北東の洞窟に、火竜の番いが住み始めた。しかも、子育てを始めるようで、二匹の竜が代わる代わる食事を摂りに行ったり、巣の材料に使う用であろう大木を運んだりしている。
北東の洞窟に住み始めた二匹の竜の情報は、国中をかけ巡った。多くの国民たちは、神獣と敬う、魔法の如き力を用いて火を扱う火竜が国に住み始めたことに歓喜し、毎夜北東に向かって祈りを捧げてから就寝している。
しかし、一部の上流階級の人間たちの反応は違った。
その理由は、北東の洞窟がこの国唯一の、氷の採取場だったからだ。
ある騎士は、酒に入れる氷が無くなったことに苛立ち、訓練でも刃入りの剣を使うようになった。
ある公爵夫人は、氷を使った良い美容法があったのに…と、派閥の夫人たちに愚痴をした。
ある王子は、大好物の氷菓が食べられなくなったことで、元々の我儘放題が、更に悪化した。
⸺気づいていない者もいるかもしれないが、この話の世界では、人間は魔法が使えない。まぁ、特に必要性の無い情報だがな。さて、ここで質問だ。”この国”は、幸せな国だと言える?………まぁ、大概の回答は概ね想定通りだろうがね。
【氷の使い道って意外に思いつかない…】
「いや…なんで、急に魚を丸々一匹朝市で買ってきたのさ……?」
「プレゼント、って言いたいけど、実はただのリクエストなんだよね……あ、まってプレゼント交換会とかしたいって思ってきた、だけど流石に今からじゃ無理だよね来年やろう」
「急に欲がでて自己解決させるの、お前らしいよな。で、もうすぐクリスマスで鶏肉やケーキ類の売れ行きが良くなるこの時期に、なんで鮭をチョイスしたんだ?」
「噂のクリスマス回を観たら、鮭を食べたい欲が出てきたから」
「あー、ね…まぁ、仕込んどくけどさ……チキンは?」
「もちろん食べたいですが?」
「分かった、分かったから。鮭を尻尾から掴んだまま近づくのは止めてな」
「わーい!じゃあイブとクリスマスには雪が降って積もるようにお祈りしてくる!」
「それも止めとけー!!!」
「⸺あ!鮭の頭はくり抜いといて、被りたい!」
「それも駄目だ!!!てか今日は影響が凄いなぁ!」
【クリスマス前の準備】
「……辞めたいなぁ、この仕事」
いやだってね、”アイ”って名前の液体をガラス瓶に注ぐ仕事ダヨ?なんかバカが速攻で考えたみたいなクソな仕事なんだけど、マジで辞めたい。
『無哀 届歌(むあい とどか)、本日のノルマまで37本です。いつも通りの進捗ですね、無駄口を叩く暇があったら手を動かしなさい』
そして辞めたい理由の一番はこのクソ上司だ。会社全体がこんなシステムだから、この会社辞めたい。
『C班への業務連絡です。本日のC班のノルマ達成者は1人です。まだまだですねぇ……では、本日のC班の終業時間は3時にしましょうか』
………えっ?!
『冗談です。17時にノルマが終わっていれば、本日は帰宅してもらって大丈夫ですよ』
⸺珍しっ!?!?!?
◆◇◆◇◆
「今日のカレーは特別ウマイな。隠し味?」
「あら、気付いたのね。そうなの、”アイ”を注いだの♪」
「へぇ…ありがと」
「お礼はいらないよ〜!」
【需要はあるんです、えぇ】
【書きたいので保存中…(手を繋いで)】
【書きたいので保存中…(部屋の片隅で)】