夏色さいだー。 中一

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8/30/2024, 10:53:45 AM

「香水」

大人のひとがたくさんいた。
香水のにおいが混ざって。
まるで綺麗なゲロ達だった。
外では蝉がないていた。

学校は嫌いだった。
別にただ話す人がいなくて。
少し悪口言われてただけで。
なのに、大人のひとがはやし立ててた。

お前に何も言わなかった。
おはよ、も、サヨナラ、もなくて。
ただ一緒にスプラしてた。
それだけで心臓はいっぱいだった。

クラスのみんなは嫌いじゃなかった。
一応みんな仲間だったし。
ただ話さないだけで、お前もいたし。
大人のひとさえ、いなきゃよかった。

貴方たちがかぶった香水は。
ぐぢゃぐぢゃ混ざって、ゲロ以下だった。
汚いズルい気持ち悪い。
そんなので肺炎になりそうだった。

俺をお前が助けてくれた。
空だけずうっと青かった。
大人の懺悔は殺してやった。
そんな夢は、香水に殺された。

大人の人がたくさんいた。
ひんやりわらう制服を着た。
お前はしかくの中で笑ってた。
俺にはないてるのがみえた。


大人のひとがたくさんいた。
お前を殺した香水の残り香は。
まるで腐ったゲロ達だった。

8/27/2024, 11:38:51 AM

「雨に佇む」

雨に佇んじゃった。
心臓の奥らへんがきゅう、て痛くて。
お前が頭の裏に滲みやがったので。
ひとりで、雨に佇んだ。

笑って痛かったあの頃が。
そっと、胸の奥で無いていった。
サイダーみたいなお前の笑顔が。
青くて、蒼くて、あおかったから。

みんなの言った「なかないで」が。
心を優しく腐らせてった。
お前の言った「ないてええよ」が。
肺に夏を残していった。

お前の忘れた夏のいつかと。
俺の落とした夏のサヨナラ。
「ごめんね」も「いーよ」も言わないで。
八月の雨に、佇んでるの。

雨を知らないあの頃が。
ただ俺に笑いかけてやがる。
ふざけんな、て、小さく吐いて。
やっぱり雨ん中、突っ立ってんだ。


八月最後の雨に佇んでるから。
大きな傘を差しに来て。
そしたらもーちょい、生きてみるから。
肺に残った夏を吸うから。

九月も夏に、佇んでるから。

8/24/2024, 1:06:01 PM

「やるせない気持ち」

友達に何もできねーから。
病みぃ闇ぃガールになっちった。
口から溢れた「やるせない」が。
「ごめんね」を望んだらしいの。

できた人間じゃなかったから。
ちょっとの嫉妬と依存のかけらが。
あんた達に絡みつくのは嫌だよな。
だからぎゅっと抱きついた。

学校行きたくないの、なんて。
じゃあ無理しないでいーよ。なんて。
綺麗事まことしやかガールでしょう。
ホントは学校来て欲しいんでしょう。
ひとりぼっち、淋しいんだろ。

やるせなくを吐いたあんたに。
おとな恐怖症のあんたに。
目線を逸らして横に突っ立って。
ただ一緒にアニメ語ろう。

一緒に買ったアクスタが。
埃を被るようにはしないよ。
おそろのキーホルダーが泣き出す前に。
あんたに会いに行くよ。

学校に来て欲しいんだけど。
それよりあんたと結婚したいわ。
病みぃ闇ぃより、やみーヤミー、おいし。
痛バしてもいーんだよ、て。


やるせないんでしょう。
それでもいいでしょう?
それでもいいから私たち。
しんゆうになったんだろ?

8/22/2024, 12:17:46 PM

「裏返し」


嫌なことがあったら裏返し。
涙溢れそーになったら裏返し。
縋りたくなったら裏返し。
そーやって、騙し誤魔化し生きてんの。

お前の背中に寄りかからないで。
独りぼっちにしゃがんでるの。
お前の髪の毛のお日様の匂いが。
どうしよーもなく鬱陶しいから。

お前の見つけた俺の弱虫。
誰にも潰されないよーに裏返し。
「だーいすき」
くふ、と小さな笑い声が遠くでしたら。
裏返しの裏返し……の更に裏返し。

辛いも怖いもこぼれないように。
お前が呟いた裏返しのうた。
だれかさんの優しい冷たい唇が。
ほっぺにくっつくその寸前に。
裏返し、裏返し。

騙して誤魔化して嘘ついて。
裏返し、裏返し、裏返し。
そんな俺をだきしめたお前も裏返し。
ゲシュタルト崩壊と涙の蛇口の崩壊の前に。

お日様の匂いと夜の冷たさ。
くふ、て声が、気のせいなのに。
ぽつん、ぽつんと透明が落ちた。
裏返し、裏返し、うらかえし。


お前の顔が滲む前に。
お前の背中にあいにいきたい。

8/10/2024, 12:24:51 PM

「終点」

そっと手を頬に触れさせた。
お前が夏に吸い込まれそーだった。
薄い唇が少し開いて泣きそうだった。
終点が迫ってた。

心臓が狂う音がした。
二人でこのまま、時間が止まるようにって。
踏切の音が遠くで泣いてた。
あー、いきにくい。

夏と一緒にサヨナラした方がいーんだって。
それくらい分かってたはずなのに。
お互いじわじわ縛りつけちゃって。
脳の裏にお前が焼き付いちゃって。

すごい近くいるはずなのに。
ほんの少しの埋められない距離が。
痛いし、もどかしいし、暑いし。
震えるお前にくっついた。

夏の終点がそこにあった。
優しい掠れた声に泣いてみた。
幸せとサヨナラの境界線が混ざった。
何を言えばいいのかわかんなかった。

サヨナラの終点。
終わりがもうそこで手を振ってる。
蝉の鳴き声でかき消された「   」は。
もう首を吊ってんだ。


「忘れモン、無いか」
「ん」
「じゃ、また」
「ん、ばいばい」

多分、終点を過ぎた。

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