hachi

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12/20/2022, 1:35:15 AM

キリンの首を手に入れたので、さっそく装備して、高い高いところから、周りを見渡してみる。

視野はできるだけ広く持っておかなくちゃ。

すごい、さすがに遠くまでよく見える。あぉ、あの、川のむこうにみえる、あれはなんだろう。川のむこうにあんなものがあるなんて。

あぁ、あっちにもなにかある。おもしろい。あれは何かなあ…

何時間、何日、何ヶ月、何年…
そうしていただろう

気が付くと、そばにいたはずのあの人は、いなくなっていた。

首を長く長くしてどれだけ遠くを見渡しても、もう彼は見当たらない。

『寂しさ』

12/18/2022, 12:18:10 PM

ちょっと 今 しんどくて 体が鉛のようで 動けない 笑えない 話せない 書けない
情けない 

『とりとめもない話』

12/9/2022, 8:41:36 AM

次男は美術部に入っている。
話を聞いてみると、かなり自由なスタイルのようで、まず部活に来るも来ないも自由。みんな好きに来て、思い思いに絵を描いて、満足したら勝手に帰っていくというのだ。

なんて素晴らしい部活だろう。夢みたいだ。そう言うと、次男もこの部活に満足していると言った。彼は私によく似ているところがある。

対して夫は根っからの体育会系だ。彼にとって、「全員一丸となって」「チームを勝利に導く」といったことはとても重要で、青春時代のアツい思い出を今も大事にしている。

この間テレビでアツい部活動の特集が流れていた。夫は喜んで観ていたが、私は実はそれを直視できない。
私は今まであんなふうに集団の中に入っていたことなんてない。息を合わせることもできないし、一丸となってなんて、とても無理だ。
隣を見ると、次男もテレビを直視していない。

あの騒がしい集団の中は、どうなっているのか、やっぱり楽しくて、光が溢れているんだろうか。この子もまた、静かな自由を愛しながらも、あの光に強く憧れているのだろうか。

自分はこれでいいのだと、もう何十年も自分を励まし続けてきたけれど、こういう映像を突き付けられると、やっぱり胸がざわざわとしてしまうのだ。


『部屋のかたすみで』
(前回のお題ですが…(・・;))

12/6/2022, 12:56:58 PM

スライドガラスに試料を一滴おとし、そっとカバーガラスをかぶせ、軽くおさえる。
これを顕微鏡にセットし、光量とピントをあわせると、長細い棒状の生き物が見えてくる。
これは、酵母。有名な卵型の出芽酵母ではなく、細長くて分裂で増える、分裂酵母です。

細長い酵母がさらに長くなり、真ん中に線が入っているものがある。もう少しすると、そこからぷつんと切れて、2つの個体になるのだ。
そうかと思うと、ただの丸もある。なにか別の菌が入ったのかな、と思ってしまいそうだが、そうじゃない。細長い酵母が縦になっていて、それを真上から(真下から?)見ているのだ。これも立派な酵母です。

カバーガラスが張り付いたスライドガラスなんて、人の目には平べったい二次元としか思えないが、彼らにしてみれば、その2枚の間には豊かな三次元が広がっているのだ。縦にも横にも斜めにも、実に自由にしている。

顕微鏡を覗いていると、実はこの世には、何次元も何次元も、たくさんの次元が存在してるのじゃないかな、と思えてくる。

『逆さま』

12/5/2022, 8:09:58 AM

朝起きると、夢の詳細は覚えていない。
ただ、随分昔に好きだった人がでてきて、とても甘いひとときを過ごしたような気がする。
ちょっと切ないような気持ちになって、私はニヒルに口を歪めて起きる。

まだ余韻に浸りながら顔を洗い、鏡を見ると、なんだか違和感を感じる。眉をしかめて、よーく見る……眉に…眉毛に…白髪が混じっている…!

震える手をなだめ、毛抜きを取り、慎重にその一本を抜き取る。たしかに真っ白だ。それでいて眉毛だ。

まじまじとその一本を見つめながら、もうこれは記念に取っておいてもいいんじゃないかとさえ思えてくる。そんな考えを振り払い、潔くその一本とおさらばし、深く息を吐き、そして吸う。
あぁ、私は気づいているのだ。自分が直面する本当の現実に、気づいているのだ。

『夢と現実』

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