No.8『あの頃の私へ』
自分の選択を間違えていたんじゃないかと悩んでいた、あの頃の私へ。
確かに辛いこともいっぱいあった。だけど、今私は大切な友人たちに囲まれています。
あの頃の私へ。
その選択をしてくれてありがとう。
その選択は間違いじゃない。
No.7『逃れられない』
私たちは何があっても足を止めてはいけない。
ハードルがあるなら飛び越えろ。
壁があるならぶっ壊せ。
生きるものとして死からは逃れられない私たちだが、最期の瞬間まで諦めずにそれから逃げ続けろ。
それが人生だ。
No.6『また明日』
「また明日」
私にとってこの言葉は願いの言葉。
いつ失ってもおかしくない命を持つ生き物だから、いつ明日が来なくなるか分からない生き物だから……
私はもう一度「明日」がやってくることを願う。
どうか、私に、みんなに、「明日」が訪れますように。
また明日──。
No.5『透明』
透明になりたいと思ったことがある。
私は人から向けられる視線が苦手だ。侮蔑の視線も好奇の視線も期待の視線すら苦手だった。苦手というより嫌いの方が近いかもしれない。
そう感じるたび、透明になりたいと思った。
透明になればそんな視線を浴びることはなくなる。
ある日、夢を見た。自分が透明になる夢を。
私が考えていたように、私が嫌いな視線は向けられず、全員が私をいないものとした。
初めのうちは嬉しかった。もうあの視線に嫌な思いをさせられることはないと思ったから。
しかし、だんだん寂しさが込み上げてきた。
親しい人に話しかけようが、相手は私に気づかないまま無言で通り過ぎていく。
家に帰ってもそれを迎えてくれる声はない。
私はここにいるのに…!!
そんな怒りさえ込み上げた。
「っ……!!」
目を覚ますとそこはいつもの私の部屋だった。
家族に挨拶をすればいつものように挨拶を返され、友人に会えばいつものように笑い合った。
私は『いつも』が好きだ。その私の『いつも』に透明はいらない。
どうかこれからも『いつも』の色に染まっていられますように──。
No.4『理想のあなた』
私の理想のあなたは何があっても泣かない人──。
私は泣く人が苦手だった。
泣く人を前にすると私も泣きたくなったから。私は笑顔でいないといけないのに。
私の理想をあなたに伝えた時からあなたは泣かなくなった。
私はいつも白いベッドの上から、笑顔のあなたを見た。
そんな私の腕や体にはいくつもの線が繋がっていた。
いつしか体は動かなくなった。唯一動かせる目を動かしてあなたを見ると、相変わらずあなたは私の理想のままでいてくれた。
指すら一ミリも動かない。息さえ上手く吸えない。ああ、もう終わりなんだなと本能的に悟る。
悟ってしまった瞬間、あなたを見た。あなたは泣いていた。
「ごめんっ…君の理想のままで見送れなくて…っ……」
そう言いながら泣いていた。
その言葉を聞いて、自分の目にどんどん涙が溜まっていくことに気づいた。
──笑顔で逝きたかった。
──あなたが私を思い出す時、泣き顔じゃなくて笑顔を思い出して欲しかった。
──最期に見るあなたの表情は笑顔が良かった。
だけど…と思ってしまう。
私の死に涙してくれてありがとう。余命がある私を愛し続けてくれてありがとう。
理想のあなたは深く強く私の中に残っています──。