あすか@中学生

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3/21/2024, 2:30:33 PM

二人ぼっちの世界に私一人だけ。

貴方なんていらないって手を振り払ってしまったから、
貴方はわたしの歩く方向と違う道へ進んでいった。
他のひとは、みんな透明になっちゃった。
だからわたしたちには、何にもわからない。
それなのに、貴方までいなかったらわたし…。
あぁ、もう一度貴方に触れたい。弱いなぁ。
私の手のひらは、半分消えかかっている。
それを見られたくないからいらない、なんて嘘をついたのに。
もう一度貴方と会いたいだなんてどうかしてる。
でも、貴方が一人ぼっちの世界にならないうちに
二人ぼっちの世界の間に貴方ともう一度見つめ合いたい。
走らなきゃ、貴方が行った方向へ。

貴方ともう一度二人ぼっちでお話ができるように。


 お題「二人ぼっち」

3/19/2024, 1:11:04 PM

胸が高鳴るこの季節、僕は、晴れて高校1年生だ。
荷物を持って、前髪を整えて、家族に「行ってきます」を言ったら出発だ。
自転車に乗って桜並木をくぐり抜ける。眼の前が空色と桜色に染まって、それだけで楽しくなる。「おはよう」と後ろから声をかけられて振り向くと、ついこの間、友だちになった君が笑顔で話しかけてくれた。自転車から降りてその子と話をするとなんだか胸がドキドキする。
「今日、テストがあるらしいよ。結構難しいやつ」どこからの情報かわからないけど僕の苦手な教科ならどうしよう、と胸がバクバクいっていた。
これから先、どんなときに僕は、胸を高鳴らせるのだろう。
難しいテストのときとか?彼女ができた日には、1日中高鳴っているんだろうな。あとは…「おーい!遅れちゃうよ?早く行こう!」
そう言って君が僕の前をかけていく。
今から走ったら心臓がどくどくいうのかな?そんな事を考えながら僕は、きみの跡を追いかけた。

お題「胸が高鳴る」

3/18/2024, 11:11:44 AM

不条理にも度が過ぎるだろう、この世界は。

妹が死んだ。昨日、道端に倒れたと思ったら息すらしていなかった。

突然のようで突然ではなかった。

先週は、母が。2週間前は、祖父母が。その1週間前は、父が。みんな1人ずつ死んでいく。

祖父母は、仲が良かったから死ぬ日まで同じだったんだろうなと、桃の味のする飴玉を優しく手渡してくる祖母の顔を思い浮かべながら手を合わせた。

妹をつちの中に埋め、手を合わせたらお水を一口飲んで歩き出す。

大体、こんな場所に行きたいとかを父が言い出さなかったら良かったんだ。一番に早死しやがって、とぶつくさ言いながらあるいた。こんなところ来なければよかった。

まだ開拓されていない「ほし」だからって安心してきたうちの家族が悪いんだ。 

この「ほし」では、あちらの「ほし」の生き方だなんて通用しなかった。

あぁ、不条理にもほどが過ぎるだろう、この「ほし」は。




お題「不条理」

追記_不条理の使い方、間違ってるかもしれません!
一応調べましたが、自分の脳では、追いつかず…

3/16/2024, 2:02:42 PM

 怖がりな君は、暗闇が嫌い。

 学校からの帰り道、当たりは、暗くなっていて街灯がちかちかと光っている。
「手、離さないでね」
 そう僕に話しかけるきみの手は、かたく僕の手を掴んでいる。
「離す訳ないだろう?あ、そこ段差あるよ」
 君がわ、と驚いて躓く。でも僕が下敷きになって君が怪我しないようにするんだ。
「ありがとう、怪我してない?」
「してないしてない!僕を誰だと思ってるんだい?」
 冗談めかしでそう言うと君は、変なの、と言って笑った。

「こうやっていられるのもあとどれくらいなんだろうね…」
「君の目が見えるようになるまでだろうね」 
 君は、僅かしか目が見えない。けれどもうそろそろ手術をして、見えるように頑張るらしい。僕は、それが嬉しいようで嬉しくない。君と一緒に帰ることができなくなるかもしれないから。 

