「眠れないほど」
夜も眠れないほど、頭の中はあの日のことでいっぱい。
あの日のことが頭から離れない
忘れたくても、忘れられず
毎晩、毎晩、蘇ってくる
あの日の音、声、場所、人、全てが蘇ってくる
全てが頭の中でこだまする。
あの日の全ての記憶が私を蝕んでいく。
私を傷つける、私を侵食していく。
呼吸も苦しくなり、傷は深くなる。
その後、身動きが取れなくなり、
そしていつか飲み込まれてしまうだろう。
それまでは眠れない夜が続くだろう。
その後で永遠の眠りにつくのだろうか。
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「夢と現実」
夢と現実の狭間はあやふやで不安定。
現実は残酷で、無常で不平等だ。
夢は優しくて、平和で、ふわふわしている。
あやふやな世界。
でもいつか必ず現実に引き戻される。
必ず夢は終わってしまう。
それでも夢を見るのは、夢の世界が魅惑的でキラキラとまるで宝石のように輝いて見えるからだろう。
いつか覚めてしまうとしても、幸せな夢を少しでも見れるなら見ていたいそう思ってしまうのだろう。
それがどんなに残酷な事だとしても。
夢を見るというのは現実との差を思い知るということ。
夢を見なければ、幸せな生活など知らなければ
こんな気持ちになることもなかっただろうに。
胸が締め付けられ、ズキズキと痛むそんな思いを
自分が今、辛く苦しい環境に置かれているのだと実感させるそれはある意味、悪夢であった。
「距離」
程よく距離を置くことも時には必要である
どんなに仲睦まじくとも互いの時間というのは必要である。
同じ人など居ない。みんな個々の個性や好み特徴があり、それを誰かに決めつけられる権利は無い
それと同じく、相性の合うものどうしでも、どうしても意見の食い違いや好みの違いは出てくるだろう。
どんなに愛し合おうとそこは揺るがないだろう。
一人一人違う人間なのだから、当たり前のことだろう。
だからこそ、程よい距離感が大切だ。
近すぎれば、様々な問題や、ストレス、些細な縺れなどトラブルが起きやすくなり、
遠過ぎれば、やがて飽いてしまったり、気持ちが薄れやすくなる。
近すぎず遠すぎず、お互いが自分らしく、それでいてお互いを愛し合える位置関係が1番理想的である。
個々の個性や好みを否定せず、お互いに理解し、認め合い、愛し合える。
とても理想的だと私は思う。
「泣かないで」
笑っていようよ。
きっとまた会えるよ。
そうでしょ?だから泣かないで?
そういう彼女の目尻からは一雫の涙がキラキラと光っていた。
そう言うあなただって泣いてるじゃない。
涙声でそう告げると慌てたように彼女は涙を拭って笑顔で
「また会える。だからさ、━━も笑顔!笑顔!」
私は不思議だった。
どうしてそこまで笑顔にこだわるのか。
しんみりしたくないのかもしれない、別れ際を押隠す彼女の振る舞いに無理してるのかもしれないと思った。
泣きたいなら泣けばいいのに何故、我慢してまで笑顔を大切にするのか最後に聞いてみることにした。
「なんで笑顔かって?それは、泣いたらさ、もしも、もしもだよ?もう二度と会えなかったら、最後の思い出はしんみりした悲しいものになっちゃうじゃない?」
「それより笑ったり、楽しかった思い出の方が大人になって思い出す時楽しい気持ちになれると思うんだ。」
「それに悲しかったり寂しい思い出で終わりたくないじゃない?」
「だって━━と一緒にいた時間はこんなにも楽しかったのに、それが悲しかったり寂しい思い出で終わるなんて私は嫌だよ。」
「私は━━と居れて最後まで楽しかったし、嬉しかった。そう思いたいんだ」
「つまり、ただの自己満足だね」
そう微笑む彼女の目尻からはまた一雫の涙が伝っていたけど、私は何も言わなかった。
ただ一緒に笑っていた。
「冬のはじまり」
木から落ちた落ち葉を見ていると寂しくなる
彩りが無くなってしまった木を見ると悲しくなる
殺風景で、寂しそうに見える。
気温も下がって、心做しか心も冷めていくよう
周りがクリスマスや、お正月といった行事で賑わう中、私は孤独に過ごすのだろう。
無意識に冬の木々と自分を重ねていた。
沢山の落ち葉が地面に散らばる中、木からは1枚また1枚と葉が落ちていく。
手元から離れてゆく。
私の周りは静かで殺風景だった。
心機一転の時期でもあり、はじまりの時期でもある春はあんなに周りが賑やかだったのに
冬に近づくにつれ、1人また1人と離れていった。
厳しい冬を木々などが耐える中、私はこの孤独に、冷えきってしまいそうな心を必死に温め耐えるのだと思うと冬の訪れを拒みたい気持ちが押し寄せる。
冬はまだはじまったばかり。
冬が終わり、春になる頃には桜が華やかに咲くように春が来る頃には、また誰かと笑い合えるだろうか。
そう思うと少しだけ頑張ろうと思えた。