「秋風」
あんなに暖かかったのに、楽しかったのに、
ワクワクとドキドキでいっぱいだったのに冷めてしまった。
冷めてしまったんだ。
あの頃が嘘みたいに、すっかり変わってしまった。
何も知らなかった。
実際に体験してみて痛いほど痛感した。
あの頃の私がどれだけ夢ばかり見ていたか、どれだけ軽い気持ちだったかを。
希望で満ち溢れていたあの頃が酷く懐かしい。
色んなことを知ってしまって段々と心の熱も冷めてしまった。
消えてしまいそうなほどに。
それでも必死に食らいついた。落ちまいと、生き残るんだと。それでも失敗し、上手くいきはしなかった。
この熱も随分小さくなってしまった。
公園を通りかかると落ち葉を見つけた。
強い風が吹くと木から紅葉が沢山舞散った。
そして木には枝だけが残っていた。
でもいつか必ず、また葉をつける。
消えかかっている心の灯火も諦めない限りは、いつかきっと、あの頃のように燃え盛ってくれると信じて。
秋風が私の頬を冷たく撫でる。
それでも私は前を向いて歩いた。
「また会いましょう」
「また会おう」
「うん、またいつか」
「…うん」
「うん」
それっきり会っていない
いつかは来ないと分かっている
「またいつか」そう言う人との「また」が実現したことがないから知っている。
知っていても、何も言えない
もうあの子は会ってくれない。
もうあの子とは会えない。
それだけがはっきりとしていて、もう会えない相手に、なんと返せばよかったのだろう。
何故、訪れることの無い「いつか」を言うのだろう。
いや、そこに深い意味はないのかもしれない。
それでも「また」と言われてしまえば
こちらは期待してしまうのだ。
来ないとわかっていても、次こそはまた会える日が来るかもしれないと。
そして一向に来ないその日を妄想と夢で埋めるのだ。
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昨夜のお題「スリル」
(走り書きですが良ければ)
高い所に登ってみたり、賭けをしてみたり
危険な妄想をしてみたり。
スリルを求めるのは刺激が足りないから
つまらないから、面白いから、楽しいから
色々理由はあると思う
それでも、今に満足出来ていないからスリルを求めるのだと思う
満足出来ていて、わざわざスリルを求めるのは趣味としか言いようがない
中にはそういう人も居るだろう。
しかし満足出来て居るのにわざわざそれを手放す、危険に晒すような真似をするだろうか。
スリルと言っても度合いがあるので一概には言えないかもしれないが現在の状況が揺らぐほどのスリルを求めるのはその生活に満足しきれていないからだと思う。
だから刺激を求めるのだ。
毎日同じじゃ、つまらなくなってくる
それが他の人から見て幸せな生活だとしても
それが当たり前と化してしまえば、その人にとっては、つまらないものになってしまうかもしれない。
そこで満足出来ればいいのだが、欲は何処までも進み続け、止まることはあまりない。
欲が進み続ける限り、刺激もまた求め続けるだろう。
「とべない翼」
狭い鳥籠の中に囚われて
自由を奪われ、羽ばたくことも禁じられ
何も無い鳥籠の中1人寂しく。
助けを呼ぶことも諦め
夢見ることも諦め
羽ばたくこともまた。
ただそこにいることしか出来ない
死んでないだけで、死ねないだけで
心は朽ち果てていた。
どうでもいいと思い始めた頃だろうか
私の翼も段々と羽が落ち小さくなっていった。
そして体も衰弱していった。
死を感じた時だった
やっと死ねるのだと、今まで死を望んできたはずなのに、いざ死ぬのだと思うと無性に生きたいと思ってしまう。
でも、生きたいと思ったところで、どうにもなりはしない。
翼は羽が落ち小さくなり、依然、鳥籠の中
心だけ動いたところでどうにもなりはしないと思った。
けれど、翼は心に応えてくれた。
羽がまた、生えそろい始め
以前にも増して大きな翼となった。
それはもう何処までも飛べるほどに大きな翼
それでもまだ鳥籠の中
しかし、鳥籠の扉は最初から空いていた
視野が狭くなり、鳥籠の扉は閉まっているのだと思い込んでいただけだった。
出てみようともせず、閉まっているのだと決めつけて、自分はなんと愚かだったのだろう
こんなにも自由に飛べたというのに。
「ススキ」
悲しいね、悲しいよ
いつか消えてしまうもの
あんなに綺麗なのに最後は焦げて
面影ひとつ残らない
サラサラと揺れていた面影も残らない
ただそこには草木のない平地が広がっている
もの寂しい。でも、暖かい
あなたの、その身を犠牲に私はこうして温まっている。
あなたのおかげで夜を明かすことが出来る
暖かいご飯も食べることが出来る
真っ赤に燃えて、どんどん火力は強くなって
あっという間にあなたを包み込む
真っ赤に燃える炎は美しいけれど
切なくもあり、どこか儚げでもあった。
あなたの面影もなくなってしまったけれど
きっとまたいつか、あの景色は見れるから
寂しいよ、切ないよ、でも温かいよ。
「脳裏」
いつも汚れて、ぐちゃぐちゃで、ボロボロ
どんどん汚れていくそこを掃除しなくてはならない
でも決して最初のように綺麗になることはない
色んな記憶が、考えが、感情が、沢山散乱していて、ただでさえ手一杯だと言うのに色んな感情が新しい問題が、次から次へと押し寄せてくる。
整理整頓するだけでも骨が折れる。
それでもいつかは綺麗にしなければいけない
心には限度がある。その限度を超えるまでほっておけば、もたなくなる。
捨てなければ、忘れなければ、壊れてしまうだろうから。
掃除するのは大変だ
色々なものが交錯していて辛い思い出も楽しい思い出も1つの所に収まって色々思い出してしまう
そんな中でも特に嫌な思いで忘れたい思い出なんかは特に、こびり付いてなかなか剥がれてくれない。
取ろうとしてもこびり付いて取れない
忘れようとしても焼き付いて離れない