 君の家まであと少しというところで君が声を上げた。
「手術して、成功しても一緒に歩いてくれる?」
「……それは、できないかもしれないなぁ」
「どうして?」
 君が不安そうに話しかける。 
「この怪我沢山の君に見られたくなんてないから。君に悲しくなってほしくないから」だなんて言えなくて「秘密」と言葉をかわしてしまう。ばいばい、と手をふりあって一日の最後のお別れを交わして僕の帰路についた。

 わたしは、きみが怪我をするのが怖い。
 怪我をしても無理をするから。明るい場所なら薄っすらと怪我をしてるか確認できるけれど避けられているし、暗闇では、何にも見えない。
 君が傷ついていることに気が付けないから。だから

 怖がりなわたしは、暗闇が嫌い。

お題「怖がり」

3/15/2024, 11:14:30 AM

 星が溢れるほどくさん詰め込まれたガラスの小瓶をバスケットいっぱいにして一人の少年は、街へ繰り出た。
「星は、いりませんか?願いを祈って空に還せば何でも叶う星は、いかがですか?星10個を金貨3枚で売っています。」
みずぼらしい服を着た少年が高らかに声を上げると周りの人々は、縋り付くようにその少年に銀貨を渡そうとする。わたしがさきに、ぼくがさきに、と争う声が聞こえると少年は、わざとらしく咳払いをしたあと
「ちゃんと列に並ばない人には、あげませんよ」
と子供を叱りつけるように言った。
 「はい、最後の一瓶です」
その瓶を渡された女性はひどく安堵し、その後ろに並んでいた人は、泣いて悲しんでいた。
 少年は、帰り道にひとり、うわ言のようにつぶやいた。
「この街でも、もう人気が出てしまったな。次は、どこに行こうか。そうだ、雪の降っている場所なんかはどうだろう?きっと寒さで凍るのを恐れた人は、誰も星を買いになんて来ないだろうからな!」
名案だ、と自画自賛をした少年は、家につくと早速身支度を始めた。
 持っていくのは、沢山の星と自分の体だけ。
「全く、何故これが人の命を代償にできているってこと忘れちゃうのかな?それとも知っていて星を買うの?自分たちの都合のために人の命を使うなんてばかみたい!」
呆れた少年は、見落としている星がないことを確認して家を放りだした。 



 新しい街は、予定通りごうごうと冷たい風が吹きすさむ場所だった。星が溢れるほどくさん詰め込まれたガラスの小瓶をバスケットいっぱいにして一人の少年は、街へ繰り出した。
 「星は、いりませんか?願いを祈って空に還せば何でも叶う星は、いかがですか?星10個を金貨3枚で売っています。あ、これは、人の命からできているので大切に扱ってくださいね。」
 ……やっぱり誰も来ない、最初は、どこもそうだ。ここからお客を増やさないためにどうすればいいか、そう考えているとぎぃ、と何かが開く音がして、その方向を見ると一人の女性が分厚いドアの後ろから顔を出していた。
「何でも叶う…って本当?」
「えぇ、生命を生き返らせる事以外なら」
その女性が扉から出てきて金貨を3枚手渡した。それを少年は、受取り、瓶と交換した。
「これで、娘の病気が治るのね…」
そう独り言を言いながら自宅へ帰っていった。
 それからは、日を追うごとにやってくる人々が増え、少年は、帰り道ため息を付いた。
「ここも、もうだめか」
そして、次は、どこに行こうかと考えた。



 少年は、自身の手元の星が尽きるまで、配らなければならない。そうして、全部の星を配り終わったら自分も星になるんだと、そう神様に聞かされて生きてきた。
 「ふふ、この星たちは、どんな使い方をされてお空に還れるんだろう。」今まで不幸な子たちは、何人も見てきた。沢山の人に買われれば買われるだけ不幸な子たちは、増えていく。
 「まぁ、何度だってきれいな色になってお空から流れてくるのだけれどね。」そう言って少年は、大きく地図を広げた。
 「何度も使い古されて、無理矢理きれいな星に戻されて、自分の好きなところに行けないくらいなら星が尽きることなんてなくていいもんね!」



 少年は、自分が星にならないようにここ200年行っていない場所を探した。

 あれからXX年後高らかと街の中心で声を上げた少年がいた。
 
 「星は、いりませんか?」

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