NONOZATO

Open App

「久しぶりだな、ごめんな最近来てやれなくて。」
「今日はね、お前の好きなお菓子持ってきたよ」
俺は墓の中で眠っている彼女に話しかけた。
「まぁ、ピクニックって感じの天気じゃないけどな笑。そっちの方の天気はどうだ?晴れ?曇り?雨?」

そうして俺は今まで彼女と一緒に過ごしてきた思い出の話をする。
「思い出すなぁ〜
突然お前がさ、ピクニックしたい!っていうからちょっと遠い公園まで一緒に行ったらお前が作った弁当の中身ぐちゃぐちゃになっててさ笑、それ見た途端お前めっちゃ拗ねてさ、俺あの時お前の機嫌直すのものすっげぇ大変だったからな?笑」

「なぁなぁ知ってるか?俺がここに来てちょうど一年が経つこと。信じられねえよな」
「お前があの事故に遭わなければお前今どんなふうに過ごしてたんだろうな」
俺は自分の彼女が事故に遭った日のことを思い出して、泣きそうになった。
「あの日お前が買い物に行ってくるーって言って満面の笑みで家を出てさ、いつもなら20、40分くらいで帰ってくんのに、全然帰ってこなくて心配になって俺がスーパーの方まで歩きに行ったら途中でめっちゃ人が集まってるところがあって、俺がそこまで行って、周りにいた人たちに話聞くと「飲酒運転で信号無視した車から6歳くらいの男の子を守ろうとして轢かれた女性がいる」って聞いて俺は嫌な予感しかしなかった。」

「お前は近くの大きい病院まで救急搬送されてさ、
俺はそのこと知った途端にその運転手のこと殴ろうとしんだ。」
「俺、結構な馬鹿だよな笑。あいつのこと殴ったってお前は帰ってこないのに」

「情けねえよな」

「お前が運ばれた病院まで行って次お前の顔を見た時お前の肌は陶器みたいに白くなってて、体温も冷たくて、今まで見たことのないお前を見たんだ。」
「それからさ、そのお前が守った男の子から毎日一通の手紙が届くんだよ。
そこには「ごめんなさい」っていかにも子供らしい字で書かれてあってさ、この前その男の子のお母さんとちゃんと話したんだ。「もう大丈夫ですよ」って。
何回謝られたってお前は帰ってこないだろ?」

「なぁ、お前は今こんな俺を見てどう思う?」
「もっかい見たいなぁ、夜寝る時に俺がお前のこと抱きしめて俺の腕の中にすっぽりおさまったその寝顔も、風呂上がりに二人でソファに座って食べるアイスの時間も全部全部が宝物だよ」
「ほんとは今にでもそっちに行ってお前のこと抱きしめてやりたいよ、頑張ったなって、痛かったなって、いっぱい褒めてやりたい」
「けど、きっとそれはお前が求めてることじゃないだろうからな、俺は生きるよしっかりお前の分まで」

「うし!じゃぁここをこうしてっと」
そうして俺は彼女の眠るお墓のところに手を当てた。
「今日も行ってきます!」

「また来るね」






5/9/2025, 2:19:11 PM