「柔らかい雨」
静かにひっそりと奏でられているそれは
耳をすませば聞こえてくる
小さいながらも、音を奏でて
旋律を紡いで優しく心地よく耳に響いてくる
沢山の小さな音が重なり合って
1つの音となり小さい音ながらどこか神秘的な
雰囲気を持っている。
この音はいつも聴けるわけではない
雨が奏でる、その音は小雨の時しか聴けない
特別な音である。
小さなその音楽は耳を済まさねば聴こえない
特別な音楽。
それらが奏でる音楽は毎回、音色が違い
その瞬間しか聴けない特別な音楽。
自然が生み出した音色をぜひ聞いて欲しい。
耳をすませてほしい。
柔らかな雨が奏でる、その音楽を。
「一筋の光」
「どんなに絶望していても必ず希望はある」
どこかの誰かがそんなようなことを言っていた。
本当にそうだろうか。
本当に光はあるのだろうか。
*光ひとつ差さない暗い部屋に
今日も1人きり
頑丈に拘束され、身動きひとつとれない
体には無数の傷が生々しく残り
今も紅の雫が次から次へと溢れてくる
鋭い刃は牙を剥き今なお、襲いかかってくる
休息は与えられずじっと痛みに耐え散りゆくのをただ、まだか、まだかと待つことしか出来ない
散りたくても散れず、自由に生きることも散ることも出来ない。
私の全ては拘束者の手に委ねられ、手の中で自由に転がされ、遊ばされ、やがて惨めに捨てられる
だんだん、だんだん、どうでもよくなってくる。
抗っても、願っても、どうにもならないのなら
もうやめてしまおう。
全て諦めて感情を無くしてしまおう。
考えれば感情を抑えなければ悲しくなるばかりで、辛くなったり、苦しくなるから
それならもう全て捨ててしまおう
心はいらないのだと
完全に諦めていた。
運命とは残酷で意地悪で
全てを捨てようとすると光が見え始める
絶望して全て捨てようと決めた時に手が差し伸べられる。
今までずっと助けてくれなかったのに、ほんとに諦めようと全てを捨ててしまおうと決意した時に限って光が差し込む。
堕ちて初めて差し込む光は、とても眩しく、とても暖かい。
諦めたはずの道にもう一度いけると言われて
捨てたはずの心を捨てきれなかったことを
初めて知った
だってこんなにも感情が揺れ動いているのだから
こんなにも今更でも助けて欲しいと思うのだから
*希望というのは訪れるものでもあるが
最終的に自分の手で掴まなければ
希望は訪れない
希望はいつもあるのかもしれない、でも隠れていて見えない時や自分から行動を起こさなければ
見えない時もある
手がすぐに差し伸べられる訳ではない
手遅れになる事もある。
最後は結局、すべて自分次第なのだ。
「哀愁をそそる」
時の流れは目まぐるしく
長く思える時間も過ぎてしまえば一瞬のよう。
どんなに辛い事があっても、もう駄目だと嘆いても死なない限り時は進み続ける。
時間は無常である。
その過程で何があろうとも同じ速度で時を刻み続ける
時間だけでなく記憶もまた無常である。
断片的な記憶しか残らず、時間が経つにつれ、どんどん記憶を失っていく。
大切な記憶も、心に響いた思い出も、忘れたくないと願った事も、悲しい出来事も、みな忘れていく。
目まぐるしく変化する世の中で
自身も、自身の周りも、常に変化し続け
一時の思い出など色濃いのは一瞬で
だんだん、だんだん色あせていく。忘れていく。
忘れることは良いことなのかもしれない
辛い記憶、痛い記憶、悲しい記憶それらもまた等しく忘れていくから。
忘れたくない事だけ覚えていられるなんて、そんな都合のいい事はないのだ。
そう分かってはいても、いつか忘れてしまうであ
ろう今の記憶も、この瞬間の私も変化し、いつか色あせ消えていくと思うと哀愁を感じられずにはいられなかった。
「眠りにつく前に」
このまま眠ってしまったら朝になる
朝になれば、また嫌な時間が待っている
体は寝たいというが、心は寝たくないという。
体と心がちぐはぐで、でも結局最後は心が負けてしまう。
次の日が休日でない日はいつもこうだ。
どんなに寝たくないと思っても、寝まいとしても
いつのまにか眠っていて気づいたら朝になっている。
眠ると時間が一瞬に感じる
寝てしまったら気づけば朝になっている。
それに時間がとても短く感じる。
体に抗わず寝る日は寝る前に覚悟を決めないと寝られはしない。
またやってくる辛い日を始める覚悟だ。
夜の時間は私にとって疲れを取れる休息の時間であると同時にまた明日がやってくる事を感じる時間でもある。また嫌な1日が始まってしまうと嫌でも感じてしまう時間。
朝までの時間をなるべくゆっくり感じていたくて
だからいつも長く起きていたいと思ってしまう。
でも、どんなにゆっくり時間を感じていたいと
思っても今日も睡魔に抗えず寝てしまうのだろう。
「永遠に」
永遠のように思えてもいつか必ず終わりが来る
永遠なんて人間とは遠い存在のように思える
人にはいつか必ず死がやってくる
それは約束された逃れようのない運命
死が来る限り人に永遠なんてないように思える
永遠と言うのは想像もつかない程、辛い事だろう
だが永遠を望む人もまたいる
だがやはり人が願う「永遠」は叶わない
だからせめて口約束という泡沫のような架空の存在でも「永遠」という言葉で心を満たす。
信じていれば中身がない形だけの言葉でも不思議と心は満たされる。
決して叶わない「永遠」が叶う気がしてくる。
辛くても苦しくても何かに縋っていたくて、またはその時の溢れんばかりの幸せがずっと続くと夢みて、名ばかりの「永遠」を願っている。