徒花

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「とべない翼」

狭い鳥籠の中に囚われて
自由を奪われ、羽ばたくことも禁じられ
何も無い鳥籠の中1人寂しく。

助けを呼ぶことも諦め
夢見ることも諦め
羽ばたくこともまた。

ただそこにいることしか出来ない
死んでないだけで、死ねないだけで
心は朽ち果てていた。

どうでもいいと思い始めた頃だろうか
私の翼も段々と羽が落ち小さくなっていった。
そして体も衰弱していった。

死を感じた時だった
やっと死ねるのだと、今まで死を望んできたはずなのに、いざ死ぬのだと思うと無性に生きたいと思ってしまう。

でも、生きたいと思ったところで、どうにもなりはしない。
翼は羽が落ち小さくなり、依然、鳥籠の中

心だけ動いたところでどうにもなりはしないと思った。
けれど、翼は心に応えてくれた。

羽がまた、生えそろい始め
以前にも増して大きな翼となった。
それはもう何処までも飛べるほどに大きな翼

それでもまだ鳥籠の中
しかし、鳥籠の扉は最初から空いていた
視野が狭くなり、鳥籠の扉は閉まっているのだと思い込んでいただけだった。

出てみようともせず、閉まっているのだと決めつけて、自分はなんと愚かだったのだろう
こんなにも自由に飛べたというのに。

11/11/2022, 11:00:59 PM