NONOZATO

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5/9/2025, 2:19:11 PM

「久しぶりだな、ごめんな最近来てやれなくて。」
「今日はね、お前の好きなお菓子持ってきたよ」
俺は墓の中で眠っている彼女に話しかけた。
「まぁ、ピクニックって感じの天気じゃないけどな笑。そっちの方の天気はどうだ?晴れ?曇り?雨?」

そうして俺は今まで彼女と一緒に過ごしてきた思い出の話をする。
「思い出すなぁ〜
突然お前がさ、ピクニックしたい!っていうからちょっと遠い公園まで一緒に行ったらお前が作った弁当の中身ぐちゃぐちゃになっててさ笑、それ見た途端お前めっちゃ拗ねてさ、俺あの時お前の機嫌直すのものすっげぇ大変だったからな?笑」

「なぁなぁ知ってるか?俺がここに来てちょうど一年が経つこと。信じられねえよな」
「お前があの事故に遭わなければお前今どんなふうに過ごしてたんだろうな」
俺は自分の彼女が事故に遭った日のことを思い出して、泣きそうになった。
「あの日お前が買い物に行ってくるーって言って満面の笑みで家を出てさ、いつもなら20、40分くらいで帰ってくんのに、全然帰ってこなくて心配になって俺がスーパーの方まで歩きに行ったら途中でめっちゃ人が集まってるところがあって、俺がそこまで行って、周りにいた人たちに話聞くと「飲酒運転で信号無視した車から6歳くらいの男の子を守ろうとして轢かれた女性がいる」って聞いて俺は嫌な予感しかしなかった。」

「お前は近くの大きい病院まで救急搬送されてさ、
俺はそのこと知った途端にその運転手のこと殴ろうとしんだ。」
「俺、結構な馬鹿だよな笑。あいつのこと殴ったってお前は帰ってこないのに」

「情けねえよな」

「お前が運ばれた病院まで行って次お前の顔を見た時お前の肌は陶器みたいに白くなってて、体温も冷たくて、今まで見たことのないお前を見たんだ。」
「それからさ、そのお前が守った男の子から毎日一通の手紙が届くんだよ。
そこには「ごめんなさい」っていかにも子供らしい字で書かれてあってさ、この前その男の子のお母さんとちゃんと話したんだ。「もう大丈夫ですよ」って。
何回謝られたってお前は帰ってこないだろ?」

「なぁ、お前は今こんな俺を見てどう思う?」
「もっかい見たいなぁ、夜寝る時に俺がお前のこと抱きしめて俺の腕の中にすっぽりおさまったその寝顔も、風呂上がりに二人でソファに座って食べるアイスの時間も全部全部が宝物だよ」
「ほんとは今にでもそっちに行ってお前のこと抱きしめてやりたいよ、頑張ったなって、痛かったなって、いっぱい褒めてやりたい」
「けど、きっとそれはお前が求めてることじゃないだろうからな、俺は生きるよしっかりお前の分まで」

