僕はぬるい炭酸と無口な君が大嫌いだ。
ぬるい炭酸はせっかくの炭酸が台無しになるし、無口な君は僕が話しかけてあげたのに頷いたりするだけで僕の優しさが台無しになる。
でも炭酸は好きだ、体の中が喜ぶ美味しさ。
よく喋る君が大好きだった。暗い僕に優しく話しかけてくれた。
静かに目を閉じ、頭がおかしくなるような静かな部屋で横になる幼馴染。
変わってしまったのはどちらなのか、わからないほど2人とも変わっていた。
死んでいるのすらわからないほど美しい顔。
せっかく幼馴染の母親が持ってきてくれた、君と僕の大好きな炭酸は僕の大嫌いなぬるい炭酸に変わって氷が溶けて僕の記憶のように薄まっていた。
僕には憧れの人がいた。
その人はすごくカッコよくて何より僕が大好きなバレーボールがすごく上手だった。
僕は10歳の時に友達の勧めで入った、その時にすごく優しくしてくれた人。同い年と知った時はすごく驚いた。
どうしても追いつきたくて、肩を並べたくて家でもどこでもボールを触った。周りに越されることと周りを抜かすことの繰り返しが僕に優越感と気持ち悪さを教えてくれた。
でもいくら頑張ってもなにを磨きどう対処しようともその子には届かなかった。
自分は褒められるがあいつは期待をされる。自分の欲しかったものを全て持っている。嫌いになりたいけど嫌いになれない自分が心底嫌いで考えているたびに息苦しくなる。
憧れは眩しくてこんなにも近くにいる存在なのにこんなにも遠いのだと幼いながら感じさせられた。
そんなんだから腕は上達するがチームには置いてかれた。
昔の自分に対しての褒め言葉が今の自分に突き刺さったまま高校になった。
自分は一切期待をされなかった事実と適当に並べられた単語、耳が腐るほど聞きなれた褒め言葉。
チームも実力も自分の心にはついてきているのに自分にはついてこなかった。
憧れてしまえば越すことはできない。
越すことができても魅力のあるものに憧れないことができない。
タイミングが合えば言える。タイミングを見計らい、うるさい鼓動を抑え君に集中する。
「結婚しよう」
「別れよう」
ほぼ同時、なんなら少し君のほうが早い。
やっと言えたと思った安心感とこれからの幸せを目の前の最愛の人が叩き潰した。
僕は頭がいいからそれがなにを意味していたかなんてわからないはずがなかった。
今だけバカになりたい。君になりたい。
あなたが言ったまたいつかを何度夢見たでしょうか。
一年前国のために空へ行った貴方のことを忘れられません。
あの時は私の方が年下で、貴方に見てもらうためにモンペでも、髪をなかなか洗えないときでも自分に気を使うので精一杯でした。
今では憧れだった貴方の歳を超しもうおばさんです。
覚えてますか?
まさか自分の棺に乗って亡くなるなんて誰も思いつきませんよ。でもその時代はそれが主流だったから。
ガラス越しに
次またいつか会えたらお嫁にしてくれると、だからそれまで待っててくれと、
私貴方がいなくなってからずっと恋仲になった人は1人もいません。
でも貴方の遺書から見つかったのは私向けの謝罪の言葉。
「俺を忘れてください。」
綺麗な字で書かれていました。信じたくなかったけれど一目見ただけで貴方の字ということがわかりました。
そんな言葉私が欲しいわけないじゃないですか。
墨で塗りつぶしてあるところにひっそり期待を込めてなぞる。
癖がついちゃったんです、あなたのせいで
忘れたくても忘れられないんです。
貴方はよく頬杖をついて空を眺める。私、最初不思議な人だな
なんて思ったんです。
だけど今なら貴方に言われても仕方ないですね。
人に注意されて気づくことが多々あるのです。
空を見上げているとなんだか貴方に会える気がします。
最近は雨が降りません。
私の雨は止みません。
太陽のような貴方が私には必要です。
またいつか会えたら撤回してくださいね。
それまで頑張りますから見ててください。
飛べ、飛べ、飛べッ、!
とまるで呪文のように自分に言い聞かせる。
随分と昔に怪我をしてから自慢だった飛ぶことがまるで、鎖に体が縛られたような感覚…つまり飛べなくなったのだ。
あの日いつもと同じようにただ飛んでいただけそれだけだった。急に体に力が入らなくなり空中でバランスを崩し木に突撃した。体の痛みと情報が遅れて自分に伝わった。その二つよりも早くきたのは絶望だった。運悪く羽をやってしまったみたいだ。
羽は僕らにとってとても大事だし、何より僕らの自慢の部位でもある。それが傷ついてしまったら僕らは何者でもない。
だから僕はみんなには言わず逃げた、逃げて逃げて逃げ続けた。今じゃすごく後悔している選択だ。痛みを無視しすぎたせいか、気づけと言わんばかりに全身に痛みが襲う。天敵から身を隠したところに倒れ込み痛みをなるべく和らげようとするもなにも変わらない。むしろ酷くなっていっていた。
そんな中運悪く生き残ってしまった。いっそのことならあの痛みでもう死んでしまうのではないかと思っていたが、神は酷いもので僕を生きさせてくれた。
だから僕はもう使えない自分の羽を無視して呪文のように毎日、毎日、毎日、自分に言い聞かせる。