ずっと苦しかった。
病名もない。でも確実に私のなかで渦巻いていた濁った霞。
気のせいな気がして誰かに言うことを拒んでいた。
差し伸べてくれていた手を見て見ぬふりをしていた。
ただ怯えていただけなんだ。
今まで作り上げてきた暖かく優しいみんなが
私の霞を垣間見た瞬間に離れていくことが怖かった。
明確な病を持たないのに苦しんでいる私が嫌だった。
今日、急に右半分の顔の感覚がなくなった。————
正直嬉しかった。自分のやっと苦しさが認められた気がした。
いつもより雲の隙間からさす日光が神々しく、神秘的だった。
明日も、これからもずっとこのまま。
私に指す光が永遠に。—————
「明日への光」ўциа
あの日々は数え切れないぐらいに私の心に灯りを宿した。
春夏秋冬、朝昼晩、ふとした瞬間、学校生活、家の中
数え切れないかけがえのない温かさはほんとにあった。
ほんとにあった 。————
確かにあったけど、私にはもう思い出すことは出来ない。
濃霧がかかっているのか。ガラスのように粉々になったのか。
今の私には知る由もない。知ることが出来ない。
慈しい記憶は、今の私の中に留まることをしなかった。
「ぬくもりの記憶」ўциа
溢れそうな涙を全力で引き止めた。
この部活でやっていくには、
私はあまりにも無力で臆病だった。
ここで私が泣いてしまったら、私はもっと成長できなくなる。
そう自分を咎め、 髪の鎧で泣きそうな自分を悟られないように覆い隠した。
やっぱり私は泣くには早すぎる。
この気持ちをかき消すように、震えている声で私は歌った。
ここまで歌うのが憂鬱なのは初めてだった。
いつものみんなで帰路に着いた。
漏れ出たため息も寒さでかじかむ指も構う余裕もなく空を見上げた。
周りのみんなに追いつけない———————
ここに私の居場所はない。————————-
前みたいに、みんなにかじかむ指を温めてもらう気にもなれず
ただポケットの中で耐えるだけだった。
笑い声がいつもよりも遠かった。
「凍える指先」ўциа
またいつもの3人だ。
それぞれ別の闇を抱えた3人。
孤独を抱える少女
恋に悩む少女
秘密を隠し続ける少年。
形の違う茨が巻きついた3人は、自然と互いに惹かれあった。
飲食店の中でまた、私たちは深く、永く語り合った。
彼氏の黒沼に満たされた世界に引きずり込まれそうになった彼女を、私たちは引き止め続けた。
ご馳走様でした。———-
ある程度話が一段落して外に出た時、
2人は満足感を感じながら、仲良く歩いていた。
やっぱり私は孤独だった。
2人の背中を前に、
私はただ凍てついた空にため息を着くことしかできなかった。
「白い吐息」ўциа
生気のない、からくり人形達の乗る電車の中。
電車の鼓動が心地よく私の体を揺すった。
暖房と黄色電球が着いているが、冷たい。
みんな下を向いて現実から目を背けていた。
誰もが皆。人形に見えるほど、世界は静かだった。
電車の外から瞬く光の粒だけが、
この世界が息をしていることを静かに告げていた。
「きらめく街並み」ўциа