ソラを飛び、クウを蹴り、カラを捨て。
今私は、世界を飛び出す。
誰も知らない世を知り尽くす為に。
空を嫌う子供の前で、笑って飛び。
空気が毒と言ったバカに向かって、蹴り飛ばし。
心を無くした空っぽな愚か者を、道端に捨て。
なんの柵もない私は、世界の端から、飛び出す。
世界の端は、人類未踏の暗黒地帯。
目の前にある未知を前に、動かない理由が無い。
【冒険バカは何時でもバカ】
青い大空は、好きじゃない。
……笑うように、小雨が降ればいいのに。
だって、ずっとじっと、見てるだけだから。
空はずっと昔から、感情豊かな傍観者だ。
【冷たい空】
【私を見てくれるのは】
………さみしい。
雨と、地面だけが、私を認識している。⸺あ…服と、空気も、そうかな。
そう考えると、ちょっとだけ、気分が上がる。
ちょっとだけ、なんだけどさ。
車が走り去る。私の身体をすり抜けて。
私、何時になったら……この透明化を、制御出来る様になるのかな。人や人が触れているものから、干渉されなくなる、透明化を。
雨音だけが、私を慰めてくれている。
……だれか、助けてください。
私は今、女性しかいない世界に居ます。
⸺男体化状態で。
どこの薄い本ですか?!
相手います!!
フリーじゃないです!!!
そんな風に叫んでも、子孫を残したい、女性方には届いてくれない。どうしてだよ!!!
何処からか、女性いっぱいのハーレムを希望する男性でも召喚するべきなのか? もう女性でもいい、性別なんてこっちが変えてやるから…ん、変える? ⸺あ!
……一先ず、ターゲットを決める。
あの女性、変えたら強くなりそう…彼女にしよう。
ターゲットを決めたので、一度大勢で追いかけてくる女性方を撒く。
そうして、ターゲットの女性が一人になったタイミングで、拘束し、口に丸薬を入れる。
ウチの変t……ん”ん”っ、優秀さんが作った特別製で、一生戻らない。
昔、事故でそれを飲んだ時は、直ぐに肉体を変えようと思ったんだけど、止められちゃったこと、思い出しちゃったや。
⸺丸薬を飲み込んだ彼女は、次第に彼へと変わる。
私は彼に丸薬が詰まった瓶を渡し、耳元で囁く。
「ピンと来た女性に、これを飲ませな。そしたら、この世界の男は、一時的だが、増える。⸺あぁ、誰にも飲ませないは無しだ。それと、お前一人で、全女性を満足させられるなんて慢心、持つなよ?」
彼は首を縦に振る。どうやら分かってくれたようだ。
これで、少しは減ってくれるだろう…まぁ、体感時間的に、私の男体化は、後一、二日程度だろうけど、一応、保険にね。
それと、折角だ。
どうしてこの世界は、女性しか生まれなくなったのか。
それを調べてみるとしよう。
【ぶらり異世界ランダム移動】
思えば、随分長い間、君といる気がする。
君を作ってから、どれくらいだったかな。
後一、二年で、両の手で数えられなくなるくらいかな。
そう考えると、まだまだ短いとも思う。
だって、君の年齢分関わった訳じゃないから。
だからいずれは、君の年齢よりも、長く関わって、長く繋がって、長く忘れないでいたいんだ。
だから時々、こうして、私と君が生きた過去の道を、振り返っていいと思うんだ。
「⸺…アナタって、存外私に重いですよね」
あっはは…そうじゃなきゃ君は、今を生きてないだろう?それに、彼がずっと隣にいることも。
「まぁ…そうですね。いつも言ってますが、その点だけは、感謝と尊敬してますよ」
【今も昔もこれからも…ずっとよろしくね】