欠損品

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1/24/2025, 1:14:06 PM

「ちょっと咳出るぐらいで心配しすぎだよ〜笑」
いつも通り声色は明るいのに
真っ白なベッドに体を預けて
まるで何かに拘束されている様な貴女が居る

小さい頃から貴女は無理をする
その度手を貸してきたはず

でも今回は違う 規模が 絶望感が
私が入る隙も無い。

私を元気づけるための優しい嘘だ

「 本当に ずっと 一緒にいれるの ?」
「 」
「 大丈夫だよ ほらこんなに元気 」

貴女の手を握って悟った

今だけは貴女の嘘も
馬鹿らしく信じていたかった


フィクション

1/22/2025, 11:23:53 AM

いつも直接「何が欲しい?」って聞けないから
今年も1人で贈り物を探している

最終的に決めた贈り物をラッピングして貴女の前へ

何かと行事があるといつもこの流れ
独りになってしまったのはもう5年前から
今になればこの虚しさも愛おしい

5年前の葬儀で
笑顔の貴女が沢山の黄色い花で囲まれていた
ラッピングはいつも黄色 貴女が好きだった色

最期まで肌身離さずつけていたネックレスは
昔 私がお揃いにして贈ったもの
今はもう錆びてしまって 嫌な鉄の匂いがする

新しいネックレス またお揃いにしたんだ
きっと似合うよ


夜明け頃か 夢の中だったのか
ふふ って貴女の声とネックレスの音が聞こえた気がして
「喜んでくれた?」
なんて 照れくさい言葉を虚無に発した


フィクション

1/21/2025, 11:49:09 AM

皆が羅針盤に従って順調に道を歩んでいる
きっと私は運が悪かった

皆が北を目指している最中
いつも私だけが足に重りをつけたまま
落とし穴ばかりの 道とも言えない道を歩んでいる
いつも そんな気がしている

きっと 誰かに磁石を近づけられてしまって
グルグルと回って 回って 震えている

北を目指して山も海も突っ切るより
遠回りをした方が安全なのだから良いだろうなんて

皆の横に並びたかった私にとって
都合のいい綺麗事でしかないのだ


フィクション

1/19/2025, 3:20:05 PM

「○○と同じ人間は世界に居ないんだよ」

母が昔言ってくれたことを振り返るように妹に言った

小さいながらに 実感は湧かないけれど
何となく神秘的で
それから皆がいつしか死ぬことを考えて 泣いて
母の腕の中で眠った

そんな怖がりの私にも
今や 妹という守るべき存在が居る

世界でたった一人の貴女へ あなた達へ
いつしかくる終わりまで
貴女にしかできない笑顔をどうか絶やさないで


ノンフィクション

~関係の無いお話~
○ 私立高校に無事合格することが出来ました。
数日前の投稿ではお題に沿わないご報告になりましたが、
暖かい反応をくれる方が非常に多く感謝しています。
春にまた良い報告ができるよう尽力してまいります。

1/14/2025, 11:58:36 AM

そっと
私の焼けた首を触って
その貴女の白い手で触って

動脈の音を感じて
私をもっと芯から感じて

ぎゅっと
手は震えている

私を救ってくれる人
今 目の前で涙を流している
声を殺して いつもの癖でそっと泣いている

最期に残した口づけは
貴女の熱い頬と
少し甘い涙


フィクション

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