ある大学を受験したときに
「人魚姫」が題材になった評論が問題になっていた。
アンデルセンの描く人魚姫とはなんだったのかを語る評論だった。
アンデルセンの『人魚姫』は、バッドエンドとして知られているが、本当は「人魚姫」本人にとってはハッピーエンドだったのだと、評論の筆者は語っていた。
人魚は死ぬと泡になって消える。
それすなわち、輪廻転生がないということ。
天国にもいけないということ
つまり、「彼女には魂がない」ということ。
人魚姫は、王子をナイフで刺し殺すことができなかったため
その身を海に投げ、魔女の契約の通り泡になる。
しかし、
彼女はその後「風の精霊」となって人々に幸福をもたらす
これが意味することは、彼女が転生したということ。
彼女は、人を愛しに愛した末に、
愛した人ではなく
もっと高尚な「魂」そのものを獲得したのだ
これを読んだとき、なんて美しい物語なのかと思った
たった一つの童話なのに終わることなく親しまれる物語
そこから考察されることが、わかることが
こんなにも美しいとは思わなかった。
かけがえのない出会い
人生の絶頂かと思えるほどの喜び
受験生活全ての破綻
嫉妬、絶望、自己嫌悪
かけがえのない唯一無二の弟の死
じゃあ来年はいいことから始まってくれるんだろうな???
変わらないものはない。
そんなの当たり前
だから、
人の価値観は変わることを念頭に置いておくべきだ
「この間はこう言ってたじゃん!」
と怒ることはお門違い
それを知っておくだけで
幾分か生きやすくなる
リビングの扉を開けた目の前に
プレゼントが積まれている
それは、きっとわたし宛
なかにはわたしのために選ばれたものが入っている
中身は包装紙に包まれていてわからない
山積みにされた箱の真ん中に、
ちょこんとすわる白い布に包まれた陶器の壺と木の札
その包装紙をあけて
出てくるのが、ただの骨じゃなくて
あの日いなくなった猫ならどんなに幸せだろう
初めて1人で冬の夜を過ごした
暖かな君がいないまま
腕の中に、壺を抱いて。
少し傾ければ乾いた音がした
こんな軽くて小さなものが君なわけないけれど
他によすがもない
冬は毎晩一緒に寝ていたから。
眠り方もわからない
朝起きて
腕の中の小さな君に
キスを落とす
このまま、私も君のところへいきたいよ