No.297『元気かな』
未来の私は元気かな。
今の私は正直に言って死にたいっていう気持ちがでかい。
でもね、私は死ねないの。
死をどれだけ願っても、私には死ぬ勇気がないから。
だからきっと未来の私も、それが元気であれ、今の私みたいな状態であれ、生きてるんだろうなあ。
ああ、感情なんてものがなければもっと合理的に判断を下せたのかもしれない。
No.296『遠い約束』
君に半ば強制的に結ばされたあの約束。
「たくさん生きて、その思い出を私に話すこと」
ふふっ、もうすぐ果たせそうだよ。
君のいない日々はやっぱりすごく味気なかったけど、だけどそれでも生きたよ。
君にいっぱい思い出を聞かせるためにいろんなところに行った。いろんなところに行くためにちゃんと働いた。
ねえ、だからそっちに行ったらまずは僕のこと、たくさん抱きしめてね。
No.295『フラワー』
道端に背を伸ばす一輪の花があった。
それを見て私は羨ましいと感じる。
ああ、いいな…私もそんなふうに自分に自信を持って立ちたい。
私はどうしていつまで経っても変われないのか。
…きっと変化を待つだけじゃダメなんだろうなあ。
No.294『新しい地図』
新しい地図を持って新たな場所へ出発だ──!
そんなことを言ってる漫画の主人公を見つめる。
新しい地図、か…僕はそれを持ってないし、渡してくれる人もいないし、自分で探しに行く勇気すらない。
ああ、だから僕はずっと弱いままなんだ。
こんな自分が嫌なのに、僕はなんで変われないんだろう。
No.293『好きだよ』
「好きだよ」の一言すら言うことを許されない僕。
だって僕はもうすぐ死ぬんだ。
こんな人間に好意を伝えられたって彼女は迷惑に思うだろう。
だからこの想いは墓場まで持っていく。
たとえ彼女の想いが僕と同じものであろうとも絶対に言ってはいけない。
だって僕が願うのは、僕の想いが叶うことじゃなくて、彼女が幸せでいてくれることなんだから。
さあ、僕のことは忘れて、君は新たに大切な人を見つけて幸せになって。
…声に出すことが許されなくても心の中で言うのは許されるよね?
ねえ、好きだよ──。