『「ごめんね」』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
11日目
「ごめんね」ってある種の免罪符だ
微々たるミスは許される気がする
言われた側は思いに関わらず基本的に
「大丈夫だよ」と言うことが強いられる
下手に出た相手を責めるのは困難だ
贖罪の気持ちを踏みにじるのは気が悪い
では許せない時はどうすればいいのだろう
「ごめんね」には悪意がないからタチが悪い
『「ごめんね」』
私は小学生の頃に1度、母に手紙で「出来損ないでごめんなさい」と伝えた事があるらしい。体験教室で何かを作って、メッセージを添えて渡そう…的な催し(?)の手紙との事。
少し前、母と一緒にご飯を食べた時、話の流れで「こんな事があったねー」と教えてくれた。(どんな流れだ)
断っておくと、毒親などでは断じてない。多少の衝突はあれど、母娘として愛してるし、愛されてる自覚もある。そこに疑問は持っていない。
その手紙は、十数年経った今も母の財布の中に保管されている。
戒めとして。「出来損ない」と子供に言わせてしまったのは、母が間違いなく悪いのだから、と。
1番タチが悪いのは、言った当人がこれを全く覚えていない事。
当時そんなに思い詰めていた…なんて記憶は全くない。そして私の当時の性格を考えると、ちょっと捻ったメッセージカードにしたかった結果、斜め上な方向に捻じ切った可能性が高い。
だから、もう…ひたすらに、謝るしかなかった。
「ごめんね」
必死に子育てしてくれたのに、重い言葉を書いてしまって。
「育ててくれてありがとう」
私はお母さんの娘でいられて、ちゃんと過去も現在(イマ)も、幸せなんだよ。
「ごめんね」
は?
気持ちが昂りいっきに感情が爆発して、私の瞳孔と鼻腔が開いた。
喉の奥から込み上げるモヤモヤとした噴煙を思いっきり相手に吐き出した。
顔がいっきに熱くなり、真っ赤になりながら強い口調で相手の心を矢継ぎ早に突き刺しまくった。
言い終えた後もまだ私は怒りを収めることが出来ずやや過呼吸になっていた。
が、その時、
「ごめんね」
相手はあっさりとこのたった4文字を言ってのけた。
どんな窮地に追いやられようとも、不利な現状を強制終了させるこの言葉は、便利で鋭利なカウンターと言っても過言ではないと思う。
『ごめんね』
たくさん嘘をついて
たくさん傷付けてごめんね。
あなたのことを信じられなくてごめんなさい。
傷付けられると勝手に思い込み
それより先に傷付けてごめんね。
こんなことの繰り返しだったよね。
でもいつでも私のことを
あなたは受け入れてくれた。
私、あなたのお陰で変わったよ。
あなたに誠実に向き合えるし
あなたのこと信じてるよ。
たくさんたくさん、ありがとうね。
「ごめんね」
なんて言葉
考えたら
私の中から何かが
溢れ出てきそうになる
口をぎゅっと結んで
何かが溢れないよう
グッと我慢する
……なんだこれ
No.13『「ごめんね」』
「ごめんね」
この言葉は私の人生で欠かせない言葉だ。
毎日一度は誰かに対して言う。でも最近は誰に謝っているでもなく、ただ心の中で謝罪を呟いている。
駄作ばかりでごめんね。
優しくできなくてごめんね。
私が私でごめんね。
私なんかが居てごめんね。
私なんかが生きててごめんね。
私はきっとこの謝罪を否定してほしいのだと思う。
書き続けて良いと、人に優しくできていると、私が私であって良いのだと、私がここに居て良いのだと、生きてて良いのだと誰かに言ってもらいたいのだ。
自分を好きにはなれない私だから、誰かから言ってもらえる言葉でないと私は自分を認められない。
これは傲慢な私の貪欲すぎる我儘だ。
こんな私で「ごめんね」
これ、書いちゃっていいのかどうかわからないけど
先週から、このアプリをインストしてから2年目に入っているんだけど、お題が去年とまったく同じか、ちょっとアレンジしてあるかのどっちかなんだよね
もしかして、この先もずっと?
