《あいまいな空》
月が姿を消した夜
空と海の境が混じり合う
遥か彼方でくじらは唄う
生まれくる命を祝いで
去りゆく命を慈しむ
高らかに上がるくじらの吐息は
柔らかな潮風に乗り
ゆらり揺蕩う雲となる
雲が手を取り重なりあえば
くじらの吐息が雨となる
生きとし生けるものへ
等しく注ぐその吐息
優しくあれば恵みをもたらし
酷しくあれば命の全てを洗い流す
そして吐息は海へと還る
くじらは唄い続ける
かつては離れた丘たちへ
その魂が安らぎますように
いつか許されますように
6/14/2024, 1:27:27 PM