陽月 火鎌

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11/6/2024, 2:29:54 PM

私、振られちゃった…こんな、滅多に人の来ない、山の頂上でさ………ロマンの欠片もない振られ方されちゃった。あ…はは……雨も、降ってきちゃったな。
けど、いつもより柔らかい…あは、天が私のこと慰めてくれるの?…酷い、な。

どこで、間違えたのかな…私はたくさん尽くして、適度に距離をとって…都合のいい女過ぎたのかな。
そうかも、しれないなぁ……えへ。

「さようなら、”6番目の私”。”7番目の私”は、6番目や過去の私より、いい男を見つけるから」

⸺流石に、同じ場所で6回振られちゃうと、デートコースは見直した方がいいって分かるか…。

【7番目の私も、恋をする】

11/4/2024, 3:25:06 PM

「ここが”人物の墓場”…ここに、あの子が……」

”人物の墓場”……物語が終わって人物としての役目を終えた者、物語の作り手である、私の上司が忘れてしまった者などが眠る場所。
ここに来た理由は一つ。私の外での初めての親友が、ここに眠ってるって上司から聞いて、会いに来たから。

⸺ぶっちゃけ、”私”の親友は生きている。ここに眠るのは、IFの彼女。
うじうじ悩んで一切成長せず、彼女の死を見届けた私がいたなんて……いや、”私”の方も同じようになる可能性だってあったわけか。

「ちょいちょい墓標の名前に見覚えがあるなぁ。ミラに櫻に……おいちょっと待て何処に『やられ役』と墓標に刻むやつがいるんだよ………いるから刻まれてるのか。酷い忘れられ方をした奴がいたんだな」

人物の墓場は、島の世界とも言っていいだろう。何処までも広がっていそうな空と海に囲まれた、自然豊かな島のあちこちに墓標が建てられいる。
⸺人物の墓場を思いついたとき、島に関する物語にハマってたのかな、上司。

「いつか私も、ここに眠るのかなとも思ったけど……上司のあの様子じゃ、私がここで眠る可能性は低そうだなぁ……⸺あ、あった」

親友の墓があったのは、色とりどりの花々が咲き乱れる花畑を一望出来る、崖の上。思わず溜息が出るほど、綺麗な景色…好きだな、この景色。

「こんにちは…”私”とは初対面だし、もしかしたら貴女が知ってる私とは性格が違うのかもしれないけど……墓参りに来たよ、私の天使ちゃん。果実酒と、それに合うツマミを持ってきたんだ、ゆっくり語れたら……と思ってるんだけど、どうかな…?」

【島の音は、自然の音と話し声】

11/4/2024, 6:18:55 AM

鏡の中の自分に聞いても、言葉を繰り返すだけだ。
そのことは何度もやったから、分かっている……だけど、どうしてもやってしまうのだ。どうしてもあの子に、縋ってしまう…頼ってしまう…泣きついてしまう………あぁ、私は。

『⸺ぃでぇ……ぉいでぇ………ここに、おいで…』

少し前から、呼ばれている。
あの子が呼んでいる。

行かなきゃ…たくさん、頼ったから。
あの子の隣に居なきゃ…。

◆◇◆◇◆

「ねぇ、聞いた?」
「え、なになに?」
「あそこの家の長男がガラス片で喉を刺して病院に運ばれたって話よ」
「まぁ…確かあの家って、聖堂のステンドグラスが壊れた時に下敷きになって死んでしまった女の子がいるんじゃなかった?」
「えぇ、そうよ。その件以来、あそこの家は窓に板を打ち付けたり、鏡を捨てたりしていたのよ」
「あらそうだったの……心配ねぇ」
「えぇ、本当に」

◆◆◆◆◆

あぁ…残念、今回は失敗したなぁ。
次の機会を待って、あの馬鹿正直なやつを揺さぶるエサにしないとだなぁ。

【悪魔は敵を弱らせる一手を手に入れたい】

11/2/2024, 2:26:39 AM

   古代樹の根本に
  文字が刻まれている
  ⸺読んでみますか?
   ▷はい  いいえ


『  この救いは永遠に
   この破滅は永遠に
  二つが交わり続く世界

  いつの日か終わること
  我らは永久に待ち望む  』

【ゲームの”調べる”テキスト風に書いてみた(多分)】

11/1/2024, 5:47:01 AM

小さい頃、お兄が昔のアタシに難しいことを聞いてきたことがある。



「なあ…理想郷って、なんだと思う?」
「りそう…きょう?」

みんなが自分のユメを好きにかなえられて
みんながみんなのお話しをちゃんと聞くところ

そう言ったら、お兄はわらってアタシの頭をなでてくれた。

「そっかそっか……まだお前には早かったか」
「むぅ!アタシもう子どもじゃないもん!」
「あはは、そうだね」

お兄は、ここじゃないどこかを見るような目で、アタシと話している。
だからアタシは、言ってみた。

「お兄。なにか、なやみごと?」
「⸺!…そっか、バレるか。そうだな……何を聞いても、泣かないか?」
「ん、ダイジョブ!アタシ、なかないよ!」
「そっ…か…。じゃあ、話すよ」

そうして、かくごがきまったような顔をしてお兄はこういった。



「『⸺近いうちに、理想郷を探しに旅に出ようと思ってる』か。理想郷を探した人間の末路なんて、母さんで知ってたのに……なんで行っちゃったのかな」

うるさい男共の口撃を無視しながら呟いた。
お兄はアタシの憧れだったのに、理想郷を探しに行ったことは、一番キライ。

⸺ホントにうるさいなぁ。格好や話し方なんて個人の自由。なのにグチグチ……アタシも旅に出ようかしら?それがいいかもしれないわね。頭…父さんには、悪いけど。


【理想郷を求めた人が置いてきた誰か】

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