お題は同じでも、別に問題ないんだけどさ、ちょっとビミョーっていうか…
いや、お題が同じだって、書くことはたくさんあるし、ホント、別にいいんだよ、うん
無粋なことを書いてごめんね
「ごめんねごめんね〜」
軽やかな彼の声が脳内でこだまする。
そう、カミナリのまなぶくんである。
私の仕事は、大まかに言うと接客業だ。
接客業ではこちらにまっったく非がなくても一応謝らなければならない時がある。腹立たしいことだ。
そういう時に私の脳内でまなぶくんが叫んでくれるのだ。
目の前にいる人間の形をした理不尽の塊を脳内でおちょくるといくらか溜飲も下がる。
まなぶくん、ありがとう。
あなたの決め台詞に私は助けられている。
しかし私のメンタル維持のために消費してしまっている。
まなぶくん、ごめんね。
「ごめんね」
優しくできなくて、ごめんね
何もできなくて、ごめんね
おっちょこちょいで、ごめんね
強がってばかりで、ごめんね
弱虫で、ごめんね
ごめんね。ばかりの私で、ごめんね…
ごめんね
ごめんね…優しくできなくて
ごめんね…甘え方知らなくても
ごめんね…ずっと別な人見てた
謝っても…謝っても…
今になって気づくなんて
今になってこんなにも…
本当にごめんね
「ごめんね。」
君と最後に会った時、僕はそれしか言えなかった。
君とは楽しい思い出も多いけど、辛い時間も多かった。
君を幸せにすることはできなかった。それがどうしようもなく辛かった。
今まで付き合ってくれてありがとうという気持ち以上に、君に対して申し訳ない気持ちが大きかった。
最後はしっかり別れると決めたのに。ありがとうって笑顔で別れると決めたのに。
出てきたのは、罪悪感まみれの「ごめんね。」だった。
未だにそのことは後悔している。後悔してもどうしようもないのだが。君にありがとうと言えぬまま、2人は離れてしまった。もう連絡を取ることもない。
「ありがとう。」あの時そう言えたなら。
この後悔を背負って進んでいかなければいけない。
これが僕に与えられた罰なのだ。
私は、君が求める「私」にはなれない。
/「ごめんね」
「あの時はごめんね」
ある日、母に告げられた言葉。
私が年長さんになったばかりの頃のこと。
母と父はよく喧嘩をしていたと思う。
泣く母に対して「大丈夫?」と言いながら、なんで泣いているのかも、なぜ毎日喧嘩しているのかもよく分からず、ひたすらそばに寄り添っていた。
いつかは仲直りできる。
幼い心でそう信じていたのに、
……ある日、母は泣きながら家を出て行った。
その時、悲しかったのか腹が立ったのか。
今となっては何も覚えていないけれど、まだ言葉も話せない幼い妹が玄関先で泣き叫ぶ声と、父が無言で立ちすくんでいたことだけはよく覚えている。
あれから15年ほど経って、私は20歳になった。
離婚してからも母とは定期的に面会していたけれど、もう成人したということもあり、私の好きな時に会えるようになった。
そんな時、誕生日を祝いたいからどこかで食事でもしようと母に誘われた。
ずっと気になっていた、華やかケーキが人気の喫茶店。
そんな憧れのケーキを食べていた時、母はぽつぽつとあの頃のことを話し始めた。
自分ルールが強い父と共に暮らすのが窮屈だったこと。
自由が欲しくて、家を飛び出してしまったこと。
幼い私たちよりも自分を優先してしまったことへの後悔。
数年前に、別の男の人と再婚した時、寂しい思いをさせたことへの謝罪。
そんな話を、涙ながらに聞かされた。
「確かにお父さん、そういうところあるもんね。仕方ないことだし、私は全然気にしてないよ!なんだかんだ今が楽しいから平気だよ!」
我ながら、嘘をつくのが上手くなったなと思う。
ニコニコと表情を崩さず、自分の心に蓋をして、相手の欲しがっている言葉をかける。
それが、20年間生きてきて身につけた生きる力。
確かに小さい頃は寂しかったけれど、今となっては最早“どうでもいい”。
(謝罪の気持ちよりも、自分がそれを伝えて楽になりたいから言ってるんだろうな。謝られたって、過去は変わらないのに)
なんて、素直に受け取れず、こんなことを思ってしまう自分が嫌になる。
こんな自分でごめんね。
お題『ごめんね』
ごめんねで済むなら、警察はいらない。
同様に、練るだけで済むなら、ねるねるねるねはいらない。
色が変わらなければ、練る意味は無いに等しいのだ。
ー 「ごめんね」 ー
動詞も名詞も抜けた漠然とした謝罪に
答えを探す為の黙考が数秒間…
当てはまりそうな事象も自分が怒った記憶も
両者共に最近は、とんとなかったものだから
この熟考は無駄に終わりそうだ、とだけ悟った。
然し、口を噤んで答えは一向にくれない相手
これは此方から伺うが吉なのかと
次は自分の中で柔らかめの問いかけを探し始めた。
「え、とね…まず、そのごめんは
私宛であってるの…かな?」
しくじったと言葉の影で僅かに慌てる
此処には私と相手しかいないのだから
これ程に分かり易い方程式も無い
相手の真意が分からないからと
臆病になり過ぎて周りが見えていなかった。
これでは相手から見たら分かりきった事すら
必要以上に探られていると感じる可能性がある
責められているのだと負荷が掛かっているのでは?
