ミツ

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7/16/2024, 8:41:35 AM

「もう、死にたい」

「死にたいなんていうなよ」

「光祐(こうすけ)にはわかんなよ」

「うん、分かんないよ、お前がどれだけ、苦しんでいても、本当のことは」

「苦しいって分かっててそんなこと言ったの?」

「そうだよ、でも、そんなの皆、あ、いや、ごめん」

「みんな?皆なに?知ってたって言うの?なんで、言ってくれなかったの?」

「確かに言うのは遅れたけど、夏帆(かほ)が傷つくと思って…」

「言っとくけど、私はそんなに弱くない」

「泣いてるじゃん」

「……せい…」

「かほ?」

「…いい?泣いてないから、弱くないって言ったじゃん」

「…………日本って比較的平和なんだよ、だけど、自殺する人も多いんだ」

「うん」

「まぁ、だから、なんだ、その、死ぬな」

「………連絡が、つかない、の」

「なんで?…てか誰と」

「…きりん」

「ゃ、え?誰」

「知らないんならいいよ」

「あぁ!!待って待って、知りたい!教えて?」

「…私の友達、セレブらしい…」

「せ、は?馬鹿じゃないの?お前なんかが繋がれる訳無いって」

「……」

「…睨んでこないで、悪かったよ」

「なんで、来ないのかな?私悪いことした?」

「…連絡は待ってるだけじゃダメなんじゃないか?お前からもしたら?」

「確かに?」

「簡単なことだろ?って、おいバカ!!そこのフェンス、足のほうが脆いからよっかかった危」

「な、いだろ?」

-
友達が死んだ。

事故だったのか、自分から身を投げたのか。

卒業間近だった。

誰一人泣かない。

むしろ、喜びに満ちている教室で、俺だけ、悲しんだ。

もう、いいか。

捕まっても、死んでも。

今、この場にいる俺も含めた全員の人生を。


                            ー終わりにしようー

あの、めっちゃ変な感じになったんですけど、すいません。

それと、…←これ抜かして縦読みお願いします。

凄い頑張りました。

7/13/2024, 3:00:52 PM

「桜(さくら)は偉いね」

いつもいつも、僕を褒めるのはお母さん。

兄弟を見下すのはお母さん。

「詩織(しおり)は偉いな」

いつもいつも、兄弟を褒めるのはお父さん。

僕を見下すのはお父さん。

お母さんは何かと僕と兄弟を比べる。

本人のいない間に。

「桜は何でも出来るね、お勉強も運動もおまけにお母さん似で顔も整ってる」

たしかに僕は兄弟よりも上手に物事を進めることが出来た。

容姿もよく褒められる。

「それに比べて詩織は何もできない。きっとお父さんに似たのね。あの人察することだけは人一倍できてたから、詩織だってそうじゃない」

よく、そんな話をして笑った。

二人で。

もしかしたら、兄弟に聞かれていたかもしれない。

お父さんに聞かれていたかもしれない。

でも、お父さんも何かと僕と兄弟を比べる。

僕らがいない間に。

「詩織はいい子だね。純粋で、天使の子かと思ったよ」

「それに比べて桜は汚い。心が汚れているところもお母さんにそっくりだよ」

よく、そんな話が聞こえてきた。

僕に聞かれているのも知らないで。

お母さんも聞いていたかもしれないのに。

僕はお母さんが嫌いだ。

兄弟と話させてくれないから。

お父さんも嫌いだ。

兄弟をしばっているから。

しばらくして、二人は離婚した。

当然ながら、僕はお母さん。

兄弟はお父さんについていった。

泣いた。

どうにもならないことは知っていた。

だけど泣いた。

少しでもこの悲しみを紛らわせたかった。

兄弟は好きだ。

でも、羨ましかった。

お父さんが兄弟の事を好きだったから。

お父さんに愛されていない。

そう思うだけで泣きそうだった。

劣等感は膨らんでいく。

やがて、風船のようにはじけた。

もはや溜められなくなった劣等感はなくなった。

僕は兄弟に好かれていた。

羨ましがられもした。

お母さんが僕のことを好きだったから。

お母さんは兄弟を愛していない。

そう思うだけで笑みがこぼれそうだった。

