「泣かないで!」
泣かないでと言われても、
涙が勝手に出てくる。
まるで涙たちが、
「今がチャンス!」とばかりに
全力で舞台に登場するみたい。
「泣かないで!」って、
誰かが心配してくれるけど、
正直、涙もたまには
自分を解放してあげたいんだよね。
だって、泣いた後のスッキリ感って、
まるでお風呂上がりの爽快感。
「よし、もう大丈夫!」って
新しい一歩が踏み出せる気がするから。
泣かないでと言われるたび、
私は思うんだ。
涙が教えてくれるのは、
弱さじゃなくて、
次の強さへの準備だって。
「冬のはじまり」
冬のはじまり、
外に出た瞬間、寒さが突き刺さる。
「お、これが冬か!」と思うけれど、
思ったよりも冷たい風にびっくりして、
慌ててコートをしっかり閉めるけれど、
それでも寒さがじわじわと染み込んでくる。
「いや、これ絶対コートの意味ないじゃん!」
とツッコミたくなる自分がいる。
空を見上げると、
雪が舞い始めて、
「雪だ!やった!」と思うけど、
顔に雪がピシャっと当たって、
「うわっ、これ、冷たすぎ!」
でも雪の冷たさすら、少しだけ気持ちよく感じる。
歩きながら、
雪が降り積もる地面を踏みしめる音に、
思わずテンションが上がって、
「うわ、雪って踏むとこんな音するんだ!」
と子どもみたいに感動して、
そのまま無駄に歩く速度が速くなる。
でも、帰る頃には靴の中に雪が入って、
足がビショビショになってることに気づく。
「これが冬の洗礼か…」と、しばらく立ち止まるけれど、
結局そんな自分に笑ってしまう。
家に帰って暖房をつけると、
「温かい!」と感じながらも、
すぐにコタツに吸い込まれて動けなくなる。
それでも、寒さを感じるたびに、
どこかホッとする自分がいるから不思議だ。
冬のはじまりって、
寒さに振り回されるけれど、
その中に意外と心地よさがあったりして、
なんだか好きになってしまう瞬間がある。
あっという間に慣れて、冬が自分のものになっていく。
それが冬の面白さかもしれない。
「終わらせないで」
宿題の〆切が今日だと気づいたのは
夜10時、冷めたコーヒーを前にした瞬間だった
終わらせないで、この平和な時間を
そう心で叫びながら、手は無情にも
ノートを開き、鉛筆を走らせる
「この問題、何回見ても初対面じゃん?」
自問自答が深夜の静寂を破り
答えの見えない公式に向かって
根拠のない友情を築き始める
終わらせないで、もう少し夢を見させて
いや、ちょっと待って、本当に夢に逃げたい
だけど明日の先生の視線がちらついて
目覚ましよりも早く、心が覚醒する
そして朝、提出されたプリントには
謎の解答と「すみません」の文字が踊る
終わらせないで?
…いや、もう終わらせてほしい。
「愛情」
愛情って、計算できない
だって、あなたを見ただけで
心臓がダンスを始めるんだから
そんなの、どうやったら予測できるの?
たまに、会話が終わらなくなる
「じゃあね!」って言おうとしたら
また何か思いついちゃう
でも、気づけばそれが楽しくて
時間なんて、あっという間に過ぎちゃう
結局、愛情って
理屈じゃなくて、心が跳ねる瞬間
どんなにバカなこと言っても
その時間が、幸せだって思うんだから
微熱
胸の奥に灯る小さな熱
冷ますことも、燃やし尽くすこともできずに
曖昧なままで揺れている
風が吹けば消えてしまいそうで
手のひらでそっと守ったけれど
その温度は、痛いくらいに僕を焦がす
言葉にすれば壊れそうで
黙れば溢れそうで
ただ、微熱のままでいる
いつかこの熱が名前を持つ日まで
僕はそっと、この心の中で育てるんだ