「うし!じゃぁここをこうしてっと」
そうして俺は彼女の眠るお墓のところに手を当てた。
「今日も行ってきます!」

「また来るね」






5/4/2025, 4:55:22 AM

私の名前は芽良
「ねぇ好きな人できた!」
普段恋愛に興味のない友達の真木がそう言ってきた。
「え!?まじ!、急にどしたの?今まで恋愛に興味ないって言ってたじゃん」
「いやぁ、なんか前からちょっと気になってはいたんだけど、その人とのこと最近めっちゃ見つめるようになっちゃってさ、」
「えー、なんかいいね」
恋愛に興味がなかった友達に好きな人ができて私は少し嬉しくなった。
「どんな人?」
「えっとねースポーツ万能で、めっちゃ人に優しくて、可愛くて、でも時々かっこいい姿を見せる人!」
「え、できてる男やん」
「でしょでしょ!付き合いたいなぁ~」
私にも好きな人がいるけど、友達ともしかしたら同じ人かもしれないと思い、言うのをやめた。
「芽良はさ、好きな人いないの?」
「え、えぇ〜、いないかな!」
まさか私にこんな質問をしてくるとは思っていなかったので、いないと嘘をついた
「そっかぁ、じゃあ頑張ってね!」
「あ、てかさ真木の好きな人の名前なに?!」
もしかしたら違うかもしれないと思い、私は真木の好きな人の名前を聞いた。
「え、同じクラスのかなたくん!」
「あー、かっこいいよね、かなた」
私の好きな人とは違う人で少し安心したが、そのかなたとは幼稚園からの幼馴じみでつい呼び捨てで読んでしまった。
「えっ、、、?かなた?えもしかして付き合ってる?」
「ううん!違うよ!幼稚園からの幼馴染でつい呼び捨てしちゃった、ごめんね」
「なーんだそゆことね!安心安心!」
真木は自分の今の気持ちを正直に言えない性格だ。
そのため、今私が呼び捨てしたこともきっと嫉妬しているんだろう。
「ほんとごめん」
「なぁに!全然謝ることないよ!ありがとう!」
なんてことを話しながら教室を出て下駄箱へ向かう。
「あ!かなたくんだ、かっこいい〜」
かなたは放課後の部活でハンドボールをしている。
「なんか、いいね。好きな人がいるの」
「作ればいいじゃん!」
「いや、正直に言うと、私にもいるよ。好きな人」
真木が固まった。
「え、…マジで?!」
「誰?!」
「え、え、あのぉ隣のクラスの翔くん」
「え?そんなひといたっけ?」
「ハンドボール部だよ?」
私の好きな人と真木の好きな人同士は仲がいい。
「あのぉ、青の服着てる人」
「あぁ!あの人ね!全然知ってたわ!」
「かっこいいんだよねぇ」
「確かに」
話していると部活が終わってかなたと翔が話しながらこっちに向かってきた。
「あ、!芽良〜!」
かなたが大声で私の名前を呼んだ。
「…!?まずい!」
私の体全身の血が逆流して心臓が早くなっている。
「あ、あのね、これは、、、」
真木を方を見ると真木は私の好きな人と肩を組んで話していた。
「え、?は?え?」
逆流していた血が戻ってきた。
私は意味がわからなくなった。
「ねぇ?どゆこと?」
かなたの話を無視してつい二人が話してるところに割り込んでしまった。
「え?あぁ!ごめんごめん!翔はね家が隣で、お母さん同士が仲良いんだよ!勘違いしちゃった?ごめんね!」
「なんだ、、びっくりした。勘違いしてごめんね」
「芽良?」
「あーごめんごめん早く行こ」
わたしには癖がある。それは男の人が隣に来ると少し照れてしまうことだ。
逆に真木の方は少し口調が強くなって話す。
「そういやぁさ、後ろの真木さんと翔、仲良いんだな」
「なんか親同士が仲良いんだってよ」
「ふぇー、」
今、私の好きな人は真木と歩いていて、真木の好きな人は私と歩いてる。
なんか、複雑だ。
意外に近寄れそうで近寄れない。
「恋ってむず」
「え?!お前好きな人いんの?」
つい口に出してしまった。
すると後ろにいた私の好きな人が話しかけてきた。
「え、!芽良さん好きな人いるの?!誰誰?」
「え、、?!あ、えっと」
「あれれ〜?何話してんの?」
真木が揶揄(からか)うように私に話してくる。
「う、うるさいよ!なんでもいいじゃん」
「やぁ、まさか芽良に好きな人がいるとは」
「うるさい!」
私の家についた。
かなたとは家が少し離れているため、ここでわかれる。
「またね」
「おう、じゃあな」

