手を繋いで
────心地よい風と暖かい自然に囲まれている家。
私はその家に住んでいる。
小説や少し古めの絵本、趣味の紅茶
庭に咲いている小さめの可愛らしいお花に囲まれている。
落ち込んだ時や暇な時に好きな色のお花を積んで
ドライフラワーにするのが最近の楽しみだ。
午後から森のお友達とお茶会の予定がある。
少し前に葉の手紙に薄い桃色の花を添え
お友達の小鳥さんに運んでもらった。
「最近お気に入りの甘い紅茶にハマっているの
是非味わって欲しいわ!
××日の午後、みんなとお茶会しない?」
お洒落な白い椅子と檸檬色の布が掛かったテーブルを
庭に並べて、日差しよけの屋根を置き
庭で育てた苺を使ったケーキを並べて待っている。
「やっほ〜」
奥から声が聞こえた。
手を繋ぎ席に案内すると時間を忘れるくらい
ずっとお喋りしてはケーキを食べ
甘い紅茶を飲んで楽しんだ。
幸せな時間を過ごしたこの日は私の宝物だ。
ありがとう、ごめんね
「ありがとう」
この一言は嬉しい時や何かして貰った時
感謝の気持ちを込めて相手に贈る言葉。
ただ気持ちが籠ってない「ありがとう」は
誰も嬉しくないし自分も嫌になる。
たった一言だけど言い方によっては
人への信頼も薄まってしまう。
完璧な「ありがとう」じゃなくてもいい。
自分なりに感情を伝える事が大切なんだ。
「ごめんね」
この一言は失敗や嫌な気持ちにさせた時
謝罪の気持ちを込めて相手に贈る言葉。
笑いながらや適当に言う「ごめんね」は
気持ちが伝わらないし許してくれない。
たった一言だけど言い方によっては
相手をまた傷つけてしまう。
やり直すための大切な言葉だから
しっかりと伝えないといけないんだ。
照れくさくてなかなか言えなかったり
勇気がなくて言えない人も沢山居る。
大丈夫、君だけじゃない。
初めは難しいけど少しずつ少しずつ
「ありがとう」と「ごめんね」を
大切にしていこう。
部屋の片隅で
部屋の片隅でふと考える自分のこと。
ミスをしてしまったり
つい強く当たってしまったり
他の人と比べてしまったり。
必死に言い訳を考えている自分が
本当に大嫌いで、、
けれど何処か溺れていくように
どうでも良くなってしまう。
逆に自分ですごいと思うこと
珍しく褒めてくれたこと
ちょっと嬉しかったこと。
不思議だよね、皆にとっては当たり前で
しょうもないことだけれど
自分にとっては本当に頑張れるようなこと。
部屋の片隅でふと涙が零れる。
死にたいって思ったり
イライラしてしまったり…
しかしそれを言葉にする事は難しい。
笑いすぎて涙が零れたり
幸せで涙が零れたり…
それほどの幸福感は人を強くする。
部屋の片隅で想うこと。
部屋の片隅で悩むこと。
部屋の片隅で眠りに落ち
部屋の片隅で朝を迎える。
自分にとって部屋の片隅は
とても大切な存在なんだ。
逆さま
────深い眠りにつき
僕は不思議な夢を見た。
今日はその時の話をしよう。
夢の中で目が覚め辺りを見回すと
なんとも言えない感覚に覆われた。
窓を覗いた時僕は思わず呟く。
「なんだ…地面が上にある…?」
それに机も椅子も小物達も
全て逆さまになっていた。
もしや、夢か?と思っても
もしかしたら現実かもしれないと
不安になっていた。
更に僕の重力は反対側に引っ張られている。
家を出たら空に飛ばされてしまうと
思った僕はこの夢から抜け出す手掛かりを
探すため、家の部屋を探し回る。
不思議なことにお腹も空かないし
思っていたよりちゃんと歩ける。
とはいえ、このままだと困るので
ベッドに置いてあるスマホを取りだし
夢から目覚める方法を調べようとしたが
ネットが通じていないのか
画面はフリーズしたままだ。
どうしようという不安と
このままだったらという焦りで
いっぱいになり突然目の前が白く霞む。
───ピロロロロピロロロロ……
目を開けると青い空が見えている。
「なーんだwやっぱり夢だったのか」
僕は安心して微笑んでしまった。
けれど、なんでだろう…背中が熱いんだ。
それにピーポーピーポーと音が聞こえる。
身体も動かない。
あ…そういえばなんで空が見えるんだろう。
僕はそっと目を閉じた。
眠れないほど
───いつもと変わらない朝を迎え
今日も寄り道をしながら学校へ向かう。
朝は寒いし眠くて堪らないけれど
少し前から気になる子が出来てからは
教室に向かうのが楽しいと感じた。
その子は朝早く教室に来ては
窓際にある花瓶の花に水をあげたり
近くの席と楽しそうに話している時
微笑んでいる顔が可愛くて
僕の胸に刺さってしまった。
今ではその子を目で追っては
目が合ったら照れくさくて
目を逸らしてしまう。
本当は話したいけど
嫌われたら…なんて考えで
なかなか近づけることは出来ない。
あー少しでいいから話してみてー
なんて思いながら過ごしてく。
───ある日のこと。
学校行事でペアを組むことになり
僕は友達が居なかったので
サボろうとした時
「良かったらペアならない?」
その子から声を掛けられた。
ビックリして声が裏返ってしまったけれど
その時の君の顔は今も忘れられない。
眠れないほどの思い出。