「いや、私こそごめんね!私宛だよね!
けどね、あの…
何かあったかなって、考えてみたんだけど…」
私の言葉は途端に千切れて空気へ霧散した
相手の目元には溢れ出た涙が溜まっている
最早、悪循環どころの話では無く
一見すると私しか悪者は居ない気さえしてきた。
一体過去に何があってこんな事態に陥っているのか
どれだ、どれに対しての謝罪だったんだと
脳は現状を忘れフルスロットルで過去を回想する
が、答えの気配さえ掴めそうになかった。
「あのね…」
相手がようやく口を開いてくれた
冷や汗もやっと打ち止めかと心して待つ
安堵は相槌となり相手の話を促す。
「うん、ゆっくりでいいよ」
「あの…」
そうか、相手にも準備が必要なのだ
まだ謝罪だけならば良かったのだが
その言葉の真意を説明するには
自分の非を改めて見つめなくてはならなくなる
それらを加味すると大っ変に心苦しいが…
私には、これ以上に手の施しようがないのだと
願う様な気持ちで言葉を待っていた。
「本当に…ごめんなさい」
違うんだ、謝罪を整え重ねて欲しい訳ではなくて
その内訳をどうにかして私に見せて欲しいのだ
謝る事に勇気を使い果たしてしまったら
この話には本当に後味の悪さしか残らない!
大変なことになってしまった
せめて、ヒントや切っ掛けだけでもくれないと
此方は事象への対応が出来かねる…。
「怒らないで…」
それだ、怒られる恐怖が勝るのなら
私と共に一度、落ち着いてもらってはどうか?
安易な考えだが相手にも余裕は無いのだから
一概に悠長な事だとは、思い至らないだろう。
「…大丈夫だよ、怒ってないからね
そうだ、一度
私と一緒に深呼吸をしてみようか
ゆっくり鼻から息を吸って…
口からそう、息を吐いて〜…
どうかな、少し落ち着いたかな…?」
目元の潤みも肩を揺らしていた嗚咽と吃逆も
心の幕溜まりからは確実にはみ出てはいるが
先程よりは、現状引っ込んだと見える。
「うん、うん、ごめ」
非を認めた者の言葉を遮るのは
成長を妨げるよろしくない行為だと分かっているが
謝罪とは度が過ぎれば遅効性の毒にしかならない
泣くのも謝罪したいのも私の方な気がしてきたが
とにかく、涙が零れる前に言葉ごと慌てて止める。
「大丈夫だよ〜!
ゆっくりでいいから、君の身に何があったか
私に教えてくれるかな?」
ひっくひっくと小刻みに肩を揺らす相手に
心底頼む堪えてくれと際限なく胸は痛んだ
此方も内心は満身創痍なのである。
「あの…ね
お姉ちゃんのカップ…」
ようやく待ち望んだ名詞が現れ
この話にも光が差してきたと
相手に隠れてそっと胸を撫で下ろす。
「大事なの…割っちゃったの…」
ここまで読んでくれた人なら
きっと理解を示してくれるだろう
だから、どうか許して欲しい。
「なんだ、そんな事だったのか〜…!
怪我がなくて本当に良かった…」
そんな事、だなんて
本当は言うべきでは無かったのかもしれない
子供にとっては身を切る様な一大事で
割れたカップは戻っては来ない
しかれども、可愛い妹に怪我はなく
形あるものいつか壊れるのだから
私にとっては君が泣いていた事の方が
余っ程の大事件だったんだ。
“小さな子供の謝罪は、大人の大きな受難”
口を開く、閉じる
「うわ、居たなら言えよ吃驚した……」
口を開く、閉じる
「何どうした、お腹すいた?」
口を開く、閉じる
「お前さぁ……」
口が閉じる、開かれる
「お前本当、アイツにそっくりだな」
口を閉ざす、視線が動く
飾り棚の上、写真立て
言葉はいつも、形にならない
別れも再会も、伝えられない
‹「ごめんね」›
いつからかこれが口癖になって、それから人生が楽で、自分の物で無くなった。
どこに行っても、私は謝る側の人間で、そうしていれば、それ以上嫌な思いをしないで済んだ
ただ、最近心が......なんだか寂しいような、なんだかおかしのだ
どこに行っても謝る側で、いつでも自分は下の方で、そのうち自分は誰にも求められないし、愛されないのだと悟った
それからだんだん、自分も自分を愛さない、無碍に扱うようになった
そのまましばらくして気がついた
もう生きられないと
この人生は重要な部品が欠落していて、それはもう手に入らないと知った
だから、死ぬことにした
一通りの相手にさよならをラインした
たった一人、死なないでってラインが帰ってきたけれど