私の名前は真木
私の好きな人はかなたというスポーツができて優しい人だ。
さっき芽良の物語を読んでくれた人はきっとわかるだろう。
読んでもらった通り、私の好きな人のかなたは芽良と仲がよく、芽良の好きな人の翔は私と仲がいい。
「なな、翔」
「ん?」
「お前好きな人いる?」
「いるよ」
「誰誰?」
私はにやけながら翔の話を聞く。
「ここだけの話な」
そういうと、私の耳元で小さく「前にいる芽良さん」
と言った。
「えぇ!!!」
私はびっくりした。
前にいた二人も振り返ってこちらを見た
「あ〜、ごめんごめんなんでもない」
「お前マジ?」
「うん、だってかわいいやん」
「お前耳かせ」
私が翔の耳元であることを話す。
「お前、両思いだぞ?」
翔が固まった。
「ふっ、よかったな、なるべく早く告れよ、じゃねえと他のやつに取られるぞぉ〜」
翔の家に着いた。
翔の家と私の家はすぐ真隣だ。だからお互い家に入ると同時に別れの挨拶をする。
「はぁ、両思いかぁ」
一人になった私はなんか、寂しくなった。
「私の方はどうなんだろう」
ー次の日ー 
「おはよー」
「あ、かなた」
「お!おはよ!」
「な、なぁ!かなた」
そう名前を呼ぶと不思議そうな顔でこちらを見つめる。
「あのさ、、す、」
「?」
「やっぱなんでもない」
「そう!じゃあまたな!」
そう言って隣のクラスにいる翔に喋りかけに行ってしまった。
「いま、何言おうとしてたの?笑」
「えー、好きってことを伝えようとした。」
私は芽良に正直に話した。
「ふーん」
ニヤニヤしながら私の顔見る。
「もういいよ!」
ー放課後ー
芽良と翔と私で帰る。
かなたは家の用事があるためこなかった。
「どうする?私の家くる?」
学校の近くにある公園のベンチに座って3人で話す。
もちろん、芽良と翔を隣に座らせて。
「あ、翔!ネクタイこうやってすこし緩めてみて」
すると翔はネクタイに手を当てて下にネクタイを引っ張る。
「うぎゃぁぁ!」
「え、なに?笑」
翔が困った顔をする。
芽良が私の方に倒れ込む。
「wwwwwwwwwww」
「家くる?笑」
「いいの?」
二人の声が揃って目を合わせた。
「おっと〜笑」
「早く行こっか」

「どうぞぉ〜」
私の家に二人が入る。
「お邪魔しまーす」
「ねね!真木!ギターあるよね?」
「あるけど、?」
「さわらして!」
「いいよ?」
私はギターを弾くことが最近の趣味になっている。
「翔も弾く?」
「いや、俺はいいや」
芽良がギターを弾いている右隣に翔がいて、私の目の前に芽良がいる。
「指痛い!もうやらない!」
「wwww飽きるの早w、じゃあ私ギター片付けてくるよ」
芽良が持っていたギターをもらい私の部屋に片付けようとした時、芽良と翔が隣で座っていた。
「…はよ付き合えよ!!」
私はその光景を見て黙っていられなくなった。
「え…?」
二人の顔が赤くなった。

「お邪魔しましたー」
翔が帰える。
「二人で見送るよ!」
翔を見送ったあと、芽良は私に言った。
「ねぇ、!あんなこと言うのやめてくれる?!」
「えぇ〜ごめんごめん笑」
「なんか、ありがとう!!」
「どっちだよwww」
芽良と私が私の家に戻る。
「いやぁ、次はかなたも誘うからね」
「wwwwwwはいはい笑」
「はぁ、恋って疲れる」
「でもその疲れはなんか好きになれない??」
「まぁね!」
二人の恋はまだまだ続きそうだ。






