【153,お題:冬休み】
待ちに待った冬休み
あそこに行きたいな~とか、こんなことをしたいな~とかいっぱい考えるけど
何でだろう...気付くと、こたつで1日が終わってる...
...こたつの魔力、恐るべし...
【152,お題:手ぶくろ】
「あっ!どうしよう...手ぶくろ忘れちゃった...」
「えっそれヤバくね?今夜ちょー冷えるらしーけど」
最悪だ、この時期限定の街中イルミネーション
1人で街に来るのが苦手だから、幼馴染みに付いてきてもらったのに
迷惑掛けちゃうな、でも電車経由だし取りに帰るのは...お金もあんまり持ってこなかったし...最悪だ
「カイロかなんか買ってこようか?」
「うん...あでもダメだ...私カイロかぶれちゃって」
「そっ...かぁ」
んー、と難しい顔で黙り込んでしまった彼
何でこんな時にばっか忘れ物するの私!と、密かに自分を呪う
でも、仕方ないかな...私冷え性だし、あんまり外に長居しちゃダメって言われてるし...
簡単だ、「やっぱり帰る、付き合わせてごめんね」そう言うだけ、なのに
何で、声がでない...?
「けほっ、コホッ...」
「大丈夫か?ハンカチあるけど...」
大丈夫、と手で示す
そろそろ身体が悲鳴を上げている、さっさと帰った方がいいのは明確だ
「けほっげほっ!...コホッ」
「あーあ、全然大丈夫じゃねえな...もう帰るか」
「......うん、そうした方がいい...よね」
悴んだ手を擦り合わせて暖を取ろうとするけれど、全く温かくならない
もう帰ろう、そう言われてようやく諦めが付いた気がする
帰ろう、そうだもう帰ろう、それが1番いい選択だと
繰り返しながら駅に向かおうとすると、さっきまで隣にいた彼が居なくなっていることに気付いた
「?そっちは駅じゃ無いよ」
全く逆の方向に進んでいる彼に、どうしたのだろう?と声をかける
「えっ?まさか直で帰るつもりだったの?」
え、だってさっき帰ろうって...
?を浮かべて止まっていると、ほら、と彼が左手を出した
手ぶくろが外されたその手を、意図が分からないままに取ると
ぐんと思い切り前に引かれて、ぽすんと彼の胸の中に落ちた
「!!!???」
いきなり近付いた、?の数を増やしていると急に左手が温もりに包まれる
見ると、彼が外した手ぶくろを私の右手にはめているところだった
「えっ!えっ!?」
「せっかく来たのに、少しも見れないなんてもったいねーでしょ」
にへっと笑って見せる彼
「でも手ぶくろ...手が冷えちゃうよ?」
「それはへーき」
そう言うと、彼は私の左手をぎゅっと握りしめた
「これでどっちも温かいよな!」
太陽みたいな笑顔、もし無意識でこれをやっているなら相当罪深い男だよ君は
そう思ったけど、「さっさと見て回って帰るぞ」とやけに早口で言った彼の頬が
ほんの少し赤みを帯びていたので、何も言わないでおいてあげよう
「...ありがとう」
「おー、身体冷えねえうちに見きろうなー!」
【150,お題クリスマスの過ごし方】
クリスマスの過ごし方
ケーキを食べる?プレゼント交換?
誰かと一緒にわいわい?それとも1人で自由に楽しむ?
みんなこの時ばかりは、ちょっぴり自分に甘くなって
少し高めのお買い物、ケーキ、洋服、プレゼント
さあみんなでお祝いしよう
ハッピーメリークリスマス!
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【151,お題:変わらないものはない】
「全てのことは移ろい変わる、変わらぬものなど存在せぬのだ」
いつもいつも、口癖みたいに君が言ってた言葉
僕は頭悪いし、なんとなく分かるような分からないような難しい言葉だ、とずっと思ってた
「人は脆い、弱くて孤独で儚い者だ。...お前も何時しか私の元を去るのであろう」
どこか君にしか見えない遠い場所を見つめて、僕の顔なんて見ずに君はいつも話すんだ。
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...変わらないものはない、って本当にそうなんだなぁ
薄れる意識で、ぼんやりと思ったのは 君にあって少したった頃の、会話
あの時、僕の事を避けて 逃げて 拒絶した君は、いま 僕の身を案じて 慌ててくれてる
本当に、変わらないものなんてないんだなぁ
例えそれが千年以上生きた、人外の心でも
【149,お題:イブの夜】
「サンタさん早く来ないかな~」
そう言っていた日々が懐かしい。
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「吉野!またミスだぞ、これで何度目だ?」
「...すみません」
全然反省なんてしていない、ふざけている訳ではない
反省する余裕もない程、憔悴しきっていたのだ
「はぁ、......やる気ないなら帰っていいんだぞ?」
その帰っていいんだぞ、は心配なんかじゃないのも、大人になると理解が容易に出来る
本心ではない、うわべだけの平謝り
謝って、働いて、謝罪して、またディスクに向かう。
時は過ぎて、子供が一年の中で自分の誕生日の次に待ちわびるイベント、クリスマスがやって来る
イブの夜、世の中の子供はツリーを見上げ、手紙を書いて、親に「サンタさんまだ来ない?」と急かすんだろう
かくいう俺は、運良く仕事を抜けられたため
何日ぶりかに、家へ向かう最中だ
「ママ~サンタさん今日来る?」
「そうよ~、だから翔太も早く寝ないとね」
「おとーさんはー?」
「パパも今日は早く帰るって~」
「やったあ!」
街は明るい、緑と赤の光に照らされて連日徹夜だった目は悲鳴を上げた
どこかの親子の会話が聞こえた、自分もあんな時期があったというのだから不思議だ
もう何年も家族とは連絡を取っていない
なんだかやけに自分が惨めに思えて、胸を裂いて内蔵をかきむしりたい衝動があった
もう全てから目を逸らして、家に帰って泥のように寝たい
「サンタさんサンタさ~ん♪プレゼント貰ったらみんなで遊ぶんだ~」
「早く帰って寝よう、どうせすぐ呼び出される」
皆それぞれ帰路に着く、幸か不幸かイブの夜
【148,お題:プレゼント】
プレゼントは、いらないです。
そう誰かが言った24日の夜
何故そう思うのか、髭を生やした赤い服の男が聞いた。
「僕はこのままがいい、何かが増えたり減ったりしたら
僕はきっと贅沢者になってしまうから」
何でもないこのままが、僕にはちょうどいいんです。
そう言ったその目は、汚れを知らない純粋無垢な子供の目だった。
帰り道ソリに乗りながら、ふとその言葉を思い出して、なるほどなぁ、と呟いた。