一言返して私はロープの輪の中に首を通して、最後の椅子を蹴飛ばした。
「ごめんね」
「ごめんね」
その4文字だけで何かが変わる
いちばん良いのは、結果が変わること
結果が変わらなくても、自分の気持ちがスッキリしたり、相手の心が少し動いたりする
さあ勇気を出して
言ってみれば、いつかきっと「言って良かった」と思える日が来るから
「ヘッ。くちだけだな」
ソファの背もたれへ、おもいっきし頭をしずめて、ツーツー電子音が鳴るだけの電話口へ笑う。
もー、しずかすぎる家になってしまった。
放置された靴下の接する壁へ、八つ連なった付箋。
もう九つにはならない。
冷蔵庫のタッパーは一向に減らなかったし、
これからは、増えもしないんだな。
どんだけおれが、家中散らかしても、叱ってくれるヤツ、それでもちゃんと片付けてくれるしっかりもの。
だけど、毎晩えほん読んでやらなきゃ、スネちゃうヤツは、もーいない。
「はー」
ためいきがでるのはしょーがない。
生きる気力もついにわかない。
『……生きてることがツライなら
いっそちいさく死ねばいい』
なんて歌詞を思い出したが、
つづく言葉はおぼえてなかった。
たしか、死ぬことを安易に推奨するような、歌じゃなかったとおもうけど。
もー座ってるのだってくるしく、ソファのこしかけに頭をずり落とした。
ボス、とかそんな音はせず、重苦しく、チャリ、と、小銭がこすれる音がなる。
……たしか、座る度にチャリチャリ音が鳴ったら、めちゃくちゃイカす、とかそんな理由だったはずだ。
実際は、ヘソクリにしかみえなくて、逆にビンボーくさくなったんだけど、言い出した本人が誇らしげだったから、気にならなかった。
「は〜」
つまんない家になったな。
つまんないのはおれか?
これからどうしよう、も、あのときこーしとけば、すら、おもわないんだから、そーだろうな。
足組んで、腕を枕にして、ソファのうえで寝っ転がって、いっつもこーしてたハズなのに、きょうは、いやこれからも?バカみたいにむなしい。
……テレビでもついてりゃ、まだマシかな。
頭からうで抜いて、天井みながら、テキトーに床をさぐるが、まー、床になんておちてるワケなく。
結局また、うでは枕に逆戻りだ。
ま、もーすこしたてば、床に物がころがるなんてあったりまえの家になるんだろーから、べつにイラつくことなく、なんなら、こんなキレイな家にひとりでいるのは貴重だなんだって、清々しくまであった。
家族がめの前で死んだって、てか、殺されたって?
おれは謝らない。
そんなことで謝ってたら、キリないからだ。
じゃ、あのしりあいは?
ともだちの母親のことは?おれはみんな助けられたハズだ。
ぜんぶ、おれのせいだってことはわかってる。
いじめる側だけじゃなく、見てるだけのやつも共犯だってよく言われるようにな。
だが、それでもおれのまぶたは睡魔に負けるし、
腹だって空くし、身勝手に、家を汚す。
「……生きてーることがツラ〜イなら、
いっそォちいさくゥ、しね〜ばいい」
イヤに頭から離れない。
それにトクベツな意味をみいだすなんて、
そんなバカなまねはしないが、我ながらオンチだな。
イミないから、なにしたっていい。
ぜんぶ、いまこんな、なんのイミもないこと考えたって、
家族が死んだ直後に、きょうの晩飯のこと考えたって、
おれはまだまだ死ななくったって、
勇気はないくせに、だれよりも長生きしたって、
べつにどーってことない。
みんな勝手に死んでく。
どーせいつかはみんなお陀仏だ。
クソダサいけど、死んでからのコトなんて考えたってイミないし、おれは好き勝手してたい。
だれにむかって言ってんだ。
ほんとクッソダサい。
「ごめんね」
彼女は私の目の前でそう呟いた。
俯いていて顔は見えないが、ただ震えていた。
「ごめんね」
私はそっと手を伸ばすが、彼女には届かない。
あぁ、泣かないでくれ。
心配しないでくれ、また誰かに会えるから。
悪いことをしたなんて思わないでくれ。
仕方がないことだと、私が神様に伝えてあげるから。
「ごめんね」
彼女はそう言って、私から離れていく。
私は泣いた。
今日ぐらい泣いても構わないだろう。
明日には息絶えるから。
泣いて、泣いて、泣いた。
そして、明日が来る前に息絶えた。
「昨夜、コインロッカーに赤ん坊を置き去りにした女性が逮捕されました。犯人は……」