4/25/2025, 12:57:59 PM

夏の店

夏が好きだと、言えるようになったのはいつのことだっただろう。

「ねね、次の時間プールだって!」
「え!うそ、やったー!!」
本を読んでいる私の隣で大声で喜んでる女子がいる。
私はプールが嫌いだ。
「美玖ー、プール一緒に行こ!」
友達の玲奈が言った
「うん、」
「美玖ってプールほんと嫌いだよね」
「プールだけじゃないよ、夏ってのがもうやだ」
「マジかー」
私はため息をつきながら更衣室へ友達と向かった。
「あーあ、この匂い、ほんとに大っっ嫌い床もビチョビチョだし」
着替えが終わり太陽に照らされて暑くなっている地面を友達と一緒に走りながらプールの方へ向かった。
「はい、じゃあゆっくりとプールに浸かれよー」
先生がマイクを持って呼びかける。
「うわっ、虫が浮いてる、もうこれだからやなんだよ」
周りの生徒たちは笑顔で、「冷たーい!」なんて言いながらプールの中に入る。
「美玖も早くおいでよ!」
「わかったよ、、」
「うわっ、冷た、!」
私の肩まで包み込む水が冷たくて、浮いてくる水着のスカートが気持ち悪い。
「じゃあこのビート板を使って泳ぐげー」
学級委員が一人ずつにビート板を配っている。
「うわー暗い点々がついてるしなんか濡れてるよ…」
ープール後ー
「やっと終わった…」
1時間くらいの授業だったのにも関わらず私の体内時計は3時間経ったように感じてる。
「えーっとここの公式は縦×横で…」
授業を受けているのにプールで疲れて机の上でうつ伏せになって寝ている男子、やる気がなくてノートに落書きをしている女子。
「授業中くらい真面目に受けろよ…、」
ー放課後ー
「玲奈、一緒に帰ろ!」
「あ、ごめん美玖、今日掃除当番だから先に帰っててくれない?ほんとごめん〜!」
「ううん全然大丈夫、頑張ってね!」
下駄箱に向かってる途中階段から見える綺麗な景色に少し目を奪われた。
「こうやってみると綺麗だな」
なんて考えながら外に出ると一斉に聞こえてくる蝉の声が私を囲った。
「もう、さっきまでめっちゃいい雰囲気だったのにさ、ここに来ると耳が痛いよ、、寄り道せず帰ろ」
スタスタと小走りで家に帰る途中、水色の屋根のアイス屋さんを見つけた。
「え、!アイス?!え、あ、でも今日はすぐに帰りたいし家にもアイスあるし、どうしよ」
その時私の目に映ったものは小さな看板だった。
そこには「今よりもっと夏を好きになる?!マンゴーアイス!」と書いてあった。
私はその看板の誘惑に負けてアイス屋さんの中へ入った。
店内は日差しが差し込んで落ち着くBGMが流れている。
私は椅子に座りメニュー表を見た。
「いろんな味があるんだなー、どれにしよう」
残念ながら外の看板に書いてあったマンゴーアイスはすでに売り切れになってしまっていた。
「うーん、あ!このチョコチップアイスにしよう!」
「すみませーん」
店員さんを呼ぶと駆け足でこちらに向かってきた。
「お待たせいたいました!ご注文をどうぞ〜!」
「えーっとこのチョコチップアイス一つください」
「あ、ジュースも一緒に選べるのですが…」
「あ、そうなんですね!じゃあ〜オレンジジュースください!」
