欠損品

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いつも直接「何が欲しい?」って聞けないから
今年も1人で贈り物を探している

最終的に決めた贈り物をラッピングして貴女の前へ

何かと行事があるといつもこの流れ
独りになってしまったのはもう5年前から
今になればこの虚しさも愛おしい

5年前の葬儀で
笑顔の貴女が沢山の黄色い花で囲まれていた
ラッピングはいつも黄色 貴女が好きだった色

最期まで肌身離さずつけていたネックレスは
昔 私がお揃いにして贈ったもの
今はもう錆びてしまって 嫌な鉄の匂いがする

新しいネックレス またお揃いにしたんだ
きっと似合うよ


夜明け頃か 夢の中だったのか
ふふ って貴女の声とネックレスの音が聞こえた気がして
「喜んでくれた?」
なんて 照れくさい言葉を虚無に発した


フィクション

1/22/2025, 11:23:53 AM