『さよならは 言わないで』か…
うーーーん どうしようもないからなぁ、「さよなら」は。
なんとかして受け入れてくしかないものだからね…
息子お気に入りのVTuverが、子供の頃雑草を食べていたらしい。クローバーが美味しいのだそうだ。(この時点でどのVさんかわかる人もいるかも)
そしたら息子が、
「そう、クローバーは美味しいんだよね」という。
「実は僕も小さい頃雑草食べてたんだよね」というのだ。
「そんなのお母さん知らないけど!」
というと、にーっと笑って、
「そう、お母さんの知らないところで僕、雑草食べてたんですよ」
衝撃!!息子は親の目を盗んで雑草を食べていた!!
親が知る由もないことなんて、掃いて捨てるほどあるだろう。これまでもいっぱいあったし、これからもさらにいっぱいあるんだ。
今日、彼は推薦で一足早く大学入試を受けてきます。
受かれば一人暮らし。きっと家を出ていくんでしょう。
自分の実力を、ちゃんと出しきれるよう、がんばれ。
〈距離〉
その稲荷様には、深い深い木の間を、崩れかかった石段を果てしなく上って、息も絶え絶えに上がりきったところでようやく会える。
二匹の稲荷様は、青い雲が描かれた台座の上に対称に鎮座し、左の稲荷様は巻物を咥え、右の稲荷様は玉を咥えている。真っ白で滑らかな身体に、尻尾をすっと立てて、あの細い目で、まっすぐにこちらを見る。
行く手を阻むように大木がそびえ立ち、空はほとんど見えず、昼間でも日が暮れたように暗い。足元のシダ植物は濡れていて、土の匂いにむせるようだ。
足場の悪い中で一歩を踏みしめるたびに、なるほど自分の中の余計なものが剥がれ落ちていくような感覚になる。
登り詰めると、急に視界がひらけ、久しぶりに青空があった。稲荷様は相変わらず、台座にきちんと鎮座して、こちらを見る。
はあはあいいながら、稲荷様と対峙し、自分の心と対峙する。そして…
はて。自分はなんのためにここに来たのであったか。
稲荷様に何を言いたかったのか…。
いつもそうだ。稲荷様の前まで来ると、自分の中の黒い渦巻きが、なんなのかわからなくなるのだ。
風が吹き抜けて、息が落ち着いてきて、ふ、と笑う。
稲荷様は真顔でこちらを見ている。
…さて。あの足場の悪い中を、今度は下っていかなければ。
〈泣かないで〉…?
てぇへんだっ てぇへんだっ 冬がくるってよ!
なんだ なんだ
どうした どうした
なんでいきなり冬がくるんだよ この間まで夏だったじゃねえか
わかんねぇけどよ、とにかく冬がくるらしいんだよ
おいおい 勘弁してくれよ まだ全然冬眠の準備ができてねえんだ
こんな皮下脂肪じゃ安心して眠れないよ
今週末に寒波到来の予報だ とにかくそれまでに詰め込めるでけ詰め込んでしまえ
まいったなあ…
オレは他の奴らにも知らせてくるヮ おぉーい おまえら 冬がくるってよー…
なんだなんだ どうしたどうした…
〈冬のはじまり〉
昔から体が丈夫だった。
風邪もめったにひかないし、熱もでない。
運動不足で若干肥満気味の、健康優良児。
いいトシになった今でも異常一つ見当たらない。
体調崩して休んじゃうとか、憧れたものだ。
私も休みたい。体力があるわけではないので、疲労はずっしり重いんです。
天からの声が言う。
体は資本。まともに働ける体を持っていることにまずは感謝すべきだ。そして体力がないのは運動不足だからだ。
でも、でも、精神の方は疲弊が半端ないんです。でも、体がぴんぴんしてるから、休む理由がないんです。ここで熱の一つでも出せたら、休めるのに…
いっそのこと、完全に体が壊れてしまえば、抱えているもの、すべてをやめてしまっていいんじゃないか、もうこのトシだし、もういい加減ぜんぶやめてしまいたいのに、自分の丈夫すぎる肉体が憎い、そんな思いもよぎってしまうけれど、こんなオソロシイこと、匿名でもなければとてもじゃないけど言エマセン。
少しクラクラしてきて期待をもって熱を測ると、36.9度。
あ〜、頑張ってこれかぁ〜…
休みません、仕事に行きます。
〈微熱〉…にもならない