これは優越感。


お母さんは教えてくれなかった。

何故、兄弟を嫌うのか。

聞こうとした。

何度も何度も。

けど聞けなかった。

僕は一生勇気を出せない。

僕は一生答えをしれない。

                          ー優越感、劣等感ー

7/12/2024, 3:00:02 PM

※GLです

「好きだったんだ」

びっくりした。

泣くほど好きだったんだって。

「どうして」

どうして黙ってたの。

「別に、何となく」

何となくって何。

「気づいたらっていうか」

いつから。

「はるに彼氏がいるってことも知ってた」

それなら尚更。

「だから今まで言えなかったんだけど、最後だし」

そう言って寂しそうに微笑んだ。

「忘れていいから、本当、ごめんね」

「…忘れないよ、絶対忘れない」

「え」

視界がぼやけて上手く見えない。

「ずるいよ、そんなの。反則」

「え?」

困惑している凛(りん)が可愛くて思わず微笑む。

「気づかなかった?私の事見てたんでしょ」

「……わかんなかった」

「…可愛い」

「え」

最高に幸せだ。

そんな中、私達の幸せを邪魔する者が現れた。

「よぉ、どしたん?」

彼氏だ。

なれなれしく私の肩に手を置きながら凛を見ている。

なんて醜い奴だ。

今すぐ排除せねば。

「私達今別れの真っ最中だから引っ込んでもらって良い?邪魔、お前なんかが凛をみて言い訳無いでしょ?」

おっと。

口が滑った。

これには彼氏もお怒りだ。

これだけで顔が真っ赤になるなんて。

よっぽど心が狭いんだろう。

と、ここでまたまた邪魔者登場。

彼氏の仲間だ。

揃いも揃ってクズばかり。

こんな時は隣の天使を見て心を鎮めよう。

って、泣いてる?!

「私の可愛い凛ちゃんが泣いちゃってるんだけど、当責任取るつもり?」

「…お前ってそんなキャラだっけ」



                            ーこれまでずっとー

7/8/2024, 12:16:41 PM

「綺麗だね」

そう言って彼女は僕に笑いかけた。

僕も笑って再び前に目を向ける。

そこには僕の視界に収まりきらないほどの明かりが光り輝いていた。

しかし、僕の耳にはその場の雰囲気に合わない明るい音楽が聞こえている。

「ねぇ、聞いてる?」 

いきなり話しかけられ持っていたスマホが落ちた。

「…そんなにつまらなかった?」

また始まった。

スマホを拾いながらそんな事を思う。

顔は可愛い。

学歴も申し分無い。

そんな彼女にもだめな部分がある。

性格だ。

正義感の強い優しい子かと思っていたが、実際に付き合ってみると面倒くさい女だった。

「つまらなくないよ」

「じゃあこれは?」

言葉に詰まる。

「別に、浮気してたわけじゃないし良いでしょ」

「は?」

本音が漏れた。

隣から聞こえるため息。

なんの音もしない静かな夜。

最悪だ。

一気に崩れた。

今まで築き上げてきたイメージが、全て。

こいつのせいだ。

付き合ってやってるんだから少しくらい我慢しろよ。

告白してきたのはそっちだろ。

次々によぎる言葉の数々。

周りの目がある中これ以上そんな言葉を発する訳にもいかなかった。

「最低、そんなやつだったなんて。がっかり。別れましょ?」

そう言って僕の目を真っ直ぐ見つめる彼女の目に光はなかった。

まって、ごめん、違うんだ、信じて、悪かった、それはやめて、お前が悪いんだろ、なんで、だって。

一瞬のうちに出てきた言い訳は彼女の目に打ち消された。

そんな目で見るなよ。

嫌悪感。

酷いこと言った。

罪悪感。

仕方ないだろ。

背徳感。

まるで僕が下みたいだ。

劣等感。

どうせ僕と別れたら言い寄ってくるやつなんていない。

優越感。

気持ち悪い。

全部、何もかも。

「良いよ」

口走った心にも無い言葉。

「じゃあ…」

目を伏せ足早に去っていく後ろ姿を見ながら何となく、よりを戻したいなんて考えていた。

「ちょっと!あの女誰?」

一難去ってまた一難。

「ごめん」

今度は僕が伏せる番だ。

                             ー街の明かりー