陽月 火鎌

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「ここが”人物の墓場”…ここに、あの子が……」

”人物の墓場”……物語が終わって人物としての役目を終えた者、物語の作り手である、私の上司が忘れてしまった者などが眠る場所。
ここに来た理由は一つ。私の外での初めての親友が、ここに眠ってるって上司から聞いて、会いに来たから。

⸺ぶっちゃけ、”私”の親友は生きている。ここに眠るのは、IFの彼女。
うじうじ悩んで一切成長せず、彼女の死を見届けた私がいたなんて……いや、”私”の方も同じようになる可能性だってあったわけか。

「ちょいちょい墓標の名前に見覚えがあるなぁ。ミラに櫻に……おいちょっと待て何処に『やられ役』と墓標に刻むやつがいるんだよ………いるから刻まれてるのか。酷い忘れられ方をした奴がいたんだな」

人物の墓場は、島の世界とも言っていいだろう。何処までも広がっていそうな空と海に囲まれた、自然豊かな島のあちこちに墓標が建てられいる。
⸺人物の墓場を思いついたとき、島に関する物語にハマってたのかな、上司。

「いつか私も、ここに眠るのかなとも思ったけど……上司のあの様子じゃ、私がここで眠る可能性は低そうだなぁ……⸺あ、あった」

親友の墓があったのは、色とりどりの花々が咲き乱れる花畑を一望出来る、崖の上。思わず溜息が出るほど、綺麗な景色…好きだな、この景色。

「こんにちは…”私”とは初対面だし、もしかしたら貴女が知ってる私とは性格が違うのかもしれないけど……墓参りに来たよ、私の天使ちゃん。果実酒と、それに合うツマミを持ってきたんだ、ゆっくり語れたら……と思ってるんだけど、どうかな…?」

【島の音は、自然の音と話し声】

11/4/2024, 3:25:06 PM