「かしこまりました!少々お待ちください!」
店員さんは明るくて、私と違って夏がものすごく好きそうな人だ。
アイスを待っている間、スマホを取り出して今の時間を確認したり、本をしていると注文した物がきた。
「ありがとうございます〜!うわぁ!」
そこには今まで見たことがないくらいに輝いているアイス、そしてジュースの中に入っている氷が少しずつ溶け始めてカランと鳴る音が私の耳に入ってくる。
さっきまで蝉の声に耳が占領されていたのに今はものすごく落ち着いていて優雅な時間が流れてる。
「いただきます」
小さなスプーンを持ってアイスを掬う。
口の中に入れた瞬間じわぁっと広がるチョコの濃厚な風味。そのあと徐々に口の中で溶けるチョコチップのほのかな苦味が私を癒す。
「オレンジジュースもめっちゃ美味しい!なにこれ?!」
目を大きく開いてビックリした表情をすると、店員がこちらに来た。
「どうです?美味しいですか?」
「え、あ、はい!めちゃくちゃ美味しいです!アイスもオレンジジュースもめっちゃ美味しいです!」
そういうと店員さんは自信満々に返事をする。
「でしょでしょ!このオレンジジュースはね〜、この店特製のオレンジジュースなの!」
「そうなんですね!大好きですこのオレンジジュース!」
「よかったー!」
話していると店員さんは私に一つ質問をしてきた。
「あのさ、もしかして夏嫌い?」
「え?」
「あー、はい、苦手な方です…」
夏が大好きですって態度で示しているような人に大嫌いとは言いにくかった。
「そっかぁ〜、私と一緒だね〜」
夏が大好きだと思ってた人が急に苦手だと遠回しに言っているような発言をしてて少しびっくりした。
「え、夏嫌いなんですか?」
「今はだーいすき!だって朝家出て行ってきまーすっていったあと同時に聞こえてくる蝉の声がまるでいってらっしゃい〜って言ってくれてるみたいでだーいすき!」
なんて、私の予想は一瞬違ったように思ったが全然違ってはいなかった。
「へ、へぇーそんなんですね〜」
「なんで夏が嫌いなの?」
「だって、プールとか入った後に寝てる人見ると腹立つし、登校してる最中に汗は滝のように流れてくるしもう色々嫌いです」
なんて気付けば苦手だと言っていたのが嫌いに変わっていた。
「そっかそっか笑!いいねぇ〜青春だね〜」
「……」
青春という言葉を聞くと何かに気づいたような気がするが、なにに自分が気付いたのかわからない。
「プール後授業寝てる人をみれるのも今のうちだよ?、今何歳?」
「今はぁー、18歳、、です、」
「え?!もう青春最後の1ページじゃん!」
その言葉を聞いて私は今までの自分を振り返ると夏が嫌いで季節の一つを無駄に過ごしていた。それは青春の1ページのどこかを破ったみたいで、少し勿体無く感じてしまった。
「今しかないよ?大丈夫!まだ間に合う!まだまだ夏は続くから!」
「ありがとうございます!楽しみます!」
こんな言葉を聞いてすぐに夏を好きになるのは何か違うような気がした。
「ありがとうございましたー!」
お店を出てしばらく歩くと蝉の声がまた耳にはいってきた。
前までは好きになれなかったこの声も今は気にせず堂々と歩けている。
全部あの店と店員さんのおかげだなぁ〜。



