「ちょっと咳出るぐらいで心配しすぎだよ〜笑」
いつも通り声色は明るいのに
真っ白なベッドに体を預けて
まるで何かに拘束されている様な貴女が居る
小さい頃から貴女は無理をする
その度手を貸してきたはず
でも今回は違う 規模が 絶望感が
私が入る隙も無い。
私を元気づけるための優しい嘘だ
「 本当に ずっと 一緒にいれるの ?」
「 」
「 大丈夫だよ ほらこんなに元気 」
貴女の手を握って悟った
今だけは貴女の嘘も
馬鹿らしく信じていたかった
フィクション
いつも直接「何が欲しい?」って聞けないから
今年も1人で贈り物を探している
最終的に決めた贈り物をラッピングして貴女の前へ
何かと行事があるといつもこの流れ
独りになってしまったのはもう5年前から
今になればこの虚しさも愛おしい
5年前の葬儀で
笑顔の貴女が沢山の黄色い花で囲まれていた
ラッピングはいつも黄色 貴女が好きだった色
最期まで肌身離さずつけていたネックレスは
昔 私がお揃いにして贈ったもの
今はもう錆びてしまって 嫌な鉄の匂いがする
新しいネックレス またお揃いにしたんだ
きっと似合うよ
夜明け頃か 夢の中だったのか
ふふ って貴女の声とネックレスの音が聞こえた気がして
「喜んでくれた?」
なんて 照れくさい言葉を虚無に発した
フィクション
皆が羅針盤に従って順調に道を歩んでいる
きっと私は運が悪かった
皆が北を目指している最中
いつも私だけが足に重りをつけたまま
落とし穴ばかりの 道とも言えない道を歩んでいる
いつも そんな気がしている
きっと 誰かに磁石を近づけられてしまって
グルグルと回って 回って 震えている
北を目指して山も海も突っ切るより
遠回りをした方が安全なのだから良いだろうなんて
皆の横に並びたかった私にとって
都合のいい綺麗事でしかないのだ
フィクション
「○○と同じ人間は世界に居ないんだよ」
母が昔言ってくれたことを振り返るように妹に言った
小さいながらに 実感は湧かないけれど
何となく神秘的で
それから皆がいつしか死ぬことを考えて 泣いて
母の腕の中で眠った
そんな怖がりの私にも
今や 妹という守るべき存在が居る
世界でたった一人の貴女へ あなた達へ
いつしかくる終わりまで
貴女にしかできない笑顔をどうか絶やさないで
ノンフィクション
~関係の無いお話~
○ 私立高校に無事合格することが出来ました。
数日前の投稿ではお題に沿わないご報告になりましたが、
暖かい反応をくれる方が非常に多く感謝しています。
春にまた良い報告ができるよう尽力してまいります。
そっと
私の焼けた首を触って
その貴女の白い手で触って
動脈の音を感じて
私をもっと芯から感じて
ぎゅっと
手は震えている
私を救ってくれる人
今 目の前で涙を流している
声を殺して いつもの癖でそっと泣いている
最期に残した口づけは
貴女の熱い頬と
少し甘い涙
フィクション