「ねー、さいごのお願いなんだけどさー。
俺、別れ際では笑って欲しいんだよねー。
完全の別れを経験したことないから言えるんだ、なんて言うか?ははっ、それもそうだ。
え?『理由はなんだ』って?
だって次も会えるかもしれないじゃん。
だったら、泣いて別れた後にもっかい会ったら『あれ、この前の別れはなんだったんだ』ってなるでしょ。そういうの、"別れ"が軽く見えちゃうから嫌なんだよなー。
"本物の別れ"っていうのは、どんな生き物でも悲しいものだと思うよー。
だって泣きたくなるでしょー?もう一生会えなくなるかもしれないし。
友達と遊んだ帰り道の別れ、
自分の親が死んだときの別れ、
担任の先生との別れ、いっぱいある"別れ"の中で、一番最後に見るのはやっぱり笑顔じゃない?
だからさー。
そんなに泣いてたら、体の水分なくなっちゃうよー?
お願いだからさー。
笑って欲しいよー。」
_2023.11.30「泣かないで」
語り手は死に際か?
「来世でも人間として生きることができたら、笑っていて欲しい人がいるんだー。」
その揺らめく炎が美しく輝く時、「ああ、冬が来たのか」と悟る。
きみの炎は冬の方が綺麗に見える。
クルクルと優雅にまわって炎を纏うその姿。
自分に伝わらない言葉を伝えずとも語りかけて来るのだ。
人じゃない。言葉が分からない。生活の仕方も違う。
そんなきみが自分を選んでくれた理由。
「初めて私を褒めてくれたから」
きみみたいな種族がそんな理由で人間について行っていいのか、と疑問に思ったが、いいのだろう。揺れる炎に触れても火傷はしない。
「自分に良いことをしてくれた人には、感謝を述べたり、行動に移すことが大事だよ。……って、そう教えてくれたでしょう。
だから私は、私を褒めてくれたあなたに、感謝の意を示したい。
そうするのには、貴方について行くしかなかったですから。
今まで沢山の時間を一緒にして、迷惑もかけましたし、大変でした。でもそんなことより、
楽しかった。
ありがとうございます。これからも私を相棒として側にいさせてくださいね。」
雪山。雪が降る。涙。こぼれる。周り。人はいない。
人生初の最高な相棒からの感謝の言葉。
…泣いてもバレないよね。この冬の訪れを知らせる雪なら隠してくれる。
_2023.11.29「冬のはじまり」
最近話がよく逸れるし長くなる…。
「これで、もう_」
「"終わりにしよう"、なんて言おうと思いましたか。」
崩れて槍だけになった神殿。姿を現したのはこの地を救った英雄であった。
「………これはこれは、英雄様じゃないですか。ご苦労様ですね。」
「終わりにしようとしましたか。私を倒して神と邂逅しようとしたのですか。私に、勝てると思いましたか。」
「…随分と強気ですね?まあいいでしょう、…始めますか?」
「唐突ですが、物語が始まる定義とは、なんでしょう。」
「…はい?急になんです?」
「物語には、必ず主人公がいて、始まりがあって、終わりがあります。"次"の相手がいなければ、主人公は"一般人"と変わりません。
ありがとうございます。
私に倒されに待ってくれて、私の物語を進めてくれて。」
「…こんのクソ餓鬼…ッ、!!」
言葉とは裏腹に、泣いて腫れた目でこちらを見据える。
その表情に、恐怖すら覚えた。
_2023.11.28「終わらせないで」
翡翠の話。知らなくても読めます。pk?
少し前の季節の方が美味しかったかな、ぎんなん。
「ちゃんと愛されてたよ、きみは」
その綺麗な瞳から雫はこぼれ落ちないが、今にも泣きそうな顔で俯くきみの背中に手を置く。
「愛されてた」
もう一度、確かめさせるように言う。
「あの眼は自分の我が子を見て愛おしく思う眼だった。おれの親も時々あの眼をする。」
「でもっ、もう居ないって解ったら、なんか…苦しくて…、」
しゃがんで嗚咽をもらすきみ。自分は膝をついて、母親のように優しく強く抱きしめた。
「おれがいるよ」
人間とは、母親や父親の愛情を受けて育つものだ。
例外として、きみ見たく両親が居なくなった人間もいる。
だったら愛情は受けられない?ちがう。
親の愛情が欲しくて、足りなくて、そうやって心がズタボロになるのならば。
「親じゃなくても、愛は受けられるよ」
"どんな人にも、愛は向けるものよ"
いつの日か、おれの母がそう言ったように。
「ほんとは親から、が良いだろうけど…。
ほんの小さな幸せにも人は喜べる力がある。
きみを愛しているのはおれだけじゃない。
きみを信頼してるあの子達も、きみに愛を向けているよ。」
さて、泣きまくった後は、サンドウィッチでも食べようね。
_2023.11.27「愛情」
まふてふ…?
(綺麗な文字で綴られた誰かの日記。32p)
今日は林間学校のオリエーテーリング1日目。
ペアの子が私を「強い」と確信してくれていた。
なんだか照れるが、たしかに私は強い。きみとの勝負できみをボコボコに負かした。
その時のきみの表情に、闇が染まっていくところを見なかったふりをして。
(少し殴り書きになっている字。38p)
きみとの勝負は楽しい。
段々と追ってくるように強くなっていくきみを、私は眺める。
そこに一つの余裕がある。きみにとって楽しくて最高な勝負をする。
ああ、私の最高で宝物なあのライバルは、こんな気持ちだったんだろうか。
(子供のような、少しおどけた字。21p)
私の最高で宝物なライバル。
きみとの勝負は本気を出さないと勝てないことがあるから楽しい。きみもそう思っているんだろうな。
きみの横に立つまで、待たせてごめんね。
にしてもきみは、私がライバルになるまで、すごく上手い手加減をしてたんだね。気づかなかった。今度教えてよ、
手加減の仕方。
(32p。右端に小さく書かれている。)
私の最高なライバルとの勝負の熱さが"風邪"だったら、きみとの勝負は……
"微熱"かなあ。
_2023.11.26「微熱」
私と名前の同じクラスメイト、誕生日おめでとう。