君と紡ぐ物語
白紙の台本に
声の聞こえない監督を迎えて、
僕らの物語を紡ごう。
歩いてきた軌跡を綴ろう。
進む先は白で満たされても、
残した跡は色づいていくから
見えない景色も見えるものにしよう
影が見えたなら二人で照らそう
独りじゃないから信じられる、
君が信じてくれた僕のことを
だから紡いでいこう、
何十年も先の、僕らの物語を。
霜降る朝
窓越しの季節はやけに冷たくて、
暖かくありたくて白い息を解く
いつかの貴方を象った霜は、
行き場を無くして朝に溶けた。
僕の心だけ象られたまま
三度の冬と今を生きている。
1人でないことはあんなに幸せだったな
君と窓辺で飲んだ淹れたてのコーヒーも
今は少しぬるいようだ。
君と潜り込んだベットの中も
1人じゃ寂しさが枕を濡らしてしまう。
心は霜が降りた頃から固まってしまった様で、
朝が僕を露にする、その時を待っている。
夢の断片
貴方は欠片を拾い上げる
私が拒んだものを。
記憶の世界はモノクロで、
宙を舞う蝶だけが色を纏っている
大切な人と過ごした幸せな夢
その隣を目指し続けた夢
そして、大切な人を目の前で失った夢
貴方を導いた夢色の蝶は、
私を色の戻る世界へ連れていく。
夢の欠片を繋げたものは、
苦しさも幸せも詰まっている。
思い出さなければいけない大切な記憶
前を向かなければならない、
貴方と、蝶が教えてくれたから。
大切な人の愛したものを守るために、
今度こそは隣に立てるように。
見えない未来へ
一寸先は闇なんてよく言ったものだ
次の一歩で足元が崩れるかもしれない。
足が傷つけば二度と歩けなくなるかもしれない。
これまでも、これからも、きっとそうだ
後ろを向いても前を向いても
することは歩み続けることだけ
過去には戻れないなんてよく分かってる、
どこを向いてもその先には未来しかないから
見えないのに、それでも確かに未来がある
自身にしか選べない未来がそこにある
見えない未来に、
後悔の土産を贈らないために。
闇の中を、今日も歩もう。
記憶のランタン
暗い道をひとり、静かに歩いていた。
君という灯火に出会うまで
空っぽだったランタンに、
火を灯してくれたのは君だ。
この先いつか振り返る記憶を
君が照らしてくれたんだよ。
伝えきれないほど言葉を、
今こそ君に届けよう。
暗い道に迷ったなら、僕がそばに居るよ。
君がくれたあの火を今度は君に渡そう
誰も照らしてくれないなら、
僕が君を照らしてみせるから。
この長い旅路をもう少し一緒に歩もう。