No.343『ふたり』
私は双子。双子と言っても二卵性で性別も違うし、顔も似てない。
でも私たちはいつもふたり一緒だった。
でもだんだん歳を重ねるうちに一緒にいることが嫌になった。
別に嫌いになったわけじゃないし、日常生活では普通に話すし、仲が良い方だと自負してる。
だけど私は比べられるのが何よりも嫌だった。
年の違う兄弟ならまだ「テストが違うから」と言い訳できる。でも双子だから、一緒のテストを受けてるから、だから比べやすかった。私はそれで怒られるのも片割れが怒られるのを見るのも嫌だった。
だから逃げた。絶対に一緒に通えない女子校に。
今までふたりだったのにひとりになったのは寂しいけどきっとこれは良い選択だったと思う。
No.342『心の中の風景は』
心の中の風景は日によって違う。
そして今日は、嵐みたいにぐちゃぐちゃだった。
最近、生きることがとても怖く感じる。
いろんな悲惨なニュースが流れてくるから。
私は、災害と病死ならまだ受け入れられる。
だけど、誰かに殺されることは絶対にいやだ。
でも最近は国中でそういうことを聞くし、きっとこれからも増えていくんだろうなと思うととても怖い。自分がそうなるかもしれないから。
確率なんて自分に当たってしまえば、あってないようなもので、それを経験してる人が事件の数だけ、いやそれ以上にいる。
ねえ、お願いだから、もうこれ以上この世界を、私たちの居場所を、生きるところを壊さないでよ。
そして、壊してぐちゃぐちゃになった世界を次世代の私たちに押し付けないで。
No.341『君と飛び立つ』
君と一緒に飛び立てたらどれだけ嬉しいだろう。
出会った時から苦楽をずっと共にしてきた君と僕の最期を一緒に飛び立てたらどれだけ幸せだろう。
一緒に飛び立って、一緒に輪廻の輪に乗って、一緒に生まれ変わって、また一緒になれたら僕は世界で一番の幸せ者だ!
No.340『夢じゃない』
……夢を見たよ。世界が平和になる夢。
でもそれは所詮夢でしかなくて、変わらない現実に吐き気を催した。
この世界で本当に平和を願ってる人ってどのくらいいるんだろう。
きっと世界を一回リセットしないと平和には永遠にならないんだろうな。
ね、なんのために歴史を学ぶと思う?……血濡れた愚かな歴史を繰り返さないためなんじゃないの?
ああ、でも無理か。
だってその歴史をもとに永遠に恨みあって憎しみあって、そうして歴史は繰り返されていってるんだから。
小さい子に憎しみを植え付けるんじゃなくて、平和になりますようにって願いを植え付ければいいのに。
平和のためのプロパガンダは許されない?争い続けるよりはいいと思うけど。
……叶うなら、今日見た夢を「夢じゃなかった」って言える日が来ますように。
No.339『泡になりたい』
どうせ叶わない恋心だと分かっている。
だって僕とあなたは違う世界の人間だから。
それならこの恋心ごと泡となって消えてしまえ。
あのお伽話の人魚姫のように。