かっぱえびせん

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11/11/2025, 1:58:38 PM

朝の光がカーテンのすき間から差し込んで、
湯気の向こうでカップがきらっと光った。

昨日までのもやもやが、
紅茶の香りに溶けていく。
たぶん、誰かの言葉で曇った心も、
こうして少しずつ晴れていくんだと思う。

飲み終えたカップの底には、
もう何も残っていない。
でも、それでいい。
ちゃんと味わって、ちゃんと手放せたから。

新しい一日を、またこの香りから始めよう。

ティーカップ

11/9/2025, 1:50:21 PM

人と関わるたび、私はどこまでが“自分”で、どこからが“相手”なのかを考える。
優しくしたいと思うし、相手の気持ちも分かりたい。けれど、気づけば人の感情を自分の中に入れすぎて、勝手に疲れてしまうことがある。

「大丈夫?」って聞かれても、本当は大丈夫じゃないのに笑って返す。
「平気」って言った瞬間に、心の中で少しだけ自分を裏切った気がして苦しくなる。

誰かに踏み込まれるのが怖いくせに、孤独も怖い。
その真ん中で揺れているのが、私の“境界線”だ。

本当は、はっきり線を引けたら楽なのかもしれない。
でも、その線を少しにじませてしまうのが、人間らしさでもあると思う。

心の境界線は、守るためだけじゃなく、つながるためにもある。
そのことを、最近ようやく少しだけ分かってきた気がする。

心の境界線

11/7/2025, 1:34:22 PM

たぶん、あの人のことを忘れる日は来る。
でも、今日じゃない。

まだ、机の隅に置いたランプみたいに、
弱く、でも確かに光ってる。

あの人の声を思い出すと、
胸の奥の空気が、少しだけ温かくなる。
それを“未練”って呼ぶのか、“記憶”って呼ぶのか、
まだよくわからない。

思い出は、誰かと囲んでた灯火みたいだ。
最初は明るくて、笑っていられた。
でも、時間が経つと、火がゆっくり小さくなっていく。
その小ささに、やっと気づいた夜。

――あ、もう終わってたんだ。

そう思ったとき、
寂しさよりも、少しだけ、安心した。

ちゃんと好きだったし、ちゃんと傷ついた。
だからきっと、次はもう少し、
優しくなれる気がする。

灯火は、もうすぐ消える。
でもその光があった時間だけは、
ちゃんと、私を照らしてくれた。

「灯火を囲んで」

11/6/2025, 3:57:12 PM

風が冷たい。
ひとりで歩く帰り道、
ポケットの中で手を握る。
あの人のぬくもりを、まだ覚えてる。

好きだった。
ただ、それだけで十分だった。
でも季節は進む。
置いていかれるのは、いつもやさしい方だ。

街の灯りがにじむ夜、
マフラーを巻きなおして、
小さく息を吐いた。
白い息が消えるころ、
少しだけ心が軽くなった気がした。

冬支度って、
たぶん、こういうことなんだろう。
誰かを忘れる準備をしながら、
それでも、明日を迎える支度をすること。

冬支度

8/6/2025, 5:08:42 PM

「またね」って、なんか都合いい。
別に“また”が確約されてるわけじゃないのに、言われたらちょっと安心するし、言っとけばちゃんと締まる感じがする。
別れ際に「またね」って言うけど、本当は“また”が来なかったこと、何回もある。
それなのに、毎回使っちゃう。もはや口癖。
たぶん、人生で一番嘘ついてる言葉が「またね」かもしれない。
でも、「さようなら」って言うほど終わらせる勇気もないし、
「じゃあね」だと軽すぎる気がするし、
「またね」って便利だな、って思いながら今日もまた言う。

またね。

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