3/4/2025, 9:35:51 AM



「美希ー!あっちで写真撮ろ!」
「いいねー!」
「いくよ〜ハイッチーズ」
今日は中学校の卒業式。
友達や家族と写真を撮ったりして、お祝いをしている。
「いゃ〜中学校終わるの早かったね〜」
「ね〜、でもさ〜うちら彼氏いたことなくね?」
「…ッー、いや〜私はいたし…、セイシュン、シタシ」
嘘をつくのが下手くそで、大雑把でいつも明るい私の友達、奈留。奈留とは3年の付き合いだ。
卒業式が終わり二人で桜の木が何本も生えている川の橋を渡る。
「ねね!あそこに椅子あるからさ、記念にあそこでも写真撮らない?」
「いいね!ちょうど桜の花びらも舞ってるし」
そんな話をしている時、私たちの足元の周りに何かが通った。
「え…なんか、、通った?」
「気のせいじゃない?」
「ワンワン!」
私たちの後ろから犬の鳴き声が聞こえた。
「わッ!」
奈留が右手に握っていたスマホが落ちた。
「え!スマホの画面割れてない?」
「セーフ!」
軽くため息をついて安心した。
「この犬どっから来たんだろ?」
「んーでもこの犬首輪付いてるしなー、飼うにしても難しいな。」
「ですよねー」
そんな時どこからかギターの音色が聞こえてきた。
すると急に犬が走り回った。
「すーごいすごい!めっちゃ走んじゃんww」
奈留がそう言いながら犬を撫でる。
「ねぇねぇ、さっきからなんかの楽器の音聞こえてこない?」
「え、あーうん」
「聞こえてないだろ」
「バレた?」
そうして私は音色が聞こえてくる方向を探す。
「ねぇー!ここから聞こえてくるー!」
「マジ?そういやぁ犬って聴覚いいんだっけ?
「え、そうなの?知らない」
私は動物について詳しくないので適当に返事した。
「あ、本当だここの家からか」
「んー?なんか見覚えある家だなぁ」
「あ!」
「なに?なんかあんの?」
「ここ、あの先輩が住んでるところだよ、、」
わたしたちより2つ年上の女の先輩だ。笑った顔を見たことがなく、すごく怖い。
「うっげー、そんな人に見つかりたくない、早く行こ」
「おい!」
大きな声が、後ろから聞こえてきた。
「ヒッ!」
「何してんだよそこで」
「あ、えっと、綺麗な音色が聞こえてきたものだからつい」
「人ん家の前であんまでけー声出すんじゃねえ」
「はい、すみません」
先輩は前と変わらずずっと怖い。
「あんな先輩いた?、私みたことないんだけど、、」
「いたよ、いっつも屋上行ったら隅っこで座ってた人だよ」
「あー、あんまし屋上行ったことないからわかんないや」
「ね〜ポチ」
「へ?ポチって?その犬のこと?」
「そうだよ、なんかねさっき首輪のとこ見たらポチって書いてあった」
奈留の顔が急に真剣な表情になる。
「どうしたの?気分悪い?」
「もしかしてだけど、その先輩の犬とか」
「いや、ないない、あんなに怖い人だよ?犬なんて飼ってるわけないし」
「だよね〜、いぬなら散歩させるもんね」
「でも、聞いてみる価値はあるぞ?」
私に行かせる気満々でこちらを向く。
「はぁ〜わかったよ、行けばいいんでしょ行けば」
「よろー」
そうして先輩の家に行くことになった私は奈留が抱えている犬を貰い先輩の家のインターホンを鳴らす。
「はーい」
綺麗で優しい声が聞こえてきた。
「(え?お母さん?、あの先輩の?本当に?)あ、あの〜少し伺いたいことがあるんですけどー…」
ドアが開くと黒髪で長く、目がパッチリと開いて綺麗な女性が出てきた。
「あ、あのお母さんですか?」
「はい、そうです」
家の奥から先輩がこちらを覗いている。
「あ、えーとさっきあそこの桜の木の下のベンチに座っていたらこの犬が走り回って来たんですけど…」
「あ!ごめんなさいその犬私の家の犬だわ。今日は散歩に行く暇がなくて庭で走らせてたんだけど、出てちゃったみたいね。ごめんなさい、本当に」
あの先輩のお母さんだとは思えないくらいに綺麗でしっかりした人だ。
「あ、全然大丈夫です、あまり遠くに行かなくてよかったですね」
「今日卒業式?」
「あ、はいちょうど1時間前くらいに終わりました」
「そうなのね!、おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
軽く頭を下げてお礼を言うと先輩が出てきた。
「あ、ありがと」
「何言ってんの元はと言えばあんたが面倒見ずにギターばっかやってるからでしょうが!」
「ごめんなさい、、」
今まで見たこのない先輩の姿を見て私は驚いた。本当にこの人は先輩なのか?
「ありがとうね、まぁ、会えることはもう無いかもだけど、あったらまたこの娘に声かけてあげて、こんなんでも実は可愛いものとか大好きだから!」
そんなふうにお母さんが言うと先輩は頬を赤くしながら軽く頭を下げた。
「それじゃあ私の友達も向こうで待ってるので行きますね!」
「先輩!ギターまた今度教えてください!私もギターやりたいと思ってたので!、あと、一緒に今あそこのベンチで写真撮りませんか?」
「は?なんで私が、」
「いから、いいから!、

「美希ー!あれ?先輩?」
「連れてきた!先輩も入っていいよね?」
「もちのろーん!」
「いくよー、ハイッチーズ!」
そうして私たちは無事に高校を卒業し、桜の花びらがひらひらと舞う中で先輩と記念に写真を撮った。







2/18/2025, 9:05:00 AM


未来の自分へ、今が辛い人へ

死にたいけど、死にたい訳じゃない
なんでだろう、気づけば自分のことを嫌いになって、自分を傷付けて、夜布団に潜って一人で泣いてる。
不思議だね。なんでだろうね。
自分よりも明日が怖くて苦しんでる人がいるのに、こんなので怯えてる自分が情け無い、泣いてる自分が情け無いって、思っちゃった。
でもね、落ち込んで泣いて布団から出れなくても1日なにもできなくても、学校や仕事に行く勇気が出なくても、行けなくても大丈夫。生きてればいいから。
人それぞれ違う悩みと痛みで闘っていると思うけど、みんな同じ『辛さ』と闘ってるから。
自分をどんなに責めても傷付けても私は怒らないよ。
だって、それが自分の隠してた言葉の全てなんだもん。人に弱い姿を見せれないから強くあろうとする優しい貴方が、未来の自分がこれ以上傷つかずに幸せでありますように。

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