が全てを奪っていく。だからデートの時も毎回雨だったし、別れた時は恨みを覚えそうになるほど快晴だった。
そんな空に、美しいと思ってしまうのが悔しい。
空いっぱいにある星を眺めている時だけは、気持ちは対比していない。その事実が、空に遊ばれているみたいで、素直に嬉しくはなれなかった。
雨が降りそうで降らない、あいまいな空。
ギリギリで耐えてるその様子は、コップの水が表面張力で耐えてるのととても似てる。
いつ決壊するかな。
雨が降り出す前に早く帰った方がいいのに、
決壊のその時、雨が降る様を見たい私もいて。
軒下で空を伺って、空が泣き出すのを待ってる。
どんな空でも見上げたら
心が晴れる
もう、ただ一生一緒に居たいんだ
物事に白黒つけるのは、マッチョな、体育会系の特徴だ。正義。ヒーロー。そういったものに憧れを抱くのは少年の頃まで。それを過ぎてヒーロー願望を持つ人は私のタイプじゃない。少年の心を持った大人、なんていない。いるのはただのガキ。
あの人の言うことも分かるけど、この人の言うことも分かる。だって世の中はグレーで、絶対的な正しさなんてないんだもの。それが物事に白黒つけない、知的な、文系の特徴、ひいては私の特徴。誇り。
真っ直ぐに白を見出そうとする人に私は思う。言わないけど思う。そんなの時間の無駄だよ、世の中を知らないおバカさん。私はないものは探さない。だって世の中はグレーで、考えないことが許されてる。
曇り空に晴れを願う。私はこれから自由が丘のブックカフェで曖昧さを憂いて、歓迎するのだから。
2024.6.14『あいまいな空』
“あいまいな空”
行ってきますと踏み出した足を引っ込めて一度家へ戻る。予報では一日中曇だと言っていたが、思いの外空には重たい雲が敷き詰められていた。
こんな日には傘を持っていくに限る。
わざわざ通販で買った少しだけ大きめの折り畳み傘をそっとカバンに忍ばせて、出番があるといいなあと空を見上げた。
ずっと嫌いだった雨をこんなに待ち望む日が来るなんて少し前の俺には考えつかなかっただろうななんて、家から近いというただそれだけの理由で選んだ学校へ向かう。
入学して、隣の席の彼女に一目惚れしてしまわなければ、俺は多分……いや絶対に傘なんて持ち歩かなかった。むしろ傘を持たないことで、傘を持ってる女のコと一緒に帰る口実にしようとさえ思っていた。
いやあ傘、忘れちゃってさ俺んち15分くらいなんだけど入れてくんね?とか言って、さりげなく傘を持ってやって優しいねって言われてぇ!なんて思っていたはずだったんだけどなあ。
参考書やらなにやらで重たいから傘なんて持ってられない!とドシャ降りの中をYシャツ一枚で帰ろうとする彼女を必死に止めて、コンビニで慌てて買った傘に入れてあげた時から、俺はなるべく傘を持ち歩く様になっていた。
彼女はけして、ありがとうとも優しいねぇとも言ってはくれない。まあ俺がむりやり傘に入れてなければずぶ濡れで帰る気マンマンなのだから、むしろなんなの?とでも思っているんじゃないだろうか。
だけどまあ惚れた弱みってやつで、一年も付きまとって傘に入れてやるうちに雨が降り出すと俺の方をチラッと見る様になったことに気づいてからは毎日雨でもいいのに、と思うようになってしまった。