汚水 藻野

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11/30/2023, 10:35:06 AM

「ねー、さいごのお願いなんだけどさー。
俺、別れ際では笑って欲しいんだよねー。
完全の別れを経験したことないから言えるんだ、なんて言うか?ははっ、それもそうだ。
え?『理由はなんだ』って?

だって次も会えるかもしれないじゃん。

だったら、泣いて別れた後にもっかい会ったら『あれ、この前の別れはなんだったんだ』ってなるでしょ。そういうの、"別れ"が軽く見えちゃうから嫌なんだよなー。

"本物の別れ"っていうのは、どんな生き物でも悲しいものだと思うよー。
だって泣きたくなるでしょー?もう一生会えなくなるかもしれないし。

友達と遊んだ帰り道の別れ、
自分の親が死んだときの別れ、
担任の先生との別れ、いっぱいある"別れ"の中で、一番最後に見るのはやっぱり笑顔じゃない?
だからさー。

そんなに泣いてたら、体の水分なくなっちゃうよー?

お願いだからさー。

笑って欲しいよー。」

_2023.11.30「泣かないで」

語り手は死に際か?

「来世でも人間として生きることができたら、笑っていて欲しい人がいるんだー。」

11/29/2023, 10:25:19 AM

その揺らめく炎が美しく輝く時、「ああ、冬が来たのか」と悟る。

きみの炎は冬の方が綺麗に見える。
クルクルと優雅にまわって炎を纏うその姿。
自分に伝わらない言葉を伝えずとも語りかけて来るのだ。
人じゃない。言葉が分からない。生活の仕方も違う。
そんなきみが自分を選んでくれた理由。

「初めて私を褒めてくれたから」

きみみたいな種族がそんな理由で人間について行っていいのか、と疑問に思ったが、いいのだろう。揺れる炎に触れても火傷はしない。

「自分に良いことをしてくれた人には、感謝を述べたり、行動に移すことが大事だよ。……って、そう教えてくれたでしょう。
だから私は、私を褒めてくれたあなたに、感謝の意を示したい。
そうするのには、貴方について行くしかなかったですから。
今まで沢山の時間を一緒にして、迷惑もかけましたし、大変でした。でもそんなことより、

楽しかった。

ありがとうございます。これからも私を相棒として側にいさせてくださいね。」

雪山。雪が降る。涙。こぼれる。周り。人はいない。

人生初の最高な相棒からの感謝の言葉。
…泣いてもバレないよね。この冬の訪れを知らせる雪なら隠してくれる。

_2023.11.29「冬のはじまり」

最近話がよく逸れるし長くなる…。

11/28/2023, 1:51:43 PM

「これで、もう_」

「"終わりにしよう"、なんて言おうと思いましたか。」
崩れて槍だけになった神殿。姿を現したのはこの地を救った英雄であった。
「………これはこれは、英雄様じゃないですか。ご苦労様ですね。」

「終わりにしようとしましたか。私を倒して神と邂逅しようとしたのですか。私に、勝てると思いましたか。」

「…随分と強気ですね?まあいいでしょう、…始めますか?」

「唐突ですが、物語が始まる定義とは、なんでしょう。」
「…はい?急になんです?」
「物語には、必ず主人公がいて、始まりがあって、終わりがあります。"次"の相手がいなければ、主人公は"一般人"と変わりません。

ありがとうございます。

私に倒されに待ってくれて、私の物語を進めてくれて。」

「…こんのクソ餓鬼…ッ、!!」

言葉とは裏腹に、泣いて腫れた目でこちらを見据える。
その表情に、恐怖すら覚えた。

_2023.11.28「終わらせないで」

翡翠の話。知らなくても読めます。pk?
少し前の季節の方が美味しかったかな、ぎんなん。

11/27/2023, 1:37:01 PM

「ちゃんと愛されてたよ、きみは」

その綺麗な瞳から雫はこぼれ落ちないが、今にも泣きそうな顔で俯くきみの背中に手を置く。
「愛されてた」
もう一度、確かめさせるように言う。
「あの眼は自分の我が子を見て愛おしく思う眼だった。おれの親も時々あの眼をする。」

「でもっ、もう居ないって解ったら、なんか…苦しくて…、」

しゃがんで嗚咽をもらすきみ。自分は膝をついて、母親のように優しく強く抱きしめた。

「おれがいるよ」

人間とは、母親や父親の愛情を受けて育つものだ。
例外として、きみ見たく両親が居なくなった人間もいる。
だったら愛情は受けられない?ちがう。
親の愛情が欲しくて、足りなくて、そうやって心がズタボロになるのならば。

「親じゃなくても、愛は受けられるよ」

"どんな人にも、愛は向けるものよ"

いつの日か、おれの母がそう言ったように。

「ほんとは親から、が良いだろうけど…。

ほんの小さな幸せにも人は喜べる力がある。
きみを愛しているのはおれだけじゃない。

きみを信頼してるあの子達も、きみに愛を向けているよ。」

さて、泣きまくった後は、サンドウィッチでも食べようね。

_2023.11.27「愛情」

まふてふ…?

11/26/2023, 11:51:00 AM

(綺麗な文字で綴られた誰かの日記。32p)

今日は林間学校のオリエーテーリング1日目。
ペアの子が私を「強い」と確信してくれていた。
なんだか照れるが、たしかに私は強い。きみとの勝負できみをボコボコに負かした。
その時のきみの表情に、闇が染まっていくところを見なかったふりをして。

(少し殴り書きになっている字。38p)

きみとの勝負は楽しい。
段々と追ってくるように強くなっていくきみを、私は眺める。
そこに一つの余裕がある。きみにとって楽しくて最高な勝負をする。
ああ、私の最高で宝物なあのライバルは、こんな気持ちだったんだろうか。

(子供のような、少しおどけた字。21p)

私の最高で宝物なライバル。
きみとの勝負は本気を出さないと勝てないことがあるから楽しい。きみもそう思っているんだろうな。
きみの横に立つまで、待たせてごめんね。
にしてもきみは、私がライバルになるまで、すごく上手い手加減をしてたんだね。気づかなかった。今度教えてよ、

手加減の仕方。


(32p。右端に小さく書かれている。)

私の最高なライバルとの勝負の熱さが"風邪"だったら、きみとの勝負は……

"微熱"かなあ。

_2023.11.26「微熱」

私と名前の同じクラスメイト、誕生日おめでとう。

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