かっぱえびせん

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5/23/2025, 4:34:22 PM


人は、時折、誰にも気づかれず崩れていく。
静かに、丁寧に、誰にも見えぬ場所で壊れていく。

僕はその背中を見ていた。
見て、何も言わず、ただ小さな缶コーヒーを手渡した。

その人は少し驚いた顔をして、そして、うっすらと笑った。

僕はそれを「救い」とは呼ばない。
たぶん、それはもっと些細で、
声もなく、ただそこに在るだけのもの。

そっと包み込むように、
孤独と孤独が、隣り合っていただけだ。

そっと包み込んで

5/20/2025, 3:23:07 AM


どうしても、自分だけ置いてかれてる気がする。

みんなはどんどん彼氏できたり、志望校決まったり、なんか”ちゃんとして”て、私だけが、まだ地面を探してる感じ。グループLINEも、最近はほぼ読むだけで、既読つけるのも遅れてるし、なんかもう、どこにいればいいかわかんなくなってる。

駅前のカフェにいるとき、ふと思った。「ここから全部逃げたら、ちょっと楽になれるのかな」って。でも、逃げた先って、どこ? 家? ネット? 別の自分?

どうしても、あの子みたいに器用になれない。
でも、そんな自分を捨てるのも、なんか違う気がする。

だから今日も、朝起きて、なんとなく生きてる。ちゃんとしてなくても、なんとなく。


どうしても…

5/18/2025, 4:52:32 PM

まって、などと、私は口にした。
自分でもおかしいと思った。
何を、誰を、どうして、まつ必要があるのだろう。
そもそも私は、まってほしい人間などではない。
いや、そう思っている時点で、やはりまってほしいのだ。
この滑稽で愚劣な心が、やはりそれを望んでいる。

彼女は、すこしも振り返らなかった。
ああ、あれほど完璧に美しい無視というものを、私は見たことがなかった。

まって、まってくれ。
できるなら、まっていないふりをして、まっていてほしい。
できるなら、私を否定するふりをして、愛していてほしい。
人間というものは、どうしてこうも厄介なのだろう。

私は一人、暗い廊下に立ち尽くし、
まって、という言葉の、あまりにもみじめな響きに酔っていた。

まって

5/16/2025, 2:24:45 PM


ねえ、ほんとはもう終わってたって、ずっと前から気づいてたよ。
でも、あの頃のあなたと私が好きだった私を、手放すのが、こわかった。
だってさ、バカみたいに笑ってたじゃん、私たち。
幸せだったよね。…たぶん。
でも、同じ場所で立ち止まってることが、「優しさ」ってわけじゃないんだよね。
あなたのために、とか言いながら、
私、自分がひとりになるのが、ただ、怖かっただけだったんだ。

手放す勇気

5/12/2025, 5:00:55 PM

ただ君だけ、って思える人に出会えるのって、
正直、生きててそんなに何度もあるわけじゃないんだよね。
誰かと笑ったり、泣いたり、手をつないだりすることは、
たぶん誰とでもできるんだけど、
「この人だけには見せてもいい」って瞬間は、すごく稀だと思う。

君は、そういう人だった。
うまく言えないけど、
隣にいてくれるだけで、景色が少し柔らかくなるっていうか。
その感覚だけで、生きていけそうだって思ってた。
結果的にそうじゃなかったけど。
それでも、ねえ、君だけだったんだよ。
ほんとうに。


ただ君だけ

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